「はぁ、はぁ、流石に……もう、きつい……」
「◻︎◻︎なら、もっと上手くやれてたのかな……」
「ふわぁーあ、私の……番……なんてね……」
胡桃はもう、すでに力を使い果たしていた。胡桃の性質上、窮地に陥れば陥るほど力を増すとはいえ、強度まで高くなるわけではないのだ。
「せめて、雨さえ降ってくれれば、もう少し戦いやすかったんだけど……」
「ちょっと、もう限界……かも」
「おじい……ちゃん……」
気がつくと、そこは門の外だった。手には、燃えるように熱い聖遺物。誰かが倒したのか、それとも何かしらの奇跡が起きたのか。
最後に緑の閃光が見えていた気がするが……
試しに聖遺物を強く握ってみた。
特に何もない。持ち主として、自分は見た目られないようだ。
……真の持ち主は、他にいる。
手遅れになる前に、渡さなければ。
悪霊は、強度を高めるため、結界を強いものにのみ反応するよう変えていたらしい。それに阻まれたおかげで客卿と仙人は、この場を見つけることができたのだが。
森を駆け、坂を駆け、川を超える。
その先で……
蝶は、地に堕とされていた。
間に合わなかったのか……
いや、まだだ。今度こそ、彼女を信じると決めたのだ。
「堂主!これを!」
持っていた聖遺物をちからいっぱい投げつける。
言っていたではないか、追い詰められてからの方が本気を出せると。
なら、
きっと、
今が、
その時だ。
途端、胡桃の周りに金色の蝶が集う。
「散!」
まるで、ゆらめく炎のように、強く、優しく、そして、美しく
蝶は、蘇る。
その舞は、あたりの敵を薙ぎ払っていく。
これまで見ていたような戦いではない、まさに、圧倒的。
彼女のふるう杖に触れた瞬間、敵は消えていく。
その美しさに、目を奪われていると、どこからか、声が聞こえてきた。
「□○△!」
「–‡å—!」
「譁?ュ怜!」
よく聞き取れないが、その複数の声と共に、とたんに岩の建造物が生え、雨が降り出し、ものすごい風により敵が一箇所に集まっていった。
今度こそ、力尽きる。
あの輝きを見ていたいが、体の方が限界らしい。
最後に目に映ったのは、間抜けな掛け声と共に儀式杖を振り回し、敵を薙ぎ払う、堂主らしい姿だった。
・冥蝶の抱擁
胡桃のHPが25%以下、または戦闘不能に至るダメージを受けた時に発動:
このダメージで胡桃が戦闘不能になることはない。また、次の10秒間、胡桃の全元素耐性及び物理耐性+200%、会心率+100%、中断耐性大幅アップ。
この効果は胡桃のHPが1の時に自動で発動される。
60秒毎に1回のみ発動可能。
岩の建造物は、岩主人公です。
紛らわしくてすみせん。