2025年1月21日 ルグルー回廊
「ここが噂に聞く虎の穴か」
「となると、アレだな」
「ああ、コイツを被るっ!」
鉱山都市に続く、垂直に切り立った一枚岩を中心に、空いた四角い穴と入り口の周囲に彫られた怪物の彫刻が目立つ洞窟《ルグルー回廊》の入り口付近で、真剣な表情をするバカトリオ。彼等はストレージから、取り出した鷹、虎、バッタのマスクを頭から被る
「「「我ら、ハジケリスト三人衆っ!!!」」」
『………………』
「みんな、バカは放っておきましょう。先に進むわよ」
「構うだけ無駄だ」
『なんで冷静なのっ!?この二人はっ!!』
弾けるバカトリオに冷たい視線を送り、他のメンバーを冷静に引率するミトとアマツに全員が信じられない物を見るような視線を向ける
「暗いわね、この洞窟」
「灯り魔法を使えばいいよ、そう言う時は。お願いできる?フィリア」
「うん、任せ………って!何をやってるのっ!?」
洞窟内を照らそうと、魔法を詠唱しようとしたフィリアであったが視界に飛び込んで来たある光景に、思わず突っ込みを放つ
「灯りといえば、あの有名な学者!という訳で、これより電球の開発を始めるっ!」
「先ずは電気ウナギっ!」
「グリスさんの毛髪200本」
「そう、俺のも……って!何時の間に抜きやがったっ!?焼き鳥チビっ!!」
「配線関係は任せてくださいっ!このチーズケーキを使いますっ!」
「よし、俺は小腹が空いた時の為にバームクーヘンを振る舞おう!」
「そして、最後にカレーを掛けます」
「「「「いざっ!
ソウテン達により開発された電球と呼ぶにも疑わしい謎の物体を前に、アマツが包丁を構える
「ふざけすぎだっ!!」
「「「「ぎゃぁぁぁぁ!!」」」」
降り注ぐ包丁の雨に、逃げ惑う
「わぁ……これが螢なのね」
「ふっ、テン美。どうだ?この夜景が全部、お前のものだ」
「素敵……」
「………………ハジケ奥義・タジン鍋フリスビーっ!!!」
「「いやぁぁぁぁ!!!」」
蛍を前に、ラブコメのような寸劇を展開させるソウテンとキリトを、ミトが投げたタジン鍋の蓋が襲う
「さっ……気を取り直して、先に進むわよ」
((ミトさん……恐ろしい子っ!!!))
地面に倒れた二人のバカを放置し、ミトを先頭に先を急ぐ。中を進む過程で、オークとの戦闘があったが、最強の
洞窟内で、迷う事なく進めるのも、ミトが出立前にスイルベーンで仕入れたマップのお陰である。間違っても、
「あ、メッセージ入った。 ごめん、ちょっと待って」
「おろ?俺もだ」
突如、響く二つの電子音。足を止めたリーファとソウテンは、ウィンドウを呼び出すと、メッセージを開く
【やっぱり思ったとおりだった! 気をつけてs】
「なんじゃこりゃ」
【テンよ!バナナは主食に入るのか?それとも、オヤツか?】
「………迷惑メールだな、これは」
疑問符を浮かべるリーファの隣で、ソウテンは迷い無くメッセージを削除した。何やら、見覚えのある果物の名前が書かれていたが、気のせいに違いない。否、彼はそう思うことにした
「とーさん、かーさん。なんか来てるよ」
「わたしも感じましたっ!複数の反応がありますっ!パパ!」
「マスター・フィリア、多数のプレイヤー反応を感知しました。その数、十二人と推測します」
「「じゅうに……っ!?」」
「仕方ありません。ここは隠れてやり過ごしましょう!みなさんっ!この壁紙の裏に隠れてくださいっ!」
迫り来る敵の数に絶句するリーファとフィリア。その彼女達を気遣い、ヴェルデは事前に用意した壁紙を広げ、裏に隠れるように促す
「いやいやっ!バレるよっ!!」
但し、その壁紙は景観には削ぐわない煉瓦塀を模しており、スプレー缶の落書きが目立つモノだった
「「「しまった!隠れられないっ!こうなったら……!」」」
壁紙に入り切らず、溢れてしまったソウテン、キリト、グリスのバカトリオは、何かを思い付き、自分のストレージを操作し、何かを取り出す
「よしっ!完璧だっ!これで、俺は通りすがりのフラメンコダンサーにしか見えないっ!」
「いやっ!フラメンコダンサーが、いる時点でおかしいよっ!?」
「リーファの言う通りだ!甘いっ!甘いぞっ!お前はスイーツパスタ並みに甘いなっ!テン!木を隠すなら森の中って言うだろっ!つまり、正解はこの木の役だっ!」
「お兄ちゃんも間違ってるよっ!?」
「はんっ、分かってねぇな。これだから、迷子とぼっちは………正解はこうだ!」
『まだバナナを剥けません、どうか拾ってあげてください』
((捨てゴリラだっ!!!))
段ボールの箱に詰められた姿、明らかに他の二人よりも悲惨な状態に誰もが言葉を失う。一人を除いての話だが
(す、素敵すぎる…)
「鼻血出したっ!?どんだけ、グリスくんに夢中なのっ!?フィリアはっ!」
「おろ?赤い目のちっちゃいコウモリが見えた」
「わぁ!可愛いですっ!パパ!アレを飼いましょう!」
「ユイ。ペットを育てるのにはな、大いなる責任が伴うんだぞ。俺も昔、デンガクという犬を飼ってたんだが、なんやかんやで死んでしまった」
「なんやかんやって、なによ」
「やられたっ!」
「あちゃーっ!最悪っ!」
壁紙から飛び出したリーファ、フィリアの目付きが変わる。赤いコウモリは何やら、状況的に最悪のモノであるようだ
「どうしたんですかっ!リーファさんにフィリアさん!」
「飛び出しは良くないぞ、ポニ子にテン子」
「あれは、高位魔法のトレーシング・サーチャーよ!!あと、ポニ子じゃなくてリーファだからっ! 」
「潰すよっ……ん?ちょっ!まさかだけど、テン子って、わたしっ!?」
アマツが発した呼び名に突っ込みを放った後、両手を前に掲げ、二人がスペル詠唱を始める。刹那、指先からエメラルド色に光る針と黒い刃が無数に発射され、赤いコウモリは、赤い炎に包まれて消滅した
「街まで走るよっ!」
「敵前逃亡か。俺的には好ましくねぇ転回だな」
「まぁまぁ、テンちゃん。ここは、わたしに任せて」
「おいコラ、
「「
「なんか前にも似たようなことがあったような……」
「ズラかるぜ!」
「トンズラしましょう」
「コウモリって食用?」
「ヒイロは食いしん坊だね」
「コウモリといえば、小学生の頃に仲が良かった小森は元気にやってるだろうか」
「ディアベル。お前は非常時に何を言っている」
「一本道を抜けたら、先に大きな地底湖が広がってるみたい。湖に架かっている橋を一直線に渡って、鉱山都市ルグルーの門に飛び込むわよっ!」
『了解!!』
洞窟を抜け、街まで走るソウテン達。マップを広げながら、先導していたミトが後ろに続く全員に声を掛ける
「「「さぶっ……!」」」
「この寒さ、懐かしいな。あの雪山の出張店舗を思い出す」
「油断しないで、水中には大型モンスターがいるよ」
「「「今っ、大型モンスターって、言いましたっ!?」」」
「コラァ!そこのバカトリオっ!!!目をキラキラさせないっ!!!」
「「「ぐもっ!?」」」
大型モンスター、という響きに心を躍らせるバカトリオにミトの鎌が振り下ろされる横を、二つの光点が高速で通過した
その二つの光点は、門の手前に落下し、重々しい轟音と共に、橋の表面から巨大な岩壁が高くせり上がり、行く手を完全に塞いだ
「あ……あれは…………巨大チョコレートっ!?」
『壁だろっ!!!どう見ても!!!』
「どうやら……物理的な破壊は無効らしいな」
「そのようです。致し方ありませんね……リーダー」
「だな……派手に行くぜっ!」
「あいやっ!待たれいっ!!我が同胞たちよっ!」
決め台詞を発しようとした時だった。一つの声が響き渡り、何かがソウテン達と
「私との出会いに、貴殿等が泣いたっ!我が同胞たちの助けを求む声に応え、バナナ農家コーバッツ!!見参っ!!!」
拍子木が打ち鳴らされたような効果音と共に姿を見せた、屈強な男性は歌舞伎を彷彿とさせる名乗りを、高らかに挙げる
『よっ!待ってましたっ!バナナのオッさーーーーん!!!』
「………全員、揃っちゃった……」
「プ〜ン」
「ぴよぴよ」
「きゅるる〜」
突如、現れたコーバッツを前に盛り上がるソウテン達の背後では、揃ってしまったメンバーにミトが盛大なため息を吐く
((ご、ゴリラが降ってきたーーーーっ!!!))
そして、事情を知らないリーファとフィリア、
遂に集合した最強の集団、《彩りの道化》。彼等こそ、妖精の世界にメスを入れる究極の救世主なのかっ?それとも破壊者っ!?
NEXTヒント 3狩リア勃発
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気