中抜き行進曲~アイドルファンですが、アイドル事務所社長に転生してしまいました   作:ひいちゃ

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#02『ニャンのデビューシングル!』

 さて、我が事務所最初のアイドル(候補生)『松浦ニャン』が誕生した、

 

 とはいえ、このままデビューさせるのははばかられる。とりあえず、スマイルレコードと契約させて、まずはボイストレーニングを積ませる。

 

 ボイストレーニングばかりの毎日で気がめいったか、それとも飽きてきたのか、ニャンはこんなことを言いだした。

 

「あの……社長。ボイストレーニングばかりで飽きてしまいます。もうそろそろデビューしたいんですけど」

「お前がそれを言うか。そう思うなら、これを聞いてみろ」

 

 スマホから、録音しておいた歌を流して聞かせてやる。流れるのは、声はきれいだが、音程がめちゃくちゃな歌だ。この前、ニャンに歌わせたものを録音した奴だ。

 

 それを聞いて、やはりニャンは表情を少し歪ませた。

 

「うわ、この歌誰のですか? ちょっと音痴なんですけど」

「お前のだよ」

「えぇっ!? ……お世話になりました」

 

 こら! 早々と自分の才能に見切りをつけて事務所を辞めようとするな!!

 お前に逃げられたら、うちにはもう後はないんだぞ!!

 

* * * * *

 

 あまりにも自分の音程のひどさに才能の限界を感じて、アイドルの道をあきらめようとした松浦ニャンですこんにちわ。

 

 事務所をやめようと立ち上がったら、社長さんが必死な顔つきで、腕をつかんでまで私を引き留めようとしてきました。

 

「確かにお前は音痴だ! アイドルになるのは無理なほどの!」

「はい、そうですね。ですからこれで諦めます。今までありがとうございました」

「だから、早々と諦めようとするなああああ!! 確かにお前は音痴だが、それでも、『うちで』トレーニング済めば、十分にアイドルとしてやっていける!」

 

 あの……社長さん。どうして『うちで』を強調するんですか?

 

 それからも、社長さんやスカウトさん、秘書さんに説得されて、結局アイドル目指すのを続行することにしました。

 

 でも、社長さんの言う通り、ボイトレを積んでいくうちに、確かに音程もかなり矯正されていく気がする。

 

 そうそう、営業も初体験しました!

 

 商店街とかスーパーの商店街で歌い踊っていると、やっぱりアイドルって感じがします! やっぱりアイドルはじめてよかった! ボイトレのおかげか、お客さんが顔をゆがめることもないようだし!

 でも、営業に行くたびに、集まるお客さんが、中年や年寄りばっかりなのはなんでなのかなぁ……?

 

* * * * *

 

 ニャンがうちの事務所に所属してから、1ヶ月が経った。

 もともと才能(のカケラ)があったからか、彼女は地道に少しずつ腕を上げていった。音程も、普通の人ぐらいには矯正されている。

 ……もうそろそろやってみるか。

 

 俺は、ボイトレに励んでいるニャンに言ってみることにした。

 

「なぁ、ニャン。そろそろファーストシングル出してみないか?」

「え?」

 

 ニャンはいきなりでびっくりしたのか、しばし硬直した後……。

 

「え、い、いいんですか!? やりたいですやりますやってやります、いやむしろやらせろです!!」

 

 だからそんな、すごい勢いで突っ込んできて迫ってくるな! 怖いんだよ!

 お前も、美瑠目が映ったのか!?

 

 何はともあれ、ニャンのファーストシングル作りが始まった。

 

 うちには作詞作曲できるスタッフがいないので、募集して集まってきたバックバンドメンバーの中で、作詞作曲が得意そうな奴にやらせてみる。お金はかかるけど仕方ない。

 

 ニャンを見ていると、作詞作曲ができるほど学があるように見えないからな。

 

「社長? 何か今、失礼なこと考えていませんでしたか?」

「い、いや、なんでもないぞ」

 

 そしてレコーディング。うん。アイドルの歌としては及第点と言えるだろうデキだ。

 ここからだな。

 

 そして……。

 

 松浦ニャンのファーストシングル……。

 

『親友だと思っていたのは自分だけだった』

 

がリリース! 松浦ニャンがついにデビューを果たした!!

 

「社長さん! なんですか、そのタイトルはぁ! 歌詞もですけど!!」

 

 一瞬の気の迷いだ、気にするな。

 

「気にします!!」

 

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