蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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バカたちによるバカたちの祭典!今宵もギャグ満載の夜が幕を開けますよーーーーーーーっ!!!


第四十五幕 ヌシ釣り大会

2024年11月2日 第22層南西エリア南岸 ログハウス(キリト&アスナ宅)

 

 

「鍋しか、ありませんけど。良かったら、ニシダさんも召し上がりませんか?今日はアスナが、研究に研究を重ねた醤油ベースの鍋で、自信作なんです」

 

「なんと!醤油ですかっ!御言葉に甘えて、御相伴に預からせていただきます」

 

「なんだ、ニシダさん。おめぇさんも食うんか?」

 

御約束というか、恒例である鍋を囲む面子。その中に、湖から、釣り道具一式を片手に戻ったソウテンが、ニシダの姿を見つけ、問う

 

「ミトさんが御誘いしてくれましてな」

 

「なんだ、そうなんか」

 

「テン。何か釣れた?」

 

「ああ、釣れた。ほら、見ろよ」

 

ミトからの問いに、ソウテンは釣り上げてきた成果を見せびらかすように、掲げた

 

「プ〜ン」

 

⦅なんだ、これっ!!!⦆

 

謎の鳴き声を上げ、ソウテンの手の中で、左右に揺れる珍妙な生物。白い体に、丸い頭、そして、螺旋状の鼻が特徴的な謎めいた生物に、誰もが目を見開き、固まる

 

「なっ?変わった魚だろ、しゃぶ太郎って言うんだ」

 

『魚じゃねぇよっ!!!というか、ネーミングセンス無さすぎっ!!!』

 

「テン、その子は魚じゃないわよ」

 

生物に変な名前を付けるソウテンに、キリト達が突っ込む中、一人だけ冷静なミトは、その生物を抱き上げ、見定めるように視姦する

 

「犬よ」

 

「なるほど、犬か。確かに魚は鳴き声とか無いもんなぁ」

 

「でしょう?だから、この子は犬よ。ねっ?しゃぶ太郎」

 

「プ〜ンププ〜ン」

 

「なるほど、お前はしゃぶ太郎じゃなくて、プルーって言うんか」

 

「ププ〜ンププ〜ンプ〜」

 

「なるほどね。仲間と逸れて、湖に流れ着いたのを、テンが釣り上げちゃったのね」

 

「プ〜ン」

 

「落ち込みなさんな、今日からは俺たちが一緒だ。一緒に楽しくやろうぜ、プルー」

 

「ププ〜ン」

 

プルーという生物と意気投合するソウテンとミトであるが、残されたキリト達にはある疑問が過ぎる

 

⦅何で、言葉が分かるんだよっ!!!⦆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年11月5日 第22層南西エリア南岸 

 

 

「まっ、今日は気楽に行けばいいから、仮面は無しにしとくか」

 

「久しぶりね、明るい所で素顔を見るのは。でも、私は何方のテンも大好きだから、安心してね」

 

「おっ……おう、ありがとよ」

 

「プ〜ン」

 

トレードマークの仮面を取り、ラフな格好のソウテンに対し、ミトが妖艶な笑みと共に愛を囁く

その唐突な出来事に、流石のソウテンも顔を赤らめ、外方を向いた。彼の肩には数日前に、釣り上げたプルーがしがみ付いており、小刻みに震えている

 

「おお!ソウテンさんに、ミトさん!」

 

「んむ……ああ!ニシダさんか、今日は河童の格好じゃねぇんだな」

 

「ええ、私も本来は普通の釣り師ですらかなぁ。そういう、貴方も今日は河童ではないようですな」

 

「俺は元からそんな格好してねぇんだけどっ!?」

 

ニシダの突拍子もない発言に、ソウテンの突っ込みが飛ぶ。すると、湖の湖畔付近に設けられた仮設舞台上に、見覚えのある少女がマイクを片手に姿を見せる

 

「レディ〜〜〜〜ス!ア〜〜〜ンド!ジェントルメ〜〜〜〜ン!!!忘れた頃にやって来るっ!其れがイベント!どんな時も、楽しんだ者が勝者っ!!!さぁ、野郎どもっ!釣り竿を構えなっ!ヌシ釣り大会のスタートだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

軽快なステップと卓越したマイクパフォーマンスを披露するシリカ。その御決まりの姿に、ソウテン達は苦笑を浮かべる

 

『L・O・V・E!シリカ!がんばれ、がんばれ!シリカ!!』

 

「はーい!司会進行はこのあたしっ!三大トップギルド《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》の天真爛漫なビーストテイマーアイドル!シリカでーす!!よろしくねっ☆」

 

『シリカちゃーーーーーん!!!』

 

「今回の大会の優勝者には、主催者のニシダさんより、河童の衣装が贈呈されます。尚、準優勝者は《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》専属職人のアマツさんに武器を作成してもらうことの出来る権利が贈呈されます」

 

『準優勝者の景品の方が豪華じゃねぇかっ!!!』

 

落差の激しい賞品に対し、観客から抗議の声が上がるも、主催者のニシダは気にせずに壇上へと上がっていく

その肩には、長さをさる事ながら、かなりの大きさを誇る釣り竿が担がれている

 

「………ねぇ?ミト。あれって……エサよね?」

 

「そうみたいね……でも、なんか……ぬめぬめしてるわね……」

 

「プーン」

 

「あら、プルー。駄目よ?そんなのを食べたら、お腹を壊すから、こっちにしなさい」

 

釣り針の先に吊るされた巨大トカゲに興味を持つプルーを引き離し、ミトはストレージから棒付きのキャンディーを取り出し、プルーに手渡す

 

「ププーン」

 

「良かったわ、気に入ってくれたみたい。また作るわね」

 

「えっ……作ったの?このキャンディー」

 

「そうよ。なんなら、レシピ教えましょうか?」

 

「う〜ん……じゃあ、お願いしようかな?」

 

「オッケー。アスナには色々とお世話になってるから、お菓子作りは私が教えるわ」

 

「ありがと、ミト」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

ミト、アスナは他愛もない話題で盛り上がる。そして、時はやって来た。湖に向き直った、ニシダが綺麗なフォームで、竿を振ると、釣り針の先に吊るされた巨大トカゲが放物線を描くように、水面に水飛沫を上げ、勢いよく着水した

 

「おっ!来たんじゃねぇか!?河童のオッさん!」

 

「なんのっ!まだまだ!!」

 

「ニシダさん、落ちいてください。いいですか?先ずは、手に人という字を3回書いてですね」

 

「ヴェルデ?其れは、緊張しない呪いだぞ」

 

「そうだよ。釣り竿を上げる時にセイヤーッ!!!って言うのが真の釣り師だよ」

 

「いやいや、釣りに作法なんかねぇさ。必要なんは、根気と気合いだよ」

 

「テン。其れはどっちも同じ意味じゃないか?」

 

「えっ、そなの?ベルさん」

 

相変わらずの惚けたやり取りを繰り広げるソウテン達を他所に、ニシダは細かく振動する竿の先端を見据える。刹那、竿の穂先が引き込まれるように、大きな振動を見せる

 

「いまだっ!!!皆さん!!!お願いしますっ!」

 

「あいよ……、派手に行くぜっ!野朗どもっ!」

 

『了解!リーダー!!』

 

決まり文句とかした号令を機に、ニシダから竿を受け取った《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》の面々は、両足で踏ん張る

 

「グリスっ!!!思いっきり引けェェェ!!!」

 

「あいよっ!!!どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

最後尾のグリスがありったけの力を込め、竿を引っ張り上げる。その時だった、水面から、何かが顔を出す

 

「リーダー!なんか見えたっ!!」

 

「こ、これは……!」

 

「でっかっ!?」

 

「…………美味そうだな」

 

『いや、その反応は可笑しいだろっ!!!』

 

水面に姿を見せたのは、巨大な魚。呆気に取られるキリト達を尻目に、約1名、ソウテンだけは意味不明な一言を放ち、その場にいた全員から、突っ込みが飛ぶ

 

「さて……逃げるか」

 

「だな」

 

「それじゃ、グリスさん。後はお願いします」

 

「頑張って」

 

「健闘を祈るぞ」

 

「は……?って!待てコラァァァァァ!!!」

 

迫り来る、巨大魚を前に、観客達と共に走り去るソウテン達の背に、グリスの叫び声が木霊するも、巨大魚は陸に上がり、地面を走り出した

 

『ぎゃぁぁぁぁぁ!!!』

 

「全く、だらしないわね。うちのバカたちは」

 

「ですね、あたしたちでやりましょうか。ミトさん」

 

「そうね。アスナも手伝ってくれる?」

 

「勿論だよ」

 

「ちょっ!?早く逃げんと!!」

 

巨大魚を前に並び立つ三人の美少女達にニシダが叫ぶ。しかしながら、彼女達はアイテムウィンドウを操作し、其々の得物を装備する

 

No es para preocuparse(心配無用)。俺の嫁さんには、あんくらいの魚は、赤子同然だからよ」

 

「だな。アスナにしてみたら、あんなの前座にもならないくらいにイージーだぜ」

 

「シリカにはちょっと、簡単すぎるかな?あのくらい」

 

「何を悠長に!早よせんと、三人が!!」

 

「「「まあ、そう言わずに。見てなって」」」

 

慌てふためくニシダに、ソウテン、キリト、ヒイロが声を揃え、彼を咎める。そして、勢いよく走り出した三人娘は正面から、巨大魚に突っ込み、其々のソードスキルを叩き込み、ポリゴンに変える

 

「な、なんと……」

 

「思い出した……ニシダさん、あの人たち!攻略組トップギルドの《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》だ!」

 

「《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》……?……というと、あの《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》かっ!!!攻略組ギルド三大勢力に数えられる癖者集団で有名なっ!!!」

 

「ああ、仮面をしていないから、分からなかったが……あの癖毛の男、《蒼の道化師》だ。間違いない」

 

「《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》……何とも、不思議な人たちだ」

 

そう呟くように笑うニシダの見据え先には、この世界を全力で楽しむ《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》の姿があった

 

「いやぁ、それにしてもデケェ。ピーナッツバター掛けたら、美味そうだ」

 

『それは無い』

 

「全員一致かよっ!?」




第76層に繋がるダンジョンの発見、その報せは《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》にも届く

NEXTヒント 嵐の前の静けさ

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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