蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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終わりを告げる鐘の音は刻一刻と、ギャグがあるかは分かりませんがアインクラッド編も遂にラスト一話となりました…


第四十九幕 往け

「何故、気付いた?参考までに教えて貰えるかな?道化師(クラウン)殿」

 

驚愕するミト達を他所に、あくまでも冷静な彼は、その先で不敵に笑う仮面の道化師に問いを投げ掛ける

 

「アンタを可笑しいと思ったんは、キリトとのデュエルの時だ。最後の一瞬だけ……僅かに速過ぎたんよ。最初は《神聖剣》のスキルの可能性も考えた、でもなぁ…明らかにあの動きは異常なんよ」

 

「やはりそうか。あれは私にとっても痛恨事だった。 キリト君の動きに圧倒され、ついシステムの《オーバーアシスト》を使ってしまった」

 

明るみとなった真実、其れにヒースクリフは攻略組全員を見渡した後、その中心に佇む道化師の仮面越しから覗く瞳に、苦笑を浮かべる

 

「確かに私は茅場晶彦だ。付け加えれば、最上層で君たちを待つはずだったこのゲームの最終ボスでもある」

 

「……趣味がいいとは言えないぜ。最強のプレイヤーが一転最悪のラスボスか」

 

「なかなかいいシナリオだろう?最終的に私の前に立つのは、彩りの道化(キミたち)だと予想していた。全10種存在するユニークスキルのうち、《二刀流》スキルは全てのプレイヤーの中で最大の反応速度を持つ者に与えられ、その者が魔王に対する勇者の役割を担うはずだった。だが、キリト君。君は、私の予想を超える力を見せつけた。まぁ、この想定外の事もネットワークRPGの醍醐味と言うべきか………」

 

「と言う事は私の《バナナ農家》もっ!!」

 

「あたしの《チーズケーキ屋》もですかっ!」

 

「この《プルー》もですかっ!」

 

「…………いや、そんなユニークスキルは無いが?」

 

食い付くように反応を示すコーバッツとシリカ、ヴェルデに対し、「何を言ってるんだ、コイツらは?」と言わんばかりの視線でヒースクリフが否定する

 

「「ええっ!?」」

 

「シリカちゃん、コーバッツさん、ヴェルデ。少し黙ってなさい」

 

「「「あい…」」」

 

ミトの御叱りを受けた三人が退がるのを確認し、ヒースクリフはソウテンに向き直る

 

「ソウテン君。君の《無限槍》は絶え間なく降り注ぐ攻撃の雨、止まない雨はない、冷たくない雨はない。君が持つ特殊な感情は、このスキルを持つに相応しいと思わないか?勇者の隣に並び立つ者は、其れ相応の力を持ち、尚且つ、導く存在でなければならない。故に君は、仮想世界(我が箱庭)に於ける道化師となったのだよ」

 

「俺たちの忠誠……希望を……よくも……よくも……よくも―――ッ!!」

 

動きを止めていたプレイヤーの中から、立ち上がった影が一つ。《血盟騎士団》の幹部を務める彼は、両手剣を振りかぶる

 

「浅はかな……ご安心くださいませ、アスナ様。私の忠誠はアスナ様の為にっ!ですから、安心してください!」

 

「クラディール。うるさい」

 

「なぜっ!?」

 

「あいつ、まだストーカーしてたんか」

 

「世も末よね」

 

「ホントだよな、全く、世も末だ……おろ?」

 

「どうか……おわっ!?」

 

揺るがないクラディールの様子に呆れていたソウテン達の体を妙な感覚が襲う。残されたのは、背中に二対の剣を携えた黒い剣士、彼以外の全員は麻痺状態となり、地面に転がっていた

 

「どういうつもりだ?ここで全員を殺して隠蔽するつもりか?」

 

「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ。こうなっては致し方がない。私は最上層の《紅玉宮》にて君たちの訪れを待つとしよう。ここまで育ててきた《血盟騎士団》、攻略組プレイヤー諸君を途中で放り出すのは不本意だが、君達の力ならきっと辿り着けるさ。だが、その前に」

 

そこで言葉を区切り、十字剣を収めた十字盾を黒曜石の床に突き立てる。

 

「キリト君、君には、私の正体を看破した報酬を与えなくてはな。チャンスをあげよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスだ。無論、不死属性は解除するし、私も《神聖剣》の力の範囲で戦う。私に勝てば、ゲームはクリアされ、生き残った全プレイヤーがゲームから順次ログアウトできる。……どうかな?」

 

「……何故だ、最初に正体に行き着いたのは、テンだ。相手をするなら、俺じゃなくて、テンの方が相応しい筈だ」

 

「確かに、セオリー通りで有れば…ソウテン君が相手をするのが筋だろう。しかし、コレは彼が持ち掛けた取り引きだ」

 

「取り引き……?」

 

その言葉に、キリトは地面に横たわる親友に視線を向ける。彼は、麻痺状態であるにも関わらず、何時もの不敵な笑みを浮かべ、その表情はまるで、悪戯が成功した子供のように、無邪気だった

 

「実を言うと、この攻略戦を行う前日にソウテン君は私の正体を看破していた。しかしながら、彼は「神様(ラスボス)を打倒するのは勇者の役目、俺はあくまでも道化師。故に、アンタを倒すことはしない」と語り、私と立ち合おうとはしなかった。そこでだ、其れを公言しない対価として、私は彼に、ある取引(・・・・)を持ち掛けた」

 

「…………」

 

「もしも、この攻略戦に勝利した暁には、私の正体が、ラスボス(茅場明彦)であることを公言し、私を打つ勇者との一騎討ちをさせてほしいとね」

 

「はぁ……ホント、厄介なヤツだよ…。俺の兄弟は」

 

ため息混じりに呟き、背後に視線を向けると彼は、仮面に手を掛け、その素顔を見せ、不敵な笑みを露わにする

 

「まぁまぁ、そう言わんでくれよ。新しい武器やるからよ」

 

「動けるのかよ、其れに」

 

「まぁ、仕掛け人だからねぇ。そいで?新しい武器はいるかにゃ?兄弟」

 

「ああ…いただくよ」

 

「ほいよ。聞いてたな?職人!《例のヤツ》を出しなっ!」

 

「任せなっ!受け取りやがれっ!!!キリトォォォ!!!」

 

最高潮に昂った興奮から、口調が何時もよりも、荒々しくなったアマツがキリトへ、一振りの武器を投げ渡す。手に収まり、長年の相棒のように、馴染む一振りの剣

 

「……《メモリークラウン》、記憶の道化か。良い名だな」

 

投げ渡された剣を手に、名を確認し、キリトは嬉しそうに、笑みを溢す。その先に見えるのは、麻痺状態になっている筈の《彩りの道化(仲間たち)》と想い人(アスナ)の姿。彼等は其処に、何事も無いように、平然と佇んでいた

 

「そりゃあね?俺たち全員の武器と想いが形になった剣だ」

 

「さっさと終わらせなさい。ラストは譲ってあげるわ」

 

「ぶちかましてやれっ!ダチ公!」

 

「頑張って、キリトさん」

 

「僕の希望は常に貴方と共に。キリトさんは、最高の兄貴分です」

 

「君がいたから、俺たちは出会えた」

 

「こうやって、皆んなと笑い合う喜びをしれたんです」

 

「俺の剣を使うんだ、敗北は許さん」

 

「なーに、職人。今日が駄目でも明日が来る。何せ、明けない夜は無いという言うからな!」

 

「キリト君。私たちは何があっても、キミの味方だよ。それから、キミのことが大好きだよ………だから」

 

親友、仲間たち、恋人、彼を見るその表情は確かな確信があった。黒の剣士を、魔王を倒す勇者を、信じ、明日を託すという希望の灯が宿っていた

 

『往けっ!!!』

 

「了解……この剣(皆の想い)に誓う、この仮想世界の結末は……俺が決めるっ!最後の戦いだっ!魔王(茅場)!」

 

キリトの啖呵に対し、ヒースクリフ……否、茅場は不敵に笑う。その笑み、まるで魔王の如し

 

「来たまえ……キリト君……いや、勇者(キリト)よっ!」

 

終焉を告げる鐘の音が、ゴングのように鳴り響き、二人の剣士が地を蹴った

 

其れが、この世界の終焉を呼ぶ戦いの始まりとなった




最強の剣を手に黒の剣士は、魔王に戦いを挑む。その先に待つのは、果たして!

NEXTヒント Gracias(ありがとう)

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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