誰の目から見ても、消耗してるのは明らかだった。特に、短い間とはいえ常に同行していた者は、今の胡桃に隙が多いのを見抜けていた。
丘々人の軍勢(まともな指揮官も、統率も取れてない集団を軍と言えるのかはともかく)は際限なく沸き、蝶を撃ち落とさんとしている。
彼女はどれほど敵に厄介がられているのか、亡者の怨念は凄まじいモノだった。なにせ、璃月の町一つを丸々使い罠を仕掛けられていたのだから。
しかし蝶の舞は乱れず、確実に敵を仕留める。驚くことはない、これまで何度も堂主の凄絶ぶりは見てきたのだ。
自分がこの戦いに加わり、助けになることはできないのはわかっている。だが、しかし、それでも目を離すことはできない。これは未熟さによるモノだ。
彼女の実力を信じ、自分は周囲の未だ混乱の最中にある住民達の避難誘導をするのが役目。だがまだこれをできずにいる。
彼女の戦闘を何度か目にしてきたが、彼女が一度に倒せるのは小型丘々人最大三匹まで、それも突進技によるモノなので、かなりの体力を使うだろう。
“何故か”彼女のそれのみによる疲れは感じさせないが、最初の頃より回避行動が増えてきた気がする。
それに、彼女の戦闘には明らかにテンポがある。数秒、堂主は火を操れなくなるタイミングがある。その間に無力になるというわけではないが、明らかに火力が下がっている。
だめだ、不安がどうしても拭えない。不慮の事故により、致死の隙を敵に与えてしまったら……
だが、そうなったとしても自分では何もできない。悩んだ末、誘導を開始することにした。その前に、堂主の無事を確認する。
「ううん〜ぜ〜んぜん平気!私、追い詰められてからの方が本気出せるから。」
堂主の虚勢とも取れる言葉を聞き流し、誘導に向かう。
「ふぅ、やーっと楽にできる。堂主たるもの、みっともない姿は見せられないからね。」
「回復用の食糧と尽きてきたし、泥沼の戦いになりそうだけど、お化けでぶん殴ってこう!」
「でも、やっぱりもう少しまともな聖遺物を持ってくるんだったかな……」
朱色の花束
蝶導来世による冥蝶の舞状態の時、胡桃の重撃はスタミナを消費しない。
蝶導来世
燃え続ける炎のみが、この世の不浄を払うことができる。
一定のHPを消費して、周囲の敵をノックバックし、冥蝶の舞状態に入る。
安神秘法
灼熱の魂を振り回し、広範囲に炎元素ダメージを与える。
敵に命中した時、胡桃のHP上限を基準に自身のHPが回復する。この効果は命中した敵1体毎に発動され、最大で5体まで効果が発動する。
胡桃のHPが50%以下の時、より高いダメージと回復効果を持つ。