この悪霊の目的は、復讐だろうか。
「それもあるけど、正直魔神の残滓により大分拡大されてるみたい。
あんな個人を殺したところで気は治らないかな。……というより鎮まらないかも。」
「私を忘れた璃月そのもの、まずは璃月港だね。そこに住む人々に私の存在を刻みつける。」
「ろくに調べもせずに、真実が分かっても隠したままでいる奴らを許さない。」
この結論は往生堂独自の調査によるものだ。他の人には知られていない。
「それでも、だよ。ただの葬儀屋にわかることすら彼らは知らないんだから。」
「それが終わったら……どうしようか、他の国にでも攻め入ろうか?ちょうど今、隣国のモンドは戦力が常時の半分くらいらしいし。水があるところなら、塩の魔神のちからはつかえる。塩の彫像もそのうち作れるようになるんじゃないかな。」
そんなこと、七星が許すはずがない。
「ははっ、二度も魔神の襲撃を受けておいて、まだ認識がなってないようだね。璃月七星?仙人?そんなもので、死者の軍勢は防げない。」
死者の……軍勢?
「あなたのとこの堂主はよく知ってるんじゃない?璃月には沢山の成仏してない霊が地上に残っている。」
「霊体同士はよく馴染む。私と塩の魔神のように。この憎悪を増幅させれば、霊を操る……ことはできなくても、人を恨むようにするくらいならできる。本当はもう少しで、あの夜叉も憎悪に浸けることができたんだけどね。」
でも、この国には……
「岩神は死んだ!二代目もなぜか現れない!今の璃月では、三度目の襲撃は防げない!」
「そう考えると、あの堂主を先に殺しておくのは英断だったかもね。彼女ほど霊に強く出れるモノはいないだろうし。前見た時はもう少し強かった気はするけど、どうしたんだろう。」
……まさか
「心当たりがあるようだね。武具は揃っていた。あの感じだと適当な聖遺物でも持たされた?まぁしょうがない、常人にはわからないよね、アレの存在意義なんて。私だって生きてた頃は、おまじない程度のものだと思ってたよ。それも、一人の少女の恋すら叶えられない程度のね。」
魔女の炎……
「君は運がいいね!ちょうど、その魔女の炎が長らく残っていたのはこの地らしいよ。もしかしたら無妄の丘に、まだ力は残っているかも。」
自分の……せいで……
「挽回の機会は目の前!よかったね。」
……行かなくては。彼女を死なせる訳にはいかない。
「ソレは冒険者の中で“秘境”と恐れられるものの試練を踏破したものにのみ与えられる!奇跡は求める人にのみ、与えられるものだよ!」
走り出す。彼女を助けるためなら、なんだってやってやる。
「さて、片割れは死亡っと。もう用はないや。結界だけ貼り直して、璃月を殺しに行こう。」