ダンガンロンパ ルーナ   作:さわらの西京焼き

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学級裁判(後編)

 

 

 

 

 

 

学級裁判 再開!

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「…………犯人が分かったかもしれない」

俺が放った静かな一言。

それを聞いた全員が顔を見合わせた。

写実 真平「そ、それは本当でありますか夢寺氏!!」

北桜 千尋「れんすごい!!!!」

写実は驚きの顔で、千尋は満面の笑みでこちらを見る。

夢寺 蓮「ああ。まだ確証は得られてないが」

風神 雷哉「マジかよ蓮!流石オレのダチだぜ!!!」

雷哉はワハハと豪快に笑う。

結城 晴翔「…どうして、犯人が分かったのか教えてくれないかな」

夢寺 蓮「そもそも裁判前からおかしいとは思ってたんだ。犯人は何故女子しか入れない女子大浴場で殺人を犯したのか。初めから犯人が女子だと絞られる所で殺せば、後々犯人にとって不利になる事は知ってた筈だ」

薬師院 月乃「確かになぁ。実際うちらは女子、その中でも佐々木はんが犯人やと思ってたしなぁ」

自身のかんざしをいじりながら薬師院は薄く笑みを浮かべる。

夢寺 蓮「犯人が女子だと限定されて得するのは男子しかいない。だから俺は何となく男子が犯人じゃないかって裁判前から思ってた」

桃林 林檎「ほ、ほら言っただす!!やっぱり犯人は野蛮な男だっただす!」

風神 雷哉「オメー今までそんな事言ってなかったじゃねーか!!」

犯人は女子、しかも佐々木であるという推理は間違いであり、寧ろ男子の犯行である可能性が出てきた。

当然、女子は安堵し男子は焦り始める。

夢寺 蓮「ただ、俺の推理が合っているとは限らない。今から順番に話すから間違ってる箇所があったら指摘して欲しい。まずは…………」

 

 

 

 

 

「くだらない戯言を抜かすな」

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「何を言い出すかと思えば…………抜け穴を使って殺人に及んだだと?馬鹿馬鹿しい。ふざけた妄想をするのは勝手だが、それを他人にひけらかすのはやめろ。虫唾が走る」

夢寺 蓮「………………」

司 拓郎「俺様はお前みたいな無能の凡人が矮小な脳を駆使して必死に知恵を絞る姿を見るのが大嫌いなんだ。雑魚がしゃしゃり出てくるな」

夢寺 蓮「悪いが司。俺は退くつもりはない。凡人が必死に捻り出した推理、お前にも聞いてもらうぞ」

司 拓郎「俺様に指図するな……………!その減らず口、二度と聞けないようにしてやる…………!」

 

 

 

 

 

 

 

反論ショーダウン開始!

 

 

 

 

 

司 拓郎「そもそもお前の推理は穴だらけだ」

 

 

 

 

 

司 拓郎「まず、サウナ入口のドアノブに土が付いていたという話だが、あれは才能なしの殺人に関係する事だ。水泳部の殺人には何の関係もない」

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「そうなると、水泳部殺しの犯人は必然的に女子となる」

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「才能なしと水泳部を殺した犯人が別だという考えはないのか?」

 

 

 

 

司 拓郎「それに、露天風呂を使用した際偶々土が付いただけかもしれないだろ。少しは考えれば分かる筈だが?」

 

 

 

 

 

発展!

 

 

 

 

夢寺 蓮「ログの入室時間を見ると、乃木と百々海はほぼ同時刻に入っている。だから俺は2人を殺した犯人は同じだと考えている。抜け穴を使用した事も百々海の事件に大きく関係してる筈だ。それに、露天風呂に入る際に土が付く事なんて普通はないだろ。お前こそ少しはちゃんと考えたのか?」

 

 

 

 

 

司 拓郎「俺様に向かって『少しは考えたのか?』だと………!虚仮にするのも大概にしろよ………!!」

 

 

 

 

 

司 拓郎「お前の推理の穴はまだあるぞ。そもそもお前らゴミ共は犯行現場があの女子大浴場であると決めつけているようだが………」

 

 

 

 

 

司 拓郎「[他の場所で殺されて]から女子大浴場に運ばれた可能性を何故考慮しない?」

 

 

 

司 拓郎「まあどちらにしろ、男子が女子大浴場に入る手段は存在しない」

 

 

 

 

司 拓郎「結局、お前の推理は欠陥だらけなんだ。分かったなら二度と俺様に逆らうな」

 

 

 

 

 

 

 

[他の場所で殺されて]←[脱衣所の血痕]

 

 

 

 

その言葉、斬り捨てる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「いや、それはない。何故なら脱衣所には血痕が残されていたからだ。乃木の死体に外傷はないから、この血は必然的に百々海のになる。百々海はここで犯人と争いになって、その結果後頭部を殴られて殺されたんだ」

司 拓郎「何だと………!」

司が初めて困惑の表情を浮かべる。

佐々木 莉央奈「それはわたくしも見ましたわ。端の方でしたが、結構な量の血が飛び散ってましたわ」

結城 晴翔「犯人のものである可能性はないのかな?」

綾辻 澪「見た所、血が多く出る程の大きな怪我をしておられる方はいらっしゃらないですね」

確かに周りを見渡しても大きな怪我をしている者はいない。

夢寺 蓮「それに他の場所で殺して女子大浴場へ運ぶ時、3つの問題が発生する。まず、誰かに見られる可能性があること。次に血が垂れて証拠が残ってしまう可能性があること。そして自身も血で汚れてしまう可能性があることだ」

薬師院 月乃「随分とリスキーやねえ。普通なら選ばへん選択肢やなぁ」

天草 京介「…………では決まりだな…………百々海は女子脱衣所で殺害された…………」

飛鳥 圭「いやー、それにしてもガリ勉のお兄さん、分からせられちゃったねー。あんなにはとのお兄さんのこと馬鹿にしてたのに完敗だねー。どうー?完膚なきまでに叩きのめされた気持ちはー?

司 拓郎「…………!」

挑発された司は顔を真っ赤にして、何故か飛鳥ではなく俺を睨みつけてくる。

 

 

 

 

 

結城 晴翔「飛鳥さん、そういう人を挑発するような発言は駄目だよ。司君、君も少し落ち着こう。いつもの冷静な君らしくないよ」

不穏な空気を感じ取ったのか、結城が慌ててフォローに入る。

薬師院 月乃「あ、ちょっと質問してもええ?」

すると薬師院が手を挙げて俺の方を見た。

薬師院 月乃「夢寺はんに質問なんやけど、さっき犯人は男子だって言ったやろ?そんで犯人は男子脱衣所から入って抜け穴を通って女子大浴場へと出る。そして百々海はんと乃木はんを殺して女子脱衣所から外に出たって言ってたと思うんやけど、ここまでは合ってる?」

夢寺 蓮「ああ。大丈夫だ」

薬師院 月乃「ほんなら、どうやって女子脱衣所から出たん?男子やから自分のパスポートかざしても女子脱衣所から出れへんやろ?」

薬師院の疑問は最もだ。

犯人(男子)が女子脱衣所から出た方法。それは………

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[千尋の証言]

乃木のパスポートがどこにも見当たらないらしい。

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「それは俺も考えたんだが………。多分乃木のパスポートを使った筈だ」

佐々木 莉央奈「乃木サンの、ですか?」

夢寺 蓮「千尋。乃木のパスポートがどこにもなかったんだよな?」

北桜 千尋「う、うん。たまきのふくのなかとかいろんなばしょさがしたけど、どこにもなかったよ」

戸惑いながらも千尋はそう証言してくれた。

風神 雷哉「乃木のパスポートが無いのがなんか関係あんのかよ?」

夢寺 蓮「佐々木を気絶させた後、犯人は佐々木のパスポートを使って女子脱衣所から出て行ったのはさっき話したと思う。そして犯人は再び女子脱衣所に入り二人を殺した後、今度は乃木のパスポートを使用して出て行ったんだ」

ハルク「ン?なんでわざわざハテナサンのパスポートにしたんデスカ?そのままかるたクイーンサンのパスポートを使えばよかったのではないデスカ?」

よく分からない、といった風にハルクは首を傾げる。

夢寺 蓮「それは俺もよく分からない。だが、今佐々木のパスポートは佐々木の手元にあり、乃木のパスポートは行方不明。となれば、犯人は乃木のパスポートを使って出たと考えるのが自然だ」

薬師院 月乃「なるほどなぁ。もし出るとき佐々木はんのパスポートを使ったなら、今手元に佐々木はんのパスポートがあるのはおかしいよなぁ」

佐々木 莉央奈「…確かにそうですわ。パスポートを使ってでなくちゃいけないのに、パスポートが脱衣所内にあるのは矛盾してますわ」

桃林 林檎「で、ても他人のパスポートを使うなんてアリなんだすか?モノワニがそんなズルみたいな事許すとは思えないだすが………」

飛鳥 圭「規則に何も書いてなかったしオッケーでしょー。どうなのーモノワニー」

全員がモノワニの方を見る。

モノワニ「………なるほド。他人のパスポートの使用についてですカ。確かに規則には何も書かれていませんのデ、今回の事件についてはワタクシから特に言うことはございませン。しかし、これ以降同じ事が起きないとも言い切れませんのデ、今ここで規則を追加させて頂きまス」

すると全員のパスポートが一斉に音を上げた。

俺は早速自分のパスポートを開く。

 

 

 

 

 

 

13 パスポートの他人への貸与を禁止します。

 

 

 

 

 

 

北桜 八尋「貸与禁止、ですか」

モノワニ「そうでス。自身のパスポートを他人に貸す行為を今後一切禁止致しまス。しかし…………無断で使用する等につきましては黙認しまス」

北桜 千尋「ん?よくわかんないよ?どういうこと?」

司 拓郎「………他者から盗んだり既に死んでいる奴のパスポートを使用する事は問題ないという事か。こんな規則、あって無いようなものだろ」

冷静になった司がそう分析する。

北桜 千尋「なるほど!よくわかったよ!」

綾辻 澪「つまり、今回の事件の場合は男性の方が乃木様のパスポートを使用しても何の問題もなかったということになります。だから夢寺様はさっき男性だと仰られたのですね」

円城寺 霊夜「俺も納得がいったぜ。蓮がさっき言った時どうしてもそこが引っかかってたんだよな」

綾辻と円城寺がさっき反応してたのはこの事だったのか。

夢寺 蓮「みんなもこれで分かったと思うが、女子脱衣所への退出に関しては乃木のを使えば不可能じゃない。だが、問題は男子脱衣所へ入る時だ。男子のパスポートも同じように盗む事が出来れば女子にも犯行は可能だが、そんな機会はなかった。念のため聞くが、この中でパスポートを紛失した男子はいるか?」

俺の問いに全員が首を振る。

夢寺 蓮「となると、犯人は自分のパスポートを使うしかない。だから俺は男子が犯人だと言ったんだ」

結城 晴翔「なるほど!夢寺君の言いたい事がよく分かったよ。これで犯人は男子だと分かったね」

俺、雷哉、天草、結城、司、ハルク、写実、円城寺、八尋。

この9人の中に犯人が潜んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写実 真平「じ、じゃあ犯人は某らの中の誰かということでありますか!?」

自分を含めた男子が犯人候補であると知り、写実は慌てふためく。

ハルク「ノー!ワターシ犯人じゃありまセーン!!」

風神 雷哉「当然オレも違うぜ!!」

円城寺 霊夜「うるせえよ。今ここでアピールしてもなんの意味もねえよ」

夢寺 蓮「いや、全員じゃない。現時点で容疑者から外せる人がいるんだ。………結城、八尋、そして天草の3人だ」

途端に自分ではないとアピールし始める男子を落ち着かせ、俺は犯人ではない人間の名前を述べた。

ハルク「ワッツ!?何でその3人が犯人じゃないんデスカ!?」

写実 真平「そうであります!贔屓であります!!」

円城寺 霊夜「蓮はこんな場面で贔屓なんてしょうもない事しねえよ。………んで?なんか理由があんだろ?」

勿論、根拠はある。今挙げた3人は………。

 

 

 

 

 

 

・結城、天草、八尋が犯人ではない理由は?

 

 

1.露天風呂が嫌いだったから

2.抜け穴の存在を知らなかったから

3.殺しなんて絶対にしないから

 

 

 

→2.抜け穴の存在を知らなかったから

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「今までの話から露天風呂にある抜け穴を犯人が使ったのは明らかだ。だが、結城、八尋、天草の3人はそもそもさっきまで抜け穴の存在を知らなかった。なら犯行は不可能だ」

結城 晴翔「そう………だね。僕はその抜け穴の話は今初めて聞いたし」

北桜 八尋「同意見です。そもそも僕、大浴場使ってないですし」

天草 京介「………自分も露天風呂は利用した事は無かったし………その話は初耳だった…………」

薬師院 月乃「なるほどなぁ。確かに、さっき抜け穴の話になった時3人はピンと来てへん様子やったしなぁ」

ふむふむと薬師院は3人を見て納得した様子を見せる。

佐々木 莉央奈「そ、そうですわ!それに3人は覗き見事件に参加していませんでしたし、抜け穴の存在を知らなくて当然ですわね!」

疑いが完全に晴れ気持ちが大分楽になったのか、いつもの調子が出てきた佐々木が同意する。

結城、天草、八尋の3人が除外された。

残りは6人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写実 真平「とりあえず、結城氏と八尋氏と天草氏が犯人ではないのは分かったであります」

天草 京介「………残りは6人か………」

円城寺 霊夜「蓮。こっからどうすんだ?まだ犯人候補削れんのか?」

夢寺 蓮「ああ。……次に考えるべきなのは死体発見アナウンスだ」

風神 雷哉「死体………?」

北桜 千尋「はっけん………?」

ハルク「アナウンス、デスカ?」

何で3人見事に順番なんだよ。

結城 晴翔「死体発見アナウンス、だね。確かクロ以外の3人が死体を発見した時に鳴るアナウンスのことだよ」

頭にハテナを浮かべる3人に対して結城が簡潔に説明してくれた。

本当に助かる。

天草 京介「………それで?夢寺は何故アナウンスのことを口にしたんだ………?」

夢寺 蓮「さっき俺がした話を思い出してほしいんだが、百々海の死体を発見したのは綾辻、雷哉、俺の順番だった。まあ俺と雷哉はほぼ同時だったが。そして俺が見たその瞬間、『死体発見アナウンス』が鳴ったんだ」

佐々木 莉央奈「つまり、綾辻サン、風神サン、夢寺サンの3人で死体発見アナウンスが流れる条件が満たされた………ということですわね」

結城 晴翔「そうか!そうすると夢寺君と風神君はクロではないから、犯人から外れるというわけだね?」

風神 雷哉「なるほどな!じゃあオレと蓮は犯人じゃねーって事でいいんだよな?そりゃそうだぜ!オレらみてーないいやつが人殺しなんてするはずねーよ!」

自分で言うのかよ。

北桜 八尋「あなたは人格というより頭脳面でだいぶ問題があるんじゃないですか?」

風神 雷哉「うるせーぞ八尋!」

そうだ八尋。もっと言ってやれ。

 

 

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「えーっと………これで夢寺はんと風神はんが消えたから、残りは4人やね」

綾辻 澪「円城寺様と写実様、司様にハルク様ですね」

俺と雷哉が除外されたので、残りは4人。

この中に犯人がいる。

司 拓郎「………フン、なら犯人は明らかだろう」

当人である司は余裕の表情だ。

風神 雷哉「あぁ?テメーが犯人だろ!」

司 拓郎「俺様がこんな稚拙な犯行をするとでも?俺様ならもう少しマシな殺し方をする」

北桜 八尋「口先だけでは何とでも言えますよ。それで?あなたが犯人だと思っているのは誰なんですか?」

司 拓郎「………カメラマン。お前だろう?」

写実 真平「えええ!?某でありますか!?」

司 拓郎「動機ならあるぞ。お前、普段から女湯を覗き見しようと画策していたらしいな。そして今回の被害者のうち1人は生真面目な才能不詳だ。あの女がお前を放っておくはずがない。お前はあの女に普段の行動について注意され、頭に血が上り殺人を起こす事を決意した。そしてついでに犯行現場を見られ、口封じの為水泳部も殺した。違うか?」

写実 真平「そ、そんな事するわけないであります!!!!確かに某は常にここにいる女子の裸を妄想してるでありますが………」

円城寺 霊夜「いや、それはそれでアウトだろ」

佐々木 莉央奈「なんて穢らわしい人なんですの………信じられませんわ」

佐々木を始めとする女子の殆どは、写実を汚物のような目で見ていた。

俺も一歩間違えたらあんな扱いを日常的に受ける可能性があったのか。

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「んで?この4人の中からどうやって犯人決めんだよ、蓮」

犯人候補であるが落ち着いている円城寺がそう尋ねる。

夢寺 蓮「そうだな…………。じゃあ次はアリバイで考えてみよう」

風神 雷哉「お!なんかそれっぽくなってきたじゃねーか!探偵みたいだぞ蓮!」

1人でワクワクするな。子どもか。

佐々木 莉央奈「アリバイ、ですか。いつ頃のアリバイについて話せばいいんですの?」

綾辻 澪「ひとまず、今朝のアリバイから話してみるのはいかがでしょうか?」

飛鳥 圭「だねー。だって入室のログからおチビのお姉さんとぐうたらお姉さん、朝の6時半過ぎまでは生きてたのは確実だもんねー」

綾辻の提案に全飛鳥をはじめとするほぼ全員が同意する。

結城 晴翔「よし、じゃあ今朝のアリバイについて議論しよう」

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

結城 晴翔「みんな、じゃあ今朝のことについて思い出してみよう」

円城寺 霊夜「今朝か………。俺はいつも通り、朝飯の支度があるから6時半前には食堂に来たな。その後はずっと澪と京介と一緒にいたぜ」

写実 真平「某はいつもより早く目が覚めた故、7時前くらいに食堂へ来たであります。結城氏と途中で会ってるそこから一緒に行ったであります」

司 拓郎「俺様は朝7時過ぎに食堂に寄った。その後はずっと自室にいた。お前らと馴れ合うなど反吐が出るからな」

風神 雷哉「いちいち一言多いんだよコラ!」

薬師院 月乃「うちは結構ギリギリやったなぁ」

ハルク 「ワターシも今日は寝坊しまシター!でも全然怪しくないデース!」

天草 京介「………自分で言うのか…………」

北桜 八尋「こんなことで犯人が絞れるんですか?[何も手がかりがない]ように思えるんですが」

 

 

 

 

[何も手がかりがない]←[結城の証言]

 

 

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「いや、これは大きな手がかりだ。今の話で2人犯人候補から外れる」

北桜 八尋「何故です?」

夢寺 蓮「今朝、誰が何時頃食堂に来たのかを結城が全部覚えててくれたんだ。結城。申し訳ないがもう一度言ってくれないか?」

結城 晴翔「勿論だよ。まずは6時半に食事当番の円城寺君。天草君。そして綾辻さん。6時45分前後に僕。7時頃に写実君。7時15分頃に司君。7時半以降に千尋さん、桃林君、ハルク君、風神さん、薬師院さん、夢寺君だね」

桃林 林檎「さ、流石晴翔くんだす!!」

風神 雷哉「でもよ、それがどう関係あるんだよ」

夢寺 蓮「雷哉、ログを思い出してみろ。犯人のものらしきログはいつ男子脱衣所に入っていつ女子脱衣所を出た?」

風神 雷哉「えーっと…………いつだっけ?」

この馬鹿野郎。

結城 晴翔「確か6時半過ぎに男子脱衣所に入って、6時55分に女子脱衣所を出たって記録されていたね」

代わりに結城が答えてくれた。

夢寺 蓮「ありがとう結城。………つまり犯人は約20分の間脱衣所にいたという事になる。でもさっきの4人のうち、円城寺はその時既に食堂にいたんだ」

北桜 千尋「あー!!ほんとだ!れいやしょくどうにいるね!」

飛鳥 圭「途中で抜け出した可能性はないのー?」

綾辻 澪「円城寺様は私と天草様とずっと厨房におられました。なので途中から厨房を抜け出した、ということもないです」

天草 京介「………綾辻と同意見だ。円城寺はずっと厨房にいたと証言しよう……」

一緒にいた綾辻と天草がそう証言する。

円城寺 霊夜「俺は厨房から出てねえ。天に誓ってそう言えるぜ」

飛鳥 圭「そっかー。ならユーレイのお兄さんは違うねー」

飛鳥は割と素直に納得したようだ。

………心なしか、円城寺が犯人ではなくて安心したように見える。

 

 

 

 

 

 

佐々木 莉央奈「円城寺サンは分かりましたけど……もう一人犯人候補から外れる人というのは誰ですの?」

夢寺 蓮「もう一人は写実だ」

写実 真平「そ、某でありますか?」

思わず眼鏡を外し驚く写実。

夢寺 蓮「ああ。写実もクロじゃないから除外していいと思う」

桃林 林檎「ちょ、ちょっと待つだす!!!」

俺の発言に反応したのは桃林だ。

桃林 林檎「は、晴翔くんは写実くんは7時ごろに来たって言ってただす!けど犯人が脱衣所から出たのは6時55分だす!なら殺した後何食わぬ顔で食堂に来る事も出来る筈だす!」

飛鳥 圭「おー。おデブのお姉さんにしては鋭い発言だねー」

『し、失礼だす!!』と怒る桃林を無視して飛鳥は写真の方を向く。

飛鳥 圭「大浴場から食堂まで30秒もあれば行けるんだし、オタクのお兄さんにも犯行は十分可能だよねー」

写実 真平「そ、そうは言われても…某にはそんな器用な事は出来ないであります!全部顔に出ちゃうタイプであります!」

薬師院 月乃「写実はん、嘘つくの下手そうやしねぇ」

飛鳥 圭「そんなの理由にならないよー。それでー?はとのお兄さんはこれにはどう反論するのかなー?」

ニコニコと笑う飛鳥。

この状況を楽しんでいるというのは嘘ではないみたいだ。

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「確かに5分あれば食堂へは行けるだろう。けど、それには問題がある。7時より前に食堂にいた人に聞きたいんだが、写実が食堂に来た時、服装に違和感は無かったか?」

円城寺 霊夜「服装ぅ?」

北桜 千尋「それってなにかかんけいあるの?」

夢寺 蓮「ああ。とても大事なことだ」

綾辻 澪「服装、ですか………」

厨房と食堂を行き来していたという綾辻が思案する。

綾辻 澪「写実様がいらっしゃった時、特におかしな点は無かったと思います。いつも通りの写実様でした」

結城 晴翔「僕も同じ意見だよ。普通の格好をしていたと思うよ」

夢寺 蓮「そうか。なら写実が犯人の可能性は低い」

風神 雷哉「なんでそーなんだよ?」

夢寺 蓮「さっき脱衣所に血痕があったって言っただろ?その事から犯人は百々海と揉み合いになり、そこで百々海は後頭部を何度も殴られて出血、殺害されたんだと思う。その時、犯人には返り血が服に付いた筈なんだ」

北桜 八尋「なるほど。犯人は返り血を浴びた筈だから写実さんが犯人なら服が綺麗なままなのはおかしいと?」

八尋が俺の話をそうまとめる。

 

 

 

 

 

桃林 林檎「な、なら部屋に帰って着替えればいいだす!そんなの1分も有ればすぐ終わるだす!」

夢寺 蓮「なら、もし仮に無事に着替え終わったとしよう。だったら写実の部屋には今血のついた服が残ってるって事になる。司、お前は全員の部屋を調べたって言ってたよな?写実の部屋に血のついた服はあったか?」

司 拓郎「………………」

司は俺を睨んだまま黙っている。

風神 雷哉「おいテメー。さっきはベラベラ喋ってイキってたと思ったら今度はだんまりかよ。ああ?」

司 拓郎「…………」

夢寺 蓮「答えられないか?」

司 拓郎「………チッ。こんな能無しの質問に答えなくてはいけないとはな。…………カメラマンの部屋に血の付着した服など無かった。いかがわしい物はわんさか出てきたがな」

写実 真平「なっ!?」

写実の顔に焦りが浮かぶ。

薬師院 月乃「いかがわしいもの?写実はん、あんた………」

写実 真平「そ、そんなものは全然、全く、何もないでありますよ!某、普段から女性の写真を撮ってそれを見ながらウハウハなんて………」

佐々木 莉央奈「もう答えを言ってるようなものですわ………」

ハルク「カメラマンサン、盗撮デース!お縄ちょうだいデース!」

写実 真平「某は無実であります!!!ただ普段の女性の写真を撮ってるだけであります!裸を撮ってるわけじゃないからセーフであります!」

……本当にどうしようもないな、こいつは。

 

 

 

 

 

 

 

結城 晴翔「しゃ、写実君の件はまた後で話すとして………。彼には犯行は出来ない、って事でいいのかな?」

夢寺 蓮「ああ。血が付着した服がないという事は写実は着替えていないことになる。そして何より、人を殺した後何食わぬ顔で食堂に来る、というのが写実に出来るかと言われたら無理な気がする」

天草 京介「…………確かに、そうだな………」

嘘をつくのが下手そうな奴の代表みたいな写実にポーカーフェイスは難しいだろう。

写実 真平「よ、良かったであります………。犯人候補から外れるのがこれ程安心するとは………」

円城寺 霊夜「同感だ。ったく、周りからの目が怖くてしょうがないぜ」

また2人が犯人から除外された。

残りは…………2人。

 

 

 

 

 

 

北桜 八尋「司さんかハルクさん………。どちらか犯人という訳ですね」

視線が一斉に2人に集まる。

司 拓郎「俺様が犯人?笑わせるな。そこの筋肉野郎が犯人に決まっている」

ハルク「ワターシ違いマス!!信じてクダサイ!!」

風神 雷哉「だったらこのクソ眼鏡が犯人だろ!!ハルクが人殺しなんかする筈がねえ!」

桃林 林檎「そ、そうだす!いつも偉そうにしてるしこの人が犯人だす!

薬師院 月乃「普通はそう思うやろうけど、誰が人殺すか分からへんからなぁ。夢寺はんも言ってやろ?本性隠してる可能性も否定出来ひんって」

佐々木 莉央奈「でも、ハルクサンが人を殺す所が想像出来ませんわ……」

結城 晴翔「みんな、一旦落ち着こう」

ヒートアップしてきた議論を結城が諌める。

結城 晴翔「ひとまず2人まで絞れたけど、まだ犯人を断定するには材料が足りない。そこで提案なんだけど、今度は乃木さんの事件について話してみない?」

そして議論が煮詰まっていると判断したのか、そう提案した。

桃林 林檎「ま、まだ百々海さんの事件が解決してないのにだすか……?まあ晴翔くんがいうならワタシはそれでいいだすが」

結城 晴翔「さっき夢寺君が言っていたけど、今回の事件、2人を殺した犯人は同一犯だと僕も思っているんだ。もしかしたら乃木さんの事件を紐解く事で百々海さんの事件の犯人が浮かび上がってくるかもしれない。みんなはどうかな?」

司 拓郎「フン、ならすぐ始めるぞ」

司は不遜な態度を崩さず、鋭い目で周りを見渡す。

司 拓郎「犯人がどちらかなど議論するまでもなく明らかだがな」

ハルク「ワターシ、おふたりを殺すなんて絶対にしまセン!!」

北桜 千尋「よーし!千尋もがんばるぞー!!えいえいおー!!」

他のみんなも反対意見等は特に出なかったので、次は乃木の事件について話し合う事になった。

サウナで静かに死んでいた乃木。

果たして彼女の身に一体何が起きたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

 

結城 晴翔「じゃあ、またモノワニファイルの内容からおさらいしていこうか。被害者は《超高校級の???」乃木 環さん」

天草 京介「………死体発見場所は1F女子大浴場のサウナ内だったな…………」

円城寺 霊夜「死因は脱水症状か。要は閉じ込められたってことだな」

写実 真平「そして体に外傷はなし、でありますか。つまり[誰かに攻撃された訳ではない]のでありますな」

桃林 林檎「け、けど、そんな短時間サウナに入ったくらいで死ぬなんて普通あり得ないだす。別に[温度も普通]だし、特別な仕掛けとかもなかっただす」

薬師院 月乃「確かに不思議やなぁ。乃木はん、入る前から調子が悪かったのやろか」

 

 

 

 

[温度も普通]←[サウナの温度]

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

 

桃林 林檎「ま、またアンタだすか!そ、そんなにワタシのことが気に食わないのだすか!!」

桃林が顔を真っ赤にして俺に怒りだす。

夢寺 蓮「ち、違うんだ。えっと、サウナの温度についてだが、俺達が乃木を発見するまで温度は80度に設定されていたんだ」

写実 真平「は、はちじゅうど!?」

ハルク「暑すぎデース!!!」

風神 雷哉「だからあんな暑かったのかよ!どーりで喉乾くわけだ!」

実際、俺も入ってものの数分で汗が止まらなくなった。

恐らく乃木はあの環境に数十分閉じ込められ、そのまま暑さに耐えきれず死んでしまったのだろう。

佐々木 莉央奈「そういえば、一つ気になってた事があるんですけども」

すると佐々木が上品に手を挙げた。

夢寺 蓮「どうした?佐々木」

佐々木 莉央奈「り・お・な!!ですわ!!!こほん、えーっと、今さらですがこのモノワニファイルにある情報って本当に信用していいんですの?」

飛鳥 圭「どういう意味ー?」

佐々木 莉央奈「言葉通りの意味ですわ。モノワニがわざと嘘の情報を書いてる可能性もあるのではないか、とふと思ったんですわ」

夢寺 蓮「いや、恐らくその情報に嘘はない」

佐々木 莉央奈「そ、即答ですわね。その根拠はあるんですの?」

何故か挑戦的な視線をこちらに向ける佐々木。

何故そう言い切れるのか。

それは………。

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[綾辻の検死結果]

モノカバファイルとの相違点はなし。

死斑から死亡推定時刻は06:30〜7:30までの間だと推定される。

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

夢寺 蓮「実際検死を綾辻にしてもらったが、モノワニファイルとの相違点はなかったらしい。だよな?綾辻」

綾辻 澪「夢寺様の言う通りです」

名前を呼ばれた綾辻は背筋をピンと伸ばす。

綾辻 澪「検死をした結果、乃木様の身体はモノワニファイルと同じ状況でした。そして追加で申し上げますと、乃木様の死亡推定時刻は6時半から7時半までの間だと思われます」

風神 雷哉「マジか!めっちゃ絞れてんじゃねーか!」

北桜 八尋「となると、百々海さんと乃木さんはほぼ同時に殺されたという説は正しそうですね」

飛鳥 圭「おチビのお姉さんを襲ってる時にぐうたらお姉さんがその現場を偶然見ちゃった、みたいな事じゃない?だから口封じのためにぐうたらお姉さんも殺したとか」

薬師院 月乃「確かにありそうやねぇ。じゃないと2人も殺す意味が分からへんもんな」

結城 晴翔「どうして…………まだ踏み止まれた筈なのに…………」

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「それだ」

俺は静かに、けどはっきりと声を出した。

風神 雷哉「それだ?何の話だよ、蓮」

夢寺 蓮「飛鳥がさっき言った『襲う』って単語だ。みんな、乃木はどのようにしてサウナに閉じ込められたと思う?」

天草 京介「………無理やり閉じ込めたのではないか?………」

思案顔で天草が意見を述べる。

夢寺 蓮「いや、その可能性は薄い。乃木の体には傷ひとつ付いていなかったんだ。無理やり連れていけば、普通身体に何かしらの傷が残るだろう」

北桜 千尋「じゃあ、りおなのときみたいにしらないあいだにねむらせたとか?」

北桜 八尋「馬鹿な事を言わないで下さい、千尋。そんな非現実的な事が一度にそう何回も起きるはずが………」

夢寺 蓮「いや、千尋の意見に俺は賛成だ」

北桜 八尋「………は?」

北桜 千尋「やったー!れんもそうおもうって!!」

八尋がお前まで何を言ってるんだみたいな顔をしている。

夢寺 蓮「佐々木を襲った奴と乃木達を殺した奴は同じだ。つまり同じ方法で2人を無力化した可能性は高い」

佐々木 莉央奈「わたくしと同じように眠らさせたというんですの?でも、身体を傷つけずに意識を失わせる方法なんて…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾辻 澪「ある、かもしれません」

綾辻がぽつりと呟いた。

桃林 林檎「あ、あるんだすか?本当にそんな方法」

綾辻 澪「莉央奈様が眠らさせたと言う話を聞いてからずっと考えていたんです。そんな短時間で意識を失わせる方法。莉央奈様のように布を後ろから当てられたのであれば…………思い当たるのは一つしかありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾辻 澪「睡眠薬、だと思われます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「睡眠薬、だと?」

円城寺を始め、ほぼ全員が驚愕する。

綾辻 澪「はい。ハンカチに睡眠薬を染み込ませ眠らせるという方法です。ドラマ等でよく見ると思われますが、現実でも可能な行為です」

円城寺 霊夜「待て澪。まあ睡眠薬ってのはよく分かった。けどな、そんなのどっから手に入れたんだ。薬なんて置いてある場所はねえぞ」

夢寺 蓮「…………パンドラの箱」

円城寺 霊夜「あ?」

夢寺 蓮「動機発表の時全員に配られたパンドラの箱があったよな。あれには殺人に使える凶器が入っていた筈だ。犯人はそれを利用したんじゃないのか?」

結城 晴翔「ま、待ってよ夢寺君。僕が開けないでって言った物を後で勝手に開けた人がいるのかい?」

飛鳥 圭「そんな口約束守るわけないじゃんー」

飛鳥は呆れたような、馬鹿にしたような口調で結城の発言を否定する。

飛鳥 圭「イケメンのお兄さんは甘すぎるよー。そんな約束破るに決まってんじゃんー。そのくらい犯人は追い込まれてるんだからねー」

結城 晴翔「くっ…………!!」

夢寺 蓮「とにかく、犯人は自分のパンドラの箱を開け、睡眠薬を調達して犯行に利用したんだ」

北桜 八尋「…………待って下さい。では…………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は犯人ではないという事ですよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八尋の言葉で俺の頭の中に電撃のようなものが走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()の凶器は…………………既に判明している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

となると犯人は……………………凶器が()()()()()()()…………………あいつしかいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指定しろ!

 

 

 

夢寺 蓮

 

桃林 林檎

 

風神 雷哉

 

薬師院 月乃

 

百々海 真凛

 

写実 真平

 

結城 晴翔

 

乃木 環

 

司 拓郎

 

佐々木 莉央奈

 

天草 京介

 

飛鳥 圭

 

ハルク ゴンザレス

 

 

 

北桜 八尋

 

綾辻 澪

 

円城寺 霊夜

 

北桜 千尋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「司。お前が犯人じゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「…………」

俺は腕組みをして口を閉じている少年、司拓郎にそっと問いかけた。

写実 真平「ゆ、夢寺氏!?」

北桜 千尋「なんでー!?たくろうすごくがんばってたのに!!」

夢寺 蓮「勿論、根拠はある」

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[パンドラの箱]

動機発表の際に配られた殺人の手助けとなる道具が入った箱。

ハルクの箱の中身がククリナイフであることは全員が把握しており、また、佐々木の箱は未開封である。

 

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「みんなに一つ聞きたい。………ハルクのパンドラの箱の中身は何だ?」

俺はみんなに質問を問いかける。

写実 真平「それは…………ナイフでありますな」

代表して写実が答えた。

夢寺 蓮「写実は何でそれを知ってるんだ?」

写実 真平「それはだって…………ハルク氏が全員の前で思いっきり開けて………あ!」

写実は言っている途中で気がついたようだ。

他のみんなも数人を除いて気がついたらしい。

夢寺 蓮「ハルクはみんなの前で箱を開け、そして自分の凶器がナイフだということを知られている。睡眠薬ではない以上、犯人はハルクじゃない」

流石に喜ぶ場面じゃない事を理解しているのか、ハルクは黙ってコクコク頷く。

夢寺 蓮「となると…………残った奴は1人しかいない。パンドラの箱の中身が判明していないのは…………司、お前だけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「…………ククク。無能風情が俺様を犯人扱いとは。随分と調子に乗っているようだな」

しかし司は動じない。

寧ろ余裕の笑みを浮かべている。

司 拓郎「下らん。実に下らんな。お前の推理は何一つとして合っていない。ただの妄想だ」

夢寺 蓮「じゃあ聞くが、お前のパンドラの箱の中身は何だ?お前みたいな奴が開けていない筈がない。やましい事がなければ答えられるよな?」

俺は追求を続ける。

迷うな。

ここで退いたら俺の負けだ。

司 拓郎「俺様の箱の中身か………。いいだろう、特別に教えてやる。俺様の箱の中身はスパナだ」

夢寺 蓮「その証拠は?」

司 拓郎「スパナを見せろと?普段からそんな物騒なものを持ち歩いてるわけがないだろう。今は俺様の自室にある。………だがそれを確かめる事は不可能だぞ?何故なら今はもう学級裁判中だからな。途中退席は許されないんだろう?」

モノワニ「その通りでス。捜査時間は終了しておりますのデ」

司 拓郎「だそうだ。お前の稚拙な推理も証拠がなければ意味はない。俺を犯人だと糾弾するのであれば、もう少しマシな推理をするんだな。まあ、お前みたいたカスに出来るとは到底思えないがな」

司のこの余裕は何だ。

もしかして…………本当に司は犯人ではないのか?

俺の推理が間違っていた………。

だとすると俺は…………。

 

 

 

 

 

風神 雷哉「落ち着けよ、蓮」

すると、妙に落ち着いた声が聞こえてきた。

なんとその正体は、あの雷哉だった。

風神 雷哉「オメーは司が犯人だと思ってんだろ。なら堂々と自分の意見を貫き通せばいいじゃねーか。昔を思い出せよ。オレ達、昔もそうだったろ?」

雷哉に言われ、一度目を閉じる。

まさかアイツに励まされるとは。

………そうだ。

気持ちで負けるな。

俺の推理は間違っていない。

余裕を装っているが、確実に司を追い詰めている筈だ。

後一歩だ。

それで届く。

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「………そうか。お前は逃げるのか。俺みたいな無能な凡人に罪を暴かれるのを恐れて逃げるんだな」

司 拓郎「………!」

司の眉がピクリと動く。

夢寺 蓮「お前が俺に負けるのがそんなに怖いのなら仕方がない。まあ、ここまできた時点で既に俺の勝ちだけどな」

司 拓郎「………おい。誰に向かって口を聞いてるんだゴミ」

司は裁判台に拳を叩きつけた。

司 拓郎「思い上がるなよ。少し推理を披露したからって俺様に勝っただと?……馬鹿が。格の違いすら理解出来ない猿が一端の口を聞くな!!」

夢寺 蓮「俺は事実を言ったまでだ。それとも何だ?もしかして図星だったのか?だからそんなに騒ぎ立てているのか?」

司 拓郎「黙れ!!!!!!!!!!」

激高した司は今までで一番大きい声量で俺に怒鳴った。

結城 晴翔「だ、駄目だよ2人とも!!一度冷静になって話し合いを……」

風神 雷哉「邪魔すんなよ結城」

結城 晴翔「………え?」

風神 雷哉「今は蓮と司の1対1の殴り合いだ。外野は茶々入れずに見守るのがルールなんだよ」

結城 晴翔「そんな事言ってる場合じゃ………」

円城寺 霊夜「黙って見てろ晴翔。てめえも男だろ。俺達は蓮を信じるしかねえんだよ」

 

 

 

 

 

 

理論武装 開始!

 

 

 

 

 

司 拓郎「俺様が犯人の可能性は万が一にもない!」

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「抜け穴を使った?睡眠薬で眠らせた?」

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「それは全てお前の不完全な推理でしかないんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「俺様が犯人だという証拠は[どこにもない!!!]

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「お前の稚拙な妄想をこれ以上俺様に聞かせるな!耳が腐る!!」

 

 

 

 

 

 

 

[どこにもない]←[千尋の証言]

 

 

 

 

これで終わりだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「なあ司…………。一つ聞きたいんだが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

司 拓郎「……………………え?」

怒り狂った司の動きがピタリと止まる。

夢寺 蓮「千尋。さっきの確認になるんだが、乃木のパスポートは本当にどこにもなかったんだよな?」

北桜 千尋「そうだよ!千尋いろんなばしょさがしたもん!まちがいないよ!」

千尋は胸を張りながらそう宣言する。

夢寺 蓮「俺は乃木が何故朝早くに大浴場に行ったのか。そして脱衣所から出るとき、何故佐々木のパスポートではなく乃木のパスポートを使ったのか。その理由が分からなかった。朝から風呂に入る習慣が乃木にあったという話は聞いたことがなかったし、普通風呂は夜に入るものだからな。………だから乃木は()()()()()()()()()()()()()()()と俺は考えている。パスポートのチャット機能を使ってな」

佐々木 莉央奈「確かにこのパスポートには生徒同士で会話が出来るチャット機能がありますけど………」

夢寺 蓮「そう、もしそれを使って呼び出したとなればお互いに履歴が残る。だから現場に乃木のパスポートを残しておくとマズいと犯人は考える筈だ」

結城 晴翔「そうか!だから犯人は乃木さんのパスポートを現場から持ち出したんだね」

北桜 八尋「ですが、それもさっきと同じ話です。もし司さんがそれを持ち出して部屋に置いてあるのであれば、それを確かめる事は不可能ですよ」

夢寺 蓮「いや、それは恐らくない。捜査時間中は全ての個室が開放されるんだ。もし個室に置いておけば、誰かが隠した乃木のパスポートを見つけるかもしれない。さっきの睡眠薬もそうだが、犯人は安易に自分の個室に証拠を隠したりしない筈だ」

天草 京介「………言われてみれば………そうだな………」

薬師院 月乃「ほんなら、乃木はんのパスポートは一体どこに隠したんやろうか?きっとすぐには分からへん場所に隠したんやと思うけど」

ハルク「アア!なら犯人、きっとパスポート壊して処分したんデス!!ゴミ箱にポイしたんデス!」

いや、それもない。

何故なら………。

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[百々海のパスポート]

百々海が所持していたパスポート。液晶は派手に割れているが、壊れてはいない。

 

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

夢寺 蓮「これは現場に残されていた百々海のパスポートだ」

薬師院 月乃「これはまた派手に壊れてるなぁ」

飛鳥 圭「きっとぐうたらお姉さん殺った木槌で殴ったんだろうねー。そのパスポートやっぱ壊れてるの?」

夢寺 蓮「いや、ちゃんと起動する」

電源ボタンを押すと、『百々海 真凛』と名前が表示された。

風神 雷哉「凄げー!そんなでもちゃんと動くんだな!」

夢寺 蓮「理由は分からないが、犯人は百々海のパスポートを壊そうと思ったんだろう。だが壊れなかった」

円城寺 霊夜「なるほどな。だから犯人は壊すのを諦めて環のパスポートは持ち帰ったってわけか」

モノワニ「口を挟ませて頂きますト、このパスポートは衝撃、水、高温等には滅法強い作りになっておりまス。なのデ、その程度の衝撃ではびくともしませんヨ」

ハルク「なるホド!よく分かりマシタ!!」

綾辻 澪「壊して処分という線も消えましたが………そうなると乃木さんのパスポートはどこにあるのでしょうか?」

夢寺 蓮「考えうる場所は一つしかない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「司…………。ポケットの中身を見せてくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「………何…………だと………?」

夢寺 蓮「自室にない。そして処分も出来ない。となると隠せる身近な場所は一つ。自分の懐だ。お前には隠す時間もあったしな」

桃林 林檎「隠す時間………?」

夢寺 蓮「司は捜査時間中、百々海の検死を終えた後、それぞれの自室の捜査をしていた。ならその時間、部屋にあるパスポートを自分の懐に入れる事くらい出来た筈だ」

司 拓郎「な…………!!」

司の顔がみるみる青ざめていく。

風神 雷哉「おい司!!ポッケの中身見せやがれ!」

司 拓郎「ふざけるな!誰が見せるか!!」

風神 雷哉「なら力ずくでやるしかねえな。おいハルク!手伝え!」

ハルク「秀才サン、大人しくしてクダサイ!」

司 拓郎「やめろ!!離せ!!凡人が俺の命令を聞けないのか!!!」

暴れる司をハルクが羽交い締めにし、雷哉が懐を探る。

風神 雷哉「…………おい司。どう言う事だこりゃ」

しばらくして雷哉が取り出したのは、空になった謎の瓶、そして2()()のパスポートだった。

円城寺 霊夜「蓮の言った通りじゃねえか………」

飛鳥 圭「流石だねーはとのお兄さん。じゃあその2台貸してー。ちゃんと中身確かめないとねー」

司 拓郎「やめろおおおおおお!!!!」

飛鳥は雷哉からパスポートを受け取ると、躊躇なく電源ボタンを押した。

飛鳥 圭「………ビンゴだね♪」

飛鳥は全員に1台のパスポートを見せた。

するとそこには、『乃木 環』の名前が表示されていた。

北桜 八尋「………決まりですね」

司 拓郎「…………クソが。クソがああああああああ!!」

飛鳥 圭「一応中身も見ておこうかなー。…………あ、やっぱりはとのお兄さんの言う通りだよー。おチビのお姉さん、チャットで呼び出されてるよー。しかも相手はは『佐々木莉央奈」って書いてあるねー」

佐々木 莉央奈「わ、わたくしですの!?わたくし、そんな呼び出しなんてしてないですわよ!?」

夢寺 蓮「きっと司が佐々木のパスポートを操作して送ったんだ。女子の佐々木であれば、集合場所を女子脱衣所にしても不自然じゃないからな」

飛鳥 圭「ボクもそれに賛成だなー。だってガリ勉のお兄さんの名前で女子脱衣所に呼び出したら明らかに不自然だもんーワガママお姉さんからだったら警戒しないでしょー」

飛鳥の言葉に、俺は安心と恐怖が同時に襲ってきた。

推理は合っていた。

だが、同時に俺達はあの2人を殺したのが同じ同級生の司だと知ってしまった。

こんな身近な存在の命が消え、そして身近に殺人者がいた。

恐怖が襲ってきたのはそういう理由だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

結城 晴翔「夢寺君。僕からお願いがある。………この事件のまとめをお願いしたいんだ」

結城が悲しげな表情で俺を見る。

結城 晴翔「もう終わらせてほしい。友達のこんな姿、これ以上見るのは耐えられないんだ」

夢寺 蓮「分かった。今回の事件をまとめる。それで………終わりにしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クライマックス推理 開始!

 

 

 

 

 

act.1

 

今回の事件の発端は昨日の夜中12時頃まで遡る。

犯人はまず、とある人物に『配られた動機をバラされたくなかったら、12時頃大浴場前に来い』という脅迫状を送ったんだ。

その人物は佐々木だった。

佐々木は言われた通り12時頃大浴場前に向かった。けど、いくら待っても脅迫状の送り主は現れなかったんだ。

佐々木は不思議に思いながらもそのまま入浴し大浴場から出たその瞬間、犯人に襲われ眠らされてしまった。

佐々木はハンカチを当てられたと言っていたが、その正体は睡眠薬を染み込ませたハンカチだった。

後でも出てくるが、この睡眠薬の出どころが犯人を特定するヒントになったんだ。

 

 

 

 

 

 

act.2

 

次に犯人は、佐々木のパスポートを使い女子脱衣所へと入った。そして脱衣所に佐々木を寝かせると、そのまま脱衣所を後にしたんだ。

こんな事をした理由だが、十中八九佐々木を犯人に仕立て上げる為だろう。

犯行現場に倒れている人物は真っ先に疑われる事になるだろうからな。

そして犯人は佐々木のパスポートから乃木に向けて朝6時半頃女子脱衣所に来て欲しいとメッセージを送った。

自分の名前では怪しまれるだろうが、女子である佐々木からであれば乃木は来るだろうと踏んだんだろう。

 

 

 

 

act.3

 

そして今朝の6時半頃、犯人の予想通り乃木はやってきた。

それと同時に犯人は男子脱衣所から大浴場に入り、露天風呂にある隠し穴から女子大浴場へと向かう。

きっと乃木は女子脱衣所に入った瞬間、倒れている佐々木に気がつき驚きながら駆け寄っただろう。犯人はその隙をつき、佐々木の時と同様に背後から睡眠薬を染み込ませたハンカチを当てて眠らせた。

乃木の体には外傷が一切ない事から、抵抗する間もなく無力化されたと考えていいだろう。

さっきも言ったが、この睡眠薬の出どころが犯人特定のヒントになったんだ。

その出どころは、動機発表の際に全員に配られた『パンドラの箱』だ。俺達が行ける場所に睡眠薬が置かれている場所は無かった。という事は睡眠薬を入手する手段は『パンドラの箱』しかない。さっき犯人候補が2人に絞られた時、ハルクのパンドラの箱の中身は睡眠薬でない事は全員が知っていた。となると、残りの1人である犯人しか該当者はいないと判断することが出来たんだ。

 

 

 

act.4

 

乃木を眠らせた犯人は、乃木をサウナに運び殺害しようとした。

しかし、ここで犯人によって予想外の事態が起きた。

その現場を百々海に見られてしまったんだ。

ここから先は俺の想像になるんだが、百々海は殺人を企ててたかそうでないかは分からないけど、とにかく厨房の木槌を持ち出し、犯人の後を追うように女子脱衣所へと入った。

そして乃木を襲った犯人を見てしまったんだ。

2人はその後揉み合いになり、結果として百々海の木槌を使い、犯人が百々海の後頭部を何度も殴って殺害した。

そして溺死に見せる為百々海を大浴場の湯船に投げ入れたんだ。

 

 

 

 

act.5

 

その後犯人は乃木をサウナに運び、扉に鍵をかけ閉じ込めた。そしてサウナの温度を80度まで上げた。乃木はサウナから出られず、そのまま暑さによって死んでしまったんだ。

そしてその後、乃木のパスポートを使い女子大浴場から出ると、個室へ向かい返り血が付いたであろう服を着替えた。

きっと捜査時間犯人が個室を捜索してたのは、そう言った証拠を誰かに発見されたくなかったからだろうな。

さらにその後、何食わぬ顔で食堂へと顔を出し、自分は殺人になど関与していないとアピールしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乃木と百々海を殺したのはお前しかいない……………………!

 

 

《超高校級の秀才》司拓郎!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モノワニ「結論が出たみたいですネ。では、お手元に投票用のパネルを用意しましタ。今回の事件のクロのパネルをタッチして下さイ。念のため言っておきますガ、無投票は許されておりませン。なので、必ず誰かに投票をして下さイ。ではまずは…………百々海サマを殺害した犯人から投票をお願いしまス」

俺は手元にあるパネルから、躊躇しながら司の顔写真をタッチする。

 

 

 

 

 

モノワニ「では次ニ、乃木サマを殺害した犯人の投票をお願いしまス」

もう一度司の顔写真をタッチする。

 

 

 

 

 

 

 

 

モノカバ「全員の投票が終了しましタ。では、投票の結果、クロになるのは一体誰なのカ。そして正解なのか不正解なのカ。ルーレットをご覧下さイ」

すると、俺達のドット絵が書かれた巨大なルーレットが出現し、回転し始めた。そして司の所で止まると、「guilty!!」の文字と共に大量のコインが出てきた。

 

 

 

つまり、俺達の出した結論は正しかった。

司が犯人。

司が乃木と百々海を殺した。

 

 

 

 

 

 

 

「あ……………………違、違う。俺様は犯人なんかじゃ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司は呆然と口を開け、絶望に満ちた表情で崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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