2025年1月20日
「………何処だ、ここ」
森の中に落下したソウテン、彼は例によって、迷子になっていた。方向音痴の塊である彼に、土地勘等が有る訳もなく、更に言えば、この世界はSAOではなく、全く別のVRMMOなのだ。その状況で、迷子になるなと言うのは、無理難題である
「
左手を振り、メニューウィンドウを呼び出す。かつて、SAOをデスゲームと言わしめた其れには、無かったシステムの存在を確かめる為に、一番下の方に指を動かす
「………まあ、あるよな。普通は………んむ?」
《Log Out》の存在を確認し、安堵する様に軽く息を吐き、中のアイテム欄を確認しようとメニュー操作を再会させようとした時だ、違和感に気付いた
プレイヤーネーム、種族名、HPとMPなどが表示されている下に、《無限槍》などのユニークスキルを除いた複数のスキルが表示されているのを見つけ、更に《ビーストテイマー》というスキルが視界に入る
「まさか……」
「プーン、ププーン」
「どわっ!プルーっ!?おめぇさんが何で、ALOにっ!?」
突如、聞こえた聞き覚えのある鳴き声に、足元に視線を向けると小刻みに震える白い小動物が目に入った。其れは、SAO時代に僅かではあるがソウテンのペットであったプルーである
「ププーン」
「ん?どうしたんよ、上なんか見て……んむ?」
真上を見上げるプルーに釣られ、森の上空を見上げるソウテン。その視界に飛び込んで来たのは、自分目掛け、落下する人影
「きゃぁぁぁぁぁ!!!退いてぇぇぇぇ!!!」
「ぐもっ!?」
人影の正体である水色のポニーテールが特徴的な少女は、ソウテンの頭上に落下し、盛大に頭を打つけた
「いたたっ……全く、人が落下してるのに真下にいるなんて、非常識にも程があるんじゃない?」
「人の上に落ちといて、何で自分は悪くないみたいな顔してんの?新手の詐欺ですか?このヤロー」
「残念だったわね、私はサギよりも白鳥の方が好きよ」
「鳥の話なんかしてねぇんだけどっ!?」
「其れにしても……ここはどこかしら?
「どんだけマイペースなんよっ!?おめぇさん!」
ソウテンを無視し、自分の事しか目に入らない少女に突っ込みが飛ぶ。その時だ、少女の動きが止まり、振り返ると同時にソウテンを視界に映す
「………ちょっと待って?今、なんよ…とか、おめぇさんって言った?」
「言ったけど?こればっかりは口癖みてぇなもんだからなぁ……どうやっても、治らねぇんよ」
「…………あの……もしかして、スペイン語とかを喋れたりする?」
「ああ、話せるよ。Soy un hada cuyo sustento es un payaso.意味は、私は道化師を生業とする妖精で御座います。以後お見知り置きをって言う感じかな。あっ、道化師ってのは、俺の役割ね」
「…………テンよね?」
「あれ?何で、俺の名前知ってんの?まさかだけど、うちの妹の友達?」
「…………ミトよ」
少女基ミトが、名を告げたと同時に辺りを夜風が吹き抜ける。目の前に立つ少女はソウテンが知るミトとは、髪色が違う。しかしながら、特徴的なポニーテールは健在である
「………ミトのそっくりさん?」
「本人よ」
「そうか、ミトも双子だったんか。で?おめぇさんは妹さん?それともお姉さん?」
「私に姉妹はいないし、ましてや双子でもないわ。私が正真正銘、ミトよ」
「なら、ドッペルゲンガーか。ほら、世界には似てる人が七、八人はいるらしいし」
「多いわっ!!!」
「ぐもっ!?」
頭上に振り下ろされたのは、一振りの鎌。御約束である“其れ”はミトの伝家の宝刀であり彼女を名ツッコミと言わしめた最強の武器である
「殴るわよっ!!!」
「いやもう殴られてんだけどっ!?」
「プーン」
「プルー…?えっ、なんでプルーが?ちょっと、テン!どういうことなのっ!?」
「うんまぁ、落ち着きな。おめぇさんがミトなんは分かったから。取り敢えず、自分のステータス見てみ」
「ステータス……はい?ちょっと待って…なによ、これ…」
ソウテンの指示通りに、ステータス画面を呼び出したミトは、目を疑った。自分の名前の下に表示されたスキル、其れはSAOで習得していたスキルだったのだ
「そうだ!アイテムはっ!?」
「ああ、こっちは全滅だった。職人に作ってもらった槍はキリトにやっちまったから、その後は解らんが、ユニークスキルで使ってた大量の槍は破損して、文字化けしてた」
「そう……あっ!これ!!ほら見て!」
「おろ?」
アイテム欄を確認していたミトが何かを見つけたらしく、ソウテンに呼び掛ける。其処に表示されていたのは、二つのアイテム名
「《Prototype-MHCP000》に《道化師の仮面》………良かった、あった」
「ちょいと失礼…」
ミトが《Prototype-MHCP000》をタップすると、指輪が出現する。其れを、ソウテンが脇から、ひょいと取り上げ、二回叩く
「な、なにっ!?」
「
刹那、弾けるような青紫の光が迸った。数秒後、光の中に一つの影が姿を現れ、次第に一人の少年の姿を形成していく
黒髪癖毛に白いTシャツにハーフパンツを着用した少年、会えないと思っていた“彼”との再会に、ミトの眼から涙が流れる
「ロト……貴方なのね?」
「おろ?………かーさん?」
「
「おやまあ、とーさんも。久しぶりだねぇ」
そのマイペースな雰囲気は相変わらずのまま、ロトは自分の帰りを迎えてくれた二人の姿に、変わらない不敵な笑顔を見せる
「プーン」
「おろ?虫がいる」
足元で、小刻みに震える見覚えのない生物を前に珍妙な解答を、ロトが捻り出す
「虫じゃねぇよ、魚だ。ちなみに名前はしゃぶ太郎」
「しゃぶ太郎っ!?良い名前だね、そりゃあ」
「そうだろう、そうだろう。流石は俺の息子だ」
「バカなこと言わないの。その子はプルーよ、見てわかる通りの犬よ」
「犬なのっ!?これっ!!」
ミトからの指摘に、プルーが犬だと知り、驚愕するロト。そして、現在の状況と彼が消えてからの事を説明していく
「なるほど……《アインクラッド》の崩壊に、僕以外のメンタルヘルスケアプログラムの存在……信じ難い話だけど、現に僕が二人に会えてる現状を見るに真実みたいだね。其れで?此処はどこなの?」
「ここは無敵要塞ザイガス付近の森林地帯だ」
「無敵要塞ザイガスっ!?」
「テン、少し黙って。ホントに」
「あい……」
「ロト。ここはね」
ALO、意識が戻らない300人近いプレイヤー、アスナの現状などを踏まえた説明をすると、ロトはその情報を整理するように、静かに目を閉じる
「
「ロト……俺の顔で難しい話するの、やめてくんねぇかな…」
「仕方ないでしょ、僕はこれがデフォルトなんだから。あれ?かーさんが手に持ってるアイテム……其れは破損しなかったの?」
ソウテンの言葉に、嫌味混じりに答えつつロトがミトに視線を向け、その手に収まった見覚えのある仮面に気付く
「そうみたい。なんだかね、私にはこう思えるの。この世界が
「そんな事ないんじゃない?僕は当たってると思うよ、その仮説。ねっ?とーさん」
「ああ……彩りを求めてるんなら、彩ってやるのが、俺……いや」
不敵に笑い、ミトの手から、仮面を受け取ると、其れを顔に冠り、風に蒼き衣を他靡かせ、彼は口を開く
「
復活した道化師と、その息子であるロト。しかしながら世界が違えば、役割も違う訳で……
NEXTヒント カレー時前
次回はあのカレー眼鏡が遂に……!!
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
-
ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
-
キリトとアスナが司会の正規の雰囲気