ダンガンロンパ ルーナ   作:さわらの西京焼き

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2章開幕です。






2章 『愛シサト切ナサト絶望ト。』
(非)日常編①


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………それで?例の実験の方はどうなっている?」

「はい。それが………その…………あまり芳しくない状態で………」

「言い訳はいい。とっとと結果だけを伝えろ」

「は、はい。その………現在実戦で使えるのは…………5人です」

「………何だと?50人以上いた筈だろう?それがたったの5人だと?」

「はい。その…………やはり年齢的に幼い子供ばかりですから、精神が破壊され廃人となってしまうケースがほとんどだと聞いております」

「チッ…………。で?その使い物にならない奴らはどうしているんだ?」

「囮や奴隷として使っています。意思のない人形と同じ状態ですので、動かすにはちょうどいい駒です」

「………ふん、まあいい。成果を出すためには多少の犠牲はやむを得まい。これで秘密兵器と言えるソルジャーを何人か作り出すことが出来れば………」

「目障りなアイツらを滅ぼす事が出来ますね」

「ああ。そして私達も()()()に目に止まる。あっという間に出世コースだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達の野望の邪魔をする忌々しい組織、()()()()………。すぐ潰してやる。首を洗って待っていろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2章 愛シサト切ナサト絶望ト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裁判の翌日。

 

 

 

 

 

 

俺は寝起きで頭がボーッとした状態のまま洗面所に立っていた。

目の前には鏡。

そしてそこには俺の顔が映っていた。

「………隈が酷いな」

昨日の司が殺された瞬間を思い出してしまい、中々眠れなかったのだ。

日に日に濃くなっていく隈。

ここを出る時には目の下が真っ黒になってるのではないだろうか。

というか、まずここを無事に脱出することが出来るのだろうか。

自分の顔を見るたびにそんなマイナスの感情が次々と溢れてくる。

「………駄目だ。しっかりしろ俺」

それを振り払うかのように自分の頬にビンタをする。

「ひとまずシャワーでも浴びるか」

心も体もさっぱりして気分を変えよう。

俺はそう考えシャワーを浴びる準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャワーを終えた俺は個室をうろうろ歩き回りながら今まで分かった事を整理していた。

まず考えていたのは昨日現れた謎の少女についてだ。

ひとまず昨日は、倒れた少女を綾辻の個室へと運んだ。

綾辻によると、疲労と空腹によって気を失っただけとの事だったので、目が覚めたら食事を摂ってもらいつつ、話を聞くという事でまとまった。

今もあの忍者少女は綾辻の部屋で寝ているだろう。

しかし、あの少女は一体何者なのだろうか。

昨日の発言から、どうやら彼女もここに閉じ込められた被害者のようだ。

そうなると俺達とは仲間ということになる。

新たな新入生だろうか。

いずれにしろ、彼女には目覚めたら色々聞かなくてはならないだろう。

 

 

 

 

 

 

そして、俺に宛てられた秘密の内容も気になる。

百々海が渡してくれた俺の秘密によれば、俺は何かの生き残りらしい。

ここで問題なのが、その生き残りという事に俺が全く心当たりがない事だ。

家計に多少問題はあったが、別に戦場等で育ったわけではない。

普通の住宅街で普通に育ってきた俺が生き残りと言われる理由が全く分からないのだ。

とすると、あの秘密はデタラメということになるが………。

「けど、綾辻の秘密は本当みたいだったしな」

つまり、少なくとも本人の話から綾辻の秘密は真実ある事は間違いないだろう。

 

 

 

 

「………ま、今深く考えても仕方がないか」

俺の秘密が真実かどうか、判断するにはまだ材料が少なすぎる。

「少し早いが、食堂に行ってみるか」

せっかく早く目覚めたのだ。

少し早く行って食事当番の手伝いでもしよう。

毎回作ってもらっているのに何もしないのは申し訳ないからな。

そう思い俺は支度をして食堂へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂

 

 

 

食堂に到着しいざ入ろうとすると、明かりが付いている事に気がついた。

「誰かいるのか?」

驚かせないように小さめの声で呼びかけてみる。

「あ?………なんだ蓮か。随分と早起きだな」

すると厨房から円城寺が姿を現した。

手にはフライパンを持っている。

「朝飯はまだだぞ。今準備始めたばっかだからよ」

「いや、別に俺はお腹が空いたから食堂に来たわけじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………眠れなかったのか?」

「………!」

理由を一発で当てられ、俺は思わず黙ってしまう。その反応を見た円城寺はニヤリと笑った。

「図星かよ。………まあそりゃ当然だろうな。昨日で一気に3人も死んだんだからよ」

「ああ。しかも司は俺が追い詰めた。俺の責任だ」

他に俺達が取るべき手段がなかったとはいえ、司 拓郎という人間を糾弾した中心人物は俺だ。だから………。

 

 

 

 

 

 

「バカか」

そんな思考を円城寺はぶった斬った。

「何でそこでてめえ責任になるんだよボンクラ。蓮、てめえ頭の回転は早いのに頭悪ぃな」

「そこまで言うか………」

相変わらず鋭い悪口をバンバン言ってくるな。

「シンプルに考えろ。まあ元を辿ればこのコロシアイを起こしたあのクソワニが全部悪いんだが、昨日くだらねー理由で罪のない環と真凛を殺したのは誰だ?」

「それは………司だ」

目障りだから、という理解し難い理由で2人も殺した。

罪のない2人の命が奪われた。

「どんな事情があっても殺人に手を染めた奴が悪い。誰もが知ってる事だぜ。裁量の余地なんかありゃしねえよ」

「それはそうなんだが………」

「それに責任っていうならてめえだけじゃねえ。俺らもだ。俺らだって自分の命の為にガリ勉野郎を見捨てたんだからよ」

円城寺は悔しそうに拳を握る。

投票するしかなかった自分に怒りを感じているんだろう。

「けど俺は後悔はしてねえ。俺は必ずここから出る。その為だったら罪人の仲間を見捨てる事くらい平気でやる」

「円城寺………」

覚悟の決まった表情を見せる円城寺に俺は改めて気付かされた。

コイツは絶対ブレない強い芯を持っている。

………頼もしい仲間だ。

「俺は別にてめえにどう生きろとかどう考えろとかぐだぐた言うつもりはねえ。けどてめえのおかげで俺らは生き延びる事が出来たんだ。俺も含めてめえに感謝してる奴も大勢いるって事は忘れんなよ」

「………ああ。ありがとう」

「礼を言われる事なんか言ってねーよ」

手をひらひら振りながら厨房に戻る円城寺。

口は悪かったが、アイツなりに俺を励ましてくれたんだろう。

もう一度言わせてくれ。ありがとう、円城寺。

口に出すと、くどいとキレられそうだったから心の中で感謝を述べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれー?ユーレイのお兄さんまだ朝ご飯作ってないのー?ボクお腹すいたよー。………あれ、はとのお兄さんだ。おはようー」

すると飛鳥が眼をこすりながら入ってきた。

「おはよう、飛鳥。随分早いな」

「目が覚めちゃったんだー。いつもこんな早くから起きないよー」

「嘘つけコラ。てめえまた来やがったのかクソガキ」

そんな話をしていると円城寺が今度はボウルを手に持ちながらやってきた。

………また?

「円城寺。またってどういう事だ?」

「あ?知らねーのか蓮。このクソガキ、最近ほぼ毎日飯作る前に来てつまみ食いしやがるんだ」

「あー!何で言っちゃうのさー!」

「そうだったのか………」

流石はスリのプロ。食事も盗んでいくのか。

「それについては謝ったじゃんー。というかお腹すいたー。何か食べさせてよー!」

机をバンバン叩く飛鳥。

「うるせぇ!今作ってるから座ってろ!!」

「はーい!」

円城寺はキレながら厨房に戻り、飛鳥はその返答に満足したのか大人しく席に座った。

てゆうか円城寺も、なんだかかんだ言って作ってやるんだな。

もしかしてコイツら、意外と仲良いのか?

「はとのお兄さんも一緒に食べるー?」

「……いや、俺はいい」

俺も、なんて言ったら円城寺にぶん殴られそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お腹…………お腹が空いたでござる…………」

「!?」

すると突如、謎の声が入口から聞こえてきた。

知らない声が聞こえてきたからか、飛鳥は咄嗟に振り返り、俺もそれにつられて振り返る。

そして数秒後、ゾンビのように歩いてきた少女が現れ、その場に倒れ伏した。

「…………誰この人ー?」

「な、なんでこいつが………」

飛鳥が警戒心を露わにする中で、俺は驚愕していた。

今目の前にいる少女は、間違いなく昨日の謎の忍者だ。

綾辻の部屋にいたんじゃないのか?

もしかして一緒にいた綾辻を…………!

俺は焦りから綾辻の部屋に向かおうとする。

「し、不知火様………!そ、そんな急に走られては…………駄目ですよ…………」

しかし、俺の心配は杞憂だった。

数秒後にすぐ綾辻は現れた。

全速力で走ったのか、肩で息をしている。

「あ、夢寺様、飛鳥様。おはようございます………」

「大丈夫か?一体何があったんだ」

彼女が無事だったことに安堵しつつ、俺はそう尋ねた。

「実は彼女、先程目が覚めたばっかりなんです。それで私が現状を説明しつつ、まずは食事をしましょうと提案したところ、急に部屋を飛び出してしまい………私が慌てて追ってきたんです」

「……………そういうことか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー?なになにー?2人はこの人のこと知ってるのー?」

「うるせえぞ。一体何の騒ぎ…………あぁ?」

事態がよく理解出来てない飛鳥が不思議そうに忍者少女を見ているなか、厨房から出てきた円城寺が目を丸くして同じように少女を見る。

「俺がちょっと目を離した隙に何が起きたんだ?」

「詳しい事は全員揃ってから話す。だから今は…………至急1人前の食事を作ってくれ。それも特盛で頼む」

「……………………蓮、てめえ後でちゃんと説明しろよ。じゃねえと………てめえを殴る」

何故かキレている円城寺。

「ちょっと待て。何でそうなるんだ」

「なんとなくだ」

理不尽すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AM8:00

 

 

 

集合時刻になった。

昨日あんな事があったし集まりは悪いだろうと踏んでいたが、俺が思っていたよりも多く人が集まった。

「来ていないのは………八尋君に千尋さん、桃林さんに天草君、それに佐々木さんだね」

「八尋とそれを呼びに行ってる千尋はいつも通りだけどよ、天草と桃林と佐々木はどうしたんだ?」

雷哉が辺りをキョロキョロしながら言った。

「天草様はまだ絶対安静です。なのでしばらく朝は来られないと思います。…………莉央奈様と桃林様に関しては、おふたりとも精神的にダメージを負っていた様子でしたから………。大丈夫でしょうか………」

綾辻が整った眉をひそめる。

天草はどうやら昨日から頭痛が治らないらしい。

体も怠いらしく、食欲もないとのことだ。

あの謎のチャイムにどのような効果があるのか不明だが、聞くだけでここまで人間を衰弱させるなんて………とても信じられない。

「ま、天草と佐々木はしょうがねーよな。桃林は………あいつは知らねー」

「…某は無理に連れてくる必要はないと思うであります。無理に引き連れてくるのは逆効果であります」

「写実はんの言う通り、無理に押しかけたら余計傷つくんちゃうの?放っておくのが一番やとうちは思うけどなあ」

そう呟く写実とと、のんびりと綺麗な所作でお茶を飲む薬師院。

「そうだけど………」

結城はやはり来てない人間を呼びたいと考えているのか、難しい表情をしている。

俺もひとまずはそっとしておいた方がいいと思う派なので、意見を言っておこうとする。

 

 

 

 

 

 

「それよりも、だ!」

すると雷哉は突然、目の前にいる、ひたすら食事を貪り食う少女を指差した。

「いい加減説明しろよ!?誰だよコイツは!?」

「だから全員が揃ったら説明するって言ってるだろ。少し待てよ雷哉」

「もう十分待ったっつーの!おい!オメーどこから来たんだよ?」

「……………………」

忍者少女は雷哉の言葉がまるで聞こえていないかのように食べ続ける。

「おいコラ!無視すんなって!!」

「今は何を言っても無駄でしょー」

「それにしても………物凄い勢いだね」

「いい食べっぷりデス!!ワターシも早く食べたいデス!!!」

「人が食べてるの見ると食欲が湧いてくるのはよく分かるで。けどもう少し辛抱してな」

そんな形で周りで俺達が騒いでも、当の本人は見向きもせずに食事を続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お待たせしましたわ!!」

すると佐々木が慌ててドタバタと足音を立てながらやってきた。

「オオ!カルタサン来マシター!」

「随分と遅え登場だな、お嬢様。てっきり悲しくて部屋に閉じこもってるかと思ったぜ」

「そ、そんなみっともない真似わたしくがする筈ありませんわ!!ただちょっと化粧に時間がかかっただけですわ!」

苦し紛れにそう言い訳する佐々木。

確かに今日の佐々木の化粧はいつもより濃い気がする。

しかし、化粧でも腫れた目は完全には隠せていなかった。

………昨日の夜に1人で泣いたのだろう。

そしてそれを悟られないために必死に化粧で隠そうとしたと。

不器用な奴だ。

 

 

 

 

 

「ちょっと夢寺サン。何ですのその顔」

すると佐々木が何故か怒った顔をして顔をしてこちらに向かってくる。

「今、心の中でわたくしのこと馬鹿にしましたわよね」

「言いがかりも大概にしろよ………。まだ俺は今日お前と一言も喋ってないぞ」

「いーや!アナタのその顔、わたくし見たことがありますわ。わたくしを小馬鹿にする時、決まってアナタはそんな顔をしますわ」

「知らん知らん。それよりも静かにしろよ佐々木。気持ちいい朝が台無しになるだろ」

またギャーギャ言ってきたから苗字呼びしてやった。

「ま、また佐々木って言いましたわね!!ムキーーーー!!」

「お、落ち着いて佐々木さん!」

「佐々木様!!心を静めて下さい!」

「それにしても佐々木はん、不自然なくらい濃い化粧やなぁ。もしかして、昨日泣いて腫れたまぶたを隠す為、とかちゃうん?もしそうだったら可愛いもんやなぁ。あの偉そうにしてる佐々木はんがそんなバレバレの化粧で誤魔化そうとしてるんなんて」

「ち、ちちち違いますわ!!!馬鹿なこと言わないでくださいませ!この性悪女!!…………というかこの人誰ですの!?」

「今頃気がついたのでありますか!?」

「ちょっと薬師院さん!どうして火に油を注ぐような事言うんだよ!?」

「うるせぇんだよ馬鹿共が!!飯前くらい静かにしろやボケッ!」

「ユーレイのお兄さんご飯まだー?

「ワターシも欲しいデース!」

「オレもオレもー!」

「あと少し待てって言ってんだろうが!!!我慢出来ない幼稚園児かてめえらは!!!」

佐々木が来た数分後には大騒ぎ状態になっていた。

あいつやっぱりうるせえな。

でも………あいつの騒がしさが今の俺達には必要なのかもしれない。 

 

 

 

 

 

 

 

「みんなー!!八尋つれてきたよー!」

「…………………ハァ」

そして最後に元気いっぱいの千尋と心底嫌そうな顔をしている八尋という対称的な2人が姿を表した。

「えええ!!!だれそのひと!あたらしいおともだち?」

「………どういう状況ですか」

「………夢寺君。そろそろいいんじゃないかな」

「ああ。みんな、朝食にしよう。食べながら説明する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほぼ全員揃ったところで、俺達はテーブルに座り円城寺と綾辻が作った朝食を食べ始めた。

ちなみにここにいない天草と桃林には後で結城が説明をしてくれることになった。

「それでよ、蓮。この女は結局誰なんだよ」

「初めに言っておくが、俺も詳しく知っているわけじゃない。ちゃんとした会話すらしていないからな」

俺は昨日の出来事をかいつまんでみんなに話した。

「…………つまり昨日夢寺君と綾辻さんはたまたま出会っただけで………」

「敵か味方がどうかもそうだし、名前すら分かってない状況ってことやな」

「ああ」

「目の前にその人物がいるんですし、直接本人から聞いた方が手っ取り早いですね」

「あ、もうすぐ終わるんじゃないー?だってほら」

飛鳥の言葉で全員が少女の方を見ると、ちょうど食事が終わるところだった。

スープを豪快に飲み干す。そして器が空になると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかわりを所望するでござる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「まだ食うのかよ!!!」」」

ほぼ全員の総ツッコミ。

「ん?これは………いつの間にか沢山の人に囲まれているでござる」

忍者少女は驚くことなく不思議そうに周りを見渡す。

「ホントに気づいてなかったのかよ!?」

「いやはや、拙者食事になると周りが見えなくなかってしまうのでござる。面目ない」

雷哉の更なるツッコミにそう答えると立ち上がり、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「拙者、名を不知火 椿(しらぬい つばき)と申す。《超高校級のくノ一》としてこの希望ヶ峰学園に入学する事になった、心身共に未熟者の忍者でござる」

 

 

 

 

 

《超高校級のくノ一》

不知火 椿 (しらぬい つばき)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くノ一…………忍者、って事だよな」

「左様。しかし先程も述べた通り、拙者は忍者としてはあまりにも未熟。であるからして、『見習い忍者』と本来なら名乗るべきでござろうな」

謎の少女の正体。

それは大方予想通りではあった。

同じ新入生であり、才能は『くノ一』。格好通りだ。

「拙者からも一つ尋ねたい事があるでござる。………この食事を作ったのは誰でござるか?」

「俺だ。なんか文句あんのかコラ」

味の文句を言われると思ったのか、円城寺が喧嘩腰にそう尋ねる。

「文句など滅相もない。拙者が今まで食してきたどんな物よりも美味でござった。お主は命の恩人でござる。心から感謝を」

不知火は地に膝をつき、まるで主君に忠誠を誓う武士の様に頭を下げた。

「お、おい待て。そこまですることねえだろ。俺はただ飯作っただけだ」

円城寺が珍しく狼狽えている。

「拙者、このご恩は一生忘れないでござる。いつか必ず返すと誓うでござる」

「いや、だから大袈裟だろ。なんか調子くるうな………」

「随分と義理堅い子なんやねえ」

「なんかかっこいいー!!ねえ八尋、千尋もあんなふうになれるかな!」

「なれません。断言します」

古風な少女ではあるが、悪いやつではなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺達は簡単に不知火に対して自己紹介をした。

「世の中には拙者の知らない才能が沢山あるのでござるな」と呟いていたのは、恐らく不知火が浮世離れした人物だからだろう。

「不知火さん。君にいくつか質問したいことがあるんだけどいいかな?」

「勿論でござる」

不知火は椅子に座り直し、声をかけた結城の方に向き直る。

「まず、君はどうやってここに来たのかな」

「………記憶にないでござる。気がついたら妙な部屋にいたでござる」

「その部屋って………」

「畳が沢山敷き詰められた大きな部屋でござる」

「宴会場の事ですね」

「じゃあ君は、希望ヶ峰学園の入学式に出席するために学園内に入った瞬間気を失って、気がついたらここにいたって事でいいかな?」

「相違ないでござる」

不知火の話は、俺達が経験した事と全く同じであった。

「閉じ込められた理由は心当たりある?」

「皆目見当がつかないでござる」

結城の問いに対して不知火は首を振る。

「なんだよ、じゃあオレらと全く一緒じゃねーか」

「しかし妙ですね。もしその話が本当であれば、何故彼女だけこのタイミングで参加することになったのでしょうか」

八尋の疑問は最もだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフフ………皆サマ、驚いて頂けましたかナ?」

するとそこに、不気味な笑みを浮かべたモノワニが静かに現れた。

「ハッ、出やがったなこのクソワニ」

「ねーモノワニー。これってどういうことー」

「フフフフ………不知火サマのことですネ。彼女は…………一種のサプライズでス」

「サプライズぅ?」

「何でござるか?この汚い皮を被った奇怪な生き物は」

「なんて言い草ですカ!ワタシはモノワニでス!!」

「わに………?何でござるか、その()()というのは」

「ワニというのは………ああもう、面倒くさいから後で誰かにでも聞いて下さイ!」

いつも冷静なモノワニが何故か怒っている。

なるほど、こいつはどうやら自分の容姿を悪く言われるのが嫌らしい。

 

 

 

 

 

 

 

「そんで?この不知火はんがサプライズって言っとったけど、うちらと同じこのコロシアイの参加者ってことでええの?」

「………コホン、その通りでス。不知火サンはこれから皆サマと一緒にこの場所で過ごしてもらいまス」

「……………………」

薬師院はしばらくじっとモノワニ、そして不知火を見つめていたが、そのまま何も言わずに口を閉じた。

「それともう一つお知らせでス。学級裁判を突破した皆サマにご褒美として、新たに地下1階を開放しましタ」

「地下!?この建物地下があるのでありますか!?」

「うわー!なんかたのしそう!!」

「脱出しようとしてるのに喜んでどうするんですか………」

モノワニによると地下1階が新たに解放されたらしい。しかし、地下へ続く階段なんてどこかにあっただろうか。

だが、下に新たな階があるという話を聞くと、当然気になる事がある。

「モノワニ。質問だがこの建物は何階建てなんだ?」

俺が手を挙げて質問すると、モノワニは満足げに頷く。

「そこに目をつけるとは流石ですネ夢寺サマ。けど、これに関してはお答え出来ませン。ここで言ってしまったら楽しみがなくなってしまうでしょウ?楽しみは取っておくものですヨ」

「そうか」

一瞬でも答えてくれると期待した俺が馬鹿だった。

このワニはこういう奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………成程。ようやく拙者にも事態が飲み込めてきたでござる」

すると不知火が立ち上がりテーブルにあったナイフを持つ。

「………不知火?」

「要するに拙者らを閉じ込めた張本人はそこの生き物ということでござろう?であればするべき事は一つ」

「………!待て、不知火!!」

不知火がこれから何をするか分かってしまった俺は咄嗟にそう叫ぶ。

しかし不知火は地面を蹴り上げてモノワニへと接近し、

「お命頂戴するでござる」

モノワニに向けてナイフを振り下ろした…………。

駄目だ。

モノワニへの暴力行為は禁止されている。

このままだと不知火は校則違反で処刑されてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっぶねー………。間一髪だぜ」

「!?」

しかし、そんな惨劇は起こらなかった。

雷哉が不知火の手首を掴みナイフが刺さるのを阻止していた。

「不知火、ちょっと落ち着けよ。色々あって、今はこのカバに攻撃しちゃいけねーんだよ」

「…………」

止められた事に驚く不知火に対して雷哉はそう説明する。

「だから一旦それ下ろそうぜ、な?」

「…………了解したでござる」

何か言うかと思っていたが、不知火は意外と素直にナイフを下ろした。

「フフフフフフフフ………。残念、また1人死んで絶望に染まる皆サマを見たかったのですガ。不知火サンは危うく命を落とすところでしたネ………。風神サマに感謝いないといけませんネ」

「うるせー」

命を狙われたにも関わらず余裕の表情のモノワニに対して雷哉は悪態をつく。

「消えろクソワニ。目障りなんだよ」

「何でもかんでもあなたの思い通りにいくと思ったら大間違いですわ!」

「そうだ!僕達はもう君の思い通りにはならない!」

「フフフフフ。いつまでそう言っていられるか、皆サマの絶望に満ちた顔を見るのが楽しみデス……………」

モノワニは不気味な笑いと共にどこかへと消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風神君。助かったよ。ありがとう」

「別にたいしたことはしてねーよ。前の蓮と同じ事しただけだ」

そう言いながら俺の方をドヤ顔で見てくる。

何でそこで張り合ってくるんだよ………。

「不知火さん」

結城は不知火に声をかける。

「僕達も全てを把握してるわけじゃないけど、ここには守らなくちゃいけないルールがいくつかあるんだ。それを守らないと殺されてしまうだよ」

「………成程。そうとは知らずに拙者はまたお主らに迷惑をかけてしまったと。………やはり拙者は未熟者でござるな。………風神殿。お主には」

「いいってそういう堅苦しいの。オレらは同じ同級生なんだからよ、助け合うのは当然だろ?」

「………!」

「だからほら、今はこれからどうするか一緒に考えよーぜ。オレらもう仲間だろ?」

「…………………かたじけない」

雷哉はニカッと悪い、不知火も軽く頭を下げる。

このさっぱりとした性格は雷哉の最大の長所だ。

 

 

 

 

 

 

「それで?これからどうすんだよ?その新エリアとかに行くのか?」

「そうだね。そこに脱出の手がかりがあるかもしれないからね。みんなには手分けして探索をお願いしたいな」

朝食の後片付け後、結城の提案で新しく開放された地下1階を探索する事になった。

「では僕は1人で探索します。その方が効率的ですし」

「だめだよ!八尋もみんなといっしょにいくんだよ!」

「は、離せ千尋…………!クソッ!!」

「八尋はん、今回は諦めた方がええよ。多分千尋はん、一生八尋はんのこと離さないと思うで」

「であれば、いくつかのグループに分けて探索した方がよさそうですね」

「うん。じゃあまずは不知火さんと一緒に組んでくれる人を決めようか。彼女、何も知らないから色々と説明してあげないといけないしね。………そうだな、じゃあ夢寺君、お願いしてもいいかな?」

「俺か?結城の方がいいんじゃないか?」

指名されると思っていなかった俺は驚きつつそう尋ねる。

「いや、僕は今から桃林さんのところに行かなくちゃいけないんだ。だから探索はみんなに任せようと思ってるんだよ。僕以外だと、1番信頼出来るのは夢寺君だと思ってるからさ」

「ま、それが1番妥当だな。昨日の功労者だし安心だろ」

「確かに、夢寺氏なら大丈夫そうでありますな」

「………分かった。みんながそう言うなら」

変に褒められてむず痒い気持ちになりながらも俺は了承する。

「よろしく頼むでござる、夢寺殿」

「ああ、よろしく」

 

 

 

 

 

その後、絶対安静の天草、天草を看る綾辻、朝会に来てない桃林と様子を見に行く結城を除いた9人でくじ引きを行い、グループを決めた。

 

 

 

Aグループ 夢寺、不知火、

Bグループ 円城寺、飛鳥、写実

Cグループ 八尋、ハルク、薬師院

Dグループ 佐々木、風神、千尋

 

 

 

 

 

Dグループが少し心配だが、大体うまい具合にばらけたと思う。

「ユーレイのお兄さんおぶってー」

「自分で歩けクソガキ」

「じゃ、じゃあ某がおぶるでありますよ!」

「オタクのお兄さんべとべとしてそうだから嫌ー」

「酷いであります!!心に大ダメージであります!!!」

「探索デース!何があるかワクワクデース!!」

「どうして僕が…………。1人の方が効率がいいのに………」

「ハルクはん、あんまりはしゃいだらあかんで?それに八尋はん、こうなったもんはしゃあないんやから、諦めて仲良く探索しよな?」

「よーし!オレがリーダーだぜ!オレに続け!」

「おー!がんばるぞー!!」

「何でアナタがリーダーなんですの!!リーダーはこのわたくしですわ!!」

「早いもん勝ちなんだよ!オメーはリーダー争いに負けたんだよ、佐々木」

「佐々木って呼ばないでくださいませ!!」

どのチームもよく喋るな…………。

「よし、俺達も行こう」

「承知」

それに引き換えこの2人チームはとても静かだ。

居心地がいいから非常に助かる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1階

 

 

ひとまず俺は、不知火に校則を教えることから始めた。

「夢寺殿。この鉄の板は何でござるか?」

「これはスマホだ。ここで生活するために必要不可欠な物だから大事に持っておいた方がいい」

「すまほ………。それは何でござるか?」

「お前まさか…………スマホを知らないのか?」

「初めて耳にした言葉でござる」

どうやら、俺の想像以上に不知火は浮世離れしてるらしい。

「ちなみに聞くが、携帯電話は知ってるか?」

「けいたい………聞き覚えがないでござる」

「簡単に言うと、遠くにいる人と連絡が取れる機械だ。不知火は離れた人と連絡を取りたい時、今までどうしてたんだ?」

「それは勿論、自分の足で直接伝えに行くでござる。もしくは狼煙を上げて自分の位置を知らせるでござる」

原始的にも程がある。

携帯に頼らず生活している人が全国には存在することは知っていたが、まさかこんな身近にいるとは。

その後俺は、一から丁寧にパスポートの使い方、そして校則を不知火に教えていった。

 

 

 

 

 

 

次に各施設を案内していった。

が、あちこちに不知火の知らない物があるため、それを一つずつ説明する必要があった。

「夢寺殿。この四角い鉄の箱は何でござるか」

「それは電子レンジだ。電磁波の力を使って食品を温める機械だ」

「これは何でござるか」

「それは冷蔵庫だ。電気の力で冷気を放出して物を冷やす機械だ」

「これは?これは何でござるか?」

「………これはポットだ。同じく電気の力でお湯を作る。念のため聞くが、この厨房と食堂にある物の中で知ってる道具はあるか?」

「…………無いでござるな」

……………………疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下1階

 

 

ようやく1階の施設を全て紹介し終え、ついに新エリアへと足を踏み入れた。

ちなみに入口は、玄関前の何もない空間にいつの間にかエレベーターが現れていた。

何故今まで気がつかなかったのだろうと疑問に思いつつ、地下1階へと進むと………。

「これはまた奇怪な空間でござるな」

「ああ。………一体どんな技術があればこんな場所を………」

目の前には巨大な運動場が広がっていた。

小学校の校庭と同じかそれ以上の大きさではないだろうか。

「少し歩いてみるか」

「承知」

探索がてら、一周ぐるりと回ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夢寺殿。先程色々教えてくれた事、感謝するでござる」

2人で並んで歩いていると、不知火が話しかけてきた。

「あ、ああ。大丈夫だ。正直、不知火があそこまで道具を知らないとは思わなかったけどな……」

「面目ない。拙者、山奥にある忍者の里で過ごしてきた故、里の外がどのような世界なのか知る由がなかったのでござる」

「そうなのか………」

であれば、不知火が電化製品を一切知らないのも無理はないのかもしれない。

「………1つ聞いていいか?」

「無論でござる」

「………どうして、そんな冷静でいられるんだ?」

「?」

不知火はなんのことだといった風に首をかしげた。

「いや、今朝綾辻の部屋で目覚めてから訳の分からないことばっかりだっただろ?けど不知火は常に落ち着いてるし動揺した様子も無かったから少し気になったんだ」

不知火は食堂に来てから表情がほとんど変わっていない。

俺と話してる今も真顔だ。

「それは………恐らく里での生活に慣れているからでござろうな」

「里での………生活?」

不知火は立ち止まり上を見上げる。

「左様。拙者、忍になる為に過酷な訓練を重ねてきたでござる。詳細は省くでござるが、今置かれている環境とは比べ物にならないくらいの経験をしてるでござる。それ故落ち着いていられるのでござる」

「そうなのか………」

不知火からすれば、閉じ込められコロシアイをさせられるこの環境ですら生温い、ということなのか。

 

 

 

 

「………不気味でござるか?」

「え?」

「高校生には見えないでござろう?拙者、先程お主らと自己紹介をした際に悟ってしまったでござる。拙者とお主らは住む世界が違う。普通の高校生が持つ常識を何一つ持ち合わせていない拙者の居場所はここにはないと。里の命令で仕方なく入った高校でごさるが、どうやら拙者は大人しく里に籠っていた方がよかったみたいでござるな」

虚しさを宿した目で上を見上げ続ける不知火。

「…………そうか?俺はまだその決断をするのは早いと思うけどな」

「………夢寺殿?」

そんな彼女に対して俺はそう声をかける。

「俺が色々教えてる時の不知火の顔は、少なくとも現代の女子高生みたいだったぞ」

初めての電化製品を目の当たりにした不知火は興味津々だった。

基本無表情ではあったけど、一瞬だけ顔が綻んでたような気がした。

「だからまだ諦めるのは早いんじゃないか。もう少し過ごしてみれば色々知ることが出来るだろうし、自分の居場所を見つけることが出来るかもしれない」

「………成程。一理あるでござるな」

そう答えると不知火はこちらを向き、

「であればまず、この閉じ込められた空間から無事に脱出しないといけないでござるな」

ほんの少し笑みを浮かべた。

その表情は、厳しい忍の里で過ごしていたとは考えられない、普通の少女であった。

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

プール

 

 

その後一通り運動場を歩いてみたが、特に脱出の手がかりになりそうなものは無かった。

なので次は、運動場の奥にある建物に入ってみることにした。

「………更衣室?」

中に入るとそこには男女で分けられた2つの扉があった。

上には『男子更衣室』『女子更衣室』の文字。

「何処に繋がる施設でござるか?」

「さあ………」

『お答えしましょウ』

すると近くにあるスピーカーからモノワニの声が聞こえてきた。

「………なんだモノワニ」

『おやおや、随分と冷たいですネ。人が親切に教えてあげようというのニ』

「これは………?どこからか布畜生の声がするでござる」

『誰が布畜生ですカ!!………はぁ、アナタと喋るのは疲れてますネ』

またもやペースが乱されているモノワニ。

もしかしてこいつ、不知火のことが苦手なのか?

『………えーっ、ここは()()()でございまス。それぞれの脱衣所に入って着替えて頂キ、その後中の扉からプールに行くことが出来まス』

「入室の仕組みは大浴場と同じか?」

『えエ。大浴場と同じく、入口の機械にパスポートをかざせば入れまス。異性のパスポートをかざすと同じく蜂の巣でス』

「そうか。分かった。もういい」

『夢寺サマは血も涙もないのですネ…………ではワタクシはこれで失礼………』

「………というわけだ。不知火。お前の持ってるパスポートを女子更衣室の入口にかざせば入れる」

「承知した。こうでござるな」

不知火はぎこちない手つきでパスポートをかざすと、カチャと鍵が空いた音が聞こえた。

「これは画期的でござるな」

「そうだな。じゃあひとまずプールで落ち合おう」

俺達は一旦別れ、更衣室を探索することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

男子更衣室

 

 

中は至って普通の更衣室だった。

作りは1階の脱衣所とほぼ同じだ。

唯一異なる点は、男子用の水着が用意されていることだ。

数は…………9枚。

既にいない司の分もあるのか。

「お、夢寺氏も来たのでありますね」

同じく探索をしていた写実は、何故か壁の隙間を念入りにチェックしている。

「………お前、何してるんだ?」

「ギクッ!?」

俺が声をかけると写実は明らかに狼狽えた態度を見せた。

誰がどう見ても不審者だ。

「な、何でもないでありますよ………。ただ手がかりがないか探索をしてるだけであります」

「いや、そんなアリ1匹入るのが精一杯の隙間には何も無いと思うんだが………」

「ギクギクッ!?」

「………正直に吐け。何をするつもりだ?」

「………し、仕方がないであります。夢寺氏にだけこっそり教えるであります」

写実は俺に近づきこっそり耳打ちした。

「この更衣室、大浴場と同じように入室にはパスポートが必要でありますが、プール側から更衣室に行くのはパスポートは不要なのであります。つまりプール側から女子更衣室に入れると言うこと………。つまり!女子更衣室にプール側から潜入し小さな隙間にカメラをセット出来るのであります!そして水着と下着、そして裸体を写真や動画に収めることが出来たなら………」

「………お前には失望したよ。じゃあな、もう2度と話すことはない」

「ま、待って欲しいであります夢寺氏!一緒に温泉を覗いた仲として、今一度某にチャンスを………ゆ、夢寺氏!?夢寺氏ぃーーー!!!」

後で薬師院辺りに報告しておこう。

こいつは一回痛い目にあわないと駄目だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プール

 

 

更衣室から外に出ると、だだっ広いプールが目の前に広がっていた。

25メートルプールに綺麗なプールサイド。

そして驚いたのが、2階に当たる部分に観客席があったことだ。

つまりこのプールがある建物は2階建てということになる。

プール入口に階段のような場所はなかったから、恐らく別の場所から上がれるのだろう。

「おう、蓮。忍者少女とのデートは順調か?」

プールサイドには円城寺がいた。奥では飛鳥がはしゃぎ回っている。

「誤解を生むようなことを言うのはやめてくれ」

「軽い冗談だろ。そうマジになるなって。………まあ確かに、蓮がデートしてるなんて聞いたら誰かさんが嫉妬しちまうもんな」

「ん?」

「あ?………あーいいや、忘れろ」

何故か呆れ顔の円城寺。よく分からない。

「そっちは順調か?」

「順調も何も、手がかりは特にねえよ。それに真平は更衣室に張り付いてるし、クソガキは走り回ってるだけだし、もう疲れちまった」

確かに、このグループでまとめ役になれるのは円城寺しかいない。

大変さが目に浮かぶ。

「………なんと。想像以上に巨大なぷーるでござるな」

すると女子更衣室から不知火から出てきた。

「プールは見た事あるのか?」

「里で水中訓練をする際に使用していたでござる。だからよく知ってるでこさる。こんなに広い空間ではなかったでござるが」

水中訓練か。

漫画でよく見る竹を加えて水中で呼吸するやつは知ってるが、あんな風に実戦でも使うのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「あー。はとのお兄さんと忍者お姉さんだー」

それと同時にプールサイドを走り回っていた飛鳥が戻ってきた。

「随分楽しそうだな、飛鳥」

「まーねー。今まで狭苦しい場所にずっといたからさー。やっぱりこういう広い場所がいいよねー」

そう言いながら背伸びをする飛鳥。

「確かに、先程の場所に比べたら開放感が違うでござるな」

「おー?忍者のお姉さん分かってくれるー?」

「拙者も中よりは外で動く方が好きでござる」

「だよねー。いえーい」

意気投合しハイタッチをする2人。

意外と相性がいいのかもしれない。

「おいコラ。それよりもプールサイドはちゃんと見たのかよ」

「見たけど何にもないよー。奥に倉庫みたいなとこあったけど、そこもビート板とか水泳で使う物しか置いてなかったー」

「そうかよ。………しかしこのプール、意外と底が深えな。身長小せえ奴だとつま先届かねえんじゃねーか」

円城寺がプールを覗き込む。

言われてみれば、思っていたより水深が深い気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーん!!!!」

「ぐわっ!?」

すると突然、円城寺の姿が水に消えた。

そして大きな水飛沫が近くにいた俺にかかる。

「お、おい飛鳥!?」

「あはははははははは!!!」

円城寺を背後から押して突き落とした飛鳥が大声で笑っている。

「油断大敵だよー。ユーレイのお兄さん隙だらけだよー」

「お前な………。後で円城寺に殺されるぞ」

顔を真っ赤にして飛鳥を追いかけ回す円城寺の姿が目に浮かぶ。

「…………ん?待つでござる。………円城寺殿が上がってこないでござる」

俺が呆れ果てていると、不知火がプールを見ながら言った。

確かに、そろそろ上がってきてもおかしくない筈だが………。

「!?まずいでござる!」

「不知火!?」

不知火は服を着たままプールに飛び込んだ。

そして数秒後、円城寺と一緒に不知火が浮き上がってきた。

「げほっ!?ごほっ!?」

「え?な、なに?」

飛鳥が珍しく本気で焦った顔をしている。

「どうやら円城寺殿は泳げなかったようでござる」

「そ、そうなのか!?」

「げほっ!?…………あ、ああ。山で育ったから海なんて言った事ねえんだよ。だから………俺はカナヅチなんだ」

円城寺は這うようにしてプールサイドに上がった。

「ご、こめんね…………まさかユーレイのお兄さんが泳げないなんて…………」

飛鳥が申し訳なさそうに謝る。

いつもの憎たらしい笑みを浮かべた飛鳥とは別人のようにしょんぼりしている。

それに対して円城寺は………。

「てめえ…………このクソガキが!!!」

飛鳥の頭を掴むと、両手の拳骨でグリグリする。

「何度もふざけた真似しやがって!!!今度こそ許さねえぞコラ!」

「い、痛い痛い痛い!?ご、ごめんなさいって言ったじゃん!!」

「ごめんで済んだら警察いらねえって言ったんだろボケ!」

………ひとまず、険悪な仲にはならなそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「しかし不知火はよく気がついたな。円城寺が泳げないって」

「似たようなことが幼き頃何度かあったのでござる。だからすぐ分かったでござるよ」

「そうなの…………か………」

俺は不知火を見た瞬間、思わず目を逸らしてしまった。

水に濡れたせいで、不知火の服が透けている。

黒い下着が………見えてしまっている。

「不知火…………その…………服が………」

辛うじてそう伝えると、不知火は自分の服を見た後、

「これは失敬。見苦しいものを見せてしまったでごさるな。すぐ着替えてくるでござる」

特に気にした様子もなく、そのまま更衣室へと戻っていった。

あいつには恥じらいとかないのか………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

 

 

着替えを済ませた不知火と一緒にプールを出た後は、裏手にある体育館へと向かうことにした。

どうやらこの体育館からさっきのプールの2階に上がることが出来るらしい。

「ここも随分と広いな」

体育館は天井が高く非常に開放的な空間になっていた。

コートが二面あり、学校で校長先生が話をする場所である舞台もしっかり完備されている。

「夢寺殿」

中を見渡していると、隣にいる不知火につんつんと肩をつつかれた。

「どうした?」

「あの空中に固定された籠はなんでござるか?」

見ると不知火はバスケゴールを指差している。

「あれはバスケで使うゴールだ」

「ばすけ………?」

「スポーツ競技の一つだ。お互いのゴールにボールを入れて得点を競い合う。それで使うのがあの籠だ」

「成程。理解したでござる」

バスケを知らないとは………。逆に何のスポーツなら知ってるんだ?

 

 

 

 

 

 

「夢寺はん達も来たんやな。お疲れさん」

そんな話を入口でしていると、扇子を手に持った薬師院が現れた。

「お疲れ。薬師院達は体育館を探索してたんだな」

「1番目立つ建物がここやからなぁ。プールは円城寺はん達が入って行ったし、ならうちらは奥の体育館に行こかって話になったんよ」

「そうなのか。それにしても………」

俺達は奥で楽しそうにバスケをしているハルクを視界に捉える。

「ハルクは随分とはしゃいでいるな」

「そうなんよ。うちが探索しよかって言っても全く聞かへんから困ってんやけど………」

「いや、俺にも無理だぞ」

チラッと視線を向けられたが、すぐ逸らした。

そもそも、薬師院に無理なら俺の言うことなど聞く筈がない。

「………夢寺殿」

不知火に肩をつつかれた。

彼女はハルクの方をじっと見たまま動かない。

「どうした?不知火」

「我儘を言うようで申し訳ないのでござるが…………その………拙者もばすけをやってみたいでござる」

「…………」

そうきたか。

「………分かった。探索は俺がしておくから、ハルクとバスケしてきていいぞ」

「恩にきるでござる」

不知火は軽く頭を下げると、ハルクの元へ走って行った。

表情こそ変わらなかったが、心はウキウキしていたんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ええ子やね」

薬師院は不知火の背中を見ながらそう呟く。

「ああ。そうだな」

「ほんまええ子やと思う…………。けどな夢寺はん。あんま油断せん方がええと思うで」

薬師院の声のトーンが一段階低くなる。

「どういう意味だ?」

「うちは不知火はんが…………()()()()()()()やと思ってる」

「手先………スパイって事か?」

俺の質問に薬師院は頷く。

「うちらの仲をかき乱すためにモノワニが送り込んだスパイ………。モノワニがやりそうな手口やろ?」

「………正直、俺もその可能性はあると思っていた。遅れて俺達に合流する理由がそれくらいしか思いつかなったしな」

「そうやろ?やっぱ夢寺はんとは気が合うわぁ♪」

「いや、そんなにくっつかないでくれ………」

「なんや、照れてるん?ほんま夢寺はんは反応が初々しくて可愛ええわぁ」

ものすごく顔を近づけてくる薬師院から遠ざかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「けど、俺は不知火を疑うだけじゃなくて信じたい気持ちもある」

「………」

「さっき話してみて…………俺はあいつは悪い奴じゃないと思った。普通の女子高生に見えた」

「…………」

薬師院は口を挟まず、黙って聞いている。

「甘い考えだと思う。けど俺は………ひとまず様子を見たい」

「………夢寺はんならそう言うと思ったわ」

「え?」

薬師院は深くため息をつくと、

「なら、ひとまずうちは目立たないように不知火はんを注意して見とくだけにするわ。夢寺はんはひとまず、不知火はんが敵側の可能性も頭の片隅に入れといてな」

「悪いな、本来ならすぐ対策を取るべきなんだろうが………」

「ええよ。まだ不知火はんが敵だって決まったわけじゃないしな。それに………」

彼女は俺の方を見ると、

「なんかこれ、探偵の極秘任務みたいでおもろいやん。うち、ちょっとテンション上がってきたわ♪」

妖艶な笑みを浮かべる薬師院。

………やはり掴みどころのない人物だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、流れで俺と薬師院は一緒に探索をすることになった。

楽しそうにバスケに興じている2人を横目に、舞台の方へと進む。

「貴方も来たんですか、夢寺さん」

舞台袖を見ると、八尋が無表情でハンドルらしきものを見ていた。

「随分と疲れてるな」

「当たり前ですよ。千尋のバカに集まりに引っ張り出されて、おまけに探索までグループ。その癖結局は今1人で探索しているというオチ。………無駄が多すぎる。なら初めから僕1人でさっさとやっていればこんな時間を無駄にせずに済んだのに」

ブツブツ文句を言いながら目の前にある機械をいじっている。

喋りながらもしっかりと仕事をするあたりが、無駄を嫌う八尋らしい。

「そんな怒らんでもええのに。たまにはみんなでこうして過ごすのも悪くないやろ」

「全然悪いですけど」

八尋の機嫌がどんどん悪くなりそうなので、俺は話を変えることにした。

「それよりもそのハンドルは何なんだ?」

「ああ、これですか」

八尋はため息をつくと、ハンドルを握る。

「恐らく舞台にある何かを動かすための物だと思いますが、固くて僕の力では動かせませんでした」

必死に動かそうと力を入れるが、ハンドルはピクリとも動かない。

「錆びてるんちゃうん?結構古そうなハンドルやし」

「そうですね。ハア………面倒ですがハルクさんを呼んで………」

「ちょっと待ってくれ一回俺にやらせてもらっていいか?」

「いいですが………貴方に出来るんですか?想像以上に固いと思いますよ」

「やってみる」

俺はハンドルの前に立つと、両手で握り、思いっきり左に倒した。

すると舞台でガタンと音がすると、看板らしき物が降りてきた。

「夢寺はん凄いなぁ。思ってたよりも力持ちなんやねぇ」

「………見た目より力があるタイプですか」

「いや、そんな事はないと思うけどな…………」

昔の影響で多少は筋肉が付いてることは絶対に言わない。

 

 

 

 

 

 

 

「しかしなるほどなぁ。これで舞台にある看板を下ろしたり上げたり出来るんや」

「ワイヤーで吊っている形ですか。では、このもう一個のハンドルも同じような物でしょう」

八尋は隣にあるハンドルを見た後、俺の方を見た。

また回せ、という事だろう。

「人使いが荒いな………」

「非力が僕が時間をかけて回すなら、力のある夢寺さんにさっさとやってもらった方が早いですから。……………なるほど。やはり降りてきましたか」

俺が必死にハンドルを回すと、今度は何も付いてないワイヤーが降りてきた。

「このワイヤーの先に何かを引っ掛けて吊るすのでしょう」

「舞台で使う照明とかやな。でもこれ、降ろす度にハンドル回すの大変ちゃうん?うちもやってみてもええ?」

「ああ」

俺は薬師院に場所を譲る。

彼女は力を入れて回そうとするも、八尋の時と同じく全く動かない」

「ほ、ほんまに固いなぁ。女子じゃ到底動かせないと思うで」

「僕達の生活で使うことはないと思いますが、一応覚えておきましょう」

確かに、普段生活する上で使う事はないな。

俺はハンドルを回してワイヤーを元に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

「ん?これは…………」

舞台袖に戻り引き続き何か手がかりがないか探索していると、ある物を見つけた。

「ああ、それはブレーカーですよ」

八尋は既に見つけていたのか、俺にその正体を教えてくれた。

「どうやら1階と地下1階ブレーカーをこれで操作出来るみたいです」

「じゃあ、これ全部切るとうちらが今行ける場所全部電気消えるってことなん?」

「そうでしょうね。試してみます?」

「いや、遠慮しておく………」

急に消したら他のみんなが驚くだろうしな。

どうせブレーカーをいじる機会なんてないし、無闇に触らない方が良さそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台からコートに戻ると、さっきと変わらず不知火とハルクがバスケをしていた。

「ハルク殿は流石でござるな。体格を生かしたその動き、拙者には到底真似出来ないでござる」

「くノ一サンも凄いデース!まさにジャパニーズニンジャみたいな動きデース!」

どうやらこの数分で大分打ち解けたようだ。

「不知火。そろそろ次の場所に行くぞ」

「了解したでござる。ではハルク殿。後ほどまた手合わせを所望するでござる」

「またやりまショー!ワターシいつでもウェルカムデスヨー!」

「ハルクはん。あんたも今から探索やで」

「しっかり働いてもらいますよ」

「ウ………………ソーリー………」

叱られているハルクを背に俺達は体育館を出た。

「どうだった?バスケは」

「面白かったでござる。世の中にあのような球技があるとは思いもしなかったでござる。ハルク殿にも色々教えてもらったでござる」

「そうか。不知火が楽しそうで何よりだ」

俺の気のせいかもしれないが、不知火の表情が最初よりだいぶ柔らかくなってきた気がする。

慣れてきたのはいい事だ。

 

 

 

 

 

 

 

体育館を出た後、またぐるりと歩いていると、謎の建物が見えてきた。

そしてその前で雷哉達のグループが口論している。

「だ・か・ら!!!アナタ本当に馬鹿なんですの!?校則違反になりますわよ!?」

「んなの、やってみなきゃ分かんねーじゃねーかよ!!」

「じゃあ千尋がいってこようかー?」

「人の問題じゃありませんわ!!」

………面倒そうだ。

「………夢寺殿?行かなくていいのでござるか?」

「不知火。ここはあいつらに任せよう。絶対面倒な事に巻き込まれる」

嫌な予感しかしない。

「………あ、おい蓮!!こっち来いよ!」

しかし、時既に遅し。

こそこそ引き返そうとした俺を雷哉は既に捉えていた。

俺は諦めて雷哉の方に向かう。

どうせ逃げても無駄だ。追いかけられて捕獲される。

あいつの化け物じみた身体能力は俺が1番よく知っている。

 

 

 

 

 

 

「………何やってんだよ、お前らは」

「おお蓮!聞いてくれよ!なんかここの建物入ろうとしたら鍵がかかってて入れねーんだよ。だからオレが他の窓とか別の入口色々いじって侵入出来ねーか試そうとしたら佐々木が『絶対にやめなさい』とか言い出したんだよ」

「千尋からだちいさいから、すきまみたいなところからはいれるよーっていったのに、りおながだめっていうんだー」

「校則でドア等の施設の破壊は禁じられているの分かっていますの!?もし鍵をいじって壊してしまったらその場で処刑なんですわよ!?それもみすみすやらせるわけにはいかないですわ!それと風神サン!今『佐々木』って呼びましたわね!!」

「大丈夫だって。オレこう見えても器用なんだぜ」

「千尋もだいじょうぶだよー!!」

「アナタ達みたいな馬鹿の大丈夫は世界一信用できないんですの!!」

またギャーギャーと騒ぎ始める3人。

………面倒くさい。

「まず落ち着け。話は大体分かった。今回は佐々木の言い分が正しい。何が起こるか分からない以上、万が一のことを考えて行動するべきだろ」

「けどよ、ならここは探索出来ねーぞ?」

「鍵が閉まってるってことは、今は入れないんだろ?なら無理に入ろうとする必要はない。また開いた時に探索すればいい」

「拙者も夢寺殿に賛成でござる。危ない橋を渡る必要はないでござる」

「ほら!わたくしの言った通りですわ!!」

おほほほとお嬢様笑いをする佐々木。

 

 

 

 

 

「ですがこの男に味方をされたのが少し不満ですわ。こんなへっぽこ夢寺サンに味方されたなんて知られたら恥ずかしくて死ねますわね」

「…………」

何故庇ってやったのにここまで言われなくてはいけないのだろうか。

俺の怒りのボルテージが上がっていく。

「まあ、わたくしの寛大な心で許して差し上げますわ。次からはアナタではなく別の人を呼んできてくださいませ」

そして怒りはあっという間に頂点へ。

「黙って聞いてれば好き勝手言いやがって………!このポンコツお嬢様もどきが!」

「ぽ、ポンコツ………!?も、もどき………!?」

突然悪口を言われた佐々木は絶句する。

「な、なんて無礼な………!わたくしに対してなんという口の聞き方ですの!?」

「知るか!逆に聞くが、自称お嬢様になんで俺が礼儀正しく接さなくちゃいけないんだ?ええ?」

「じ、自称ですって………!?」

「それにお前、裁判で助けてやった時のお礼がまだだよな?俺が頑張ってお前が冤罪だって証明してやったのに礼の一つもないのか?」

「そ、それはその………ありがとうございますわ。アナタには、まあ、その、感謝してるというか………」

「じゃあ俺に偉そうな態度取れないよな?俺に感謝と謝罪をすべきだよな?『夢寺様すみませんでした。2度と生意気な口をききませんから許して下さい』って土下座すれば許してやるよ」

「あ、アナタ調子に乗るのも大概にしなさい!!!それはそれ!これはこれですの!!やっぱりアナタ生意気ですの!!今までの無礼をアナタが土下座しなさい!」

「死んでもお前に土下座なんかしないね」

「ムキーーーー!!!」

 

 

  

 

 

 

 

夢寺と佐々木がいつもの口喧嘩をしている時。

離れた位置で3人がそれを眺めていた。

「風神殿?あの2人は仲が悪いのでござるか?」

「ああ。とんでもなく悪いな。けどよ、『喧嘩するほど仲がいい』って言葉もあんだろ?だから実際アイツらは仲いいんじゃねーの」

「成程。敵と見せかけて実は強い絆で結ばれた親友、というわけでござるか」

「千尋もれんとりおなはなかよしだとおもう!いっつもたのしそう!!」

「まー、アイツらは絶対認めないと思うけどな」

「それにしても夢寺殿、あのように口調を荒げることもあるのでござるな。少し意外でござる」

「アイツあれが素だぜ。今は大分大人しくなっちまったけど、昔はあんな風に荒々しかったな」

「そうなんだ!なんかびっくり!」

「昔の夢寺殿でござるか………。気になるでござるな」

「お!なら教えてやんよ。実はオレと蓮はな………」

こうして、夢寺の隠したい過去の黒歴史が風神によってまた広まってしまったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生存者

 

 

1.飛鳥 圭【スリ】

2.天草 京介【神父】

3.綾辻 澪【軍医】

4.円城寺 霊夜【オカルト研究家】

5.風神 雷哉【喧嘩家】

6.北桜 千尋【ピアニスト】

7.北桜 八尋【作曲家】

8.佐々木 莉央奈【かるたクイーン】

9.写実 真平【カメラマン】

10.司 拓郎【秀才】

11.百々海 真凛【水泳部】

12.乃木 環【???】

13.ハルク ゴンザレス【ボディービルダー】

14.桃林 林檎【グルメリポーター】

15.薬師院 月乃【女将】

16.結城 晴翔【バトミントン部】

17.夢寺 蓮【マジシャン】

18.不知火 椿【くノ一】

 

 

 

 

残り15名

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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