2025年1月21日
「ここから、エレベーターに乗って上に行くんだよ」
「なるほど、上から距離を稼ぐのね」
「わっ、エレベーターだけでその答えに行き着くなんて、ミトってばすごいね」
「当然だよ。かーさんは学年主席クラスの頭脳があるんだから」
「ふふっ、大したことじゃ………って!何やってんのよっ!!!」
賞賛するロトの言葉に、優しく微笑みながら、ミトは彼を小突こうとする。しかし、視界に映り込んだ
「見て分からんか?運動会だ」
「運動会っ!?」
「いやいやっ!やらなくていいからっ!そんなのっ!」
「第一競技!パスタ食いレース!」
「パンじゃないのっ!?」
突然、パスタを食べ始めるという訳の分からない競技にリーファの突っ込みが入る。今の僅かな一瞬で全員のパスタを用意したであろうキリトは、その味を心ゆく迄に堪能している
「第二競技!アニマルレース!」
「ププ〜ン」
「ぴよぴよ」
「変な生物がいるっ!!」
「変とか言うな、ウチのプルーは列記とした犬だ」
「犬なのっ!?」
「ヤキトリは俺の非常食」
「ぴよっ!?」
「優勝はぁ〜……赤組のヒイロさんとグリスさんです!」
「やった」
「パパとテンにぃは負けですね」
「「なにっ……!!!」」
「采配の意味がわからないんだけどっ!?」
目の前で、繰り広げられる運動会と呼べるかも疑わしい暴走振りに絶え間なく突っ込むリーファの後ろ姿には、苦労人感が滲み出ている
「何者だ?貴様たちは。
「我々は炒飯早食いクラブです」
「違うよっ!?……こほん、シグルド。この人たちは、あたしの友人よ」
「友人だと……?まさか、パーティーから抜ける気なのか、リーファ」
「うん……まぁね。 貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようと思って」
「勝手だな。 残りのメンバーが迷惑するとは思わないのか。其れに、こんな訳の分からないヤツらと行くつもりか?見てみろ、あの中央の仮面の男を。見るからに胡散臭いではないか」
「言われてんぞ。キリト」
「仮面はお前だ、迷子野郎」
「………ぼっち」
「「やんのかコラァァ!!」」
「コラァ!!!喧嘩しないっ!!」
「「ぐもっ!?」」
喧嘩するソウテンとキリトに対し、ミトの物理的な突っ込みが入る。その隣では、シグルドと呼ばれた男がリーファの前に立ち塞がっている
「勝手……ですって?」
「お前はオレのパーティーの一員として既に名が通っている。 そのお前が理由もなく抜け、他のパーティーに入ったりすれば、こちらの顔に泥を塗られることになる」
「………仲間はアイテムでは、ありませんよ」
「なんだと……?」
「おや、言葉の意味を理解出来ませんでしたか?仲間はアイテムでは、ないと言ったんです。よろしいですか?装備欄に永遠にロックしておける訳では、ありません。仲間とは、支え合い、笑い合い、ぶつかり合う………家族ですっ!!!」
「っ……きっ……貴様っ……!!粋がるなよっ!
「ええ………あたしは、ヴェルデくんたちと行くわ」
自分の領地を捨てた者、或いは領主に追放を受けた者は、《
だが、彼は其れを許さなかった。歯を食い縛ると、腰のロングソードを抜き放つ
「……小虫が這いまわるくらいは捨て置こうと思ったが、泥棒の真似事とは調子に乗りすぎだな。 のこのこと他種族の領地まで入ってくるからには斬られても文句は言わんだろうな……?」
剣を構えようとしたシグルドの前に、その“
「すまんな、ウチの弟分が失礼な口を聞いちまって……でもな?シグルドさんとやら。俺は、頭に鎌を振り下ろされようが、毒魚を振る舞いかけられようが、大抵のことは笑って見過ごしてやる。けどな……
仮面に隠された顔には、凄みを感じさせる唯らなぬ気迫が溢れ、肩に担いだ槍は即座に構えられるように僅かに浮かんでいる
その気迫に押し負けたのか、シグルドは「後悔することになるぞ」と意味深な捨て台詞を吐き捨てると、取り巻きの二人を連れ、《風の塔》を後にした
「………ごめんね、妙なことに巻き込んじゃって……」
「いえ、僕にも非はありますので。あと……リーダー」
「んむ?どうした?」
「先程は庇っていただき、ありがとうございました」
「当たり前だろ?なにせ、俺はリーダーなんだからな」
「ええ、頼りにしてますよ。いつも」
『
「やかましいわっ!!!」
感謝するヴェルデに優しく笑い掛けながら、頭を撫でるソウテンであったがキリト達の悪口に反応を示し、直ぐに喧嘩を始める
彼等を無視するようにミトは、ヴェルデ、リーファとフィリアを連れ、エレベータに乗りこむ
「ミトさん、リーダー達が乗ってませんよ」
「無視しましょう。あのバカたちといたら、旅が前に進まないわ」
「それもそうだね」
「正論ね」
「では、最上階に参りましょう」
「じゃあ、押しますねっー☆」
『あっ、お願いします………って、誰っ!?』
「あたしですか?あたしはですね……知らないのであれば、聞かせてあげましょう!我が名を!」
最上階に向かおうとしたミト達、その輪に極自然に溶け込んでいた猫耳少女はマイクを手に、軽くウィンクをする
「天真爛漫・将来有望 仮想の世界を彩る
「なーんだ、シリカちゃん………って!シリカちゃんっ!?」
「はい、シリカですよっ!ミトさん!」
その猫耳少女基シリカは、驚愕するミトに屈託のない笑顔を向ける
「これはこれは、お久しぶりです。シリカさん」
「ヴェルデは相変わらず堅いなぁ…。あっ!ヒイロー!!!」
「シリカ。元気そう」
「うんっ!元気だよ。あっ、そうだ……リーダーさん」
「んむ?どうし----ぐもっ!?」
「これぞ、あたしがアイドルになる為の活動、アイカツで身につけたアイドル奥義の一つ、マイクナックル!!今回はこのくらいで勘弁してあげます」
マイクで、ソウテンを殴るとその場に倒れる彼を無視し、シリカはキリト達と共にミト達が待つエレベーターに乗り、最上階に上がっていった
「………おめぇさんのマイクパーフォマンスには期待してんよ………。さーて、次は誰に届くかねぇ。残りは……あと三人か」
2025年1月21日 東京都多摩市
「なに……、俺の荷物だと?」
自室で寛ぐ茉人の元に届いた、覚えのない小包。舎弟のような存在である組員が持つのは、
「どうしやすか?若頭」
「………寄越せ」
「へい」
小包を受け取り、中身を確認しようと開く。中から出てきたのは、ピーナッツバターの瓶とゲームソフトの二つ。後者には見覚えがないが、前者を見た途端に
『職人!見ろよっ!これ!ピーナッツバターサンドをミトが作ってくれたんよっ!一緒に食おうっ!』
脳裏に浮かんだのは、かつての親友。仮面を身に付け、不敵に笑う彼の手には、職人と呼ばれた自分が鍛えた
「…………生きていたか。全く、仕方のないバカだ……少しばかり、説教をしてやらなくてはな。また、仮想世界でふざけているのであれば、尚更だ」
「若頭っ!どちらへっ!?」
ゲームソフトを片手に部屋を出て行こうとする茉人を舎弟が呼び止める。すると、彼は振り返り、口元を僅かに緩めた後、口を開く
「決まっている……俺が《職人》と呼ばれる所以を果たしにいくのさ、
遂に、世界樹に向け、翅を広げる妖精達。その行手に待つのは、更なる珍道中であった!そして……ふざけ過ぎたソウテン達の前に……!!!
NEXTヒント ふざけるモノには刃物が降り注ぐ
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気