蝶。炎のように   作:旅人さんた

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 まず最初に、ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。稚拙な文章、読み辛かったと思います。
 反省があるとしたら、もう少し後の展開を考えてから投稿すべきだった。というところです。

 そして、ここから先ですが、いわゆるntrといいますか…bssといいますか…失恋描写がございます。
もし本作の主人公に感情移入して読んでいただいた方で、そういうのが苦手と思われる方は、蛇足と感じられるかもしれません。
 私自身、正直なくてもいいなと思いましたが、書き始めからこうする予定でありましたので、せっかくなら書こう。と思ったのです。
 一応この先の展開としては、主人公の怪我が治った!よかった!
胡桃も元気!よかった!と言う内容です。一連の事件に関する話はございません。
 最後にもう一度、
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。初投稿ということで、至らぬ部分もかなりあったと思います。
 次の予定はございませんが、もし書いた時は、是非よろしくお願いいたします。
 (後書きもございます。)




往生堂にて。※前書き必読

 例の騒動から数日間続いた治療が、ようやく終わった。

やっと仕事に復帰できる。不思議と胸は弾んだ。

あのあと、堂主と自分は例の旅人に助けられたらしい。

 隣国では龍災を払い、ここ璃月の危機を何度も救い、稲妻の開国に一役買ったと言われる伝説の旅人だ。

そんな大物に救われるとは、なかなかの幸運なのだろう。

 しかし、自分はそんなことを気にするほど心に余裕はなかった。

堂主と過ごした数日間。皆が軽んじている堂主の本質を、自分は知れたのだ。

……白状しよう、多少の優越感があった。そして、彼女の理解者となった自分は、彼女へ恩を一生かけて返したいとも思っていた。

彼女への思いを言い表すのは難しい。

 たった一つ、確かなものがあるとしたら、あの日見た炎の輝きを、一生忘れることはないということだ。

 

 

 

 往生堂の前に着き、さっきまで浮かれていた気持ちが一気に引き締まった。別に、少なくとも今は、思いを告げようとするわけでもないのに、何を緊張してると言うのか。

 聞いたところ、

 恐る恐るドアを開けたが、彼女は不在らしい。

ほっとしたような、がっかりしたような。

彼女の天真爛漫な姿を見れるのを期待していたというのに。

 

 聞いたところ、客卿と共に営業をしてるらしい。

相変わらずだ。成功するとは思えないが、気長に待とう。

 

 いや、せっかくだから彼女の好きな料理でも買ってこよう。

確か、エビ蒸し餃子だったか。

 

 と、思っていたら急に扉が開かれた。堂主の帰還だ。普段、彼女は勢いよく扉を開けるので、すぐに堂主だとわかるのだが、どうやら様子がおかしい。

 

 

「そんなことを言ったところで、仕方がないだろう。」

 

「そんなことわかってるよ、鍾離先生。」

 

「層岩巨淵の調査のために一時的に戻ってきただけ、そもそも一点に留まらないのが旅人というものだ。」

 

「そーいえば、鍾離先生も行ってたよね?」

 

「まぁ、放っておくわけにもいかないからな。」

 

「旅人を?」

 

「全員だ。」

 

 話題は例の旅人らしい。まぁ確かに活躍ぶりは凄まじい。数日前までは、自分も旅人の噂を聞くのは、帝君の話の次に気に入っていた。

 

「おっ!回復した?傷が残ってないようで、何よりだよ。」

 

 堂主が自分に語りかけてきた。少しの喜びを感じつつ、言葉を返した。

「私?私は、まぁ、慣れてるからね。」

 

「俺が同行すべきはずだったのに、代わってもらったあげく、あのような事態に巻き込んで申し訳なかった。そして、よく頑張ってくれたな。」

 

 堂主からの心配も嬉しいが、鍾離先生から褒められるのも、不思議と悪い気分ではない。

 そして、堂主の不調の原因を聞く。

「いや、不調と言うほどでもない。単に気になっていた人と会ったにもかかわらず、まともに話せず、落ち込んでいただけだ。」

 

「ちょっと!鍾離先生!変な言い方やめてよ!」

 

「ははっ別に間違ったことは言ってないだろう。稲妻への旅行休暇くらい、構わないぞ。」

 

 堂主も、意外と旅人の話が好きらしい。

それも面識がある様子。堂主の凄さを再確認する。

「確か、旅人はぴん婆やの壺に家を建てていたはず。そこでなら、会えるんじゃないか?」

 

「うん、そう……かな。そうだと……いいな」

 

 

 

 最後の言葉が決定的だった。彼女の旅人への思いは、璃月人の大半が抱いてるものとは、別のものだったらしい。

 生と死を深く知り、若くして往生堂の堂主を完璧に務める彼女の心は、とっくに支配されていたのだ。

 あの旅人は、堂主のことを自分以上に理解しているのだろうか。

 堂主はそんな簡単に、自分に見せてくれたような素の部分を他人に明かすのだろうか。

 

 いや、違う。

彼女に素などなかった。強いて言うなら、全てが素だったのだ。

 たが、それを知るには遅すぎた。堂主と旅人がどれほど前に出会っていたのかは知らないが、きっとすぐにそのことに気付いたのだろう。

だからこそ、彼女の心を奪えたのだ。

 あまりにも遅すぎる出会い。あまりにも遅すぎる想い。

敵、とも呼べない。あの旅人は自分のことを知らないのだから。

 

 あの怨霊は、自分の心を殺して一度は親友に譲ったらしいが、自分にはそんなことはできそうにない。

 いや、まさか自分が怨霊にはなるまいが、少しだけ同情してしまった。

 死者に同情してはいけないと何度も教わったが、それでも、だ。

 

 数日後、一人の璃月人は自らの仕事場を離れ、思いを忘れることを選んだ。




 往生堂にて。をお読みいただき、ありがとうございました。胡桃の話を書こうと思った時、主人公はオリジナルと決めていましたが、胡桃と結ぶかどうかはあまり考えておりませんでした。
 最初が胡桃を軽んじるところから始まり、最終的に理解するという展開なので、恋心が浮かぶことはあるだろうな、とは思っていましたが、そんな時塵歌壺の胡桃のボイスを聞いて、
あ、胡桃は旅人love勢なんだな。と思ったので、こういう形になりました。


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