ダンガンロンパ ルーナ   作:さわらの西京焼き

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学級裁判(前編)

 

 

 

 

 

 

 

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頼れる兄貴分であった『超高校級のオカルト研究家』円城寺 霊夜の死体が磔にされた状態で発見された。

犯人は何故円城寺を殺したのか?磔にされた意味は?昨日起きた停電との関係性は?

果たして夢寺達は、友の弔い合戦であるこの裁判に勝利することが出来るのだろうか………。

 

 

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コトダマ一覧

 

 

 

[モノワニファイル②]

被害者は『超高校級のオカルト研究家』円城寺 霊夜。

死体発見場所はB1Fにある体育館。

舞台上で磔にされた状態で発見された。

側頭部に傷あり。

また、首には索状痕がある。

 

 

 

 

[綾辻の検死結果]

モノワニファイルの情報と大きな差異はなし。

死体の状況から、死亡推定時刻は昨日の夜から夜中にかけてと推測される。

 

 

 

 

[吉川線]

円城寺の首に吉川線が残されていた。

 

 

 

 

 

[側頭部の傷]

円城寺の側頭部に出来た傷。

殴られた、というよりどこかにぶつけたような傷であった。

 

 

 

 

 

[綾辻の証言]

アリバイについては、宴会中はほぼずっと宴会場にいたという。

その後一度個室に戻ったが、深夜12時過ぎの停電復旧後に再び宴会場へ戻り、食器を厨房に運び片付けをしていた。

12時半までは1人だったが、その後は食堂に姿を現した桃林と一緒に皿洗いをしていた。片付けは深夜1時頃終了したという。

 

 

 

[外されたワイヤー]

磔にする際に使用されたワイヤーは、ハンドルを回すことで作動する舞台装置から外したもの。

看板を吊るす用のワイヤー、人や照明を吊るす用のワイヤー両方が外されていた。

 

 

 

[血痕の付いたワイヤー]

舞台にワイヤーが放置されていた。

そのワイヤーには、僅かだが血痕が付着していた。

 

 

 

 

[舞台袖にあるハンドル]

ワイヤーを下ろすための舞台装置。

非常に硬く、相当力のある者でなければ動かすことは出来ない。

 

 

 

[更衣室のログ]

プールの更衣室のログは以下の通り。

 

 

 

男子

11:27 out

11:31 out

21:14 in

 

 

女子

11:34 out

11:34 out

11:34 out

 

 

 

[泳げない円城寺]

円城寺が泳げないことを知っているのは、夢寺、飛鳥、不知火、佐々木、写実、千尋の6人。

 

 

 

[薬師院の証言]

宴会中に怪しい動きをした人はいなかったそうだ。

また、停電直後、宴会場から出た人間はいないとのこと。

 

 

 

 

 

[佐々木の証言]

18時半頃、地下1階へと向かう天草を見かけたとのこと。

 

 

 

 

[プールサイドの血痕]

プールサイドに血痕が残されていた。

 

 

 

 

[使われた手すり]

2階のギャラリー席部分にある手すりが一部だけ使われた形跡があった。

 

 

 

 

[引っ掛けた痕]

手すりに何か細い糸状のものを引っ掛けた痕があった。

 

 

 

 

[謎の手紙]

桃林に宛てられた差出人不明の手紙。

桃林はこれを見て体育館に向かい、そこで円城寺の死体を見つけた。

 

 

【私達の中にいる殺人狂が動き出した。既にショーは始まっているぞ。体育館に行ってみるといい】

 

 

 

 

[工具箱]

磔にされた際に利用された釘等が入ってる工具箱。

使用されたのは釘とトンカチ、ペンチの3つのみ。

何故か食堂の厨房で見つかった。

八尋が体育館の舞台袖に隠しておいたらしいが…………。

 

 

 

 

 

 

[厨房に散らばったお菓子の食べカス]

厨房の床にお菓子の食べカスが大量に散らばっていた。

 

 

 

 

 

 

[補充される食べ物]

厨房の食べ物は全て、毎日午後12時に補充されるらしい。

 

 

 

 

 

[捨てられた容器]

厨房のゴミ箱に捨てられた初めて見る形状の容器。

空のため中身は不明であり、ラベルも剥がされていた。

しかし、『料』という文字だけが辛うじて読めた状態であった。

 

 

 

 

 

 

 

[体育館のブレーカー]

体育館にあるブレーカーに繋がれた電線は一度切断された跡があった。

 

 

 

 

[お菓子の食べカス]

体育館のブレーカーの下にお菓子の食べカスらしきものが落ちていた。

 

 

 

 

 

[Mr.ジェントルマンの新聞記事]

天草の部屋にあった殺人鬼である《Mr.ジェントルマン》が一面に載った新聞記事。

 

 

 

 

【世間を騒がせている殺人鬼《Mr.ジェントルマン》、またもや出没?】

 

 

白い仮面を付け、黒いマントを羽織り白い手袋を付けた、まるで怪盗のような姿の殺人鬼、《Mr.ジェントルマン》がまた現れた。夜中に大通りから外れた人気のない道に現れ、男性1人を殺害。その後堂々と駆けつけた警察の前に現れ、中指を立てるなどの挑発行為を行った。そして信じられないことにそこから警察の手を振り切り逃走に成功したのだ。

仮面で素顔を隠しているため正体は未だ不明だが、体格的に男性であると推測される。身長は180cm〜185cmくらいで、細身でスラッとした体型である。が、力が恐ろしく強く、どんな相手も瞬時に叩きのめす戦闘力があると、対峙したことのある警察官は証言している。

そして彼の最大の特徴は、『殺人幇助』を行うことである。

恐らく彼は依頼を受け、殺人の手助けをすることを生業としているのであろう。

相当手慣れている上に、幇助する際の殺害方法は多岐にわたるため、犯行方法や実際に殺人を行った人間の特定が非常に困難であるとのこと。

更に厄介なのが、殺人幇助をした相手をジェントルマンが殺してしまう事もあるということだ。

依頼主と請負人という関係の中で何かトラブルが起きた結果なのだろうが、その殺害方法は極めて残酷な方法である。

その方法とは、四肢を切断し、目玉と鼻、耳を削ぎ落として机に並べるという常軌を逸したものである。

警察は捜査本部を設置しジェントルマンの逮捕に動いているが、逃げ足が早く未だ逮捕には至っていない。

 

 

 

 

 

 

席順↓

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷!

 

 

 

 

 

 

 

モノワニ「では、改めて最初に学級裁判の説明をさせて頂きまス。学級裁判では誰が犯人かを議論して最後に投票してもらいまス。 正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきを受け、間違えた人物をクロと指摘した場合はクロ以外の全員がおしおきを受けて頂きまス。では、お好きなように議論を開始して下さイ」

北桜 千尋「そのせつめいまえもきいたよー!」

モノワニ「決まり文句のようなものでス。それにワタクシの説明がないと皆サマ議論を開始するタイミングが分からないでしょウ?」

風神 雷哉「テメーに言われなくてもオレらで勝手に始めるっつーの」

モノワニ「加えて今回ハ、裁判初参加の不知火サマもいますしネ」

モノワニの説明に対して「如何にも」と頷き答える不知火。彼女は今、前回空席であったハルクと八尋の間にある席についている。一つだけ空席があることは妙だと感じていたが、まさか新たに1人参加者が増えるとは前回の裁判では思わなかった。

 

 

 

 

 

 

しかし前回と比べ、1人増えた代わりに2人も人数が減ってしまった。

新たに増えた前回のクロである司の遺影と、今回の被害者である円城寺の遺影。

これから先、一体どれほどの人がいなくなってしまうのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

綾辻 澪「………また、始まってしまいましたね」

写実 真平「某、もうこんな所に来るのは二度とごめんだったのでありますが………」

薬師院 月乃「うちもこんな辛気臭い場所、二度と来とうなかったで。けどな、うちらが生き残るためにはこの裁判で勝つしかあらへんのや」

佐々木 莉央奈「うぅ………なんだか胃が痛くなってきましたわ」

桃林 林檎「だ、誰が犯人だす!?とっとと名乗り出るだす!」

風神 雷哉「名乗り出るくらいなら殺しなんてしねーだろ」

ハルク「オーマイガー!このままだとワターシ達、全員死んでしまいマース!!おしまいデース!!!」

北桜 八尋「まだ議論が始まってすらいないのに何を言っているんですか貴方は………」

前回同様、始めは全員が各々喋り出す。

こんなに大勢がいる中でそれぞれが話し始めたら、誰の話を聞けばいいか分からなくなってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥 圭「………ねえ、いつまで関係ない話してるの?」

すると飛鳥が苛立ちを隠せない様子で机を叩いた。

飛鳥 圭「早く議論始めようよ。この中にいる最低なクソヤローを殺すためにさ」

結城 晴翔「飛鳥さん、そんな言い方は………」

飛鳥 圭「何?ボクなにも間違ったこと言ってないよねー?ユーレイのお兄さん殺してボク達を欺いてここ出ようとしてる奴にクソヤローって言って何が悪いのー?それともイケメンのお兄さんが犯人ー?だから犯人を庇うようなこと言ってるのー?」

責めるような飛鳥の発言。

一気に場の雰囲気がピリつくのが分かった。

風神 雷哉「飛鳥よー、オメーなんか今日変じゃね?前回そんなキレてなかったろ?」

写実 真平「某にもなんか焦ってるように見えるであります」

飛鳥 圭「は?別にボクいつも通りなんだけどー。なんでボクがキレなくちゃならないわけー?」

誰がどう見てもいつもの飛鳥ではないのは明らかなのだが、本人はそれすら気がついていないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「はいはい全員注目」

裁判場がより険悪な雰囲気になりつつある時だった。

薬師院が手を叩き全員の注目を集める。

薬師院 月乃「開幕からいきなりバチバチやんなくてもええやろ?ひとまずは前回同様、分かってる情報を整理するとこから始めたらええんちゃうん?」

夢寺 蓮「俺も薬師院と同じ意見だ。各々様々な思惑があるだろうが、それは一旦飲み込んで、今は現状把握に努めるのが先決だろう」

成り行きを見守っていた俺も自分の意見を主張しておく。

薬師院 月乃「飛鳥はんもそれでええやろ?」

飛鳥 圭「だからボクはそう言ってるのに………」

ぶつぶつと文句を言う飛鳥だが、ひとまずは感情をぐっと堪えたようだ。

結城 晴翔「そう、だね。まずはみんなでモノワニファイルの確認からしていこうか」

議論が始まる。

俺も気がついたらことがあったら積極的に発言していこう。

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

結城 晴翔「じゃあモノワニファイルから見ていこうか。被害者は『超高校級のオカルト研究家』円城寺 霊夜君」

北桜 八尋「死体発見場所は地下1階にある体育館ですね」

佐々木 莉央奈「その舞台上で磔にされてたんでしたわね」

写実 真平「うぅ………円城寺氏ぃぃぃ………」

風神 雷哉「いつまでもメソメソすんじゃねーよ!男だろオメー!」

薬師院 月乃「他に特徴としては………[側頭部に傷がある]みたいやね」

不知火 椿「それに、首には[索状痕]があると書いてあるでござる」

桃林 林檎「ということは………………きっと円城寺君は[自殺]したんだす!そうに違いないだす!]

 

 

 

[自殺]←[吉川線]

 

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「いや、円城寺は自殺じゃない。間違いなく他殺なんだ」

桃林 林檎「ど、どうしてそんなことが言えるだす!わ、分かっただす!わ、ワタシのことが嫌いだからワタシの全てを否定しようとしてるだすね!!」

いや、なんでそうなるんだよ………。

飛鳥 圭「あのねー、ユーレイのお兄さんの首に『吉川線』が残ってたんだよー。なら自殺はあり得ないでしょー?」

すると代わりに飛鳥が理由を説明してくれた。

北桜 千尋「よしかわせん………?」

ハルク「なんデスカ、ソレ??」

千尋とハルクが全く同じタイミングで首を傾げる。仲良しか。

飛鳥 圭「もー、説明するの面倒だよー。医者のお姉さん、説明よろしくー」

綾辻 澪「え、ええ………。えっと、『吉川線』というのは、絞殺とか扼殺された際に出来る、首に走るひっかき傷のことです。もし首吊り自殺の場合、すぐに失神してしまうため首を掻きむしる余裕がないんです。なのでこういった傷は付かないのが普通ですが、今回はこの吉川線があるので他殺だと判断することが出来るんです」

急に話を振られた綾辻は一瞬慌てたものの、すぐに落ち着いて説明してくれた。

夢寺 蓮「つまり、円城寺は自殺じゃない。この中の誰かに殺されたんだ」

桃林 林檎「だ、だす………」

北桜 八尋「ちなみに被害者が自殺であった場合はどうなるんです?」

モノワニ「『自殺』というのは自分で自分を殺したという意味になりまス。よって、投票の際には死亡した被害者を選んでもらうことになりまス」

 

 

 

 

 

綾辻 澪「では次に話すべき内容は………円城寺様を発見した時の状況、についてはどうでしょうか?」

凛とした姿勢で綾辻は提案する。

佐々木 莉央奈「わたくし、寝ぼけててよく覚えていませんけど……誰かににドアを思い切りノックされて起きたのは覚えてますわ」

結城 晴翔「じゃあ次は今朝のことについて話してみようか」

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

北桜 千尋「れいやがみつかったときのことをはなすんだよね?」

薬師院 月乃「最初に円城寺はんを見つけたのは誰やったん?」

桃林 林檎「わ、ワタシだす…………」

ハルク「グルメリポーターサン、早起きデース!一体何してたんデスカ?」

桃林 林檎「わ、ワタシだって好きで早起きしたわけじゃないだす!その………ちゃんとした理由があって………」

風神 雷哉「ゴニョゴニョ喋んなって、聞こえねーよ。あ、もしかして朝[円城寺を殺すため]に体育館に行ったんじゃねーのか?お?どーなんだよ?」

桃林 林檎「ち、違うだす!!人を疑うなんて失礼だす!!今後一切ワタシを疑わないで欲しいだす!」

佐々木 莉央奈「裁判で疑うなって無理難題すぎますわ………」

結城 晴翔「風神君。急に追い詰めるのは良くないよ。きっと[外に出た理由がある]んだよ」

 

 

 

 

 

[外に出た理由がある]←[謎の手紙]

 

 

 

それに賛成だ!

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「結城の意見に賛成だ。桃林が朝早く外に出たのは、謎の手紙が届いたからなんだ。そうだよな、桃林?」

桃林 林檎「だす………」

コクコクと頷く桃林。

北桜 八尋「手紙?脅迫状か何かですか?」

夢寺 蓮「まあ、似たようなものだ。桃林。受け取った手紙をみんなに見せてくれないか?」

桃林 林檎「わ、分かっただす」

桃林は手紙を順番に回していった。

写実 真平「な、なんでありますかこの物騒な文章は…………」

飛鳥 圭「『殺人狂』………。ユーレイのお兄さんを殺した奴に間違いないよ」

不知火 椿「では、犯人は円城寺殿を殺した後、死体を発見させるために桃林殿に手紙を書いたのでござるか?」

風神 雷哉「随分と回りくどいことすんだな。そんな手紙書かなくてもいずれ誰か円城寺を見つけてただろ」

夢寺 蓮「いや、犯人には恐らく狙いがあったんだよ」

「なんだよ、狙いって」と聞く雷哉に対して俺は少し考えた後、

夢寺 蓮「犯人は手紙を見た桃林が慌てて体育館に行き、そして死体発見後、誰振り構わず人を呼ぶことを予想していた。事実、桃林は個室を片っ端から叩いて俺達全員を起こしただろ?」

佐々木 莉央奈「そうですわね。実際、ほぼ全員が同時に起こされて体育館に向かいましたわよね」

夢寺 蓮「そして桃林を先頭に全員が体育館に向かい、その後『死体発見アナウンス』が流れた。『死体発見アナウンス』はシロが3人死体を見た時点で流れるものだ。けど今回はほぼ全員で一斉に死体を見たから誰がシロにカウントされたか分からない。つまり死体発見アナウンスでの『シロの判断』が出来ないんだよ」

綾辻 澪「つまり、犯人は『死体発見アナウンス』で犯人を絞り込まれるのを防ぐためにこのようなことを…………?」

薬師院 月乃「なるほどなぁ。早速犯人は知恵使って対策してきたっちゅうわけやな」

要するに、今回の事件では『死体発見アナウンス』は当てにできないということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風神 雷哉「自殺じゃねーってことと今朝の状況は分かったけどよ、じゃあ一体誰が円城寺を殺したってんだ?」

薬師院 月乃「う〜ん、それも大事やけど………まずは一つ、ハッキリさせた方がええことがあるんやない?」

雷哉の疑問に対して答えたのは薬師院だ。

北桜 千尋「はっきりさせる………?」

薬師院 月乃「そう、それは『死因』や」

写実 真平「死因、でありますか………」

結城 晴翔「確かに、今回のモノワニファイルには死因が書いてないね」

佐々木 莉央奈「ちょっとモノワニサン!このモノワニファイル欠陥がありますわよ!ちゃんと見直してから送って下さいませ!」

モノワニ「いえ、そのファイルに誤りなどございませン。モノワニファイルは場合によっては情報の一部を隠す必要がある時がありまス。例えば、犯人が極端に不利になる場合とかですネ」

綾辻 澪「では、今回の場合もそうだと………」

モノワニ「おっと、少し喋りすぎましたかネ。これ以上のことは皆サマ自身でお考え下さイ」

つまり、死因が今回の事件を解く鍵になるかもしれないってことか?

だが、死因はだれがどう見ても明らかだ。

夢寺 蓮「だが、死因は円城寺の首にある吉川線から判断して、絞殺された事による窒息死であることは間違いない筈だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天魔覆滅でござる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「し、不知火?」

不知火 椿「…………ここは裁判場。互いの考えを述べて論じ合う場所でござる。拙者、無い知恵を必死に絞り、先程一つの考えに辿り着いたでござる。それを今から夢寺殿に全力でぶつけるでござる」

夢寺 蓮「………そうか。ならお前の意見に俺も全力で応えよう。来い、不知火」

夢寺 蓮「かたじけない。…………では夢寺殿、覚悟されよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反論ショーダウン 開始!

 

 

 

 

 

不知火 椿「確かに、円城寺殿の首元には索状痕が残されており、何かで首を絞められたことは明らかでござる」

 

 

 

 

不知火 椿「しかし、それが直接の死因と断定するのはまだ早いのではござらんか?」

 

 

 

 

不知火 椿「首を絞めて動きを封じた後、別の方法で息の根を止めた、とは考えられないでござるか?」

 

 

 

 

発展!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「つまり不知火は絞殺じゃないって疑ってるって事だよな?何か根拠はあるのか?」

 

 

 

 

 

 

不知火 椿「無論でござる。『ものわにふぁいる』によると、円城寺殿の[側頭部には傷があった]と記載があるでござる」

 

 

 

 

 

不知火 椿「つまり、円城寺殿は犯人から[攻撃を受け、側頭部に怪我を負った]と考えるのが自然でござる」

 

 

 

 

不知火 椿「となると、[その傷により死亡した]という可能性も出てくるのではござらんか?」

 

 

 

 

 

[その傷により死亡した]← [側頭部の傷]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉、断ち切る!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「不知火。確かに円城寺の側頭部には傷があった。けど、その傷は死に至るような傷ではなかったんだ」

不知火 椿「そうなのでござるか?」

不知火は驚き目を見開いた。

綾辻 澪「夢寺様の仰る通り、円城寺様の側頭部にあった傷はたんこぶのようなものでした。何か物で殴られて出来た傷、というわけではないと思われます。ですので、多少出血はありましたが、側頭部の傷で死に至った、という可能性は極めて低いと思われます。…………申し訳ありません、私がもっと早く皆様に情報共有をしていれば」

綾辻は申し訳なさそうに説明する。

不知火 椿「いや、綾辻殿が謝ることではござらん。寧ろ早合点をした拙者に非があるでござる。夢寺殿、先程の失言、謝罪するでござる」

夢寺 蓮「い、いや、そんな畏まって謝らなくてもいいんだが………」

綺麗なお辞儀で俺に頭を下げる不知火。

………本当に真面目なんだな。

 

 

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「ほんなら、円城寺はんの死因は首を絞められたことによる窒息死、ってことでええんやね。これで一つ謎が解けたわぁ」

北桜 八尋「でしたらそこで疑問が一つ出てきますね。『円城寺さんはどこで襲われ、そして殺されたのか』ということです」

八尋が冷たい視線を全員に対して向ける。

北桜 千尋「え?たいいくかんじゃないの???だってれいや、たいいくかんでみつかったんだよ?」

北桜 八尋「千尋。お前は本当に馬鹿なんですね。体育館はあくまで『死体発見現場』です。『殺害現場』が同じ体育館とは限らないでしょう」

北桜 千尋「そっか!」

飛鳥 圭「はとのお兄さんー。それについてはあの証拠で分かるんじゃないー?」

飛鳥にそう言われ、俺は証拠を思い出す。

それについては確か………。

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[プールサイドの血痕]

プールサイドに血痕が残されていた。

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「殺害された場所は分からないが、円城寺が側頭部に傷を受けた時の場所なら分かると思う」

ハルク「ワーオ!さすがマジシャンサンデース!それで、その場所はどこなんデスカ???」

夢寺 蓮「同じB1Fのプールサイドに血痕があったんだ。飛鳥と不知火と一緒に確認したから間違いない。恐らくここで円城寺は襲われたんだと思う」

飛鳥 圭「ボクもちゃんと見たよー」

不知火 椿「拙者もこの眼にしっかりと焼き付けたでござる」

桃林 林檎「ぷ、プールだすか?そんな関係ない場所に血痕がある時点で怪しいだす!きっと誰かの偽装だす!!プールな訳ないだす!」

結城 晴翔「なるほど。血痕が残っているならプールで襲われた可能性が高そうだね」

桃林 林檎「プールで襲われたので間違いないだす!!!」

写実 真平「清々しいまでの手のひら返し!?」

 

 

 

 

 

 

佐々木 莉央奈「ですが、どこで殺されたにしろ、どうして円城寺サンはプールになんか向かったんですの?円城寺サンは少なくとも停電前までは確実に生きてた筈ですから、その後にプールに向かったということでしょうけど……」

佐々木が自身の髪の毛をいじりながらそう発言する。

結城 晴翔「そうだね。じゃあそれを特定するためにも、まずは昨日の夜の宴会から振り返ってみようか」

北桜 八尋「それが一番合理的ですね。円城寺さんは昨日の夜から今朝のどこかで殺されたのは間違いないですから」

昨日の夜の宴会………。

あの時は確かに円城寺は生きていた。

であれば、昨日の夜起こった事を振り返ってみれば、もしかしたら何か答えが見つかるかもしれない。

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

風神 雷哉「昨日宴会が始まったのは、確か[18時]からだったよな?」

綾辻 澪「そこから21時過ぎまで、1Fの宴会場で宴会が催されていましたね」

桃林 林檎「そ、そしたら急に停電が起きて[真っ暗になった]だす!」

結城 晴翔「その後は、停電の復旧が夜中の12時になるってアナウンスがあったから、宴会は中止になって個室に戻ったんだよね」

飛鳥 圭「なんか宴会中とかに変な事とかなかったのー?」

ハルク「ワターシ、ご飯食べるのに夢中で気がつきませんデシタ!」

不知火 椿「拙者は酔っ払っていた故によく覚えてないでござる」

写実 真平「特に[怪しい人もいなかった]でありますし、宴会は特に事件に関係ないのでは………」

 

 

 

 

 

[怪しい人もいなかった]←[佐々木の証言]

 

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「いや、怪しい行動をした奴ならいたんだ。そうだよな、佐々木?」

佐々木 莉央奈「『莉央奈』ですわ!!………ええ、わたくし、宴会が始まってすぐの18時半、とある人がB1Fに向かうのを見たんですの。…………天草サン、アナタですわ」

天草 京介「!?」

裁判が始まってから俯き一度も口を開くことがなかった天草が、初めてその青ざめた顔を上げた。

写実 真平「天草氏は………宴会に参加してなかったでありますよね?」

北桜 千尋「うん!きょうすけはいなかったよ!」

薬師院 月乃「宴会に参加してなかったのは八尋はんと天草はんの2人だけだった筈やで」

風神 雷哉「おい天草。宴会に出てなかったオメーが一体なんでB1Fなんかに行ったんだよ?」

雷哉が天草を問い詰める。

他のみんなも自然と天草に注目する。

それに対する天草の反応は……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天草 京介「………………覚えていない…………………」

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

風神 雷哉「………はあ?」

天草 京介「…………何も覚えていないんだ。自分が昨日、どこで何をしていたのか、一切記憶が残っていない…………」

天草の弁解は俺達全員を困惑させる予想外のものであった。

飛鳥 圭「………あのさあ」

飛鳥が呆れと怒りが混ざったような口調で天草に対して口を開く。

飛鳥 圭「もっとマシな言い訳は出来ないわけー?小学生でももう少しまともな事言うと思うんだけどー」

天草 京介「………本当なんだ。自分は………何も覚えていないんだ………」

飛鳥 圭「なにそれ。ボクのことバカにしてるの?そんな苦し紛れの言い訳がボクに通用すると本気で思ってるわけ?」

綾辻 澪「飛鳥様!お気持ちは分かりますが少し冷静になって下さい!」

今にも飛びかかりそうな飛鳥を綾辻が宥める。

北桜 八尋「……水を差すようで悪いですが」

すると八尋が表情を変えず手を挙げる。

北桜 八尋「そもそも円城寺さんは停電前の21時頃までは確実に生きていたのでしょう?であれば、18時半にB1Fに行った天草さんは無関係なのではないですか?それに、円城寺さんの死亡時刻が不明なんですし、もしかしたら今朝殺された可能性だってあるわけですから、何も昨日の行動全てを怪しむ必要はないと思うのですが」

いや………朝殺された可能性はない。

それはあいつが証言してくれている。

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[綾辻の検死結果]

モノワニファイルの情報と大きな差異はなし。

死体の状況から、死亡推定時刻は昨日の夜から夜中にかけてと推測される。

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「いや、死亡推定時刻は正確ではないが分かるんだ。そうだよな、綾辻?」

綾辻 澪「はい。検死の結果、円城寺様が亡くなられてから数時間経過していることが分かりました。ですから恐らくは死亡推定時刻は昨日の夜9時から12時の間になると思われます」

北桜 八尋「………成程。そうしたら天草さんの行動も疑うべき、ということですね。ありがとうございます、綾辻さん」

綾辻 澪「八尋様のお役に立てたようでしたら光栄です」

綾辻の説明に八尋は納得したようだ。

薬師院 月乃「………話を戻そか。天草はん、流石に昨日のことを全く覚えてない、っていうのは怪しすぎるんちゃうんか?そう簡単に忘れるとは思えへんしな」

ハルク「そうデス!ワターシも昨日のことはしっかり覚えてマスヨ!」

桃林 林檎「ふ、普通に考えて怪しすぎるだす!も、もしかして犯人だから言えないだす!?」

天草 京介「ち、違う!自分は………本当に何も覚えてないんだ………!けど決して円城寺を殺したりなんかしていない………!!」

ここに来て以来初めて見せる本気で焦った顔。

天草が嘘を言ってるようには見えないが………。

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「みんな。恐らくこれ以上天草を問い詰めても議論は進まないと思う。だから他の部分から議論を進めていかないか?そうすれば天草が犯人かどうか自ずと明らかになると思う」

俺はこれ以上議論が停滞するのを恐れ、そう提案する。

結城 晴翔「うん。夢寺君の言う通りだよ」

それに対して同意してくれたのが結城だった。

結城 晴翔「確かに天草君の覚えていない、という発言は気になるけど、彼の発言を否定する材料を僕達はまだ持っていないよね?なら別の観点から話していくのはどうかな?まだまだ話すべきことは沢山あるはずだからね」

桃林 林檎「は、晴翔くんの意見なら大賛成だすっ!」

風神 雷哉「………ま、しゃーねーか」

佐々木 莉央奈「そうですわね。時間を無駄には出来ないですわよね」

真っ先に賛成した桃林を始め、みんな概ねその意見に同意する。

飛鳥は少し不満そうではあったが………。

結城 晴翔「天草君もそれでいいかな?」

天草 京介「………ああ。済まない…………」

青ざめた顔で頷く天草。

しかし、あいつの顔色がどんどん悪くなっているのが気になるな。

やはり、あいつが犯人で追い詰められているからなのか………。

 

 

 

 

 

 

北桜 千尋「じゃあつぎはなにからはなすの?」

結城 晴翔「そうだね………。まずは宴会の時のおかしな点がないか、という議題の続きを話そうか。僕が実は気になっているのは、昨日の宴会で何人かが酔っていたことかな」

北桜 八尋「…………何ですか、それ?まさか飲酒していたんですか?貴方達は未成年は飲酒禁止ということも知らない阿保なんですか?」

八尋が心底軽蔑したような目で俺達を見る。

風神 雷哉「そんなの知ってるに決まってんだろ!!なんかいつの間にか飲み物に酒が混ざってたんだよ!!」

北桜 八尋「…………」

風神 雷哉「そんな目で見るなって!?オレじゃねーよ!?」

不知火 椿「風神殿の証言は正しいでござる」

なおも疑いの目で雷哉を見る八尋に対して、不知火がフォローを入れる。

不知火 椿「拙者も知らずに飲んだどりんくが酒でござった。それまでは一切、その飲み物が酒だとは気が付かなかったでござる」

写実 真平「某もであります。てっきり豪華なドリンクかと思って飲んでしまったであります」

佐々木 莉央奈「全く、誰があんなことをしたのか………あ、もしかして飛鳥サン、アナタじゃありませんの?」

飛鳥 圭「違うよー。ボクがそんな面白くないイタズラするわけないじゃーん。ボクなら飲み物に青汁入れてうんと不味くしたり、食べ物に激辛ソース入れるくらい事しかしないもーん」

いや、それも十分迷惑なんだが…………。

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「てことは………問題はその酒を誰が用意したかってことやな。ちなみにやけど、今ならまだ許したるさかい、お酒混ぜたのは自分やって人、手あげてもろてもええ?」

薬師院がそう呼びかける。しかし、誰も手を挙げるものはいない。

薬師院 月乃「ということは、お酒混ぜたのは今回の事件に関係あるっちゅうことやな」

飛鳥 圭「だろうねー。恐らく宴会場で騒ぎを起こしてその間に殺人の準備でもしてたんじゃないのー?」

飛鳥はそう言いつつ天草の方を睨む。

結城 晴翔「まあ、酒を混ぜた意図はひとまず置いておこう。僕がさっきモノワニに聞いたんだけど、飲み物が置いてある場所に酒のボトルを一緒に置いておいたのらモノワニらしいんだ」

風神 雷哉「テメーかよ!?ふざけんじゃねー!!」

モノワニ「いえいえ、ワタシはただその場に置いておいただけですヨ。それを持って行ったのは皆サマの誰かで間違いないのですかラ、ワタシのせいにされても困りますヨ」

佐々木 莉央奈「まあ確かに、それを持って行って混ぜたのはわたくし達の誰かですわね」

北桜 八尋「ではその宴会とやらの準備をしていた人が怪しいのでは?準備の間に飲み物の中に酒のボトルを紛れさせることくらい可能でしょう」

 

 

 

 

 

写実 真平「宴会の準備をしていたのは誰なのでありますか?」

綾辻 澪「料理を準備していたのは………私と円城寺様ですね。そして料理を運んで頂いたのは………結城様、桃林様、風神様、ハルク様、千尋様ですね」

不知火 椿「では、その中の誰かがどりんくに酒を入れたという事でござるな」

綾辻 澪「そうなりますが………準備中は常に厨房に誰かいらっしゃいましたし、そう簡単にお酒を混ぜる作業なんて出来ないと思うのですが………」

飛鳥 圭「まあそんな状態じゃ、少なくとも準備してた人以外の人がお酒を混ぜるなんて不可能だねー」

つまり、7人のうち誰かが酒を混ぜた犯人ということになる。

北桜 八尋「ちなみにさっき言ってた酔っ払いは何人いたのですか?」

薬師院 月乃「風神はん、写実はん、佐々木はん、写実はんの4人やな。それにハルクはんも飲んでたんやっけ?」

ハルク 「そうデス!でも全然平気デシタ!」

宴会の準備をしてた人と酔っ払った人か。

これも覚えておいた方がよさそうだな。

 

 

 

コトダマゲット!

 

 

 

[宴会で出された酒]

宴会に出された飲み物に酒が混ざっていた。

宴会の料理を準備したのは綾辻、円城寺。

宴会の料理を運んだのは結城、桃林、風神、ハルク、千尋。

酒を飲んで酔っ払ったのは風神、不知火、写実、佐々木。

 

 

 

 

 

 

佐々木 莉央奈「そういえばさっき聞きそびれましたけど………」

すると佐々木が俺の方を見た。

佐々木 莉央奈「さっき夢寺サンと綾辻サンが『円城寺サンの死亡推定時刻は昨日の午後9時から12時の間って言ってましたわよね?そこで気になったんですけど、停電の後、円城寺サンの姿を見た方はいるんですの?」

風神 雷哉「そういやそうだな。円城寺は停電の時、確か会場にいなかったもんな」

夢寺 蓮「ああ。雷哉の言う通り、円城寺は殆ど厨房にいたし、停電の直前までも確かに厨房にいた。けど、その後厨房でちょっとしたトラブルがあって………」

結城 晴翔「夢寺君。そこから先は僕が説明するよ」

俺が昨日厨房で起きたアクシデントを説明しようとすると、結城が説明を請け負ってくれた。

結城 晴翔「停電が起きる前、食堂には僕と桃林さんと円城寺君、それに夢寺君がいたんだ。そこで桃林さんが足を滑らせて円城寺君に水をかけてしまってね。ずぶ濡れになった円城寺君は個室にシャワーを浴びに戻ったんだ。そして桃林さんは円城寺君のために大浴場にタオルを取りに行ったんだよ。そしてその直後に停電が起きたんだ」

桃林 林檎「う、うぅ………。ワタシがそこで円城寺君にちゃんと付いていれば………」

自身の失敗を思い出し落ち込む桃林。

北桜 八尋「とすると、停電後円城寺さんを見た人は誰もいないということになりますね」

写実 真平「そうでありますな。しかし、円城寺氏は体育館で見つかったのであります。であれば、停電後に個室に向かい、その後体育館に向かったと考えられるのでは?」

北桜 千尋「あれ?でもさっき、ぷーるでれいやのちがみつかったんだよね?じゃあぷーるにいったんじゃない?」

写実 真平「あ、そうでありました」

 

 

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「一旦分かったこと整理してみよか。まず宴会は18時から開始やったけど、その時には既に犯人の手によって飲み物の中に酒が混ぜられていた。その目的は不明。けどそれが出来るのは、料理を準備した人と運んだ人のみ。そして円城寺はんはほぼずっと厨房におって、だけど停電直前には自分の個室へと向かって行った。停電後円城寺はんを見かけた人はいない。綾辻はんの検死の結果、円城寺はんが死んだのは21時から24時の間やから、円城寺はんは停電の後個室に向かい、その後B1Fに向かい殺された。こんな感じやない?」

薬師院は誰にでも分かるように丁寧に説明をしてくれた。

北桜 千尋「すごーい!つきののせつめいすごくわかりやすい!!」

薬師院 月乃「ふふ、おおきに。…………そんで今までの話で分かったのは…………停電前後ににアリバイが無い人が怪しいってことやな」

ハルク「どうしてそうなるんデスカ?」

ハルクの疑問に対し、薬師院ははんなりとした笑みを浮かべる。

薬師院 月乃「昨日起きた停電は間違いなく人為的に起こされたものや。となると、犯人は停電を起こすために体育館にあるブレーカーのところまで行かなあかん。ということは停電前後に宴会場にいた人には停電は起こせない。つまりアリバイがあるってことや」

桃林 林檎「け、けどそれって、本当に誰かがやったことなんだすか?たまたま接触不良とかで停電になっただけかもしれないだす」

桃林が遠慮がちに手を挙げ意見を述べる。

薬師院 月乃「いや、それは無いんよ。なー、夢寺はん?」

話を振られ、俺は頷く。

停電が人為的に起こされたと断言出来る理由は………。

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

[体育館のブレーカー]

体育館にあるブレーカーに繋がれた電線は一度切断された跡があった。

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「体育館のブレーカーを薬師院と八尋と確認したんだが、ブレーカーの電線が切断されていたんだ。これは誰かが意図的に切ったとしか考えられない」

薬師院 月乃「お見事♪」

扇子をパンと閉じ微笑む薬師院。

薬師院 月乃「電線が自然に切れる訳ないからなぁ。となると、犯人が切ったと考えるのが自然やろ?」

不知火 椿「ふむ、しからば停電の際、1人で行動していた者は誰であったのでござるか?」

綾辻 澪「宴会場には殆どの方が集まっていらっしゃいました。なので、宴会場にいなかった方が怪しいということになりますが………」

結城 晴翔「僕と夢寺君は停電直後には一緒にいたよ。みんなと合流する時も一緒だったしね」

飛鳥 圭「なら怪しいのは………大浴場に単独で行こうとしてたおデブのお姉さんと参加してなかった能面のお兄さん、そしてアーメンのお兄さんだよねー?」

桃林 林檎「ひぃぃ!?」

北桜 八尋「まあ、そうなりますよね」

天草 京介「…………」

名前を呼ばれた桃林は怯え、八尋はさして気にしていないような反応を見せ、天草は青白い表情で下を向いていた。

佐々木 莉央奈「つまり、この3人の中に犯人がいるって事ですわよね?」

風神 雷哉「おいオメーら!正直に吐け!円城寺を殺しやがったのは誰だ!!」

桃林 林檎「わ、ワタシじゃないだす!」

北桜 八尋「当然僕ではありませんが………そう言っても信じてもらえないでしょうね」

天草 京介「…………自分は違う」

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

風神 雷哉「とにかくまずオメーら3人!宴会の時から何してたのか教えろ!!」

桃林 林檎「わ、ワタシはずっと晴翔君と料理運んでただす!その後大浴場に行こうとしたけど停電になって動けなかっただす!けど晴翔君がすぐ助けに来てくれただす!その後はすぐ部屋に帰って寝ただす![一歩も外には出てないだす!!]

北桜 八尋「僕はずっと自分の個室にいましたよ。停電の時も[個室から一歩も出ませんでした]

天草 京介「………自分は何も知らない。[停電があったことすら覚えてないんだ………]

飛鳥 圭「………ねー、いつまで誤魔化すつもりなの?いい加減に吐きなよ」

 

 

 

 

 

[一歩も外には出てない]←[綾辻の証言]

 

 

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「桃林。お前嘘ついてるよな?」

桃林 林檎「だすっ!?」

自分が指摘されるとは思っていなかったのだろう。

桃林は驚愕の表情でこちらを見た。

夢寺 蓮「昨日お前は停電が解消された後、食堂に行って綾辻と会っている筈だ。違うか?」

桃林 林檎「そ、それは………!き、きっと気のせいだす」

目線を逸らししどろもどろに答えた。

飛鳥 圭「医者のお姉さんどうなのー?」

綾辻 澪「ええ。間違いありません。私は停電が解消された夜中の12時頃に起きて、宴会場の片付けをしていたんです。具体的には皿を食堂へ運びそれを洗ったり残飯の処理をしていました。そして12時半頃に突如桃林さんが現れたんです。その時は『眠れないから』と仰っていました。なので一緒にお皿洗いを手伝ってもらいました。終了したのは午前1時前くらいだったと思います」

写実 真平「思いきり嘘ついてるであります!!桃林氏!これはどういうことであります!」

桃林 林檎「うっ………」

結城 晴翔「桃林さん。どういうこと?」

桃林 林檎「うぅ………」

夢寺 蓮「桃林。答えてくれ。どうして外に出てないなんて言ったんだ?」

桃林 林檎「ううぅ…………………!」

桃林は問い詰められ頭を抱える。そして………

 

 

 

 

 

 

 

桃林 林檎「お、お腹が空いてたからだす!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顔を真っ赤にしてそう叫んだ。

夢寺 蓮「…………………え?」

桃林 林檎「お、お腹が空いてどうしようもなかったから、こ、こっそり食堂に言って何か食べようと思っただす。けど入ってみたら綾辻さんがいただす。だから適当に誤魔化して皿洗いをしただけだす!」

夢寺 蓮「………いや、なら別に嘘をつく必要はないだろ。今みたいに説明してくれば良かったんじゃないか?」

綾辻 澪「…………夢寺様は意外とデリカシーがないのですね」

すると俺は綾辻から冷たい視線を注がれていることに気がつく。

夢寺 蓮「え?俺何かマズいこと言ったか?」

綾辻 澪「女性にとって夜食というのは美容の天敵です。それに体にも悪いですし、何より太りやすいんです。だから、軽々しく夜食をしていると口にすることは、自分は不健康な生活をしていると言っているようなものなんです」

夢寺 蓮「そ、そうなのか………」

正直、全く気にしたことがなかった。

それよりも俺は、デリカシーがないと言われた事に対して酷く落ち込んでいた。

そうか。俺ってデリカシーがないのか………。

 

 

 

 

 

薬師院 月乃「なるほどなぁ。だから桃林はんは誰にも知られたくなくて嘘ついたんやな。うちもよう分かるわぁ。夜食はびっくりするほど太るからなぁ」

佐々木 莉央奈「そういう理由なら納得ですわね。わたくしもその気持ち、痛いほどよく分かりますもの」

桃林 林檎「うぅ………だから嫌だったんだす」

どうやら女性陣にとっては相当な問題のようだ。

風神 雷哉「んなの気にしてどーすんだよ。食いたい時に食えばいいじゃねーか。別に隠すほどのことじゃねーよ」

ハルク「ワターシ、よくわかりまセン。何故食べることを隠すのデスカ??」

………俺もこいつらと同じくらいデリカシーがないってことだよな?

さらにショックだ。

北桜 千尋「ちなみにりんごはけっきょくごはんたべれたの?」

桃林 林檎「ご飯というか………冷蔵庫にあった適当なものを食べただす。全然満足する量じゃなかっただすが……」

綾辻 澪「申し訳ありません。私がいたせいで桃林さんの食事を邪魔してしまって」

桃林 林檎「も、もういいだす。ワタシが夜中に勝手に来たのがいけないだすから」

 

 

 

 

 

 

飛鳥 圭「…………もういいじゃんその話は。早く次の議題に移ろうよ。まだ話さなくちゃいけないこといっぱいあるでしょ?」

飛鳥が苛立たしげに話す。

夢寺 蓮「そうだな。もう少しテンポよく進めていこう。次に俺が議題を出してもいいか?」

風神 雷哉「お!蓮もついに本気モードか?」

夢寺 蓮「茶化すなよ雷哉。俺が議題として上げたいのは………『停電後の円城寺の行動』だ。まずはこれをハッキリさせておきたい」

佐々木 莉央奈「行動?ですが円城寺サンの姿を見た人はいないんですわよね?それなのに特定出来るんですの?」

夢寺 蓮「ああ」

さっきまでさんざん議論してきた円城寺の行方。

恐らくその場所は………。

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[更衣室のログ]

プールの更衣室のログは以下の通り。

 

 

 

男子

11:27 out

11:31 out

21:14 in

 

 

女子

11:34 out

11:34 out

11:34 out

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

夢寺 蓮「プールの入退出のを記録するログを見ると、男子脱衣所に『21:14』に誰かが入室したことが分かった。これが恐らく円城寺だ。ちなみに停電が起きたのが21時過ぎ。さっきプールで血痕が見つかったって話をした時、勘のいい奴は既に気づいてたかもしれないが、円城寺は個室に戻った後、誰かに呼び出されてプールに向かったんだ。そしてそこで襲撃された」

飛鳥 圭「……………」

北桜 八尋「つまり円城寺さんは、21時14分頃までは確実に生きていたということですね」

結城 晴翔「21時15分から24時の間に殺された………か。アリバイを立証するのは難しそうだね。宴会場にいたみんなは停電後はすぐ個室に戻ったわけだし」

風神 雷哉「けどよ!さっき怪しい奴らが3人いるって言ってたじゃねーか!オレらは停電起こせねーんだし、ならそいつらの誰かが犯人だろ!」

写実 真平「しかし風神氏、停電を起こした人物と円城寺氏を殺した人物が別であら可能性もあるであります。そうなると某らも立派な容疑者になるでありますよ」

風神 雷哉「マジかよ!?じゃあどうすりゃいいんだ!?」

夢寺 蓮「落ち着け。ひとまず1つずつ疑問点を潰していこう。まずは………さっきも話題に出た()()()の話をしよう」

さっき一度議題に上がったが、このままだと議論が進まない、という理由で後回しにしていた()()()()()()()

この事件の謎を紐解くためにも、やはり追求は避けられないみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい人物を指定しろ!

 

 

 

夢寺 蓮

 

桃林 林檎

 

風神 雷哉

 

薬師院 月乃

 

百々海 真凛

 

写実 真平

 

結城 晴翔

 

乃木 環

 

司 拓郎

 

佐々木 莉央奈

 

天草 京介

 

飛鳥 圭

 

ハルク ゴンザレス

 

不知火 椿

 

北桜 八尋

 

綾辻 澪

 

円城寺 霊夜

 

北桜 千尋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「………天草」

俺がその人物の名を呼ぶ。

天草はその青白い顔を僅かに上げ、こちらを見た。

夢寺 蓮「同じ質問になってしまうが、昨日のことは本当に何も()()()()()()()()

天草 京介「………………ああ。…………()()()()()()()()。信じられないかもしれないが…………本当なんだ…………」

夢寺 蓮「…………そうか」

俺は捜査の時、とある物を見つけた時からある可能性を疑っていた。

そして今の天草の回答で確信が持てた。

天草は恐らく…………。

綾辻 澪「…………夢寺様?」

夢寺 蓮「俺はさっきから天草の言い方に疑問を覚えていたんだ。()()()()とか()()()()()じゃなくて、一貫して()()()()()って言い方をしていた。仮に天草が嘘の発言をしてたとしても、()()()()()なんて曖昧な言い方はしない筈だ。そんな言い方をしたら怪しまれるのは明らかだからな」

ハルク「確かにそうデスガ………そんなに大きな違いじゃないデスヨ?」

夢寺 蓮「いや、確かに細かいことだが、これは大きな違いだ」

俺は一度深く息を吸うと、

夢寺 蓮「天草。単刀直入に聞く。お前は……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「M()r().()()()()()()()()じゃないのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天草 京介「……………………」

俺の発言に対して天草は何も答えず、ただ黙って下を向き続けていた。

夢寺 蓮「捜査時間の時、飛鳥に全員の個室を見てきてもらった。そうしたらお前の部屋に『Mr.ジェントルマン』の記事があったんだ。そしてその記事にある身体的な特徴がお前と一致する」

風神 雷哉「ちょ、ちょっと待てよ蓮!何だよそのジェントルマンってのは!?」

綾辻 澪「私も初めて聞く単語です。その『Mr.ジェントルマン』とは誰なのでしょうか?」

俺と飛鳥と天草以外の全員が困惑した顔をしている。

やはり知ってる人はいないのか………。

夢寺 蓮「俺もついさっき初めて知ったんだが………ひとまずこれを見てくれ」

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

 

[Mr.ジェントルマンの新聞記事]

天草の部屋にあった殺人鬼である《Mr.ジェントルマン》が一面に載った新聞記事。

 

 

 

 

【世間を騒がせている殺人鬼《Mr.ジェントルマン》、またもや出没?】

 

 

白い仮面を付け、黒いマントを羽織り白い手袋を付けた、まるで怪盗のような姿の殺人鬼、《Mr.ジェントルマン》がまた現れた。夜中に大通りから外れた人気のない道に現れ、男性1人を殺害。その後堂々と駆けつけた警察の前に現れ、中指を立てるなどの挑発行為を行った。そして信じられないことにそこから警察の手を振り切り逃走に成功したのだ。

仮面で素顔を隠しているため正体は未だ不明だが、体格的に男性であると推測される。髪型は銀髪、身長は180cm〜185cmくらいで、細身でスラッとした体型である。が、力が恐ろしく強く、どんな相手も瞬時に叩きのめす戦闘力があると、対峙したことのある警察官は証言している。

そして彼の最大の特徴は、『殺人幇助』を行うことである。

恐らく彼は依頼を受け、殺人の手助けをすることを生業としているのであろう。

相当手慣れている上に、幇助する際の殺害方法は多岐にわたるため、犯行方法や実際に殺人を行った人間の特定が非常に困難であるとのこと。

更に厄介なのが、殺人幇助をした相手をジェントルマンが殺してしまう事もあるということだ。

依頼主と請負人という関係の中で何かトラブルが起きた結果なのだろうが、その殺害方法は極めて残酷な方法である。

その方法とは、四肢を切断し、目玉と鼻、耳を削ぎ落として机に並べるという常軌を逸したものである。

警察は捜査本部を設置しジェントルマンの逮捕に動いているが、逃げ足が早く未だ逮捕には至っていない。

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「これは天草の部屋にあった新聞記事だ。ここにさっき言った『Mr.ジェントルマン』のことが書かれている」

俺は隣の桃林から順番に記事を回していった。

写実 真平「な、なんでありますかこいつは………!」

桃林 林檎「こ、こんな恐ろしい人間が世の中にいるのだすか!?お、恐ろしくて街なんかとで歩けないだす!」

薬師院 月乃「『最大の特徴は殺人幇助』やって。でもうち、こんな怪しい奴聞いたことないけどなぁ」

結城 晴翔「僕も見たことないよ。もしかして、この記事自体が捏造なんじゃ……」

夢寺 蓮「この記事の信憑性はひとまず置いておくとして、俺が天草を『Mr、ジェントルマン』だと考えた理由は3つある。1つ目は天草の部屋にこの新聞記事が置いてあったこと。2つ目はさっき俺が言ったように、記事に書いてあるジェントルマンの身体的特徴が天草と一致すること。そして3つ目は………前回の裁判後から天草の様子がおかしいことだ」

佐々木 莉央奈「様子がおかしい………?どういうことですの?」

夢寺 蓮「前回の裁判後から、天草はずっと体調を崩していた。最初は裁判の疲れからくる精神的なものかと思っていたが、それにしては症状が長すぎる。おまけに天草は、数日前俺と会った時こんなことを言っていたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

2章 (非)日常編②

 

 

 

 

「…………自分の中にもう1人の自分がいたんだ…………」

俺の質問に対し天草はそう答えた。

「もう1人………?」

「…………気がつくと目の前に自分がいた。…………けどそいつは自分と口調も仕草も全く違ったんだ…………。そしてそいつが自分の意識を乗っ取ろうとしていた…………そんな夢を見た…………」

天草は途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

「姿形は天草だけど、人格は全く違う…………いわば二重人格みたいな状態だったってことか?」

「…………そうだ。当然、自分にそのような心当たりは一切ない。…………だから正直不安なんだ…………」

天草はそう言うと、静かに天井を見上げた。

自分じゃない何かが自分の体を乗っ取ろうとしている。

そんな夢を見てしまったら不安に思うのは当然だ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

結城 晴翔「自分の中に…………もう1人?」

夢寺 蓮「ああ。つまり天草は()()()()で、そのもう一つの人格が『M()r().()()()()()()()()』だと俺は思っている」

北桜 千尋「えええ!じゃあきょうすけがさつじんきってこと!?」

夢寺 蓮「正確に言えば()()1()()()()()だけどな。恐らく前回の裁判後から天草の奥底に眠っていたもう一つの人格が目覚めて、今の天草の人格を乗っ取ろうとしていたんだ。そのせいで天草は精神的に疲弊して体調を崩した。そうは考えられないか?」

北桜 八尋「確かに………話の筋は通っていますね。それに貴方が天草さんを疑う理由も十分理解出来ました」

八尋は珍しく驚きを隠せない様子だったが、すぐ元の無表情に戻り、

北桜 八尋「それで?今の夢寺さんの推理は正解なのですか?それとも不正解なのですか?いい加減答えてください。覚えていなくてもそれくらいは分かるでしょう。いつまで僕達の時間を無駄にさせる気ですか」

天草に対してそう言い放った。

北桜 千尋「八尋!そんないいかたしちゃだめだよ!!」

北桜 八尋「馬鹿はすっこんでいて下さい」

八尋の言い方は厳しいが、間違ったことは言っていない。

現時点で一番怪しいのは天草だ。

その天草の行動が分からないと、犯人かどうかの推理のしようがない。

それをハッキリさせないと…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

天草 京介「……………………そう、なのかもしれない」

すると、下を向いていた天草が顔を上げ、口を開いた。

天草 京介「…………夢寺の言う通りだ…………。自分はずっと…………中にいるもう1人の自分と闘っていた………。でももう…………限界だった…………」

天草 京介「…………自分が何も覚えていないということは…………その間はもう1人の自分に意識を乗っ取られていたということだろうな………………。夢寺に言われてようやく整理がついた…………」

天草 京介「……………………もしかしたら、自分の意識がない時にもう1人の自分が円城寺を殺してしまったのかもしれない……………………すまない…………」

項垂れるような形で天草はその場に崩れた。

写実 真平「………み、認めたであります」

ハルク「オーウ………。では神父サンがオカルト研究家サンを………」

桃林 林檎「ひ、人殺しだす!早く投票するだす!」

綾辻 澪「ま、待って下さい!このまま投票するのは危険すぎます!せめてもう1人の天草様にお話を聞かないと………」

不知火 椿「ふむ、しかし殺人鬼殿と対話をすることが可能なのでござるか?そう簡単に今の天草殿と入れ替わる事が出来るのでござれば話は別でござるが」

 

 

 

 

 

 

モノワニ「……………………フフフ。皆サマ、天草サマの秘密が気になるようですネ………」

そんな時だった。

黙って裁判を傍観していたモノワニが突如口を挟んできた。

風神 雷哉「あ?なんだテメー急に」

モノワニ「いえいえ、このまま裁判が停滞してしまうとこちらも面白みがないのデ、ワタシが手助けをしようと思いましてネ」

そう言うとモノワニがニヤニヤしながら機械を操作する。

すると…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーン、コーン、カーン、コーン…………

 

 

 

 

 

 

突然裁判場にあるスピーカーからチャイムが鳴り始めた。

前回の裁判終了時に鳴ったチャイムと同じものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぐわああああああああああ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャイムが流れた瞬間、天草が頭を抱え悶絶し始めた。

「………ぐっ!?」

そして同時に俺も正体不明の頭痛に襲われた。

その場に膝をつき必死に歯を食いしばる。

「れん!?だいじょうぶ」

「頭が…………割れそうだ…………!」

隣にいた千尋が心配そうに声をかけてくれるが、それになんとか答えるので精一杯だった。

なんとか周りを見渡してみると、倒れているのは俺と天草。それに………不知火だった。

その場にしゃがみ込み片膝をつき苦しそうに頭を抱えている。

不知火 椿「な、なんでござるかこの痛みは…………!!!」

ハルク「忍者サン!?」

北桜 八尋「僕達は平気なのに…………何故かあの3人は頭痛を訴えている。これはどういうことですか?」

八尋の問いにモノワニはニヤニヤするだけで答えない。

そしてしばらくすると、ようやく頭痛が治ってきた。

風神 雷哉「大丈夫かよ蓮!?前と同じじゃねーか!?」

夢寺 蓮「なんとかな………。それより他の2人は………」

不知火 椿「…………拙者も多少は堪えたでござるが………問題ないでござる」

額に汗を浮かべた不知火は苦しそうにそう答えた。

そしてもう1人の天草は……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「……………………ヒヒヒ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「…………ようやく、ようやく目覚めたぜェ……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「ヒャハハハハハハハ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急に立ち上がったかと思うと、上を向か高らかに笑い始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「…………天草?…………………いや、お前は誰だ?」

呆気に取られた俺達。

そんな中で辛うじて俺が出した声に対して天草は、首だけをこちらに向け、

天草 京介?「…………あれェ?その声はもしかしてェ…………()()()()()()じゃないッスかァ!!」

ゴキブリのようにカサカサとこちらに這い寄ってきて俺の両肩をグラグラと揺らした。

夢寺 蓮「おま……離れろ!?というか誰がパイセンだ!!」

天草 京介?「ヒャハハ!そんな冷てェこと言わなくてもいいじゃないッスかァ。オレっちと夢寺パイセンの仲じゃないッスかァ!」

桃林 林檎「ゆ、夢寺君と仲間………?じゃあ夢寺君も殺人鬼ってことだすか!?」

夢寺 蓮「断じて違う!ほら見ろ!お前のせいでいらん誤解を受けてるだろうが!!」

天草 京介?「周りなんてどうでもいいじゃないッスかァ。…………というか、何やってんスか、今」

夢寺 蓮「何って………」

天草 京介?「…………あーなるほど。いいッスよォ、オレっち、何となく分かっちゃったんでェ」

夢寺 蓮「え………?どういうことだよ?」

天草 京介?「ヒャハハハハ!じゃあまずは自己紹介からしますかァ。おめえらァ、耳の穴かっぽじってよく聞けよォ!!!」

すると天草は、俺の質問には答えず両手を広げポーズを取ると………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレっちの名は『Mr.ジェントルマン!!!泣く子も黙るカリスマ殺人鬼だぜェェェ!!ヒャッハァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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