蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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最近思う、文字数半端ない。いやまぁ一万文字を書いてる人に比べたら、比ではないんですけどね。アインクラッド編に比べたら多いんですよね


第八奥義 迷子(キミ)は一人じゃない

2025年1月20日風妖精(シルフ)領 首都スイルベーン酒場

 

 

「なるほど、助けたリーファに連れられて。おめぇさん達はこの街に来たんか」

 

「ああ、そうなんだ。で?テン達はどうやって、この街に?見たところ、仲間に風妖精(シルフ)は居ないだろ」

 

酒場で、ソウテン達と合流したキリトはその中に風妖精(シルフ)を探すが、居るのは他種族ばかりで、姿を確認出来ない

 

「あ〜………うん、実はな?道案内をした人がいるんだ。その人がとんでもない………迷子だった」

 

「お前のことか」

 

「リーダーのことですか」

 

「さすがは迷子(ファンタジスタ)

 

「おいコラ、迷子から直ぐに俺を連想するんじゃねぇよ。あと誰がファンタジスタだ、迷子を変な呼び方すんな」

 

迷子から連想される人物、ソウテンに冷たい視線が降り注ぐ。其れもその筈、数々の迷子伝説を持つ彼が近くにいる、其処から連想されるのは、これ即ち新たな武勇伝の誕生也。しかしながら、当の本人は否定し、不服と言わんばかりの表情を浮かべていた

 

「実はね、今回はテンが原因じゃないのよ」

 

「「「な………なんだってぇぇぇぇ!!!」」」

 

「………ぐすん」

 

「とーさん。もしかして、泣いてるんか?」

 

「泣いてない………目からみそ汁が溢れただけだ」

 

「みそ汁っ!?」

 

「知ってか?フィリア。みそ汁にはな、バナナが合うんだぜ」

 

「バナナのみそ汁……?聞いたこないけど、グリスさんが言うならやってみるね!」

 

兄が泣きべそを掻く隣で、グリスからの意味不明な助言を実行すると宣言するフィリア。この短時間で、すっかりと彼等の色に染まってしまった親友に、リーファは引き気味の表情を浮かべる

 

「フィリア。あたし、この人たちのことを良く知らないんだけど……どういう知り合いなの?」

 

「ん……あっ、そう言えば紹介をしてなかったね。えっと……先ず、この仮面の人が」

 

聖騎士(ホーリーナイト)テンペリオン」

 

「そして、俺は悪魔騎士ローランド」

 

「私は地獄からの使者アーマンディア」

 

「わぁ!強そうな名前ですね、もしかしてハイプレイヤーなんですか?」

 

「ううん、右から順にソウテンにグリスさん、ミトだよ。今日始めたばかりの初心者(ニュービー)だね」

 

初心者(ニュービー)なんかいっ!!」

 

歴戦の勇士のような名を名乗り、神妙な顔付きをするソウテン達に一度は感激を覚えたリーファであったが、直ぐにフィリアからの指摘が入り、彼等に突っ込みを放つ

 

「全く……だいたい、フィリア。どうして、スイルベーンにいるのよ」

 

「…………えっと、地図を間違えちゃって……」

 

「またぁ?ホントに昔から、筋金入りの迷子ね。あんたのお兄さんと良い勝負だわ」

 

「ねぇ、何故に初対面の人に俺は迷子癖を知られてんの?」

 

「世界的迷子だからな、お前は。逆に知らないヤツがいたら、その方が不思議だ」

 

「テンちゃんと一緒にしないで、わたしはまだあの域には達してないから」

 

「一緒よ。だって、この前もお兄ちゃんとテンくんのお見舞いに行こうとして、病院じゃなくて美容院に行ったじゃない」

 

「それは迷子関係なく、フィリアさんがおバカなだけではありませんか?リーファさん」

 

「わたしはバカじゃない。ちょっとおっちょこちょいなだけであって、バカじゃない」

 

ミトは目の前で繰り広げられる光景に見覚えがあった。迷子を理由に弄られるフィリアの姿、其れを真顔で指摘するリーファ、この光景を彼女は知っている

 

「………ねぇ、キリト。聞きたいんだけど」

 

「ん、どうした?ミト」

 

「貴方………妹とかいる?フィリアと同い年くらいの」

 

「妹?ああ、いるよ。フィリアと同い年かどうかは分からないけど、一つ下に妹が一人。でも、何でそんなことを?」

 

「いや、あの子がキリトに似てるなぁって思ったの。フィリアに対する弄り方が、テンを弄ってるキリトみたいに見えたのよ」

 

その妙な親近感をキリトに伝えると、彼は顔から汗が溢れ出す

 

「……………マジで?」

 

「うん、マジで」

 

「ジーマっすか?」

 

「ジーマっす」

 

「………………あの、リーファさん?もしかしたら、もしかしたらですよ?」

 

「な、なによ……急に」

 

急に丁寧な口調で、自分を呼ぶキリトに警戒体制を取りながら、リーファは嫌悪感丸出しの視線を浴びせる

 

「スグ……なのか?」

 

「キリトさん、何を訳の分からないことを言ってるんですか。スグちゃんがゲームする訳ないでしょう。彼女はゲームとは無縁な脳筋ですよ、コントローラの用途を人を殴る鈍器的なモノと勘違いするほどのね」

 

「えっ?えっ?どうして、二人とも、あたしを知ってるの?というか、ヴェルデくんは詳しすぎない?」

 

「なっ?ヴェルデ。この驚き方はスグだろ?」

 

「そのようですね」

 

「…………お兄ちゃんときっくん?」

 

「「正解です」」

 

「おやまあ、スグっちだったんか。見ない間に随分と大きくなってんな。何処かのおっちょこちょいとは違って」

 

「テンちゃん。殴られたいの?ていうか、殴っていい?いや、殴るね」

 

「ほぐっ!?」

 

リーファの正体が、キリトの妹であると判明する近くで現実の彼女を知るソウテンが成長振りに感心を示していると、その言い方に嫌味を感じたフィリアが鉄拳を放つ

 

「ミトさん!こんばんはです!」

 

「あら、ユイちゃん。貴女も出てこれたのね」

 

「貴女も?どういう意味ですか?ミトさん」

 

「説明するよりも会ってもらった方が早いわ。ロトー、ユイちゃんに挨拶しなさい」

 

「んむ?ふぉうも、ふぉくのふぁまえは、ふぉふぉふぁふぉ(どうも、僕の名前は、ロトだよ)」

 

「ロト、行儀が悪いから食べながら喋るのはよしなさい」

 

「………ごっくん、はいよ。改めて、僕はロト。君と同じような感じで、ソウテンとーさんとミトかーさんに保護してもらって、息子になったメンタルヘルスケアプログラムなんよ。今は見ての通りの《プライベート・ピクシー》やらせてもらってます」

 

「ロトくんですね!ユイです!よろしくお願いしますっ!」

 

estoy encantado de conocerte también(こちらこそ、よろしく)

 

「《プライベート・ピクシー》って、感情豊かなのね。フィリアのもああいう感じ?」

 

「う〜ん、ちょっと違うかも……」

 

「マスター・フィリア。私をお呼びになりましたか?」

 

感情豊かに会話するロトとユイの姿に違和感を感じたリーファは、彼等のような《プライベート・ピクシー》を持つフィリアに問う。すると、鈴の音のような優しい声が響く

 

「エスちゃん。この子たちが、アナタと同じ《プライベート・ピクシー》らしいんだけどね。なんだか、感情豊かなの。理由とか分かる?」

 

「理解不能です。我々《プライベート・ピクシー》はAIですので、感情などの類いが芽生えたりする事は万が一にも有り得ません」

 

「ちょいと特殊なんよ、この二人は。んで?そのちみっこいのがフィーの《プライベート・ピクシー》なんか?」

 

「ふっふっふっ。限定だったけど、抽選で当てちゃいまいしたっ!名前はEstrellas(エストレージャ)で、わたしはエスちゃんって呼んでるんだー」

 

Estrellas(エストレージャ)です」

 

「直訳すると星か……良い名前じゃねぇか。よろしくなー、エス」

 

「よろしくお願いします。ソウテンさま」

 

「ロト。良かったな、おめぇさんに可愛らしいガールフレンドが二人も出来たぞ」

 

「(仮)…?」

 

「いやなんで、そのゲームを知ってるんよ」

 

「ユイはやらんからなっ!いくら、ロトが親友達の息子でもユイは駄目だっ!というか、ユイが欲しければ、俺を倒してからにしろっ!」

 

「パパ、ちょっとうるさいです。それにロトくんとお話しさせてくれないと嫌いになっちゃいますよ」

 

「なにっ!反抗期っ!?ちょっと早い反抗期なのかっ!?我が娘よっ!!」

 

次第に騒がしさを増していく店内、その筆頭の一人が兄だと理解した瞬間に、リーファは頭を悩ませる

 

「時にスグちゃん」

 

「なぁに?きっくん」

 

「世界樹への行き方を教えていただけませんか?僕らは、あの場所に行かなければならない事情があるんです」

 

「……それは、全プレイヤーがそう思ってるよ。っていうか、それがALOのグランド・クエストなのよ」

 

「どういうこと?はぐはぐ」←焼き鳥頬張ってます

 

「ALOは空を飛べることを売りにしてるのは、皆んなも知ってるよね?でも、滞空制限がある。どんな種族も連続で飛べるのは十分が限界なの」

 

「世界樹の上にある空中都市に最初に到達して、《妖精王オベイロン》に謁見した種族は全員、《アルフ》っていう高位種族に生まれ変われるの。そうなれば、滞空制限はなくなり、いつまでも、自由に空を飛ぶことが出来る。だからこそ、全種族プレイヤーは、世界樹を目指すんだよ」

 

「オベントウ?変な名前の妖精王もいたもんだねぇ」

 

「変なのは、お前の耳だ。バカテン」

 

「おんやぁ?今、ぼっちの声が聞こえた気がしたけど、気のせいだな」

 

「迷子め……」

 

「聞こえてんぞ。ぼっち」

 

「あっはっはっはっ」

 

「ふっふっふっふっ」

 

「あっはっはっはっ」

 

「ふっふっふっふっ」

 

「あっはっはっはっ」

 

「「やんのかコラァァ!!!」」

 

暫くの間、笑い合っていたかと思えば、喧嘩を始めるソウテンとキリト。互いの武器をぶつけ、騒ぐ彼等にミトが歩み寄る

 

「やめんかぁっ!!!バカどもっ!!」

 

「「ぐもっ!?」」

 

伝家の宝刀(復活した御約束)が、馬鹿二人の頭上に振り下ろされる。此れまた御約束である謎の悲鳴を挙げながら、吹っ飛ぶ

 

「…………そういう訳ですから、スグちゃん。道案内をお願い出来ませんか?」

 

「う、うん……そうだね。その方がいいかもしれないね…」

 

「わたしも道案内するよっ!泥舟に乗ったつもりで任せてっ!」

 

「フィリアさんってリーダーと似てるよね、バカなところが」

 

「そうかぁ?テンの方がバカだろ」

 

「うるさいよ、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ」

 

「学名で呼ぶなっ!!!迷子野郎っ!!!」

 

突っかかるグリスを手で制し、ウィンドウを開き、ソウテンは鼻歌を歌い始める

時間的にも遅い時間帯となり、仲間たちに視線を向け、口を開こうとする

 

「それじゃあ、明日の午後三時に此処で落ち合おう。ログアウトにはこの上の宿を使うんだぞ、よし解散っ!!!」

 

⦅何故か、キリトが仕切ってるっ!!!⦆

 

「俺の台詞を取んじゃねぇよ!!!このぼっち!!!」

 

「うるせぇ!今回の章での主人公は俺だっ!!迷子!!!」

 

⦅前途多難だっ!!!⦆

 

かくして、フィリアとリーファ、フィリアの《プライベート・ピクシー》のエストレージャを加えた《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》の妖精の国を巡る冒険の幕が上がったのであった




世界樹を目指し、飛び立つ妖精たち。新たな世界の先に彼等は何を見るのだろう。そして、その世界に一人の少女が降り立つ……彼女はマイク片手に、この世界で何を彩る…?

NEXTヒント いらん、超いらん

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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