中抜き行進曲~アイドルファンですが、アイドル事務所社長に転生してしまいました 作:ひいちゃ
2ndシングルが出て、ライブをやっても、我が中貫事務所の懐は寒い状態だった。
シングルを出しても、使った分を埋め合わせるだけで精一杯。いっこうに我が暮らし、楽にならざり。
もう、ニャンをクビにして、新たなアイドルを探すべきか? と思ったそんな時だった、ある依頼がやってきたのだ!
「えええええ!? 地下カジノで歌う依頼!?」
「あぁ」
びっくりするニャンに俺はこっくりとうなずく。
「でででも、捕まったりしませんか?」
「向こうの話では、脱出ルートは確保してる、というから大丈夫だと思うぞ。そうそう、なんだったらカジノで稼いで来い」
「そんなぁ……」
「うちの事務所は火の車なんだ。こんなやばい営業でもこなさなきゃならないんだ」
そういうが、やはりニャンは腰が引け気味な様子。仕方ないので、でっち上げな話をしてみることにする。
「それにだ。新人の頃は、こんな暗い仕事にも手をつけなくちゃならん。これも経験だ。どんなアイドルも、このような後ろ暗い仕事をしてきて、ビッグになったんだ(大嘘」
「そ、そうなのですか……?」
「そうだ。ビッグアイドルになりたいんだろ? だったら、これは避けて通れない道なんだ」
俺がそう言うと、ニャンの表情が引き締まった。これは覚悟を決めた女の顔だ。
「わかりました……行ってきます!」
そしてニャンは勢いよく、社長室を出て行った。
……ってこら! 勢いよくドアを開けるな! 壊れたらどうする!!
……
………
…………
その日の夜、ニャンは帰ってきた。……ズタボロな姿で。
一体なにがあった!?
そしてファンが減った。
どうしてだろう……。
* * * * *
私……松浦ニャンの3rdシングルが出ることになった。
そこで私はある希望があり、それを伝えてみることにした。
「社長、私、自分で作詞作曲がしたいです!」
「さて、今回もあいつに頼むことにするか」
「ぴえん」
そして出来上がった3rdシングルのタイトルは……。
『売れなかったらポールダンス』
「なんでこんなタイトルにするんですかぁ!?」
* * * * *
気が付かなかったのだが、少しずつ売れてきてはいるらしい。
2年目4月~6月のロイヤリティは1347万円で、会社の資金も5000万円を突破した。
ニャンの歌声も、いくらかよくなってきたっぽい。
そこでまたアイドルを雇いたいんだが、こんな弱小事務所ではその余裕がないのがつらいところだ。
そんな中、4thシングルを発売。タイトルは……
『スマイルは基本無料』
「どうだ、いいタイトルだろ?」
「どこがですかぁ!?」
不評だった。なぜだろう……。
まぁ、それはともあれ、そろそろステップアップする時ではなかろうか。
「なぁ、ニャン。さらに上のレコード会社に挑戦してみないか?」
「え、いいんですか!? やりますやらせてくださいむしろやらせろ!!」
「わかった、わかったからそんなに瞳を燃やして乗り出してくるな!」
そして送り出したのだが……。
たそがれレコード……失格。
山本レコード……失格。
ここまで貯めていた3000万円が溶けた。
「てへぺろ」
「ふざけんなよ!!」
しかし、この後、ついにニャンの花開く時がやってくる……!!
次回、いよいよ(とりあえずの)最終話です。