蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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今回は原作にギャグを交えた回になります!このネタ、覚えてる人いるかなー


第四十四幕 釣りときどき河童

2024年11月2日 第22層南西エリア南岸

 

 

「ふわぁ〜……なんか、前線に出てねぇと、暇だねぇ。これだと、臍で茶が沸かせちまいそうだ。そうは思わねぇか?キリト」

 

「ああ……」

 

現在、ソウテンはキリト宅から数キロほど離れた場所にある湖で、釣りに興じていた。然し、彼の隣で釣り糸を垂らすキリトの表情には覇気がない、其れどころか、普段の切れのある突っ込みも飛ばない

 

「………ミトは知ってたのよね?ユイちゃんのこと…」

 

「うん……仮説程度だったけどね。本当は、ロトが消えた時に話すべきだったわよね。もしかしたら、ユイちゃんも同じように、消えてしまうかもしれないって……でもね、これだけは分かって欲しいの。ユイちゃんは、きっと幸せだったと思うわ」

 

「………そうね、だって、最後は笑ってく

れたもの。いつかきっと、また一緒に楽しく暮らそうって約束もしたわ」

 

「私達と同じね。私とテンも、ロトと約束したの。また一緒に鍋を囲もうって」

 

「ふふっ、ミトとテンくんらしいわね」

 

互いに哀しい経験を分かち合い、笑い合うミトとアスナ。その隣では、広げられたシートの上で、寛ぐシリカの目線の先には、釣り糸を垂らすヒイロ達の姿がある

 

「ふぅ……男の子って、釣りとか好きですよねぇ」

 

「好きというか、他にやることが無いだけじゃない?《彩りの道化(あの人たち)》は」

 

「そうね、基本的に娯楽を知らないのよ。リアルに居た時なんか、ゲームセンターを溜まり場にしてたのに、誰もゲームをしなかったのよ。テンは割と私の相手をしてくれたけど」

 

「なるほど、つまりはバカなんですね。あと、惚気話をご馳走様です」

 

「いいえ、お粗末さま」

 

シリカの失礼な言動に、ミトは軽く受け流すように答えを返す

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

「なにっ!?どうしたのっ!」

 

刹那、聞こえた悲鳴にも似たソウテン達の叫び声が耳に入る。振り返ると、ヒイロの釣り糸に掛かる一匹の全体的に緑色の生物が視界に映った

 

「いだだだだだだだだだっ!アレ?待てよ?やっぱり、痛くないかも?いやっ!やっぱ、痛い‼︎いだだだだっ!!」

 

「リーダー。これはどう?食べれる?」

 

「ごぶうっ!?」

 

ヒイロが釣り上げた生物の顔面に、ソウテンとキリトの右ストレートが放たれる。生物は湖の中に消えていく

 

「リーダー、キリトさん。俺が釣った得物に何をするの」

 

「ヒイロ、世の中にはな。知らんくていいんことがあるんよ」

 

「キリトさん、今のは明らかに河童ではありませんでしたか?」

 

「何を言ってるんだ、ヴェルデ。河童なんか居るわけないだろ?アレは、湖に住んでる妖精のオッさんだ」

 

「いや、妖精のオッさんってなんだよ。つーか、緑色だったぞ」

 

「きっとアレじゃねぇかな、アルコール依存症」

 

「リーダー、アルコールにそのような成分はありませんよ」

 

「そうか?呑まなきゃ、やってられん夜もあるだろ……んむ?」

 

「どうした?テン……ん?」

 

頑なに生物が、河童とは認めないソウテンとキリトであったが、足に違和感を覚える

 

「コラァ!人を釣り上げといて、殴るとは何事だ!」

 

湖から上がってきた男性は近場にいたキリトの足を掴んでいた。辛うじて、免れたソウテンはその場から即座に飛び退く

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!!出たぁっ!!!」

 

「散開っ!!!」

 

『了解!リーダー!』

 

「待てコラァ!見捨てんなっ!バカどもっ!!」

 

キリトを見捨て、逃げようとするソウテン達を、河童のような男性は見逃さなかった

 

「逃がさんぞっ!!!しっかりと謝らんかっ!」

 

『むごぉぉぉ!!!』

 

ストレージから取り出した釣り竿で、ソウテン達を絡め取り、捕獲した男性は彼等の前に立つ

 

「私はニシダ、この湖でヌシ釣りに勤しむ釣り師だ。どうですかな?君たち、私とヌシを釣り上げてみませんか」

 

ニシダ、そう名乗った男性はソウテンに手を差し出すが、その場に居た全員は彼の姿に疑問を抱いた

 

⦅なんで、釣り師が河童の格好をしてるんよ……⦆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、何の前触れも無しに連れて来たけど……誰よ?この人は」

 

ニシダと知り合ったソウテン達は、シートの上で寛ぐミト達に彼を紹介していた

 

「見て分からんか?こちらは河童さんだ」

 

「失礼だろ、テン。この人は漫画には一人はいる釣り好きな初老だ」

 

「キリトさんも間違ってる。この人は緑色のタイツを着て、湖で暮らす変わり者のジイさんだよ」

 

「只今、ご紹介に預かりました。ニシダです、よろしく」

 

「「「いやいや!紹介されてませんけどっ!?」」」

 

紹介とは思えない紹介で、律儀に御辞儀するニシダに対し、三人娘からの突っ込みが飛ぶ

 

「其れで、此方のお嬢さん方は、どういう繋がりなんです?ソウテンさん」

 

「ん、紹介するよ。先ず、この紫色のポニーテールがよく似合う子が、俺の可愛い奥さんのミトだ」

 

「はじめまして、ミトです。得意料理は鍋です」

 

「これはこれは、ご丁寧に」

 

「で、あの小さい方が妖怪チーズケーキ女、その横の栗色の髪をした方が空手チョップを得意とするアマゾネス……ごぶっ!?」

 

ニシダに耳打ちするように、シリカとアスナの事を紹介していたソウテンの顔面に右ストレートが、頭上には空手チョップが叩き込まれる

 

「「明らかに扱いが雑すぎるわっ!!!バカリーダー!!!」」

 

「すまない、ニシダさん。其処のバカは無視してくれ。此方はアスナ、俺の奥さんだ」

 

「アスナです。御見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありません」

 

「い、いえ。というか……ソウテンさんは大丈夫ですかな?」

 

「気にしないで、リーダーにはこれが当たり前だから。ちなみに、俺の隣に居るのはシリカだよ」

 

「どうも、シリカって言います。趣味は実況する事です」

 

「実況!ほう、其れは是非とも拝見したいですなぁ!どうです?近々、開く予定の釣り大会で、実況してくれませんか?」

 

唐突な提案ではあったが、シリカは慣れた手付きで、ストレージを開き、愛用のマイクを呼び出す

 

「お任せくださいっ!この天真爛漫なアイドル!シリカにっ!」

 

「頑張って。シリカ」

 

「晴れ舞台ね、シリカちゃん」

 

「はしゃいで、池に落ちんなよ」

 

「そうだぞ。シリカはただでさえ、小さいんだからな」

 

「不安しかありませんね」

 

「やかましいですよっ!!!バカどもっ!!!」

 

「「「ぐべらっ!?」」」

 

声援を送るヒイロとミトを除いた《彩りの道化(バカたち)》に、シリカの右ストレートが放たれる

 

「アスナさん、この人たちは何時もこうなんですか?」

 

「今日はまだマシですよ、フルメンバーだと此れよりも大惨事になりますから」

 

「そういうもんですかなぁ…?」

 

「そういうものですよ」




釣り師、ニシダとの出会い。其れはまだ見ぬヌシとの戦いの始まりであった。果たして、彩りの道化(カラーズ・クラウン)vsヌシの激戦の行方は……!

NEXTヒント 愛すべきバカたち

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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