2025年1月21日 中立域 古の森
「何時も言ってるだろう。ふざけ過ぎるのは許さないと」
『ひぃぃぃぃ!!!』
「職人さん!違うんですっ!先にふざけていたのは、キリトなんですっ!」
「そうなんですっ!俺たちは、あいつに合わせていただけなんですっ!」
⦅なすりつけた!!⦆
「汚ねぇぞ!迷子にゴリラ!!違うんですっ!先にふざけてたのは、テン達ですっ!」
恐怖を前に、罪をなすりつけ合うように醜い争いを繰り広げる
「………ヘル子、マイク娘。実際は誰がふざけていたんだ?」
「「全員がふざけてました」」
「そうか…覚悟しろ、バカどもっ!」
『いやぁぁぁぁ!!!』
「懐かしいわね、シリカちゃん」
「ええ、見慣れた光景です」
「見慣れてるのっ!?明らかに死にそうだよねっ!?」
「………まさか!あの人!ボケ殺しっ!?あの伝説に名高い!」
「ボケ殺しっ!?なにそれっ!!」
ボケ殺し。初めて耳にする言葉に、リーファは驚愕のあまり、聞き返す
「ボケ殺し、其れは遥か昔に絶滅したとされる凡ゆるおふざけも許さない残忍な者たちの事と記憶しています。リーファさま」
「エスちゃんが無駄に詳しいっ!?」
「実在してたなんて…!」
「フィリアが言い出しっぺでしょ!?」
「な、なんてこと…!まさか、職人がボケ殺しだったなんて…!」
「し、知らなかった…!一年ちょいくらい一緒に居たのにっ!」
「何で身近にいたのに知らないのよっ!?」
旧知の中である筈のミトとシリカさえも、その正体に驚愕している。そして、対象の粛清を終えたアマツは包丁をストレージに仕舞う
「久しぶりだな。二人とも」
「元気そうで何よりだわ、職人」
「職人さん、相変わらずのイカれ具合ですね」
「お前にだけは言われたくないがな。マイク片手に何をしているんだ」
「見て分かりませんか?アイカツです」
「そうか……それで?そこの幸薄そうなポニーテール娘とテンの字が女装した娘はなんだ、知り合いか?」
「幸薄そうって、あたしっ!?」
「女装じゃないんですけどっ!?」
リーファ、フィリアの両名はアマツが述べた自分に対する意見に不服そうな反応を挙げた
「キリトの妹のリーファちゃんにテンの妹のフィリアよ。二人とも、この失礼な和服男はアマツ、鍛治スキルを極めているから、私達は職人って呼んでるわ」
「アマツだ。武器を手入れしたい時は、何時でも呼んでくれて構わん。ただし……折ってみろ、
「「すっごい、怖いんですけどっ!!!」」
「職人さんは相変わらずのお茶目さんですね」
「シリカちゃん。あれは、お茶目とは言わないわ。一種の変態よ」
「とにかく、これで武器の心配はせんで良くなった訳だ。
「他ならん、お前からの呼び出しだからな。其れにだ、閃子が捕まっているのだろう?アイツには、リズベットが世話になっていたからな」
「お前はリズの親か?職人」
「あんな喧しい女の親になったつもりはない。そう言えば、お前たちが来る少し前にPKを仕掛けてきたプレイヤーを返り討ちにしたんだが…、気になることを言っていたな」
『気になること?』
話題転換しようとアマツが告げた言葉に、ソウテンを始めとした全員が反復しながら、首を傾げる
「あの先にある世界樹には、オベイロンに仕える八人の妖精がいるらしい。詳しい構成は知らんが、ハジケリストが数人とアイドルが居ると聞いた」
「「「ハジケリストだとっ…!!」」」
「アイドルっ!!」
「あーあ……3バカとマイクバカの目が変わった…」
「えっと……取り敢えず、《ローテアウト》しとく?」
「ローテアウト……新たなローションですか?」
「違うよ、ヴェルデ。きっと流行りの曲だよ」
「シリカも違う。ローテアウトは周りながら、交互に話をする新たな会話法」
「全然違うから、交代でログアウト休憩することよ。ここは、中立地帯だから、即落ちできないの。 だからかわりばんこに落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るのよ」
『なるほど。じゃあ、キリトにリーファ、ヴェルデからな』
《ローテアウト》についての説明を聞き、ソウテン達は、キリトとリーファ、ヴェルデから落ちるように促す。しかし、その瞳は明らかに何かを企んでいるようにしか見えなかった
「………お前ら、なんかやるよな?絶対に」
「…………しねぇよ?なぁ、ヒイロ」
「…………う、うん」
「………するわけねぇだろ?」
「………す、少しは信用してもらいたいですね」
「目が泳いでるだろうがっ!!ミト、職人、フィリア、コイツらが何かをしようとしたら、全力で止めといてくれるか?特にあのバカ二人は要注意だ」
「「りょーかい」」
「任せろ」
三人の承諾を確認した後、キリトは妹と弟分と共にウィンドウから、ログアウトを選択し、現実世界へと帰還した
2021年 1月21日 桐ヶ谷家 直葉の部屋
「ふぅ………分かってはいたけど、テンくんたちはキャラが濃いなぁ…」
アミスフィアを外しながら、数時間に及ぶ馬鹿騒ぎの感想を漏らす。幼馴染である琴音の兄の天哉とは、兄経由で十数年に及ぶ付き合いがあるが、知らぬ間に、ハジケ振りに拍車がかかっていた
更に言えば、兄妹同然に育った菊丸は、感受性が豊かさを増した。最後に彼を見た時は、この世の全てに絶望感を抱き、誰もを拒絶していた。しかし、再会した彼は、直葉の記憶の中にある優しい笑顔を見せた。何が彼を、そうさせたのかは分からないが、あの道化師達との出会いが、彼を変えたことは理解できた
「スグちゃん、スグちゃん。カレー風味タンドリーチキンはいかがです?」
「きっくん……女の子の部屋には入っちゃダメだよ」
当然のように、部屋に上がり込んできた菊丸に直葉はジト目を向ける。だが、彼は気にも止めずに、徐ろにベットに腰掛けた
「女の子……いいですか?スグちゃん。無闇矢鱈に竹刀を振り回す脳筋を女の子とは、呼びません」
「怒るよ?で、何か用?今は小休止中でしょ」
「別にこれと言った理由はありません……いえ、一つだけありますね」
「一つ……なに?」
急に真剣な表情を見せ、愛用の眼鏡を意味深に光らせる菊丸。その見慣れない姿に、僅かながら、直葉の胸が高鳴る
久方ぶりに向き合う彼は、記憶に残る彼よりも、身長が高くなり、声も僅かに低くなり、顔付きも凛々しい。自分も成長しているが、彼の成長は、直葉の心を確実に掻き乱していた
「スグちゃんと一緒に冒険が出来て、嬉しいんです。小さい頃に戻ったみたいで」
「………そうだね。あたしも嬉しいよ、きっくん」
束の間の休息中に、時が経つのも忘れて、二人は共に過ごせる喜びを噛み締める。その光景を、扉の側で見守る影が一つ
「………もう少しだけ、二人にしといてやるかな」
そう言うと、和人は自室に戻り、ベットに寝転がるとナーブギアを被り、仮想世界へと旅立つのであった
2025年1月21日 中立域 古の森
「ん………」
『やばい!起きたっ!』
意識をアバターに同調させたキリトの視界に、焦るソウテン達の姿が映る。彼等は、即座に飛び退くと、鍋の前に座っていたミトの側に移動した
「うん?おいコラ、誰だ。人の口に花を突っ込んだのは」
知らない間に、口の中に突っ込まれていた花を引っ張り出しながら、馬鹿達を、ギロリと睨み付ける
「生け花だ。斬新だろ?」
「ウケる。でも、なんか怒ってるのは何故?」
「バナナの方が良かったんじゃねぇか?やっぱ」
「だから言ったじゃないですか、生け花に斬新さは必要ないって」
「わたしは止めたんですよ?パパ」
「おろ?ユイも乗り気じゃなかった?ていうか、花を差したのはユイだよねぇ」
「ロトくん!それは言わない約束ですっ!」
「ユイもグルかっ!?」
まさかの娘が主犯であると知り、項垂れるキリト。刹那、彼の肩を誰かが叩いた
「人生、色々あるさ。期待を胸に飛び込んだ新生活が……裸の男たちだらけだったり……とかな」
「………ベルさん、いきなり出てきたかと思えば、何を言ってんだ。アンタは」
「よぉ、来たんか。ベルさん」
突然、姿を見せた青年、髪色から察するに
「おお!テン!久しぶりだなぁ!ナイトパンチっ!」
「ぐもっ!?」
「…………あ〜、どんどんとバカたちが集まり出した…はぁ…最悪なんだけど…」
虎視眈々と、9色の色彩に彩られつつある仮想世界で、ミトのため息が盛大に木霊するのであった
アマツとディアベルの登場で、更なる騒がしさを増すバカたち!ルグルー回廊で、大量のプレイヤー達を前に、彼等は!
NEXTヒント 仮想世界だよ!全員集合!!!
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気