「何故、気付いた?参考までに教えて貰えるかな?
驚愕するミト達を他所に、あくまでも冷静な彼は、その先で不敵に笑う仮面の道化師に問いを投げ掛ける
「アンタを可笑しいと思ったんは、キリトとのデュエルの時だ。最後の一瞬だけ……僅かに速過ぎたんよ。最初は《神聖剣》のスキルの可能性も考えた、でもなぁ…明らかにあの動きは異常なんよ」
「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。 キリト君の動きに圧倒され、ついシステムの《オーバーアシスト》を使ってしまった」
明るみとなった真実、其れにヒースクリフは攻略組全員を見渡した後、その中心に佇む道化師の仮面越しから覗く瞳に、苦笑を浮かべる
「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」
「……趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」
「なかなかいいシナリオだろう?最終的に私の前に立つのは、
「と言う事は私の《バナナ農家》もっ!!」
「あたしの《チーズケーキ屋》もですかっ!」
「この《プルー》もですかっ!」
「…………いや、そんなユニークスキルは無いが?」
食い付くように反応を示すコーバッツとシリカ、ヴェルデに対し、「何を言ってるんだ、コイツらは?」と言わんばかりの視線でヒースクリフが否定する
「「ええっ!?」」
「シリカちゃん、コーバッツさん、ヴェルデ。少し黙ってなさい」
「「「あい…」」」
ミトの御叱りを受けた三人が退がるのを確認し、ヒースクリフはソウテンに向き直る
「ソウテン君。君の《無限槍》は絶え間なく降り注ぐ攻撃の雨、止まない雨はない、冷たくない雨はない。君が持つ特殊な感情は、このスキルを持つに相応しいと思わないか?勇者の隣に並び立つ者は、其れ相応の力を持ち、尚且つ、導く存在でなければならない。故に君は、
「俺たちの忠誠……希望を……よくも……よくも……よくも―――ッ!!」
動きを止めていたプレイヤーの中から、立ち上がった影が一つ。《血盟騎士団》の幹部を務める彼は、両手剣を振りかぶる
「浅はかな……ご安心くださいませ、アスナ様。私の忠誠はアスナ様の為にっ!ですから、安心してください!」
「クラディール。うるさい」
「なぜっ!?」
「あいつ、まだストーカーしてたんか」
「世も末よね」
「ホントだよな、全く、世も末だ……おろ?」
「どうか……おわっ!?」
揺るがないクラディールの様子に呆れていたソウテン達の体を妙な感覚が襲う。残されたのは、背中に二対の剣を携えた黒い剣士、彼以外の全員は麻痺状態となり、地面に転がっていた
「どういうつもりだ?ここで全員を殺して隠蔽するつもりか?」
「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ。こうなっては致し方がない。私は最上層の《紅玉宮》にて君たちの訪れを待つとしよう。ここまで育ててきた《血盟騎士団》、攻略組プレイヤー諸君を途中で放り出すのは不本意だが、君達の力ならきっと辿り着けるさ。だが、その前に」
そこで言葉を区切り、十字剣を収めた十字盾を黒曜石の床に突き立てる。
「キリト君、君には、私の正体を看破した報酬を与えなくてはな。チャンスをあげよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスだ。無論、不死属性は解除するし、私も《神聖剣》の力の範囲で戦う。私に勝てば、ゲームはクリアされ、生き残った全プレイヤーがゲームから順次ログアウトできる。……どうかな?」
「……何故だ、最初に正体に行き着いたのは、テンだ。相手をするなら、俺じゃなくて、テンの方が相応しい筈だ」
「確かに、セオリー通りで有れば…ソウテン君が相手をするのが筋だろう。しかし、コレは彼が持ち掛けた取り引きだ」
「取り引き……?」
その言葉に、キリトは地面に横たわる親友に視線を向ける。彼は、麻痺状態であるにも関わらず、何時もの不敵な笑みを浮かべ、その表情はまるで、悪戯が成功した子供のように、無邪気だった
「実を言うと、この攻略戦を行う前日にソウテン君は私の正体を看破していた。しかしながら、彼は「
「…………」
「もしも、この攻略戦に勝利した暁には、私の正体が、
「はぁ……ホント、厄介なヤツだよ…。俺の兄弟は」
ため息混じりに呟き、背後に視線を向けると彼は、仮面に手を掛け、その素顔を見せ、不敵な笑みを露わにする
「まぁまぁ、そう言わんでくれよ。新しい武器やるからよ」
「動けるのかよ、其れに」
「まぁ、仕掛け人だからねぇ。そいで?新しい武器はいるかにゃ?兄弟」
「ああ…いただくよ」
「ほいよ。聞いてたな?職人!《例のヤツ》を出しなっ!」
「任せなっ!受け取りやがれっ!!!キリトォォォ!!!」
最高潮に昂った興奮から、口調が何時もよりも、荒々しくなったアマツがキリトへ、一振りの武器を投げ渡す。手に収まり、長年の相棒のように、馴染む一振りの剣
「……《メモリークラウン》、記憶の道化か。良い名だな」
投げ渡された剣を手に、名を確認し、キリトは嬉しそうに、笑みを溢す。その先に見えるのは、麻痺状態になっている筈の《
「そりゃあね?俺たち全員の武器と想いが形になった剣だ」
「さっさと終わらせなさい。ラストは譲ってあげるわ」
「ぶちかましてやれっ!ダチ公!」
「頑張って、キリトさん」
「僕の希望は常に貴方と共に。キリトさんは、最高の兄貴分です」
「君がいたから、俺たちは出会えた」
「こうやって、皆んなと笑い合う喜びをしれたんです」
「俺の剣を使うんだ、敗北は許さん」
「なーに、職人。今日が駄目でも明日が来る。何せ、明けない夜は無いという言うからな!」
「キリト君。私たちは何があっても、キミの味方だよ。それから、キミのことが大好きだよ………だから」
親友、仲間たち、恋人、彼を見るその表情は確かな確信があった。黒の剣士を、魔王を倒す勇者を、信じ、明日を託すという希望の灯が宿っていた
『往けっ!!!』
「了解……
キリトの啖呵に対し、ヒースクリフ……否、茅場は不敵に笑う。その笑み、まるで魔王の如し
「来たまえ……キリト君……いや、
終焉を告げる鐘の音が、ゴングのように鳴り響き、二人の剣士が地を蹴った
其れが、この世界の終焉を呼ぶ戦いの始まりとなった
最強の剣を手に黒の剣士は、魔王に戦いを挑む。その先に待つのは、果たして!
NEXTヒント
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
-
ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
-
キリトとアスナが司会の正規の雰囲気