蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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妖精の国、ファンタジー世界に迫るはバカ達の影!はい、フェアリーダンス編のスタートになります


第二章 妖精の国と彩りの道化(ハジケリスト)
始まりの奥義 忘却の彼方へ、忘れ去られた道化師


2024年11月7日 東京都内某所所沢総合病院

 

 

「知らない天井……ああ、病院か。そっかぁ……帰ってきたのね、私」

 

意識を覚醒させ、見上げた先には知らない天井。だが、彼女は、兎沢深澄は、鉛のように重い体を徐々に動かし、頭に被ったナーブギアを外す

 

「なんだか……懐かしいなぁ。本当の朝陽って、こんなに眩しかったのね…ねぇ?」

 

不意に、自分の隣に呼び掛け、誰かに問い掛けようとして、深澄は疑問を抱く

 

「私……今、誰に話しかけようとしたんだろう…」

 

周辺を見回し、呼び掛けようとした誰かを探すが辺りには自分以外の誰もいない。その違和感が何かは理解出来なかった、しかしながら、”其れ”が忘れてはならない筈の事である気がしてならなかった

 

te amo mito(愛してるよ、ミト)

 

枕元に置かれた仮面と共に、深澄に綴られた一途なメッセージ。其れを抱き寄せ、鼓動を感じさせる胸に手を当てる

 

「………貴方は誰なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、病院が一掃に騒がしさを増す。医師や看護師が慌ただしく駆け回り、バイタルチェックを済ませた深澄の前に両親が駆け付け、更に同じ病院に入院していたらしく、仲間たちが駆け付ける

 

「「ミト!」」

 

「ミトさん!」

 

「ミトさん」

 

「和人、純平、菊丸、彩葉。病院でくらい静かにしなさいよ、迷惑でしょ?特に純平、此処に獣医は居ないから、貴方は帰りなさい」

 

「全くだ、帰れ。ゴリラ」

 

「ご存知ですか?純平さん。貴方が、実は人間の進化の過程で生まれたゴリラであることを」

 

「純平さん、人間じゃなかったんだ。やっぱり」

 

「人間だわっ!!張り倒したろかっ!ちびっ子!!!」

 

御約束である純平弄りを楽しむ深澄達であったが、違和感は未だに晴れない。以前は、この光景に中心が居たような気がする、しかし、その誰かの顔も、声すらも、思い出すことは敵わない。まるで、記憶の扉に鍵を掛けられたように、その誰かが誰であったかを知ることは出来ない

 

「物足りないな」

 

「なんだかなぁ……バナナ食っても、テンション上がらねぇなんて、初めてだぜ…」

 

「そうですねぇ……前は、こんな時に盛り上げてくれる誰かが居たような気がするのですが…」

 

「菊丸も?俺も同じこと思ってた」

 

深澄と同様に、その誰かを思い出せない和人達。彼等もまた頭に疑問符を浮かべている

暫くの間、頭を悩ませていた深澄達であったが、一人の男性が病室に姿を見せた

 

《総務省SAO事件対策本部》の者だと名乗った彼は、被害者たちの病院の受け入れ態勢を整えたり、極僅かなプレイヤーデータのモニターを行っており、モニターをしていた結果、レベルと存在座標から深澄達が《攻略組》の上位プレイヤーであることを知り、一体何があったのかを聞く為に、足を運んだらしい。しかし、深澄を筆頭に彼等は、重要な部分を覚えておらず、対価に情報を受け取り、違和感を覚える正体を見つけようとするが、誰一人として、あの世界で苦楽を共にした槍使い、「道化師」の名を見つけることはなかった

 

『結城明日奈さんは所沢の医療機関に収容されている。だが、彼女はまだ覚醒しておらず、全国でも同様のプレイヤーが300人近くいる』

 

親友の名が出た瞬間、深澄の顔付きが変わる。苦虫を噛み潰したような表情で、声に出そうとはしなかったが、悔しそうに両手を握り締める

 

「また……救えなかった。親友なのに」

 

漸く捻り出した、その言葉に、和人達は何も言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同刻 埼玉県某所ゲームセンター“ファミリア”

 

 

「ふわぁ…。やっぱ、自分の家が落ち着くな」

 

ソファーに寝転がり、欠伸を一つ。軽薄な笑みを浮かべる少年の名は、蒼井天哉。SAO攻略の立役者であり攻略組最大ギルドを率いた槍使いの現実の姿である

 

「ちょっと、テンちゃん。病人なんだから、大人しくしててよね?勝手に病室を抜け出したりして、駄目じゃないの」

 

彼に声を掛けたのは、茶髪と碧眼が特徴的な少女。多少の差異は見受けられるが、その顔は天哉と瓜二つである。名を竹宮琴音、親戚に引き取られた彼の双子の妹である

 

「そうは言うがな、妹よ。俺は人よりも遥かに回復が早いんよ。だから、今は全力全開……ごはっ!!!」

 

「血を吐きながら、言っても説得力ないんだけどっ!?」

 

血を吐き、その場で、ぴくぴくと体を震わせる天哉へ、琴音の突っ込みが飛ぶ

しかし、彼は何事もなかったかのように立ち上がり、ソファーに再び腰掛ける

 

「ふぅ、流石にリアルの体はハジケ足りんな。俺の溢れんばかりのハジケリスト魂を受け止めきれねぇんだから」

 

「ハジケリストってなに!?」

 

「ハジケリスト……其れは、人生かけてハジケまくる馬鹿、焼き肉の種類、カップ焼きそばのかやくの一種など色々な説があるが、かいつまんで言うんなら、よく分からん奴等のことだ」

 

「碌な意味がないっ!!!結局は名称があるだけで、唯のバカだっ!!!」

 

今日も全力で暴走する天哉に、琴音は呆れたようにため息を吐くしかなかった

 

「まぁ、俺に関する記憶はねぇんだ。アイツらが、この先…俺を忘れても、何の後悔もねぇさ」

 

「テンちゃん…」




大切な人の記憶を失った深澄達、其れが意味するのは…?そして、和人に迫る新たな敵の魔の手

NEXTヒント 出会い頭にしめ鯖

ヒントの意味が……書いてて、意味わからない…

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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