やぶいしゃきこー(仮) 作:ファル子ォォォォォおおおおおおおお!!!
「・・・ふむ、ちゃんと良くなってきてるね。この調子なら経過次第では明後日くらいには家に帰れるかも」
「まぁまぁ、そりゃ本当かい先生!」
「おー、本当ですとも。とは言ってもあくまで『かもしれない』だからね、早く帰りたいならちゃーんと安静にして身体を治さないとだよおじいちゃん。
知ってるんだぞ〜、また隠れておやつ食べてたの!」
「うぐっ、すまんなぁ・・・つい」
「・・・やれやれ、食堂のおばちゃんと相談してなにか甘いもん付けたげるからもうやめてよ?」
「ッ、ええんか!?」
「いっくら言ってもやめないからでしょうが、ホントはやったこんな事やんないしやっちゃダメなんだって」
「き、気をつけますハイ・・・」
「ほんとかなぁ?」
「あ、せんせー!」
「せんせー!」
「こら、走るんじゃありません!待ちなさい!」
「おーおー、風邪治ったんか少年少女」
「うん!」
「おくすりマズかったけど、ちゃんとのんだよ!」
「おぅおぅ、そりゃよかった・・・でもな?
「ぇぅ、ごめんなさい・・・」
「ごめんなさーい・・・」
「うむうむ、反省できてるなら良し。次から気をつけろ〜」
「「はーい!」」
「キミら器用すぎない?」
「申し訳ありません先生、うちの子がご迷惑をおかけして」
「いやいや迷惑なんてとんでもない、子供ってのはちょっと手がかかるくらい元気な方がいいですから」
「本当にいつもいつもお世話になって、先生のご慈悲がなければ今頃私たち一家はどうなっていたか・・・!」
「いや大袈裟!?あっそうだ思い出した、所で医療費の申請、ちゃんと出来ました?」
「毎度毎度お手数おかけして申し訳ないのですが、それについて先生にご相談が・・・」
「全然だいじょーぶですよ、それじゃ立ち話もなんですし少し移動しましょうか。二人とも少し歩くよー」
「「
「こ、コラあなた達!!」
「あっはは、大丈夫ですよお母さん。それじゃこちらへ」
「先生、本当にありがとうございます・・・!」
ここはテイワット大陸の七国が一角、雷神が統治する永遠の島国《稲妻》。そこに存在する、国で最も古い病院である。
そしてなんやかんやあって何故か病院長けん『稲妻医師会会長』になってしまったのが自分、
まぁ
今だって『そういう大事なのはもっと相応しい能力をもった人物に任せるべきでは?』と思うわけである。周囲から任されてる以上やりますけれども。
尤も、余りの人手の足りなさに院長の自分まで診察やら巡回やら訪問診療やらに駆り出されてるのに立候補する人なんて誰もいないんですけどね。
先程落ち着いてきたと言ったがあれは昔と比べてであって、余裕があるとは言っていない訳だ。誰に対して言い訳しているのだろう。
「お疲れ様です、院長」
「ん?あぁ、ありがとうございます師長」
とりあえず一通りの作業が一段落ついた所で、看護師長が温かいお茶を差し入れて下さった。外科担当の学科長も様子を見に来てくれたらしい。名ばかり院長には実にもったいなく感じるし、ありがたい。
「看護師や事務員の皆さんの様子はどうでした?なにか不満とか要望とかあったりしました?」
「いえ、今のところ聞いていませんね」
「ええ、特に最近は
「ちょっと不気味ですけどね・・・」
「あはは、何もないだけマシですよ」
「はぁ〜あ、病気や怪我を治すための場所で出費も多いからほとんど
「ゔっ、ホントすみません・・・」
「ちょ、何してるんです師長!?」
「あぁっ、申し訳ありません院長!」
「アハハ、いやぁ間違いじゃありませんから。むしろ自分の方こそ皆さんにご迷惑をお掛けして」
「「いえいえそんな事ありませんから!」」
「うおっ」
この稲妻の政治は主にこの国の統治者たる『雷電将軍』が仕切り、それを3つの組織『勘定奉行』『天領奉行』『社奉行』が補佐するという形をとっている。
主な役割についてはそれぞれ
・財政、公序良俗、国境管理の『勘定奉行』
・軍事関係の『天領奉行』
・民政の『社奉行』
となっており『三奉行』と纏められる事もある。そして医療という繊細な分野である以上、当然彼らとは良くも悪くも関わりが深くなる訳で。
この三奉行のうち、社奉行に関しては問題ない。むしろ社奉行を率いる神里家とは
今の稲妻で大きな二つの政策が出ているのだが、その内の一つが"鎖国令"である。
他国からの人の出入りを制限し、仮に入国するにも許可が出るまで人工の離島に留まらなければならない。
分かりやすく言えば『今ウチに来ちゃダメね。どぉ〜しても入りたいなら許可とってね。そうそうやらんけど』という事である。
一見、無関係に思われるだろうが実は割とガッツリ関係していたりする。
実はテイワット七国の大体に言える事だが、いわゆる病院あるいはクリニックが極端に少ないのである。
この稲妻だってそうである。
戦などの負傷は野ざらしの陣営で済ませるし(そも、戦とはそういうものなので致し方ないと言えばそれまでであるが野戦病院の
病に至っては
普通の風邪とかなら大人しくしていればそのうち良くなる事もあろう。だが明らかな異常事態でありながらそんな事をしていれば当然ながら助かる命も助からない。
ただでさえこの国は
今でこそ
人口の少ない村などに関しては小さな診療所手に負えない程の怪我人や病人の場合は、そこでできる限りの処置をした上で近くの大きな病院に速やかにかつ負担をかけないように搬送しなければならないというのが現状である。
ここで大きく関わって来るのが"鎖国令"と離島の
この離島からの出入り規制がかなり厳しく、
実例を挙げよう。
ある日、離島の診療所に一人の患者が担ぎ込まれた。
その患者はてんかん*1を引き起こしたらしく、診療所に着く頃には泡まで吹き出したという。
幸いこの時に居合わせた医師はベテランであり、素早くしっかりとした手厚い応急処置を施すことが出来た。しかしその診療所ではそれ以上の対応が出来ず、このままでは命に関わると判断し関所の勘定奉行に鳴神島へ搬送する許可と魔物などに対する護衛を要請した。
しかし勘定奉行は『患者本人の許可証がない以上、規則により如何に重症であれ本国に運び込む事は許されない』とその訴えを退けた。
結果を言えば、罪悪感を感じていたのか関所にいた武士達が結託し鳴神島の大病院へ伝令に走り器具と人材を早急に運び込むことで事なきを得た。
しかし勘定奉行が『財政支援をしてやっているにも関わらず我々の人材を無断で使い走らせるとは何事か』と激怒。
更に独断で動いた武士達は謹慎となり、当時診療所にいた職員全員が離島の牢獄に閉じ込められた。
これに対し稲妻医師会側が『稲妻の民のため奔走した部下に理不尽な罰を与えるだけでなく責務を果たしただけの医師を不当な理由で拘束するとはどういうことか』と猛反発、稲妻の歴史でも有数の抗争が勃発した。
その後社奉行のとりなしにより『急病人に限り鳴神島への搬送を許可する』『急病人を鳴神病院から外に出さず、稲妻医師会が国に納める金を利益の四割から六割に引き上げる』という形で決着を迎え捕らえられた医師達も解放されたものの、一時は冷戦直前までもつれ込んだ事も相まって病院や診療所、あるいはそこの患者にちょっかいを出してくる回数が『日常的に』と形容できる程に増えたのである。下手をすれば武力で脅迫をかけてくることもある。そういう奴に限って勝手な暴走であるが。
なので被害を訴えても大抵『そいつが勝手にやったことだ』か『勘定奉行の名を騙る奴らだろう』と知らぬ存ぜぬを貫かれるのが大半だったりする。人間偉くなると聖人か余程の堅物でもない限り皆腐る(偏見)。因みに自分は名ばかりの忙しすぎて首が回らない系トップである。
おかげで医師会の懐はスッカンピン、あまりにもちょっかいの頻度が多いと場所によっては用心棒を雇ったり
超簡潔に言えば『方針の違いですっごい喧嘩したのでめちゃくちゃ仲が悪い』という訳だ。
次に天領奉行だがこちらは至って単純な話で、
現在の稲妻で施工されている二大政策のうちのもう片方が"目狩り令"である。
詳しい事はあまり把握していないが(待て)、なんでも雷電将軍曰く『神の目は"永遠"にとって邪魔』なんだとか。
それでぶんどった神の目を千手百目神像だが何だか知らないけどそれに嵌めるとか言っていた。なぜ
自分の場合は仕事柄持っている方が何かと助かるので天領奉行の
それを
極端な言い方をすれば、自分たちの仕事をしようとしたらいきなり『あ、その仕事は手をつけなくていいよ』と言われた様なものであるからまぁ無理はない。
ただそれはそれとしていい歳なんだから物事の分別くらいついて欲しいものではある。患者の精神衛生にもあまり宜しくない。
とは言え九条家そのものとは仲が悪い訳でもなくなんなら昔からの長い付き合いがあるくらいである。
ただ社奉行と違って天領奉行には派閥がある。確か
兎にも角にも、ここまで紆余曲折ありながらも何とかやって来た。
「亀室小五郎!これより貴様の処刑が執り行われる!大人しく出てこい!!!これは将軍様からのご命令である!!!」
勘定奉行「えいえい!怒った?」
稲妻医師「怒ってないよ♡」「ステイッステイッまだだっまだだっ」
天領奉行(下っ端A)「えいえい!怒った?」
天領奉行(下っ端B)「」
稲妻医師「フーッ、フーッ」(語彙力)
九条さん「うちの部下がホンットすみません!」
やぶ医者「いいのよ〜全然」
社奉行(というより神里さん家)「お茶が美味いねぇ」
やぶ医者「せやね」
雷電将軍「お前処刑な」
やぶ医者「ど う し て (