ダンガンロンパ ルーナ   作:さわらの西京焼き

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オシオキ編

 

 

 

 

 

 

 

「皆サマ、お見事でございまス。《超高校級の水泳部》百々海 真凛サマと《超高校級の???》乃木 環サマを殺したクロは《超高校級の秀才》司 拓郎サマでした」

 

 

 

 

 

 

 

「俺様が…………俺様が負けた?」

呆然とした表情で空を見つめる司。

俺達は………正解した。

百々海と乃木。2人の仲間を同じ仲間である司が殺した。

「ふざけんなよテメー!!!!」

雷哉が司に近づき胸倉を掴む。

「なんで百々海と乃木を殺したんだよ!!」

「どうして…………どうしてだよ司君!!どうしてこんな惨い事をしたんだ!」

そう叫んだ結城も怒りに震えている。

「僕達は同じ希望ヶ峰学園の仲間じゃないか!!なのに………なのにどうして……………」

「仲間…………………だと…………?」

「………司?」

雷哉に胸倉を掴まれたままの司はワナワナと震え出す。そして………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけたことを抜かすな!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無理矢理雷哉の手を振り解くと、顔を真っ赤にして叫んだ。

「仲間だと?俺様がいつお前らゴミと仲間になったんだ!俺様はお前ら不良品とは違う!!俺様は選ばれた最高傑作なんだ!立場が違う!地位が違う!格が違う!お前らと同列に扱われることすら不愉快だ!!!」

「司…………どうしてお前はそこまで…………」

「俺様はお前らクズとは違う!違うんだ!!!!!」

「………フフ。フフフフフフフフ…………………」

すると、静観していたモノワニの不気味な笑い声が響き渡る。

「…………何がおかしい!!」

「いや失礼。この中で()()()()()()()()()()()司サマがそんな事を仰っていたので…………つい笑いが込み上げてしまいましタ」

「なっ…………!」

司の顔色が急変する。

「ど、どういうことでありますか?」

「………司は自分達とは違う、と言っていた筈だが…………」

「フフフ………では司サマに今回配られた『動機』を皆サマにお見せしましょうカ」

「や、やめろ!!」

これ以上にない程動揺した司がモノワニの元へ駆け出す。

「頼む!それだけは!それだけはやめてくれ!!」

「では皆サマ、スクリーンをご覧下さイ」

「やめてくれ!!!」

人が変わったかのように懇願する司を無視し、モニターに画面が表示をされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「司拓郎は自分の才能にコンプレックスを抱いている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………え」

スクリーンに映し出された内容は、想像していたものより数段シンプルなものであった。

「あ…………………あああ…………………」

口を開けたまま絶望する司。

「こ、これが司の秘密かよ?」

「単純明快な秘密ですね。ですが、それ故情報不足です。詳しい内容の説明を求めます」

「簡単に説明しますト、彼は自身が『秀才』である事にたまらなく劣等感を感じていたのでス。何でもそつなくこなせる、一通り何でも出来るという事で『秀才』と言われてきましたガ、結局ある分野を極めた人間には勝てなイ。どの分野でも優秀な成績は残せるが、1位には決してなれない。どれだけ世間に持て囃されようと、『天才』には敵わない。そんな『秀才』止まりである自分が嫌だったのでス」

「つまり司はんは『器用貧乏』タイプで、そんな中途半端な自分が許せなかったって事でええの?」

「そうなりますネ。まあざっと説明しましたガ、ここにいる皆サマは殆どの方がある1点のみに特化した『天才型』タイプですかラ、司サマの気持ちは分からないかもしれませんがネ」

「…………」

モノワニの言葉に全員が黙り込む。

俺達が認められた『才能』というのは確かに、世間の誰もが認める天才的なものであるとされている。

 

 

 

 

 

 

しかし、俺の才能『マジシャン』は、誰もが認める天才的な技術じゃない。

多少器用である故に生活の為に始めたお遊び程度のものだ。

世の中には全世界が認める技術を持ったマジシャンがごろごろいる。

なのに希望ヶ峰学園に入学することが出来た。

つまり『才能』というのは、必ずしも天才的なものであるとは言えないという事だ。

だから、さっきのモノワニの『殆ど』という言い方は正しい。

俺は間違いなく『例外』だ。

「あーそうかい。クソ眼鏡の秘密については分かったよ。けど俺達が一番知りてえ事はそれじゃねえだろ。なんでコイツが()()()()を殺したかだろ?」

「まあ予想は出来ますけどね。あの秘密を司さんはどうしても知られたくなかった。だから秘密を受け取ったとされるどちらかを殺した。そんなところではないですか?」

「わたくしを狙った理由も教えてもらいますわよ!どうしてわたくしを襲ったか答えなさい!!」

円城寺の言葉に対して全員が同意する。

危うく罪を着せられるところだった佐々木も憤りを見せている。

「………司。答えてくれ。どうして乃木と百々海を殺したんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………何故、だと?ハハハハハ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの女が目障りだったからに決まってるだろうが!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までで1番の怒号。

女子の何人かは驚き尻もちをつく程の勢いだった。

「………目障り?」

「あの女、才能も思い出せないゴミの分際で俺様達のまとめ役なんかやろうとしやがって!一般人がどの面下げて同じ立場にいるんだ!!見てるだけで不快だった!だから殺した!!そこの脳内フリル女は馬鹿そうだったから利用した!それだけだ!!秘密なぞ関係ない!何故なら俺様には俺様の秘密が配られたのだからな!」

裁判台を叩き顔を真っ赤にして叫ぶ司。

「の、脳内フリル女ですって…………!馬鹿にするのも大概にしてくださいませ!!」

「そ、それだけの理由で乃木さんを殺したっていうのか………!」

「あ、あんまりデス!ハテナサン、何も悪いことしてないデス!」

「………てっきり動機である秘密が絡んでいると思っていたのですが………外れましたね」

「黙れ!!俺様は才能を持たない一般人がしゃしゃり出てくることに我慢ならないんだよ!!…………お前みたいな奴だ!マジシャン!!」

「………」

司は俺の方を指差す。

「蓮が何したっていうんだよ?」

「ゴミみたいな凡人相当の才能しか持たない癖に、必死に才能を持つ奴らに混じり、そして追いつこうとするその姿が堪らなく不快だった!生理的に受け付けなかった!!だからいずれお前も殺すつもりだった!!」

「…………」

殺すつもりだった。

その言葉に俺は少なからずショックを受けた。

こんな奴でも殺しなんて物騒な事は考えないだろう、いずれ分かり合えるだろうと思っていたが、それは甘かった。

殺したいと思うほど俺の事が憎かったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどねー。よく分かったよー」

すると口を閉じていた飛鳥がそう発言した。

「ずっと何でかなーって思ってたけどー、ガリ勉のお兄さんがはとのお兄さんに強く当たる理由…………それって『同族嫌悪』でしょー?」

「なっ…………!?」

司の顔色がまた変化する。

「まるで『大した才能がないのに必死に無駄な努力して惨めに足掻いてる』自分を見てるようで嫌、って事でしょー?」

「く、くだらない戯言を……………」

「あ、今目逸らしたでしょー?図星だねー」

「だ、黙れ!!」

同族嫌悪。

自分を天才だと思い込み俺達を凡人だと見下す。

しかし実際は自分はこの中の誰よりも劣っており、それを自覚していた。そして似たような立場の俺に嫌悪感を抱いていた。

そんな事を飛鳥は言いたいのだろうか。

「コイツは出来損ないの不良品の癖にお前らの中に溶け込んでいたんだよ!!分かるか!!コイツがいかに必要のない人間だったのか!!」

そんな罵倒を俺に浴びせる司。

…………確かにそうかもしれない。

大した才能を持たず得意な事もない。

そんな俺がここにいる事自体が間違っているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢寺様は必要のない人間なんかではありません」

そんな司の罵倒を、綾辻が凛とした声でかき消した。

「夢寺様は誰に対しても優しく、気配りが出来て、そしてこの裁判でも私達を正解に導いてくれました。そんな方が必要ないなんてあり得ません」

「ほざけ!コイツは大した才能もない癖に………」

「才能なんて関係ありません」

「な………!」

綾辻は司相手に一歩も引かず、背筋ピンと伸ばして主張を続ける。

「確かにここに集められた皆様は私含め自身の『才能』を認められて入学しました。しかし今の裁判で夢寺様は『マジシャン』の才能を一回でも使いましたか?」

「そ、それは…………」

「夢寺様は自身の才能など使わず自分の持つ力だけで私達を助けて下さったのです。普段の生活でもそうです。才能なんて関係ない。夢寺様の心優しき性格故に皆様と良好な関係を築く事が出来たのです」

「…………綾辻」

「夢寺様は皆様の命の恩人です。自信を持ってください」

優しく俺に微笑む彼女に、俺は涙が出そうになった。

 

 

 

 

 

 

「何故だ…………………」

司は体をワナワナと震わせる。

「何故こんなゴミみたいな奴が評価されて俺様がこんな目に………!」

「まだ分かんないのー。ほんとに大した事ないんだねー。はとのお兄さんは確かに凡人だけど才能に縋り付くガリ勉のお兄さんと根本的に違うってことー。ガリ勉のお兄さんははとのお兄さんの下位互換、ってとこだねー」

「下位、互換………!」

「惨めで不快で生理的に受け付けないって言ってたっけー。ボクは才能ない癖に虚勢張って才能あるボク達を見下して優越感に浸ってるガリ勉のお兄さんの方がよっぽど惨めで不快だと思うけどねー」

「ああ、あああ…………」

飛鳥の言葉で司は頭を抱えながら蹲った。

「ほら、そういうとこだよー。惨めな姿だねー。そんなクソ雑魚メンタルでよくボク達のこと馬鹿に出来たよねー。それでどうー?あんだけ馬鹿にしてきたはとのお兄さんに敗北して負け犬になった気分はー?どうー?どうなのー?」

「やめとけこれ以上は」

飛鳥が司を追い詰めていると、円城寺がそれを止めた?

「………えー?これから面白くなるところなのにー?皆ガリ勉のお兄さんに散々ムカついてたんじゃないのー?ならー………」

「いいからやめとけ」

「……………………分かったよー」

円城寺の諭すような言葉に飛鳥は口を閉じた。

 

 

 

 

 

「…………それで?乃木を殺した理由は分かったが………百々海は何故だ………?何故百々海を殺したんだ………?」

「あア、百々海サマですネ。それはこの監視カメラの映像を見てもらえば分かるでしょウ」

モノワニはモニターを操作する。

すると映像が流れ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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事件当日の朝5時半。

 

 

 

 

百々海はまだ誰もいない厨房に立っていた。

「…………」

その手には木槌を持っている。

「………あーし、一体何やってるんだろ」

そう呟くも、手にある木槌を手放す様子はない。

「ただ、動機のことで不安だから環ちゃんに相談しに行くだけなのに」

他の生徒の中で一番百々海のことを気にかけてくれた乃木。

彼女になら、この不安な気持ちを明かしてもいいんじゃないか。

そう思うようになってきていた。

しかし、百々海は自然とこの厨房に来てしまった。

「………心の中ではまだ信用出来てないってことかな〜」

乃木をまだ心からは信用出来ないと考えた百々海は、念の為襲われた時の為に木槌を隠し持っていた方がいいと勝手に思ってしまったのだ。

「………念のためだし、いいよね」

百々海は木槌を自分の服の中に隠すと、慌てて食堂から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、環ちゃんは一体どこに…………あれ?」

その後百々海は乃木を探し回ったが見つからず、廊下を彷徨っていた。

すると男子脱衣所に司が入っていくのを目撃した。

こんな朝早くに風呂に入るのは珍しいとは思ったが、男子が男子脱衣所に入るのは何らおかしくはないため、最初は何となく見ていただけだった。

しかし百々海はその後、怪しいと察したのか早歩きで脱衣所に向かっていく。

そして女子脱衣所の周りをキョロキョロ確認すると、ゆっくり中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタ、何してんの〜?」

「………チッ!!!」

脱衣所には信じられない光景が広がっていた。

司がタオルを一枚羽織っただけ状態の乃木の口にハンカチを当てていたのだ。

それを見た百々海は、司が乃木をレイプしていると瞬時に思い込んだ。

「ただの性格悪いインテリ野郎だと思ってたけど………実は女子に欲情する最低な変態野郎だったっけわけ〜?」

「…………黙れ」

「どうやって女子脱衣所に入ったか知らないけど、あーし、環ちゃんに用があるんだよね〜。だから環ちゃん離してよ。もし従わないなら、アンタの変態行為を全員にバラして二度と表を歩けなくしてやるから〜」

「…………どいつもコイツも目障りだ」

「…………は?人の話聞いてる〜?」

「……才能をひけらかして俺様の前に立ち塞がりやがって」

この瞬間、百々海は目の前の男の様子が普通ではないことを悟った。

そして隠し持っている木槌に手をかける。

「…………まあいい。1人も2人も同じことだ。見られた以上、殺すしかないな」

「………本気?」

百々海の質問には答えず、静かに司は百々海の方へと歩いてくる。

そして急に加速すると、百々海に向かって襲い掛かった。

 

 

 

 

 

「やあっ!!」

百々海はその瞬間、木槌を取り出しそれを振り下ろした。

凶器が出てくるとは予想していなかった司は間一髪のところでそれを避ける。

「………お前、誰かを殺すつもりだったのか。愚かな奴だ」

「今まさに環ちゃんを襲ってる奴に言われたくないんだけど〜」

「お前如きが誰かを殺すことなんて出来ると思うのか?」

「その言葉、そっくりそのまま返すし〜」

「………誰に口をきいている。この俺様に凡人が口答えするな!!!」

司は百々海の木槌を恐れることなく、襲い掛かった。

「!?」

百々海はその気迫に押されて一瞬体が止まる。

その硬直を司は見逃さない。

司は百々海の木槌を持つ手首を掴むと、力任せにそれを奪おうと引き寄せた。

「ぐっ………!?」

「身長差があるから勝てると思ったか?馬鹿が。護身術、格闘技も一通り修めてるんだよこっちは。お前程度の女に負ける道理はない」

司の身長は162cm。百々海は174cm。体格的には明らかに百々海の方が有利。

しかしそれでも男と女。力の差は歴然だった。

流れるような手つきで百々海の手首を捻る。そして木槌を奪うとそのまま床に押し倒した。

「キャッ!?」

「………フン、手間を取らせやがって。ゴミが俺様に逆らうな」

「た、環ちゃん!?起きて!!」

百々海は寝ている乃木だけでもと思い起こそうとする。

しかし乃木は目覚めない。

「安心しろ。コイツも後でお前のところに行かせてやる」

「だ、誰か………!」

倒れたまま百々海は出口に向かい這う。

しかし、出口に辿り着く前に司は乃木の後頭部に向けて木槌を叩きつけた。

「うっ!?」

「俺様は…………俺様は完璧だ。俺様こそが全てだ。ここにいる奴らは………全員俺様に勝てない」

何度も叩きつけられる木槌。飛び散る血。

薄れゆく意識の中で、百々海は走馬灯を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………やば。これあーしもう死ぬ?

………そっか。

 

 

 

 

 

 

 

 

………短い人生だったな。

………………ダルい、なんて言わずにみんなともっと仲良くしておけばよかった。

 

 

 

 

 

………環ちゃんにちゃんとお礼、言えなかったな。

あーしのこと、ものすごく気にかけてくれた。

あーし、あんなに親切にしてもらったの初めてだった。

だから今回の動機も環ちゃんに相談して、一緒に協力して乗り切ろうと思ったのに。

 

 

 

 

 

 

 

………ごめんねみんな。

…………あーし、もっと協力すればよかった。

そうすれば……………………こんな結末にはならなかったのかな…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………俺様に逆らうやつはこうなるんだ」

肩でハーハーと息をする司。

絶命した百々海を見て満足げに笑みを浮かべると、百々海の体を持ち上げ、大浴場へと向かう。

そして湯船に投げ入れた。

「……………」

そのまま脱衣所に戻り寝ている乃木を抱えてサウナへと向かう。

「………才能が分からない分際ででしゃばるからこうなるんだ。俺様は悪くない。身の程を弁えないお前が悪いんだ」

自分に言い聞かせるようにそう言うと、サウナに乃木を座らせ、扉を閉めて鍵をかける。そして温度を限界まで上げる。

「これで後は…………俺様が裁判とやらで勝利するだけ」

司はほくそ笑むと、大浴場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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映像が終了し、スクリーンが暗転する。

「このようニ、乃木サマを探していた百々海サマは偶然犯行現場を見てしまイ、そのまま殺されてしまったというわけでス。まあ、不幸としか言いようがないですネ」

俺達はあまりの衝撃的な映像にすぐ口を開くことが出来なかった。

「………な、なんだよコレ」

最初に口を開いたのは雷哉だった。

「こんなの…………百々海のヤツ、完全に偶々殺されただけじゃねーか」

「風神サマの仰る通りでございまス。夢寺サマの予想通り、百々海サマは偶然にも女子脱衣所に入ったせいで口封じの為に殺されたのでス」

「百々海様…………!」

綾辻は顔を手で覆い泣き始める。

「どうしてだよ!!!!!!」

結城が絶叫に近い声を上げて蹲ったままの司に駆け寄る。

「どうして…………そんな事が出来るんだ!同じ人間に………どうしここまで残酷な事が出来るんだよ………!」

「あぁ………あああ…………」

司はただ呻くばかりだ。

「………精神が壊れている?…………」

「もはや会話をすることすら出来ないようですね」

「正気の沙汰じゃないですわ………。そんな事で2人も殺すなんて、はっきり言って異常ですわ」

佐々木の言う通りだ。

司の身勝手な考えのせいで………あの2人は命を奪われたのか。

乃木と百々海が………一体何をしたっていうんだ。

 

 

 

 

 

 

「フフフ…………では皆サマの疑問も解消されたようですシ、お楽しみのオシオキタイムに入りましょうカ」

「オシ………オキ」

その言葉に全員の背筋が凍る。

「それってつまり………」

「そう、()()ですヨ。司サマには今からスペシャルなオシオキを受けて頂きまス」

「ま、待ってくれ!!!」

司は起き上がるとモノワニの元に駆け寄った。そして座っている椅子に縋り付く。

「頼む!俺様だけは助けてくれ!あのゴミ共ならいくらでも処刑していい!だから俺様は見逃してくれ!」

「しゅ、秀才サン!何言ってるんデスカ!?」

「………司はん、あんた自分で何言ってるか分かってん?」

「うるさい!俺様は将来この国を担う唯一にして最高の人間になる筈なんだ!代えがきくこんな不良品共とは違うんだ!だから………」

 

 

 

 

「………これ以上にないくらい惨めな命乞いですネ」

しかしモノワニは司の手を取るどころか踏みつける。

「もう少し客観的に周りを見たらどうですカ?他の皆サマをゴミやら不良品やら言っていますけド、実際に裁判で負けているのはアナタですヨ。司サマはその不良品に負けたガラクタ、という事になりますけド?」

「ち、違………!今回は偶々………」

「それに同級生にすら負けるアナタが将来を担う最高の人間になれる筈がないでしょウ。いい加減認めたらどうですカ?アナタがこの中で()()()()()()、そして()()()()()()()だということヲ」

「あ………あ…………」

司は絶望の表情でズルズルと崩れ落ちる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では改めテ………裁判に敗北した《超高校級秀才》司 拓郎サマにスペシャルなオシオキを用意しましタ」

 

 

 

 

「嫌だ!死にたくない!!!」

司は立ち上がると、俺達が入ってきたエレベーターに駆け寄り、ドンドンと扉を叩いた。

 

 

 

「開けろ!!俺様はまだ死にたくない!!!」

しかし、扉が開くことはない。

 

 

 

「でハ、張り切っていきましょウ」

俺はそんな姿を見ていられず、思わず目を逸らす。

 

 

 

 

 

 

「死にたくない!!!!」

「オシオキタイム!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か助けてくれえええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツカサ タクロウさんがクロに決まりました。

オシオキを開始します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《超高校級の秀才》司 拓郎 処刑執行

 

 

 

 

 

 

何でも屋 つかさ 開店

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司は首輪をつけられると、どこかへと連れ去られていった。

そして辿り着いた場所は…………どこからの路地裏だった。

胸元には、「何でも屋 つかさ」と書かれたネームプレートが付けられている。

そして手には…………司を除いた全員の名前と才能が書かれた紙。

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員の才能を使ってゴールしろ!」

 

 

 

 

 

 

 

目の前にはそう書かれた看板。

そして下には…………「スリ:全員の財布を盗み出せ」

と指令が書かれている。

つまり、俺達の才能を自身で模倣し、それを使いつつゴールを目指さなくてはならない。

司は震える手を押さえ、走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①スリ

 

路地裏にいる大量の人型モノワニから財布を盗まなくてはならない。

司は器用にズボンのポッケに入っている財布を抜いていく。

しかし、やはり飛鳥のようにうまくはいかず、モノワニに気づかれてしまう。

怒って追いかけてくるモノワニから逃げながら、次の場所へと行く。

 

 

 

 

②神父

次に来たのは教会だった。

指令は「迷える信者達を救え」。

司は聖書を必死に読みながら教えを説いていく。

しかし天草のようにうまく話せず、信者達は激怒。

物を投げつけられる。

 

 

 

③軍医

「患者を救え」

適切に患者の治療を行うことが出来ず、メスを投げつけられ怪我をする。

 

 

 

④オカルト研究家

「霊と心を通わせろ」

当然出来る筈もなく、呪いと称した爆発する札を当てられ火傷を負う。

 

 

⑤喧嘩屋

数人の喧嘩自慢にリンチにされる。

 

 

⑥ピアニスト

他の演奏者から罵倒される。

 

⑦作曲家

うまく曲を作れず、観客から楽器を投げつけられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数々の仕打ちによりボロボロになった司。

そんなあいつの目の前に現れた最後の指令は…………シンプルに一言。

「脱出せよ」。

箱に入り、拘束され、剣を串刺しに刺される。そしてとどめに箱をチェーンソーで切断される。

拘束を解いて脱出出来なければ…………死が待っている。

そんなやる側は命懸け、観る側は最高に盛り上がる有名なショー。

 

 

 

 

 

 

 

…………俺の才能、『マジシャン』に関係するものだ。

 

 

 

 

 

司は拘束され、箱に詰められる。

そして箱が閉じられると、タイマーがセットされた。

制限時間は1分。

10秒ごとに剣が一本ずつ刺されていく。

司は急いで脱出を試みる。

自分の何でもこなせる、という器用な才能をフル活用し、なんとか拘束を解いた。時間は残り20秒。

そして何本も剣が刺さりほぼ動けない状態の中箱から脱出しよとしたその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな拘束具が司の足に付けられた。

どうやら2回解除しなければならない仕組みだったようだ。

当然司はそんな事を知っているはずもなく、おまけに時間は残り10秒。

焦りから拘束を外す事が出来ない。

そして………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司の腹部と左足に剣が突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛みから絶叫する司。

そして無情にもタイマーはゼロに。

けたたましい起動音と共にチェーンソーが回り出す。

箱まで近づくと、首と足の付け根の部分にチェーンソーが当てられ、一気に箱ごと引き裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステージ上では、シルクハットを被ったモノワニが観客に対してお辞儀を繰り返している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その横には、首、胴体、両足の3つに切断されて司拓郎のバラバラ死体が転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いやあああああああああああああ!!!!!!!」

「嘘、だろ…………!」

「秀才サンが…………秀才サンが死んでしまいマシタ……………」

「じょ、冗談でありますよね?これ、現実の出来事じゃないでありますよね?」

司が……………………死んだ。

あれだけ強気な態度で俺達を見下し、裁判後は泣き叫びながら命乞いをしていたあの司が…………………あっさりと殺されてしまった。

「フフフ…………。やはり人が絶望に堕ちるのを見るのは最高ですネ。これだからコロシアイはやめられないんですヨ」

「もうやめてくれ!!」

笑うモノワニに対して結城は席をドンと叩き叫ぶ。

「仲間をあんな風に見せしめみたいに殺して………一体何が楽しいんだ!」

「おや、結城サマはまだ司サマを仲間だと思っていらっしゃるのですネ。同じ仲間の百々海サマと乃木サマを殺した最低の殺人犯なのに………随分と甘いのですネ」

モノワニはなおも笑っている。

生徒達にコロシアイをさせて犯人は高みの見物。

どこまでも卑劣で最低な奴だ。

「当たり前じゃないか!当然、2人も殺した司君は許せない。けどそもそもこのコロシアイの元凶は君じゃないか!」

「ま、当然の意見だな。あのクソメガネはクズ野郎だったがてめえはそれ以上のクズだろ。早くてめえをぶちのめしたくてしょうがないぜ」

「………フフフ。その気持ちがどこまで続きますかネ………。では皆サマ、ここで裁判は終了になりますガ…………」

「………まだ、何かあるのか………」

「裁判終了時には上のスピーカーからチャイムが鳴りまス。それが鳴り終わり次第エレベーターに乗ってお戻り下さイ」

「………こんな胸糞悪い場所、一刻も早く離れたいんですが」

「まあまあそう言わずニ。学校の授業もチャイムが鳴り終わるまで教室から出てはいけない、と教わったでしょウ?」

すると、スピーカーが起動する音が聞こえた。

「そう言ってる間にもう間もなくチャイムが鳴りますヨ」

俺達は自然とそのスピーカーに注目した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーン、コーン、カーン、コーン…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳴り始めたのは普通のチャイムだ。

俺が小中学校で聞いたチャイムとは少しメロディーが違うが、特に不審な点はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぐっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、異変はすぐ起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐわああああああああああ!?」

「天草様!?」

天草が突然、呻き声を上げたと思うと、自身の頭を押さえその場で蹲ってしまったのだ。

「し、神父サンがいきなり倒れマシター!?」

「な、何がおこったんだす!?」

「あんた、何か仕込んだんちゃうん?」

薬師院がモノワニを睨む。

「さあどうでしょうカ。ただ疲れが出ただけかもしれませんヨ」

「………んなわけないやろ」

「でもよ、オレとか平気だぜ。てか天草だけじゃね?」

「アーメンのお兄さんにだけ効くノイズか何かじゃないのー?」

チャイムが鳴っている今も天草は呻き続けている。

何だ?

このチャイムに一体どんな効果があるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………うっ!?」

するとその直後だった。

今度は俺に目眩がする程の頭痛が襲ってきた。

「…………………ぐっ!?」

立っていられずその場に膝をつく。

「………ん?おい蓮!?大丈夫か!?」

「れん!?だいじょうぶ!?」

近くにいた雷哉と千尋が駆け寄ってきた。

俺は何か言葉を発しようとするが、痛すぎて呻き声を上げることしか出来ない。

「テメーコラ!!!蓮に何しやがったんだ!!!」

「このチャイム早く止めなさい!!そうすれば夢寺サン達も元通りになるんじゃないんですの!!」

「えー?チャイムの音で何を言っているかよく分からないですネ」

「ふざけてんじゃねーぞテメー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに怒鳴らなくても、すぐチャイムは止みますヨ。………ほら」

キーン、コーン、カーン、コーン…………

チャイムが終わりスピーカーの電源が切れた音がした。

すると、俺の頭痛もピタリと止んだ。

「おい蓮、大丈夫かよ?」

雷哉が珍しく本気で心配そうな顔でこちらを覗き込む。

「………悪い。大丈夫だ」

「大丈夫、って………オメーとんでもない汗だぞ?」

俺はそう言われ自分の額から汗が流れているのに今気がついた。

そして手にもじわりと汗をかいている。

「………天草氏も大丈夫なのでありますか?」

「……………………なんとか………………」

天草もなんとか立ち上がれるくらいには回復していた。

しかし顔色が非常に悪い。

立っているのがやっとといった感じだ。

「どこまで………どこまで僕達を苦しめれば気が済むんだ!!」

「まあまあそう怒らずニ。慣れない裁判で疲れも溜まっているでしょウ。結城サマも心を落ち着かせテ、早くお休みになった方がいいですヨ」

するとエレベーターのドアが開いた。

「裁判はこれにて終了でス。ワタシはこれにて失礼しまス。皆サマも早く戻って下さいネ」

モノワニはそう言い残すと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!!」

結城は席を叩き悔しさを露わにする。

「………こ、これからどうするの………?」

「どうするって、帰るに決まってるでしょう」

八尋は妹の千尋の質問に対してそう答えると、すぐエレベーターに乗り込んだ。

「いつまでもこの場所にいたくありませんから」

「………ち、千尋もかえる!」

「ほんなら、うちらも帰ろか。八尋はんの言う通り、長居する場所じゃあらへんやろ?」

「わ、わたしも帰るだす!もう早く帰りたいだす!」

「京介、肩貸すぜ」

「………………すまない…………」

「もう疲れましたわ…………何も考えたくありませんわ…………」

全員が続々とエレベーターに乗り込む。

「蓮。オメーにも肩貸すぜ」

「………悪い雷哉。1人にしてくれ」

「…………え?」

近づいてきた雷哉を手で制す。

「けどよ、蓮。オメー………大丈夫か?」

「…………ああ。心配ない。」

「…………ならいいけどよ。何かあったらオレに言えよ?ダチだからな」

雷哉の言葉に俺は手を振り返す。

そして俺以外の全員がエレベーターに乗り戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はふうと深く息を吐くと、自分の手を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この手で人を殺した。

自分の命と他人の命を天秤にかけ、俺は司を殺す選択をした。

その結果あいつは、モノワニによって無残に殺された。

確かに百々海と乃木を殺したのは決して許されることではない。

けど、じゃあ司はあんな風に殺されて当然だ、と割り切ることも出来ない。

あいつは性格が悪くてて正直いけ好かない奴だった。

けど、俺は少なくとも仲間だとは思っていた。

そんな仲間を、俺は殺した。

 

 

 

 

 

 

「…………なあ、これから俺はどうすればいいんだ?」

俺は今回の被害者である乃木と百々海、2人の遺影に向けて声をかけた。

「………俺みたいな大した才能がない奴があいつらと一緒にいていいんだろうか」

裁判場はしんと静まり返っている。

答えが返ってくることもない。

当然だ。だって2人は既にこの世にいないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

『夢寺蓮。自分に自信を持て。君は確かに功績を認められた希望ヶ峰に来たんだ。ここで自分を否定したら、過去の努力した自分が可哀想ではないか。胸を張れ。君は私達に必要な人間だ』

『え〜〜〜?別にテキトーに過ごせばいいんじゃな〜〜い?そんな面倒なこと深く考えなくてもいいでしょ〜〜?蓮ちゃんだったらなんだかんだうまくやれるよ〜〜』

 

 

 

 

 

 

「!?」

乃木と百々海の声が聞こえ、俺は思わず振り返る。

いる筈のない2人からの声。

「参ったな………。とうとう幻聴まで聞こえ始めた」

2人ならそう言ってくれるだろうという淡い期待が幻聴を引き起こしたのだろうか。

けど…………今ので少し活力が戻ってきた。

「…………俺に資格があるかどうか分かんないけど、もうちょっと頑張ってみるよ。だってそうじゃないと…………死んだお前達も報われないもんな」

司の言う通り、俺はこの場に相応しくない人間かも知れない。

けど、はいそうですかと諦めるわけにもいかない。

足掻くだけ足掻いて、それでも駄目ならそこまで。

とことんやってやろうじゃないか。

「………助けられなくて済まなかった。お前達の命、決して無駄にしない」

俺は遺影に深く礼をすると、裁判場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………おかえりなさいませ、夢寺様」

「…………綾辻?」

エレベーターから降りると、綾辻が目の前に立っていた。

「どうしたんだ?帰ったんじゃないのか?」

「夢寺様が心配で待ってました。風神様を初めて数名の方達が心配だと仰ってたので……………」

「そうか………。悪いな、待たせて」

「いえ、全然………その………大丈夫ですか?」

「………それは体調の話か?それとも気持ちの話か?」

「両方です」

「………精神面の話は問題ない。気持ちの整理はついた」

「では、体調面は………」

「今すぐ部屋で寝たい」

「………そうですよね」

そう言って微笑む綾辻。

「よし、じゃあ部屋に戻るか」

「はい」

そして俺達は個室へ向けて歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ありがとう、綾辻」

「………え?」

俺は裁判の時のお礼を綾辻に言った。

「裁判の時、俺を庇ってくれただろ?」

「あ、ああ、あれは、その…………つい気持ちが先走ってしまったというか………」

何故か顔を赤らめる綾辻。

「ですが、気持ちに嘘偽りはありません。夢寺様は私達を救ってくれた恩人ですから。だから………自分が必要ないなんて思わないでください。私は………夢寺様をお慕い申し上げています」

「あ、ああ…………」

歩みを止めた綾辻は何故か俺の手を握りそう話してくる。

気持ちが先走る………。まさにこのことか。

「…………あ」

綾辻もそれに気がついたようで、慌てて手を離す。

「ち、違うんです夢寺様!!これは、その…………特別な意味とかじゃなくてて!!!ただ夢寺様を励ましたくて………!」

「分かった。分かったから少し落ち着いてくれ。俺もそんな風には思ってない」

第一、綾辻が俺に恋愛感情を抱く筈がない。

「綾辻の気持ちは分かった。俺もそれに応えられるように頑張るつもりだ。だから、これからもよろしく頼む」

「は、はいぃ………ああ、恥ずかしい………」

手で顔を隠す綾辻に苦笑しつつ、また歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………お主らか」

「!?」

すると突然、聞き覚えのない声が聞こえた。

俺は咄嗟に後ろを振り返る。

すると目の前に1人の少女が立っていた。

背は160cm前後。

黒髪のポニーテール。

そして何より注目すべきはその格好。

一言で言うと…………忍者だ。

忍者の格好をした少女、つまりくノ一がそこにいた。

「(それよりもこいつ、いつから俺達の後ろに?)」

気配が全く感じ取れなかった。

普通、後ろに誰かいたら気がつく筈なのに。

「………あの………?」

「綾辻、下がっててくれ。………何者だ?」

「…………お主らが拙者をここに閉じ込めた畜生共でござるか」

俺の話を無視し、ゆらりゆらりとこちらに向かってくる。

そして手には………クナイ。

「待て。とりあえずお前は何か誤解している。俺達も恐らくお前と同じ被害者だ。敵じゃない」

「問答無用。拙者の邪魔をする輩は…………」

「きゃっ!?」

「危ない!!」

俺は綾辻を庇いながら目を瞑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹…………空いた…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の少女はそう呟き、バタンと倒れた。

「……………………え?」

俺と綾辻は顔を見合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この謎の少女が俺達と同じ新入生である事を俺達はすぐ知ることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存者

 

 

1.飛鳥 圭【スリ】

2.天草 京介【神父】

3.綾辻 澪【軍医】

4.円城寺 霊夜【オカルト研究家】

5.風神 雷哉【喧嘩家】

6.北桜 千尋【ピアニスト】

7.北桜 八尋【作曲家】

8.佐々木 莉央奈【かるたクイーン】

9.写実 真平【カメラマン】

13.ハルク ゴンザレス【ボディービルダー】

14.桃林 林檎【グルメリポーター】

15.薬師院 月乃【女将】

16.結城 晴翔【バトミントン部】

17.夢寺 蓮【マジシャン】

18.???【???】

 

 

 

 

 

 

 

 

死亡者

 

 

10.司 拓郎【秀才】

→オシオキにより死亡

11.百々海 真凛

→司拓郎により後頭部を強打され死亡

12.乃木 環【???】

→司拓郎によりサウナに閉じ込められ死亡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







1章終了です。
次回から1人仲間が増えます。
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