「さて、キリト。どうだい、この光景に怖気付いたか?まっ、おめぇさんのことだ……そいつはねぇよな?勿論」
「ああ、寧ろ、その逆だよ、親友。今、俺は燃えてるよ、煮えたぎるマグマのようにな。其れにだ、不謹慎かもしれないけど、改めて、このゲームが死んだら、終わりのデーズゲームってことを自覚した。だからこそ、あの三人の無念を晴らす為にも、何としても、アイツに持ちうる全ての実力を行使し、この層を突破しなきゃいけない。其れが、助けてやれなかった三人への、せめてもの償いだ。違うか?テン」
「
スカルリーパーを相手に深々と、御辞儀するのは一人の道化師。その彼を取り巻くように、黒衣の剣士を筆頭にした色彩豊かな道化たちが、スカルリーパーへ、視線を向けている。しかしながら、命を狩る死神は、彼等に物怖じしない、其れどころか、猛烈な勢いで彼等へと進撃を始めた
「わぁぁぁーー!」
背後に居るプレイヤーの叫び、恐怖による悲鳴を他所に、巨大な鎌が振り上げられた
「ミト、ベルさん」
「「了解!リーダー!!」」
名を呼ばれた二人が、飛び出す。先ずは迫る大鎌の真下に飛び込んだ紫色の髪が特徴的な少女が、手にしていた鎌で、迫る大鎌を振り払らうと、部屋全体に轟くような衝撃音を響かせ、同時に刃先が擦れ、火花が飛び散る
反対側から迫る別の鎌、その行く先を見据えた少女、ミトは不敵に笑う
「スイッチ」
ミトの呟くような指示で、彼女と入れ替わるように盾が鎌を弾いた。ヒースクリフが持つ十字盾に比べ、性能は劣るが、その盾には、職人芸と呼ぶに相応しい美しさと硬さを兼ね備えていた。故に、ボスモンスターが相手であっても、簡単に耐久値が減少することは無い、しかしながら、重い一撃を一人で、捌き切るのは不可能に等しい。刹那、ディアベルの両隣に、巨大な盾が姿を見せる
「ディアベルくん。君だけでは捌き切れないだろう、私も力を貸そうじゃないか」
「うむ!水臭いぞっ!ディアベル!私と君の仲ではないかっ!私はこう見えても、元は《軍》の中佐を務めた身だぞ?このくらいの敵など、朝飯……否、バナナ時前だっ!」
「ヒースクリフさん、其れにコーバッツさん!ありがとう!助かるよ!でも、コーバッツさん?バナナ時前ってのは聞いたことないから、普通に朝飯前にしていてくれないか?」
「断るっ!さて、鎌は我々が食い止める!テン少年……いや、今はこう呼ばせてもらおう、我がリーダーよ!指揮は君に任せたっ!!」
「
『了解!リーダー!!』
ソウテンが指示を飛ばし、キリト達は彼の指示通りに動き始める。同時に、動きを止めていた他のプレイヤーたちも、呪縛から解放されたように、彼等へ続くように武器を構え直す
咆哮を上げ、迫り来るスカルリーパーを相手に絶え間のない攻撃が降り注ぐ。やがて、漸く食い込んだ攻撃に、僅かではあるがHPバーが減少するも、直後に悲鳴が上がる
「ちっ……!まだかっ!テンっ!!!」
「早くしてっ!これ以上は持ち堪えられないわっ!」
スカルリーパーの尾の先についた槍状の骨が、数人を薙ぎ払う仲で、キリトとミトが後方のソウテンに叫ぶ。すると、彼は仮面越しに不敵に笑った、何時ものように、まるで、敵を嘲笑うかのように、彼は代名詞とも呼べる不敵な笑みを浮かべた
「
「あいよっ!!!」
グリスが構えたハンマーの上に、ソウテンが飛び乗り、ボス部屋の天井近くまで、投擲された。空中で、所有アイテムのリストをスクロールし、幾つかの項目を選び出す
「永遠にadieu」
決め台詞と呼ぶべき別れを告げる言葉、そして、仮面越しの不敵な笑みとその二つがスカルリーパーの見た最後の景色となった。刹那、頭上から無数の槍が雨のように降り注ぎ、体を貫き、止めの槍最上位ソードスキル《アルティメット・サイン》を受け、青い欠片となり、爆散した
「ふぅむ、一時間か。意外にすんなりと終わったねぇ……そいで?何人、やられた?クライン」
ボス撃破の余韻に浸る、というよりも、その犠牲者に対する想いが深いソウテンが、床に着地すると同時に、へたり込んでいたクラインに問う
「十四人……くそっ!俺が、俺が……この後の……デートに現を抜かしてさえいなけりゃ…!こんな事にはっ!」
「クライン、落ち着け。お前は良くやったよ」
「ああ……そうだ。不甲斐ねぇのは、俺だ
あん時、手を離さなきゃ、最初の三人は救えたかもしれねぇ……」
「グリス君、気を落とすな。君も良くやったよ」
「そうだ、ナイスガッツだったぜ。グリス」
「ああ……すまねぇ…オッさん、エギル」
悔しがるクライン、グリスをキリトとコーバッツ、エギルが宥める中、彼だけは別方向を見据えていた
仮面から覗く双眸の先は、誰もが床に座り込むこの状況で、背筋を伸ばし、佇む一人の人物……否、ヒースクリフを見据えている
「………なぁ、団長殿」
「何かね?道化師クン」
「そろそろ、種明かしといかないか?この先に待つゲームクリアを目指すのは確かに魅力的だ……でもな、これ以上の犠牲を出すくらいなら、俺は、この場での最終決戦を選ぶ……そうだろう?
怒号にも似た、その叫ぶような声と共に、ソウテンの手から槍が投擲された。ソードスキルを纏わせている訳ではないが、命中すれば、微々たるダメージは避けられない
しかし、ソウテンにはある確信があった。この男が持つ秘密、その秘密が明るみとなるかの様に、見えない障壁が、槍を阻んだ
「【Immortal Object】………だと!?」
「んだそりゃ?」
「きっと、アレじゃない?サブジェクトの知り合い」
「そもそも、サブジェクトって何ですか?ヒイロくん」
「そうだよ。其れを言うなら、モブジェクトだよ」
「いやいや、突っ込むべきは其処じゃないだろ」
「そうよ、突っ込むべきは…ヒースクリフの正体よ」
「うむ。だが、予想は付いている……さぁ、リーダー。種明かしをしてくれ給え」
「ああ、そうだな…。答え合わせといこう」
同じようにする真相へ辿り着いたであろうキリトへ、一度、視線を向けると彼は頷く。其れが肯定の合図だったのか、ソウテンが口を開く
「俺がヤツを何故、
その言葉に、全てが凍り付く静寂が訪れるも、ミト達は違った。目と口を開き、明らかにそうと言わんばかりの驚愕を見せていた
「想像だにしてなかったんか!!!何だと思ってたんよっ!!!」
「てっきり、近所の悪ガキのシーゴルとジーゴルだとばっかり!」
「そうですよ!あの二人の悪名はすごいんですよっ!?」
「全くです」
「常識」
「テンの字。貴様は世間を知らなさすぎる、奴らの存在くらいは誰でも知っているぞ」
「知るかぁっ!!つーか、ヒースクリフが一人なのに、二人も正体いたら可笑しいだろっ!!!」
見当違いな推理をしていたミト達へ、ソウテンの突っ込みが飛ぶ。逸早く、真相に気付いていた分、彼は苛立ちを隠せておらず、不敵な笑みが消えている
『はっ……言われてみればっ!!!』
「バカなんかっ!お前らは、根本的にっ!!!」
その賑やかな光景に、正体を見破られた張本人は佇まいは崩さないが、呆れた表情を浮かべる
「…………何故、こんなのに私は正体を見破られたのだ。解せぬ」
明かされた真実、其れは世界の終焉を意味していた…
果たして、道化師達を待ち受ける運命とは…
NEXTヒント 交じり合う刃
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気