ダンガンロンパ ルーナ   作:さわらの西京焼き

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学級裁判(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動機により全員が動揺する中、ついに殺人事件が発生。百々海と乃木の2人が殺されてしまった。

何故2人が同じ場所で死んでいるのか?

そして一体何が起こったのか?

シロとクロの命を賭けた裁判が今、始まろうとしている………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトダマ一覧

 

 

 

[モノワニファイル①]

被害者は《超高校級の水泳部》百々海 真凛。

死体発見場所は1F女子大浴場。

後頭部に複数の打撃痕が見られる。

 

 

 

 

[モノワニファイル②]

被害者は《超高校級の???》乃木 環。

死体発見場所は1F女子大浴場の中にあるサウナ。

死因は脱水症状による多臓器不全。

体に目立った外傷は見られない。

 

 

 

[飛鳥の証言]

昨日の夜12時前、廊下を歩く挙動不審な佐々木を見かけたという。

 

 

 

[佐々木の証言]

夜中の12時頃、大浴場に呼び出しを受けたが、何者かによって気絶させられ、気がついたら今朝になっていたということ。

 

 

 

[血が付着した木槌]

血がべっとりと付いた木槌。

気絶した佐々木の近くに落ちていた。

 

 

 

[佐々木に宛てられた手紙]

佐々木の部屋に挟まっていた手紙。

 

 

 

私はお前の秘密を握っている。

みんなにバラされたくなかったら今夜12時頃大浴場に来い。

 

 

 

 

[パンドラの箱]

動機発表の際に配られた殺人の手助けとなる道具が入った箱。

ハルクの箱の中身がククリナイフであることはほぼ全員が把握しており、また、佐々木の箱は未開封である。

 

 

 

[百々海のパスポート]

百々海が所持していたパスポート。液晶は派手に割れているが、壊れてはいない。

 

 

 

[ドアノブの汚れ]

サウナ入口のドアノブに茶色い汚れが付着していた。

 

 

 

[結城の証言]

今朝、食堂に来た順番と時間は次の通り。

 

①天草、綾辻、円城寺………6時半頃

②結城………6時45分頃

③写実………7時ごろ

④司………7時15分頃

⑤千尋→桃林→ハルク→風神→薬師院→夢寺………7時半以降

 

 

  

 

[千尋の証言]

乃木のパスポートがどこにも見当たらないらしい。

 

 

 

[綾辻の検死結果]

モノカバファイルとの相違点はなし。

暑さのため正確な死亡推定時刻は割り出せないが、そこまで時間は経っていないとのこと。

 

 

 

[サウナの温度]

乃木の死体発見時、サウナの温度は80度に設定されていた。

 

 

 

[脱衣所の血痕]

脱衣所の床に血痕が残されていた。

 

 

  

 

[入退室のログ]

大浴場の更衣室に入った時に記録されるログ。

 

 

 

男湯 

・01:17 in

・01:17 in

・02:04 out

・02:20 out

・06:33 in

・08:19 in

・08:19 in

・08:19 out

・08:19 out

 

 

 

 

女湯

 

・00:21 in

・00:55 out

・00:55 in

・00:56 out

・06:32 in

・06:35 in

・06:55 out

・08:19 in

・08:20 in

・08:20 in

 

 

 

[八尋の証言]

今朝5時半頃、食堂から急いで出て行く百々海を見かけたという。

 

 

 

 

[無くなった木槌]

厨房から木槌が無くなっていた。

 

 

 

 

 

[死体発見アナウンス]

クロ以外の人間3人が死体を発見すると鳴るアナウンス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

学級裁判 開廷!

 

 

 

 

 

 

モノワニ「では、改めて最初に学級裁判の説明をさせて頂きまス。学級裁判では誰が犯人かを議論して最後に投票してもらいまス。 正しいクロを指摘出来ればクロだけがおしおきを受け、間違えた人物をクロと指摘した場合はクロ以外の全員がおしおきを受けて頂きまス。では、お好きなように議論を開始して下さいまセ」

 

 

 

 

 

ついに始まった学級裁判。

最初にモノワニから改めて学級裁判の説明を受ける。

天草 京介「…………始める前に一つ聞いてもいいだろうか………」

モノワニ「どうぞどうぞ」

天草 京介「………あれはどう言う事なんだ………?」

天草が指差したのは、本来乃木と百々海がいた筈の席にある謎の遺影だ。

生真面目な表情の乃木と、どこか抜けた表情の百々海。

2人の遺影には大きく赤いバツ印が描かれている。

モノワニ「お亡くなりになったからと言って仲間外れはよろしくないでしょウ。だから彼女達も皆サマの一員として裁判にはこのような形で参加とさせて頂きまス。ワタクシの粋な計らいス」

薬師院 月乃「何が粋な計らいや。悪趣味なだけちゃうか」

薬師院の言う通りだ。

こんなのは死者に対する冒涜でしかない。

 

 

 

 

 

 

結城 晴翔「みんな、ちょっといいかな?」

その説明の直後、結城が神妙な面持ちで口を開いた。

桃林 林檎「ど、どうしたんだすか晴翔くん」

結城 晴翔「乃木さんと百々海さんを殺した人が本当にこの中にいるなら…………正直に名乗り出て欲しい。僕は友達をこんな風に…………糾弾したくないんだ」

腹の底から絞り出すような声で結城はそう呼びかける。

未だに俺達の中に人殺しがいるという事実を受け入れきれてないのだろう。

司 拓郎「馬鹿が」

しかし、司はそれを一蹴した。

司 拓郎「名乗るくらいなら始めから殺しなんかする筈ないだろ。それに、この中の殺人犯は自分が外に出る為に他人を平気で殺す奴だ。それを未だに友達扱いするお人好しには心底反吐が出る。仲良しごっこなら他所でやれ。そして自分が偽善者だという事をいい加減自覚しろ」

結城 晴翔「ッ………!」

結城は拳を握りしめ悔しそうな表情で俯く。そしてしばらく沈黙すると、

結城 晴翔「…………………名乗り、出ないんだね。分かった。なら僕も戦うよ。犯人以外のみんなを守るために」

結城は納得こそしていないものの、自分の感情を押し殺すことを選択したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「じゃあそこの空席は何だよクソワニ」

円城寺が顎で示したのは、ハルクと八尋の間にある空席だ。

モノワニ「ああ。これは特に意味はありまセン。ただ18人が定員の席なので1人余ってしまったというわけデス」

円城寺 霊夜「なんだそりゃ」

いまいち納得していないようだが、円城寺もそれ以上は追及しなかった。

 

 

 

 

 

 

風神 雷哉「んじゃ、議論始めよーぜ!」

気合をいれるかのように雷哉は拳をパンと手のひらに打ちつけた。

写実 真平「議論、といっても何から話せばいいのでありますか?」

北桜 千尋「ねー!!千尋ぜんぜんわかんないー!」

北桜 八尋「いちいち声が大きいんですよ。馬鹿は黙ってて下さい」

ワハハと笑う千尋に相変わらず辛辣な八尋。   

しかし、千尋はそれを気にする様子は全くない。

綾辻 澪「でしたら、まずはモノワニファイルの確認から始めるのはいかがでしょうか?」

全員が戸惑う中、綾辻がそう言った。

結城 晴翔「そうだね。みんな、既に目は通したと思うけど、もう一度モノワニファイルの内容について整理しよう」

ハルク「ワターシ頑張りマース!たくさんお喋りシマース!」

写実 真平「お喋り、という表現はちょっと違うでありますよ………」

モノワニファイルの確認からだな。

よし。俺も積極的に発言していこう。

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

結城 晴翔「じゃあまず、百々海さんのモノワニファイルを確認しよう。被害者は《超高校級の水泳部》百々海 真凛さん」

綾辻 澪「死体発見場所は1階にある女子大浴場の中です」

風神 雷哉「オレが見つけた時、湯船の中に沈んでた状態だったな」

桃林 林檎「な、なんでそんなことわざわざ言うだすか!?」

風神 雷哉「なんでって……別にそんくらい言ってもいいだろーが!」

天草 京介「…………そして後頭部に複数の打撃痕があると書いてある…………」

佐々木 莉央奈「き、聞いただけでおぞましいですわ………」

薬師院 月乃「けど、何かこのファイル情報が足りない気がするんやけど………」

飛鳥 圭「死因でしょー。ぐうたらお姉さん、どうやって死んだか書かれてないもん」

写実 真平「そ、そんなの決まってるであります!水の底で発見されたなら[溺死]に間違いないであります!」

 

 

 

 

[溺死]←[モノワニファイル①]

 

 

 

 

それは違うぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「写実。確かに百々海は見つけた時湯船の中に沈んでいたが、死因が溺死だとは限らないと思うぞ」

写実 真平「な、なんですと!?」

写実は驚きずり落ちた眼鏡を戻しながら俺の方を見る。

夢寺 蓮「さっき天草も言っていたが、『モノワニファイル①』によると百々海の後頭部には複数の打撃痕があると書いてある。百々海は何かで殴られて殺された後で湯船に沈められた可能性が考えられるんだ」

円城寺 霊夜「つーかそう考えんのが自然だろ。ただ溺死した人間の後頭部に打撃痕なんか出来やしねえよ」

薬師院 月乃「司はん、その点に関してはどうなん?百々海はんの検死したの司はんなんやろ?」

司 拓郎「………無知なお前らに教えてやる。溺死というのは口や鼻から肺へ向けて大量に水が入り呼吸が出来なくなって死ぬという窒息死のうちの一つだ。だから溺死した人間の肺には大量の水が残っている事が大半だが………水泳部の肺には水はほぼ入っていなかった。つまり溺死というのはあり得ない」

北桜 八尋「綾辻さん。その人の言っていることについてどう思いますか?」

八尋は司の言うことが信用出来ないのか、医者である綾辻に話を振った。

綾辻 澪「ええっと………私は百々海様のご遺体を詳しく見てはいないので断言は出来ませんが、司様の言う通り、溺死した人間の肺には沢山水が入っている場合がほとんどです。それに後頭部の打撃痕の件もありますので、溺死の可能性は低いのではないでしょうか?」

北桜 千尋「なんかよくわかんないけど、おいしゃさんのみおが言うならまちがいないね!」

ハルク「流石軍医サンデース!」

飛鳥 圭「もしかしたら医者のお姉さんが犯人で嘘ついてる可能性もあるけどねー」

結城 晴翔「同じ意見を持つ人が2人もいるんだから、百々海さんが溺死じゃないっていうのは確定でいいんじゃないかな?」

天草 京介「…………私も結城に賛成だ。………溺死ではないだろう…………」

飛鳥 圭「ふーん。まーどっちでもいいけどー」

写実 真平「百々海殿が殴殺なのは分かったであります。じゃあ、百々海殿は何で殴られたのでありますか?」

写実の疑問は最もだ。殴殺なら、必ずその傷を作った凶器が存在する。

……凶器は確か…………。

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[血が付着した木槌]

血がべっとりと付いた木槌。

気絶した佐々木の近くに落ちていた。

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「脱衣所には血の付いた木槌があった。これで百々海は殴られたと俺は思う」

写実 真平「そ、そうだったのでありますね」

北桜 千尋「まりん…………いたかったよね」

薬師院 月乃「木槌やし、しかも何発もやからなあ。相当の痛みやと思うで」

それを聞いた千尋は悲しそうに俯いた。そして、

北桜 千尋「どうして………そんななんかいもなぐったの?いっかいでいいのに………どうしてそんなひどいことするの?」

千尋の問いに対して、誰も答える事は出来なかった。

犯人は当然答える筈がないし、被害者である百々海は既にこの世にいない。

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥 圭「ていうかそんな木槌どこにあったのー?ボクそんなの初めて見たよー」

ハルク「ワターシもそれ初めて見まシター!!そのハンマー、どこにあったのデスカ?」

結城 晴翔「僕は捜査の時はずっと大浴場にいたから調べられなかったんだけど、誰か分かる人はいるかな?」

俺はチラッと八尋の方を見る。

八尋は一度目を合わせてきたが、すぐ逸らしてしまった。

まるでお前が言え、とでも言われているようだ。

えーっと、確かこの木槌があったのは…………。

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

[無くなった木槌]

厨房から木槌が無くなっていた。

 

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「厨房の道具リストを確認してみたんだが、木槌が1つ無くなっていた。つまりあの木槌は厨房から持ち出したものだと考えられる」

風神 雷哉「オレと蓮と佐々木で確認したから間違いねーぜ!」

佐々木 莉央奈「だから『莉央奈』と呼べと何度も……」

北桜 八尋「ちなみに僕も確認しましたが、夢寺さんの証言通り、確かに木槌が1つ無かったです。それと、一応他の場所も見ましたが、他に木槌のような凶器がありそうな場所はありませんでした」

天草 京介「………よく見てるな…………」

北桜 八尋「間違えたら死ぬんですから当然でしょう」

細かい場所までしっかり確認してくれた八尋のお陰で、木槌は間違いなく厨房から持ち出されたものだと分かった。

 

 

 

 

薬師院 月乃「となると、犯人は百々海はんを殺す為に誰もいない時こっそり厨房に入ったって事やな。そんで木槌を持ち出したと」

飛鳥 圭「えー?そんな簡単に決めつけちゃっていいのー?」

薬師院がそう結論づけた時だった。

飛鳥がお気楽そうな声で全員に呼びかけた。

円城寺 霊夜「あ?凶器ありそうな場所は厨房しかねえって今八尋が言ってたじゃねえか。何が不満なんだクソガキ」

飛鳥 圭「違うよー。凶器が木槌で厨房から持ち出されたってことについてはボクも異論ないよー。ボクが言いたいのは『誰が』木槌を持ち出したかだよー」

飛鳥の言葉に対し、ほぼ全員がは?という顔をする。

綾辻 澪「それは百々海様を殴った犯人ではないのですか?」

風神 雷哉「オレもそう思うぜ。てゆうか普通そうだろ?」

飛鳥 圭「もーみんな頭固いなー。もうちょっと柔軟に考えなよー」

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「フン、どいつもこいつも…………。何故『水泳部が木槌を持ち出した』という可能性を考慮しない?」

すると今まで裁判を傍観していた司が呆れ果てながら口を開いた。

飛鳥 圭「あー言われちゃったー」

風神 雷哉「はぁ?何で被害者の百々海が木槌を持ち出すんだよ。意味分かんねーよ」

司 拓郎「………もういい。お前みたいな脳味噌まで筋肉で出来た出来損ないの人間もどきに説明しても時間の無駄だ。口を閉じてろ」

風神 雷哉「はい殺す今殺す」

写実 真平「風神氏!気持ちは分かるでありますが落ち着くであります!」

綾辻 澪「司様の仰りたい事、それはつまり百々海様が殺人を計画されていたという事でしょうか………」

綾辻の言葉に全員がしんと静まり返る。

被害者である筈の百々海が誰かを殺そうとしていた?

信じられない話だが、可能性はゼロではない。

夢寺 蓮「……まだ百々海が誰かを殺そうとしてたって確定した訳じゃない。だが、その可能性を切り捨てる事も出来ない。まずはそこを検討した方がいいと俺は思う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その推理、取り憑かれてるぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「………え?」

円城寺 霊夜「おい蓮。どう考えてもそりゃねえよ。真凛は完全な被害者だろ」

夢寺 蓮「………そこまで言うからには何か根拠があるって事か?」

円城寺 霊夜「当然だろ。俺がその腑抜けた推理、今から叩きのめしてやる。だからてめえも全力で来い」

 

 

 

 

 

 

 

反論ショーダウン開始!

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「真凛が木槌を持ち出して誰かを殺そうとしたって事なら……」

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「結果として真凛は殺そうとして逆に返り討ちにあったって事だよな?」

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「けどな、普通に考えてそれはあり得ねえだろ」

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「パスポートの生徒名簿によると、アイツの身長は174cmだ」

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「女子の中で一番体格の良いアイツが簡単に返り討ちにあうとはとても思えねえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

発展!

 

 

 

 

夢寺 蓮「確かに同じ女子相手であれば百々海が力比べで負ける理由はないかもしれない。けどアイツが女子に殺されたとは限らない。それに不意打ちや不慮の事故が起こったのであれば、百々海が負ける可能性も少なからずある筈だ」

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「バカな事言ってんじゃねえよ。女子大浴場で死んでるんだから犯人は女子に決まってんだろ」

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「それに有り得ない理由はまだあるぜ。真凛が厨房に入って木槌を持ち出したって話だけどよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「じゃあ実際真凛が持ち出したのは誰か見たのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「そもそも『誰も見てねえ』のなら検討の余地なんかねえよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「というか、誰が持ち出したなんか議論したって意味ねえ気がするけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰も見てねえ」←[八尋の証言]

 

 

 

 

その言葉、斬り捨てる!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「百々海が木槌を持ち出したからどうか見た奴はいないが、食堂から慌てて出て行く姿を見た奴はいるんだ」

円城寺 霊夜「!?」

夢寺 蓮「そうだよな?八尋」

北桜 八尋「ええ。夢寺さんの言う通りです」

俺が話を振ると、八尋はいつも通り変化に乏しいその表情で淡々と答えた。

北桜 八尋「まだ誰も食堂にいない時間………確か朝の5時半くらいでしたか。僕が食堂前を通りかかると、百々海さんが走って食堂から出て行くのを見かけました。木槌を持っていたかは確認出来ませんでしたが、今考えてみれば何か見られるのを隠しながら走ってるような感じでしたね」

佐々木 莉央奈「な、なら百々海サンはその時木槌を持っていた………!」

結城 晴翔「断言は出来ないけど、その可能性は高いだろうね」

北桜 千尋「まりん…………」

百々海が殺人を犯そうとしていた可能性が高くなり、全員が複雑そうな表情になる。

ただの被害者なら同情出来た。

しかし誰かを殺そうとして返り討ちにあったとなれば話は別だ。

円城寺 霊夜「んだよ、俺が何も知らなかったってだけか。悪いな蓮。少し熱くなりすぎちまったみてえだ」

夢寺 蓮「大丈夫だ。寧ろこうして色々意見を言ってくれた方が助かる」

あくまでこれは学級裁判だ。

1人の意見のみで進めるものじゃない。

飛鳥 圭「けどユーレイのお兄さん見事に論破されちゃったねー。無様すぎて笑いが止まらなかったよー」

ケタケタと笑う飛鳥に円城寺の眉がピクピク動く。

………キレてるな。

円城寺 霊夜「………ああそうか。てめえは余程俺をブチギレさせたいらしいな。つまりこれから先、()()()()()()()()()()()()って事でいいんだよなあ?」

飛鳥 圭「…………あ」

食事抜きを宣言されて、助けを求めるように何故か俺の方を見る飛鳥。

知らん。

自業自得だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「……チッ、どのように裁判を進めるか様子見をしていたが…………くだらない議論をグダグダと………まともな奴はここにはいないのか、無能共が」

全員が悲痛な面持ちで沈黙していると、司が苛立ちを募らせながら舌打ちをする。

風神 雷哉「あ?ろくに議論にも入ってこねーくせに調子こいた事言ってんじゃねーよ」

こめかみに青筋を浮かべる雷哉。

あいつの堪忍袋の緒が切れるのも時間の問題かもしれない。

頼むから耐えてくれ。

薬師院 月乃「そういえば司はん捜査の時、既に犯人の目星がついてるって言うとったけど、あれって本当なん?」

ふと思い出した、という風に薬師院が尋ねる。

司 拓郎「当然だ。だから俺様が今から馬鹿にも分かるよう順番に話してやる」

桃林 林檎「ま、回りくどいことしないでさっさと犯人を言ったらいいだす!」

司 拓郎「物事には順序というのがあるんだ。……脳にまで無駄な脂肪が付いたせいでロクな思考すら出来なくなったのか?」

桃林 林檎「な………!!」

司の容赦ない悪口に絶句する桃林。

結城 晴翔「司君、悪口はそれくらいにしてくれないかな?」

司 拓郎「フン、まあいい。………さて、早速この俺様が直々に犯人を炙り出してやろう。自分が犯人だと名指しされた奴のリアクションが実に楽しみだ」

不敵な笑みを浮かべる司。

まるでこの裁判をゲームとして楽しんでいるようだ。

この余裕は犯人が分かってる事から来るものだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「そもそもこの事件、シンプルに考えればそこらの凡人でも犯人はすぐ分かる。何故なら死体が発見された時点で犯人は既に半分に絞られているからだ」

北桜 千尋「えーーー!?もうはんぶんーーーー!?どうしてーーー?」

写実 真平「そこからでありますか!?」

北桜 八尋「もう黙っていて下さい………。はぁ……馬鹿すぎて同じ兄妹だと思われたくないですね………」

あどけない笑顔で首を傾げる千尋に対して額を押さえる千尋。

司の言葉の意味………。

十中八九、死体発見現場と関係があるということだろうが………。

 

 

 

 

 

 

何故、犯人が半分に絞られるのか?

 

1 殺せそうな人が半分しかいないから

2 現場が女子大浴場だから

3 なんとなく

 

 

 

 

 

 

2 現場が女子大浴場だから←

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「………円城寺もさっき言ってたが、死体発見現場は女子大浴場。女子しか入れない以上、犯人は女子に絞られるって言いたいんだよな?」

司 拓郎「………チッ」

司は俺に答えられた事が癪に触ったのか、舌打ちをしながらあからさまに機嫌を悪くした。

………ここまで嫌われるといっそ清々しいな。

ハルク「オー!じゃあ犯人はひいふうみい…………6人のうちの誰かデスネ!」

風神 雷哉「オメー普段数字そうやって数えてんのかよ……」

全員の視線が女子へと集まる。

今ここにいる女子は、飛鳥、綾辻、千尋、佐々木、桃林、薬師院の6人。

この中に殺人犯がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

桃林 林檎「き、きっと犯人は飛鳥さんだす!!」

桃林は一際焦った様子で飛鳥を指差す。

飛鳥 圭「えー?何でボクなのー?」

当人である飛鳥は不思議そうに首を傾げる。

桃林 林檎「こ、この人いつも物騒なこと言ってワタシらを困らせてただす!だから絶対飛鳥さんだす!」

夢寺 蓮「………桃林。そうやって決めつけるのはどうかと思う」

ヒステリックにそう叫ぶ桃林。俺は流石にまずいと思い口を挟む。

桃林 林檎「な、なんでだす!?………わ、分かっただす!ワタシみたいなブスより飛鳥さんの方が好きだから庇ってるだすね!!」

なんでそこで好き嫌いの話が出てくるんだ。

夢寺 蓮「……違う。飛鳥は確かに普段の言動は危ういし行動も他のみんなを困らせる事も多いのかもしれない。けど、結局俺達はまだ知り合ったばかりの赤の他人なんだ。本性がどうなのかは分からない。失礼になってしまうが、結城や綾辻みたいな普段優しい奴らが本性は殺しが大好きなサイコパスの可能性だってゼロじゃない。誰が犯人であっでおかしくはないんだ。だから普段の様子だけで決めつけるのは良くないと思う」

桃林 林檎「うっ…………」

俺の言葉に桃林は言葉を詰まらせる。

飛鳥 圭「はとのお兄さん、ボクのこと庇ってくれたのー?優しいんだねー」

飛鳥は顔をにんまりさせて俺の方を向いている。

こいつ、絶対優しいなんて思ってないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

北桜 八尋「無駄話が多すぎですよ。………それで?女性6人が容疑者なのは分かりましたけど、そこからどのように犯人を絞っていくのですか?」

八尋が軽く苛立ちながら話の続きを促す。

司 拓郎「全く、無能は待つことも出来ないのか………。まあいい、ならまず結論から教えてやろう。…………………お前が犯人だろう?かるたクイーン」

佐々木 莉央奈「………!?」

司が指名したのは、裁判開始からあまり口を開いていない佐々木だった。

顔を真っ青にして司の方を見る。

北桜 千尋「えーー!?なんでりおなが犯人なのー!?」

ハルク ゴンザレス「かるたクイーンサン、本当デスカ!?」

佐々木 莉央奈「ち、違いますわ!!わたくしは犯人じゃありませんわ!!」

風神 雷哉「でもよー、正直佐々木は怪しくねーか?」

雷哉の一言で、全員がしんと静まり返る。

風神 雷哉「佐々木は女子風呂で見つかったんだろ?殺人が起きた場所にいた奴を疑うのは当然じゃね?なあ綾辻?」

綾辻 澪「え、ええ。確かに私は脱衣所に入った際気絶された莉央奈様を見つけました」

話を振られた綾辻がそう証言する。

佐々木 莉央奈「だからわたくしは気絶させられてたんですの!!わたくしも立派な被害者ですの!」

北桜 八尋「口だけではなんとでも言えますよ。あなたが犯人ではないという証拠はあるんですか?」

佐々木 莉央奈「そ、それは………」

八尋に証拠の提示を求められ、佐々木は思わず口籠る。

司 拓郎「フン、反論することすら出来ないのか。なら、今から俺がそこの女が犯人である根拠を1つずつ提示してやる」

反発する数人を黙らせた後、司は自身ありげな顔で俺達を見渡す。

………良くない流れだな。

恐らく司は完全に佐々木が犯人だと思い込んでいる。

もし完璧な論理を披露されたら、全員が投票する流れになってしまう。

何とかして佐々木が犯人ではないと証明しなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

司 拓郎「俺様は捜査時間で全員の個室を調べた。犯人の尻尾を掴む為にな」

桃林 林檎「ぷ、プライバシーの侵害だす!!」

ハルク「ワターシの大事な筋トレグッズが見られてしまいまシター!もうお嫁に行けまセーン!」

薬師院 月乃「ハルクはんは男の子やからお嫁には行かへんよ。あと筋トレのグッズ見られても特に問題ないんちゃう?別に恥ずかしいことやないんだし」

ハルク「オー!確かにその通りデス!!」

結城 晴翔「司君が莉央奈さんを犯人だって言うってことは………莉央奈さんの部屋で何かを見つけたんだね?」

写実 真平「分かったであります!!きっと[エロ本]であります!莉央奈氏は実は大のBL好きで、密かにコミケにも足を運ぶ程の……」

佐々木 莉央奈「わ、わたくしにそんな趣味はありませんわ!!」

天草 京介「………犯人だと断定する手がかり………。犯人と被害者の[[やり取りが分かるもの]]などか…………?」

飛鳥 圭「もしくは[死体の写真]とかー?そういう嗜虐的な趣味の人いるよねー」

円城寺 霊夜「物騒なこと言ってんじゃねえよ」

 

 

 

 

[やり取りが分かるもの]←[佐々木に宛てられた手紙]

 

 

 

 

それに賛成だ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「天草の言う通りだ。昨日、佐々木宛てに手紙が届いたんだ」

佐々木 莉央奈「……………………」

俺が天草に賛成の意を示すと、佐々木は俺から視線を外し下を向いた。

風神 雷哉「マジかよ!?てゆーか蓮、オメーもなんでそれ知ってんだ?」

夢寺 蓮「俺達で佐々木を呼びに部屋まで行っただろ。あの時だよ」

薬師院 月乃「なるほどなぁ。じゃあ夢寺はんも実際にそれを見たわけやな」

夢寺 蓮「……ああ」

薬師院にそう聞かれ、おれは頷く。

ここで俺が嘘を付けば佐々木を擁護することは難しくなる。

なぜなら、嘘を付いた人間の証言の信憑性は驚く程低くなるからだ。

夢寺 蓮「佐々木。手紙を実際にみんなに見せながら説明してくれ」

佐々木 莉央奈「わ、分かりましたわ…………ってあれ?手紙はいずこに………」

司 拓郎「これの事だろう?」

佐々木が手紙を探していると、司が懐から手紙を取り出した。

佐々木 莉央奈「そ、それですわ!!どうしてアナタがそれを………」

司 拓郎「誰かさんが忘れていったんだろ。お陰で俺様が見つけることが出来た」

佐々木 莉央奈「そ、そんなあ………」

佐々木はがっくりと項垂れてしまった。

まさか忘れてくるとは………。

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「そこの間抜けな女が忘れたこの手紙の内容についてだが、俺様が説明してもいいが、知能が低いお前らは実際に見たほうが理解しやすいだろう」

司は順番に俺達に手紙を回した。

風神 雷哉「えーっとなになに………『私はお前の秘密を握っている。みんなにバラされたくなかったら今日の夜中12時頃に大浴場前に来い』だと!?」

北桜 千尋「ひみつをにぎってる、だって!なんかこわいね!」

綾辻 澪「これは………脅迫状と言った方が良さそうですね」

円城寺 霊夜「おい莉央奈。てめえはその呼び出しに応じたのか?」

各々が感想を述べる中、手紙を読んだ円城寺がそう尋ねる。

佐々木 莉央奈「………ええ。確かにわたくしは言われた通り行きましたわ。だって怖かったんですもの………」

佐々木は躊躇いながらも実際に向かったことを話した。

結城 晴翔「それでその後はどうしたのかな」

佐々木 莉央奈「約束の時間までずっと待ってましたの!でも、誰も来なくて………結局お風呂に入ってさっぱりしようと思って、入浴しましたわ」

写実 真平「呑気でありますな!?」

佐々木 莉央奈「う、うるさいですわ!とにかく、わたくしはゆっくり体を休めた後着替えて更衣室から出たら………後ろから誰かに布を当てられたんですの。そこから先は覚えてないですわ。気がついたら脱衣所で寝てて……」

綾辻 澪「布を当てられた………?」

ハルク「ワーイ?布を当てられた後どうして覚えてないんデスカ?」

佐々木 莉央奈「そんなのわたくしが教えて欲しいくらいですわ!!なんか突然意識が朦朧として………」

北桜 八尋「そんな曖昧な説明で僕達を納得させられると思っているんですか?」

天草 京介「…………確かに、俄には信じ難い話だ…………」

綾辻 澪「意識が朦朧………?」

とにかく、この流れはまずい。

佐々木の荒唐無稽な証言を誰も信用していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「ククク………。随分と往生際が悪いな、かるたクイーン」

そして、追い討ちをかけるように司は追求を続ける。

司 拓郎「お前の証言は誰が聞いても苦しい言い訳にしか聞こえないぞ」

佐々木 莉央奈「い、言い訳なんかじゃ………!」

司 拓郎「おい、誰か昨日の12時頃この女を見かけた奴はいるか?」

佐々木を無視して司は俺達にそう質問する。

風神 雷哉「あ?それ聞いてどうすんだよ?」

司 拓郎「分からないなら口を閉じてろ脳筋が。………どうだ?夜の12時であれば誰かしら外を彷徨いていた可能性はある。大浴場に向かうかるたクイーンを見かけた奴がいればその手紙の信憑性が増すだろう」

飛鳥 圭「はーい。ボク見かけたよー」

司の問いに反応したのは、何故か楽しそうにしている飛鳥だ。

司 拓郎「……よりにもよってお前かスリ。お前のような道化だと証言の信憑性が下がるな」

円城寺 霊夜「おいクソガキ。てめえ嘘ついて議論をかき乱そうとしてんじゃねーよな?」

飛鳥 圭「失礼だねー。ボクはいつでも大真面目だよー」

そして彼女は何故か俺と雷哉を見る。

飛鳥 圭「ボクの話聞いてくれた人は他にもいるんだよー。ねー?おふたりさん」

風神 雷哉「あ?何か俺らのこと見てるぞ?………ま、よく分かんねーから蓮よろしく頼むぜ!」

雷哉は笑み浮かべてこちらに丸投げしてきた。

あの馬鹿野郎、思考停止しやがって。

だが、確かに俺達は飛鳥の言う話を知っている。

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

[飛鳥の証言]

昨日の夜12時頃、廊下を歩く挙動不審な佐々木を見かけたという。

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「…………飛鳥の証言ならさっき俺と雷哉が聞いた。12時前廊下で佐々木を見かけたらしい」

佐々木 莉央奈「………!!」

飛鳥 圭「ほらねー言ったでしょー。ボク、確かにわがままお姉さん見たんだよー」

どうだと言わんばかりに胸を張る飛鳥。

そしてどんどん顔が青ざめていく佐々木。

円城寺 霊夜「クソガキと雷哉ならともかく、蓮が言ってんなら信用出来るな」

北桜 八尋「全くもって同意です」

風神 雷哉「どーいう意味だコラ!」

司 拓郎「………どうだ?かるたクイーン。ここまで証拠があってもまだ認めないつもりか?」

騒ぐ雷哉を無視し、司は満足そうな表情で佐々木を見る。

佐々木 莉央奈「わたくしは…………わたくしは………」

夢寺 蓮「ちょっと待て!確かに証拠はあるが、あからさますぎる!佐々木以外の誰かがあいつに濡れ衣を着せたのかもしれない!投票はまだ………」

司 拓郎「無能の雑魚が喚くな。いいか?俺様の言う事は絶対なんだ。かるたクイーンが水泳部と才能なしを殺した犯人なのは決定事項だ。俺様が間違えることはない」

俺の意見を司が聞くはずもなく、

 

 

 

 

 

 

 

桃林 林檎「もう…………もう決まりだす!とっととあの女に投票するだす!!2人を殺した殺人鬼はとっとと処刑だす!」

その様子を見ていた桃林がヒステリックにそう叫ぶ。

飛鳥 圭「そうだねー。ここまで証拠あるんだし、もう犯人確定でしょー?わがままお姉さん、欲に負けて殺っちゃったのー?同級生を2人も殺した今の気分はどうー?」

写実 真平「某、莉央奈氏のことは信じたいでありますが………。これは………」

天草 京介「…………他に犯人らしい者もいないしな…………」

ハルク「ワターシ、難しいことよく分かりまセーン。でも、カルタサン、夜中に大浴場に行ったのは怪しいデース!」

夢寺 蓮「…………」

クソ。

もう佐々木の証言を信じている人はいないのか。

俺の言葉じゃ投票を止めることすら出来ないのか。

佐々木にフォローする、なんて偉そうな事言っておいてこのザマだ。

俺は司の言う通り、何も出来ない無能の出来損ないなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風神 雷哉「待てよオイ!佐々木が犯人だとは限らねーんじゃねーか?」

俺が自分の無力さに打ちひしがれていると、左の方から聞き慣れた声がした。

夢寺 蓮「雷哉………」

風神 雷哉「よく分かんねーけど、蓮は佐々木が犯人じゃねーと思ってんだろ?ならオレはそれを信じるぜ!」

親指を立ててあいつは俺に笑顔を向けた。

綾辻 澪「私も莉央奈様が犯人だと決めつけるのは早計だと考えます。まだ話し合いをするべきです」

薬師院 月乃「そうやなぁ。まだ未解決の問題は沢山あるし、なんかあからさまな気ぃするのはうちだけなんかなぁ」

北桜 八尋「投票先を間違えたら死ですからね。合理的に、そしてもう少し慎重に話し合うべきでは?」

結城 晴翔「八尋君の言う通りだ。投票に失敗したら僕達は死んでしまう。全員の命を守るためにも議論を続けるべきだと思う」

 

 

 

天草 京介「……………どうする?意見が2つに割れてしまったが………」

モノワニ「………ほほー、意見が割れたト。であればやるべき事は1つですネ」

すると、全員の席が急に移動し始めた。

写実 真平「な、なんでありますか!?」

薬師院 月乃「けったいな装置やねぇ」

そして席が対立するように配置される。

モノワニ「これから皆サマには2つの陣営に分かれて議論をぶつけ合ってもらいまス。どちらの意見が正しいのか、全力で戦って決めてくださいまセ」

風神 雷哉「正面からの殴り合いってことか!!いいぜ!!やってやる!!」

妙にやる気を出す雷哉に呆れながら、俺は正面を見る。

正面は司。

鋭い目つきで俺を睨んでいる。

佐々木が犯人かそうでないか…………。

それをこの場でハッキリさせる!!

 

 

 

 

 

 

 

議論スクラム開始!!!

 

 

 

 

《佐々木莉央奈は犯人なのか?》

 

 

 

犯人だ!………飛鳥、司、桃林、写実、天草、ハルク、円城寺

犯人じゃない!………夢寺、佐々木、風神、綾辻、薬師院、結城 八尋、千尋

 

 

 

 

 

写実 真平「いつもと違う莉央奈氏の様子を見たら、どうしても犯人としか思えないであります………」

 

 

風神 雷哉「あ?そりゃ知らねー間に色々起きてたんだからしょうがねーだろ!」

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「凶器だって莉央奈の近くに落ちてたんだろ?。ならコイツが真凛殺す為に使ったって考えるのが普通じゃねえか?」

 

 

 

薬師院 月乃「せやけど、なーんかあからさますぎるとうちは思うんけどなぁ。血のついた凶器をそのまま自分の近くに放置するなんて普通考えられへんし、犯人に罪をなすりつけられたって考える方が自然やないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

桃林 林檎「そ、そんな都合の良い解釈なんかじゃ納得出来ないだす!それにきっと襲われたなんて言うのも真っ赤な嘘だす!」

 

 

綾辻 澪「いえ。莉央奈様の襲われた、という証言については私は嘘とは思えません。どちらにしろ、もう少し詳しく議論する必要があると思います」

 

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥 圭「でもボクわがままお姉さんの事ちゃんと見たんだよー?これについてはどう説明するのかなー?」

 

 

 

結城 晴翔「確かに大浴場に行ったのは本当なのかもしれない。でも、かといって犯人だと決めつけるには早いんじゃないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司 拓郎「俺様の推理は完璧だ。これ以上の議論の余地はない。俺様の手を煩わせるな」

 

 

夢寺 蓮「まだ解明されていない謎は沢山ある。議論を終わらせるべきじゃない!」

 

 

 

 

 

これが俺達の答えだ!

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「待ってくれ!まだ疑問点は残されてるんだ!だから頼む、もう少しだけ付き合ってくれないか?」

写実 真平「まあ、夢寺氏がそこまで言うなら………」

円城寺 霊夜「慎重になりすぎて損、ってこともねえしな」

俺達の必死の呼びかけにより一応、投票派も納得してくれたようだ。

司 拓郎「チッ………。それでマジシャン、お前みたいなゴミに一体何が出来るんだ?」

風神 雷哉「テメーは黙ってろコラ!!」

夢寺 蓮「…………」

俺は頭をフル回転させ、状況をひっくり返す証拠が何か考える。

まず真っ先に出さなくちゃいけないものは………。

 

 

 

 

 

 

コトダマ提示

 

 

 

[入退室のログ]

大浴場の更衣室に入った時に記録されるログ。

 

 

 

 

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「薬師院。()()を出してくれないか?」

薬師院 月乃「お。ここで()()を出すんやね?ええよ♪」

薬師院は何故かウキウキした様子で自身のパスポートを取り出した。

写実 真平「な、何でありますかその2人の怪しい会話は!?も、もしや2人はそういう関係で………、う、羨ましいであります!そこに某も混ぜて3ぴ………」

夢寺 蓮「断じて違う。………これは薬師院に記録してもらった大浴場のログだ」

写実がとんでもない事を言い出しそうだったので言葉を被せ黙らせてから俺はそう説明した。

北桜 千尋「ろぐ?ろぐってなあに?」

天草 京介「…………私も初めて聞いた。説明が欲しいな………」

夢寺 蓮「簡単に言うと大浴場、正確には更衣室に入る際に時間と入退室が表の機械に記録されるんだ」

薬師院 月乃「まあ口で説明するより見てもらった方が早いと思うで。………ほら、こんな感じや」

 

 

男湯 

・01:17 in

・01:17 in

・02:04 out

・02:20 out

・06:33 in

・08:19 in

・08:19 in

・08:19 out

・08:19 out

 

 

 

 

女湯

 

・00:21 in

・00:55 out

・00:55 in

・00:56 out

・06:32 in

・06:35 in

・06:55 out

・08:19 in

・08:20 in

・08:20 in

 

 

 

 

 

 

 

 

結城 晴翔「なるほど………。男女別にいつ入ったか、そして出たかを記録しているんだね」

飛鳥 圭「でも誰が、までは記録されてないんだねー。へー、面白いじゃーん」

ハルク「ウーン、よく分かりまセン!!!」

北桜 千尋「千尋もわかんない!!!」

風神 雷哉「オレも!!!」

北桜 八尋「馬鹿トリオですね………」

当然だが、一眼見て理解出来る人とそうでない人がハッキリ分かれている。

特にハルク、千尋、雷哉は既にギブアップのようだ。

綾辻 澪「夢寺様はこれを見て何かおかしな点を見つけた、ということでしょうか?」

夢寺 蓮「ああ。………今から一つずつ確認していこう」

さて、ここからが勝負だ。

果たして上手く説明出来るのか。

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「まず男湯からだ。………夜中の1時17分にログが2人分残されている。この時間に大浴場を利用した男子は誰だ?」

風神 雷哉「あ!それはオレとハルクだぜ!」

お前かよ。

円城寺 霊夜「随分と遅え時間に使ってんじゃねえか。何か理由でもあんのか?」

風神 雷哉「理由つってもな………。オレとハルクで夜の10時くらいからトレーニングしてたんだよ。そんでついつい熱が入っちまって夜中になっちまったんだ」

ハルク「喧嘩屋サンとずっと筋肉鍛えてマシター!喧嘩屋サン、凄い筋肉持ってマス!」

北桜 八尋「動機発表後に他人と2人きりになるなんて、警戒心がまるでないんですね」

トレーニングをして汗をかいた2人が大浴場を利用する。

ごく自然なことであり、不審な点は特にない。

天草 京介「………では、この2時4分と2時15分は2人が大浴場を出た時のものか…………?」

風神 雷哉「そうだと思うぜ。オレが先に出てハルクが後から出たんだ」

ハルク「ワターシ、ゆっくりくつろぎマシター!」

写実 真平「離れてる時間は僅か10分弱でありますか。そんな短時間では何かするのは無理でありますな」

 

 

 

 

夢寺 蓮「次は真ん中の『6時33分』は飛ばして2つある『8時19分』だ。これに関しては既に誰が利用したか判明している」

佐々木 莉央奈「8時って………ついさっきの事ですわね。一体誰が……」

綾辻 澪「……もしかして夢寺様と風神様、ですか?」

夢寺 蓮「正解だ」

ハルク「喧嘩屋サン、温泉大好きデスネ!!」

風神 雷哉「オレ今日は風呂まだ入ってねーぞ!? 」

夢寺 蓮「百々海達を探す時、俺とお前で男子の大浴場に入っただろ。あの時だよ」

あの時は俺と雷哉が男湯を、綾辻が女湯を調べた。記録されるとしたらそこしかない。

写実 真平「その時のだったのでありますね。ならこれはあまり事件には関係ないのでは?」

夢寺 蓮「全く関係ない、とは言い切れないが、ひとまず今は考えなくて大丈夫だと思う。………問題は今判明したログ以外のものだ。といっても1個しかないが」

結城 晴翔「この『06:33 in』ってやつだね」

北桜 千尋「えー?なにがへんなのー?」

夢寺 蓮「当たり前の話だが、入口が1つしかない以上、出る時も必ず同じ場所から出るよな?なら大浴場への出入りはセットで記録される筈だ。でもこのログだけ片方しかない。これはどう考えても不自然だ」

飛鳥 圭「あー、なるほどねー。はとのお兄さんが言いたいこと分かったよー。入った時間は記録されてるけど、出た時間が記録されてないんだー」

桃林 林檎「ほ、本当だす………。他のログは入退室でペアが出来るのに、これだけ余っちゃうだす」

俺の説明で他の人にも徐々に理解が広まっていく。

良かった。ちゃんと伝わったか。

 

 

 

 

 

 

円城寺 霊夜「………あ?ってことはこの女湯のログも………」

円城寺が何かに気がついたようだ。今度は女湯のログについて言及する。

夢寺 蓮「ああ。………みんな、同じように女湯のログも見て欲しい」

全員がまたログに意識を集中させる。

夢寺 蓮「まず上の4つからだ。このうち最初の2つはさっきの証言から佐々木のものだと判断出来る。間違いないよな?佐々木」

佐々木 莉央奈「そ、そうですわ。確かにわたくし、この時間に入浴致しましたわ」

これに関しては間違いないだろう。入室と退室の時間も不審な点はない。

天草 京介「………待ってくれ。上2つは分かるが、下の2つは何なんだ………?時間を見る限り、一度出てまた入り、そして出たという風に捉え事が出来るが………」

薬師院 月乃「天草はん冴えてるなぁ。多分その通りやと思うで」

天草の発言に薬師院が同意する。

風神 雷哉「どうしてそう思うんだよ」

薬師院 月乃「さっきの佐々木はんの証言を思い出してみぃ?佐々木はんは『大浴場から出た後何者かに襲われ、気がついたら脱衣所にいた』って言っとったやろ?それって、このログと一致してると思わへん?」

北桜 八尋「なるほど。犯人は佐々木さんを気絶させてからもう一度パスポートをかざして脱衣所に入り、佐々木さんを中に放置して出た。それが記録されているという訳ですね」

佐々木を引きずり脱衣所の中に入れ、放置して退出する。

それだけなら1分程度で済む。

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「襲われたという証言はログと一致するし、何よりもし佐々木が犯人なら犯行現場にずっと居る必要性が全くない。だから俺は佐々木は犯人じゃないと言ったんだ」

佐々木 莉央奈「夢寺サン…………!」

目をウルウルさせながらこっちを見る佐々木。

円城寺 霊夜「………ま、よく考えてみりゃそうか」

写実 真平「莉央奈氏。責めて申し訳なかったであります。某、てっきり莉央奈氏がやったものかと………」

佐々木 莉央奈「だ・か・ら!!!わたくしは最初から無実だってずっと言ってるじゃありませんの!!!どうして誰も信じてくれないんですわ!!!」

薬師院 月乃「日頃の行いやねえ」

佐々木 莉央奈「うっさいですわ!!このドブ狐!!」

薬師院 月乃「無実が証明されたからええやないの。ホントピーピーうっさいわぁこのメンヘラ女」

佐々木 莉央奈「だ、誰がメンヘラ女ですの!!」

綾辻 澪「お、おふたりとも!!喧嘩をしてる場合では………!」

天草 京介「………ドブ狐………?そんな生き物がこの世にいるのか………?」

夢寺 蓮「天草。考えるな。戯言だと思って聞き流した方がいい」

風神 雷哉「おいコラ司!!テメーの言ってる事間違ってんじゃねーか!!蓮に謝れ!!」

司 拓郎「………フン。まあいい。その女が犯人の可能性は低いことは認めてやる。そこの無能マジシャンに指摘されたのは気に食わないがな」

風神 雷哉「素直に謝れやコラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

北桜 八尋「それで?佐々木さんが犯人ではなさそうだというのは分かりましたが、残りはまだ5人です。それにこのログの問題も解決していないですよね?」

騒がしくなってきた周りを無視し、俺にそう尋ねる八尋。

夢寺 蓮「そうだな………。さっきの男湯のログと同じく、女湯のログもおかしな点がある」

綾辻 澪「それって………残りの部分についてでしょうか?」

夢寺 蓮「ああ。じゃあ順番に見ていこうか。………まず下の3つは百々海達の死体を発見した時のログだ。綾辻、雷哉、俺の順で入った」

北桜 千尋「さっきもおなじだね!千尋もやっとわかってきた!」

桃林 林檎「じゃ、じゃあこの真ん中のやつのどれかが犯人のログだすか?」

司 拓郎「フン、そんな事は少し考えたらすぐ分かるだろ。おいマジシャン、お前みたいな愚図でもこれくらいは分かるよな?」

またも挑発してくる司。

俺をいびりたくてしょうがないらしい。

2つの入室のみが記録されたログ。

これの正体は………

 

 

 

1.百々海、乃木の2人

2.百々海、犯人の2人

3.乃木、犯人の2人

 

 

 

 

 

 

→1.百々海、乃木の2人

 

 

 

 

これだ!

 

 

 

 

夢寺 蓮「百々海、乃木の2人だと俺は思う。そう考えれば3つのうち2つのログについては正体が分かったと考えていいんじゃないか?」

飛鳥 圭「ぐうたらお姉さんとおチビのお姉さんは中で死んでるんだし、そう考えるのが自然だよねー」

2人は中で殺されたのだから入室のログのみがあるのは当然だ。

円城寺 霊夜「どれが誰のかってのは分かんねえもんなのかよ?」

綾辻 澪「まだ百々海様達と犯人の行動が分かってない以上、特定は難しそうですね……」

乃木が先に入ったのか、それとも百々海が犯人が先に入ったのか。

それは未だに不明だ。

 

 

 

 

 

結城 晴翔「となると…………結局残る謎は男女のログに残されたペアにならないログだよね」

写実 真平「余った男子の『06:33 in』と女子の『06:55 out』のログでありますね」

佐々木 莉央奈「きっとここに犯人が仕掛けたカラクリがあるのでしょうけど………さっぱりですわ」

残された謎のログ。

結局これが分からなければ、この問題は解決したとは言えない。

逆に言えば、この疑問が解消されれば、犯人の行動が明らかになるかもしれないのだ。

考えろ。

俺の集めた証拠の中にきっとこの謎を解く鍵はあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

議論開始!

 

 

北桜 八尋「何か犯人を絞れる手がかりを持っている人はいないのですか?」

ハルク「ワターシ、頭こんがらがってきまシタヨー!何も手がかり無いデス!」

北桜 八尋「あなたには1ミリも期待してませんよ」

薬師院 月乃「各々で集めた証拠を言っていけばええんちゃう?もしかしたらその中に謎を解く鍵があるかもしれへんよ」

結城 晴翔「僕は………サウナ入口の[ドアノブに土が付いてた]』くらいしかないよ」

北桜 千尋「もしかして、千尋が[あさきいたあしおと]がかんけいあるのかな?」

綾辻 澪「[サウナの温度]………は関係ないですよね」

 

 

 

[ドアノブに土が付いていた]←[ドアノブの汚れ]

 

 

 

 

 

それに賛成だ!

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「ドアノブの土…………。もしかして…………」

結城 晴翔「ん?どうしたの夢寺君」

夢寺 蓮「…………」

綾辻 澪「夢寺様?」

夢寺 蓮「…………」

風神 雷哉「あーこりゃだめだ。蓮の奴しばらく戻ってこねーぞ」

写実 真平「どういうことでありますか?」

風神 雷哉「コイツ、ガチで集中すると周りの声聞こえなくなるんだよ。昔から変わんねーな、ホント」

薬師院 月乃「集中モード、ってやつやね。頼もしいわあ」

 

 

 

 

 

 

北桜 八尋「では夢寺さんは放っておきましょう。それより、結城さんの言っていた『ドアノブの土』とは何ですか?」

結城 晴翔「あ、うん。これはどちらかと言うと乃木さんの事件と関係があると思うんだけど、サウナの入口のドアノブに土が付いていたんだ。どうしてお風呂場に土なんて………って思ったんだけど」

風神 雷哉「んなの、サウナ入る時に手に土が付いてたんだよ。だからドアノブに付いたってこった」

佐々木 莉央奈「そんな事は誰もが承知していますわ。問題はその土の()()()()ですわ」

天草 京介「………確かに、大浴場を利用する中で土が手に付くことなどあるのか…………?」

円城寺 霊夜「中に植物のガーデニングでもあれば別だけどな。んなのここにはねえ」

北桜 八尋「………可能性はひとつしかありませんよ。外の露天風呂の存在を忘れているんですか?」

ハルク「そうデシタ!外にお風呂ありまシタ!ワターシ、外風呂大好きデース!!」

桃林 林檎「べ、別に大した問題じゃないだす!露天風呂使った時手に土が付いて、その後サウナに入る時その土がドアノブに付いただけだす!」

北桜 千尋「りんごのいうとおりだよ!それってべつにふつうのことじゃない?わるいことじゃないよね?」

円城寺 霊夜「まあそうだな。じゃあドアノブの土は偶然か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛鳥 圭「えーみんなまだ分かんないのー?今までの話考えればすぐ思いつくと思うけどなー」

結城 晴翔「………飛鳥さん?もしかしてこの謎について分かったのかい?」

飛鳥 圭「そうだよー。というかだいぶ前からそうなんじゃないかって思ってたけどねー」

桃林 林檎「ぜ、絶対嘘だす!また適当なこと言ってかき乱すだけだす!!」

飛鳥 圭「うるさいなー。豚みたいにブーブー鳴かないでよー。おデブのお姉さんこそ騒音で場を混乱させてるだけじゃーん」

桃林 林檎「う…………うるさいだす!!」

飛鳥 圭「さてみんなに問題でーす。外の露天風呂には()()()()()()()()()?」

 

 

 

 

 

 

 

ん?

露天風呂には何がある?

 

 

 

 

 

写実 真平「………し、質問の意味がよく分からないのでありますが………」

飛鳥 圭「そのままの意味だよー。外に出ると何があるってことー?」

司 拓郎「フン、また道化のくだらん戯言か。無視して議論を続けるぞ」

結城 晴翔「外は露天風呂だからね。お風呂しかないと思うんだけど」

 

 

 

 

違う。

 

 

 

 

 

 

 

外には風呂の他にもう一つあるじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうか。

そういう事だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「…………分かった」

風神 雷哉「ん?やっと戻ってきたかよ蓮。何か分かったのかよ」

夢寺 蓮「ああ」

薬師院 月乃「うち、待ちくたびれてもうたわ。そんで夢寺はん、結論は出たって事でええの?」

夢寺 蓮「ああ。飛鳥の言葉で閃いた」

飛鳥 圭「へーようやく分かったんだー。じゃあ教えてよー。はとのお兄さん何が分かったのー?」

何故か嬉しそうにこちらを見る飛鳥。

間違いなくこいつは気がついていた。

それを敢えて言わなかったのは少し気になるが。

夢寺 蓮「………結論から言うと、犯人は外の露天風呂にある男湯と女湯が繋がった穴を利用したんだ」

風神 雷哉「………あー!!!アレか!?」

円城寺 霊夜「そういうことか………。すっかり頭の中から抜けてたぜ」

写実 真平「抜け穴、というのはそういう事でありますね!」

心当たりのある覗き見メンバーは、それかと言った風に揃って頷く。

結城 晴翔「露天風呂にある隠し穴………?そんなの初めて聞いたけど……」

北桜 八尋「僕も初耳です。そんなものどこにあるというんですか?」

天草 京介「………自分も…………知らない……」

当然、覗き見に参加していなかった3人は知る筈もない。

俺は女湯覗き見事件について簡単に説明した。

 

 

 

 

 

 

結城 晴翔「僕達の知らない間にそんなことが……。けど、そんな事をしていたなんて………。僕は少しがっかりだよ」

北桜 八尋「何人かがそわそわしていたのはそういうことでしたか。よくもそんなくだらないことを思いつきますね」

天草 京介「………人としてどうかと思うぞ…………」

女子達と同じようなことを言われ、俺達はがくりと項垂れた。

薬師院 月乃「まあまあ。お説教はうちらが散々したし、許してやってな?」

佐々木 莉央奈「それはもういいですわ!それよりも夢寺サン、どうしてそう思ったのか教えて頂きませんこと?」

夢寺 蓮「俺の予想はこうだ。まず、犯人は06:33に男子脱衣所から入室する。その後、露天風呂にある抜け穴を使って女子大浴場へと行き、乃木と百々海を殺す。そして6時55分に女子脱衣所から外に出る。こうすればログが片方ずつしかないのにも説明がつく」

綾辻 澪「なるほど………!入る時は男子、出る時は女子の脱衣所を使ったんですね。…………え?でもそれって………」

綾辻は発言の途中で何かに気がついたようだ。

円城寺 霊夜「おい蓮。って事は………」

円城寺も何かを察したように俺の方を向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事件、最初から腑に落ちない点があった。

 

 

 

 

 

 

犯人は何故、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

女子しか入れない大浴場で殺人を犯せば、当然犯人は女子に絞られる。

犯人にとっては不利になる筈だ。

 

 

 

 

 

 

最初は衝動的に犯人が殺してしまったのだと思った。

けど、それは違う。

恐らく計画的な犯行の筈だ。

 

 

 

 

 

 

犯行を女子大浴場で行うことによって、()()()()()()()()()()()()()事が目的だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

そんな事をして得をするのは…………男子しかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺が持ってる証拠から総合的に考えると…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「…………!?」

 

 

 

 

 

 

 

俺は気がついてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

犯人は…………お前だったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

夢寺 蓮「犯人が…………分かったかもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学級裁判 中断!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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