蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

70 / 206
シリアス?ギャグ?どちらかと言うとシリアスかも……


第四十幕 正体

2024年10月30日 第22層南西エリア南岸 ログハウス(キリト&アスナ宅)

 

 

「NPCではないよな?移動させられた訳だし」

 

「だねぇ、見た感じはロトと同じくらいだな。ありゃ」

 

「カーソルは出てなかったよな……ん?待てよ、前にも似たような会話しなかったか?そういや」

 

少女を連れて帰り、二階の寝室に寝かせた後、世話をミトを筆頭にした女性陣に任せ、ソウテン達はリビングで少女についての考察をしていた。刹那、グリスがデジャブを感じ、疑問を投げかけた

 

「しましたね。僕の記憶が正しければ、三ヶ月ほど前に」

 

「ロトの時と似てるよね。リーダー、何か知らないの?」

 

「知らん。というか、知ってんなら、あの子を見つけた時に既に対処してる」

 

「それもそうだ。となると……何者なんだ?あの子は」

 

「うむ、其れも気になるが……ロトくんの正体も気になるな。そうなると」

 

疑問が飛び交う中、ソウテンはコーバッツが述べた《ロトの正体》という単語が心に残った。確かに、気にならないと言えば、嘘になる。この数ヶ月で、互いを家族のように認識し、振る舞ってきたが、元を辿れば、身に覚えのない事例、更に言えば、彼が本当は何者なのかを、誰も知らないのだ

 

「調べてはいるんだろ?お前のことだから」

 

「まあ、色々とな。それでも核心に迫る答えは見つかってねぇんよ」

 

「そもそも気にしないようにはしていましたが。何故、ロトくんはリーダーを「とーさん」、ミトさんを「かーさん」と呼ぶのでしょう?御二方に瓜二つのプレイヤーがいらっしゃるのでしょうか?」

 

「その線はあるかも。ほら、世界には似た人が4、5人はいるとか言うし」

 

「ヒイロ?それは多いぞ、居ても三人だ」

 

「そうなの?ベルさんは物知りだね」

 

「テンに似たやつぅ?どーせ、バカで迷子なんだろうなー」

 

「うるさいよ、ゴリラ」

 

「誰がゴリラだコラァ!!この迷子!!」

 

「迷子じゃねぇ!!」

 

「落ち着き給え。それで、君はどういう仮説を立てているんだ?テン少年」

 

コーバッツが切り出すと、ソウテンは数秒の間、頭の中で情報を整理する。持ちうる知識と情報を総動員させ、仮説を構築し、その全てが一筋の光(真実)を導き出そうとした時だ

 

「ん?メッセ?差出人は職人か……え?」

 

突然のアマツからのメッセージ、その内容にソウテンの思考は停止した。辿り着き掛けていた答えは消え、そのメッセージを前に仮面の奥で表情が歪んだ

 

「テン!!!メッセージ見た!?職人からの!!」

 

慌ただしく、階段を駆け下り、息も絶え絶えになりながら、声を荒げたようにミトが問い掛ける。彼女の表情もソウテン同様に、険しく歪んでいる

 

『少し目を離した隙にロトが姿を消した。お前たちの方に行っていないか?』

 

「キリト、悪りぃんだが俺とミトは急用が出来ちまった。あの子の事はおめぇさんたちで何とかしてくれ。んじゃ、Adieu!」

 

「そういう訳だから!ごめんねっ!急ぐの!」

 

「ちょっ!?」

 

「ミトっ!?」

 

足早にログハウスを後にするソウテンとミトをキリト、アスナが呼び止めようとする

 

『って!!早過ぎだろっ!?いくらなんでもっ!!』

 

しかし、既に彼等の姿は見えなくなっていたのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年10月30日 第48層主街区リンダース

 

 

「「職人、リズ!!」」

 

アマツ、リズベットの二人が経営する武具店の扉を蹴り開けると同時にソウテンとミトが中に転がり込む

 

「騒々しい奴等だな、相変わらず。ティータイムの邪魔だ」

 

「いや待てコラァ!あんなメッセ、飛ばしといて、ティータイム洒落込んでんじゃねぇ!!」

 

「そうよっ!ロトが消えたって、どういうことっ!?」

 

「落ち着きなさいって、テンもミトも。まぁ、紅茶でも呑みなさい。話はそれからよ」

 

目の前に紅茶が注がれたティーカップを置かれ、椅子に腰掛け、一応は社交辞令の一環に紅茶を口に運ぶ

 

「あ〜美味ぇ」

 

「あっ、ピーナッツバターサンドあるわよ」

 

「ミトのピーナッツバターサンドっ!?美味しいのよねぇ〜」

 

「リズの不味い料理も棄てたモノではないがな」

 

「その情報はいらないわよっ!?てか、不味くないわよっ!!ちょっと味が濃いだけよ!!」

 

「いや焼き焦げた何かを生み出す時点でお前は料理に向いていない。そんなことでは、嫁の貰い手がなくな----ぐもっ!?」

 

アマツの顔面にリズベットの右フックが決まる。しかしながら、彼女の怒りは収まっていない

 

「殴るわよっ!」

 

「「いや既に殴ってるし!!!って!和んでる場合じゃない!」」

 

リズベットに突っ込みながら、我に返ったようにソウテンとミトは本題を思い出す

 

「ああ、そうだったわね。二人に言われて、ロトの面倒を見てたんだけど……アマツの作った槍を一つだけ、持って、居なくなったのよ」

 

「槍を?ロトが槍を持ってたんか?」

 

「あたしも最初は違和感を感じたわ。でも、今日は定休日だからお客の出入りは無かったのよ」

 

「その点を踏まえると、槍を持ち出せるのは俺かリズの何方かになるのだろうが……その時間帯、俺は武器を研ぎ、リズは武器を打っていた」

 

「じゃあ、本当にロトが……?テン、どうなってるの?私には何がなんだか……」

 

ミトに問われ、ソウテンは頭の中の情報を総動員させる。消えたロト、紛失した槍、一見すると繋がりが薄く見えるが、ある仮説が構築されていく

 

「ミト。ロトの居場所が分かった」

 

「え?それって……?」

 

立ち上がり、何かを確信したかのようなソウテンに対し、ミトが問う

 

ラフコフのアジト(・・・・・・・)があった場所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってたよ」

 

彼は其処に佇んでいた。槍を肩に担ぎ、青いマフラーを靡かせ、不敵な笑みを携える姿は正に瓜二つだった

ミトは目を疑った、自分が息子と呼び、自分を母と慕っていた彼は、想い人によく似た……否、同じ姿で其処に立っていた

 

「どういうこと……?テンが二人…?ロトは?ロトは何処なのっ!?」

 

「僕がロトだよ。母さん」

 

「そんな訳ないっ!だってロトは子どもよっ!?」

 

「そうだねぇ、子どもだった。でもあの姿は偽りの姿だ。これが本当の僕……いや、俺だ(・・)

 

普段の子ども染みた口調とは異なり、まるでソウテンを彷彿とさせる口調に不敵な笑み。見間違えそうになるくらい、彼と酷似するロトの姿にミトは絶句する

 

「やっぱりか。仮説が確信に変わった、おめぇさんは……俺だな?」

 

冷静な声色で、ソウテンが問うとロトは彼に視線を向ける

 

「ああ、俺はソウテン(お前)だ。正しくはお前に語り掛けていた黒い衝動()がSAOのメインシステム「カーディナル」の試作0号(プロトタイプ)を素体に自我を持ち、生まれたNPCとしてのソウテン(お前)だ。ソウテン(お前)は、黒い衝動()を拒んだ……なのに……!どうして、幸せを得た!?絶対に許さない…… 黒い衝動()を否定するってんなら、ソウテン(お前)を倒す。この手で」

 

「そっか。なら、付き合うよ……おめぇさんの気がすむまでな」

 

互いに槍を構え、不敵な笑みを浮かべる

 

「ああ……やろう、馬鹿親父(父さん)。こっからは親子喧嘩だ」

 

互いの全てを賭け、ぶつかり合う為に

 

「親父の胸を貸してやる、かかってこいよ……馬鹿息子(ロト)

 

その言葉を放つと同時に彼等は地を蹴り、金属音を響かせた




ぶつかり合うは父と息子、その身に秘めた想いは…?そして、ミトの導き出す答えとは…?全てが交差する時、何かが起きる

NEXTヒント 家族

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。