うたわれるもの 夢幻の旅人   作:ライム酒

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相変わらずの会話劇

ロストフラグ2周年おめでとう!
 


帝都の地理説明

 

 

【挿絵表示】

 

 

「投書箱を設置する場所の参考にでも、帝都の詳しい説明をお願いできるか?」

 

「はいなのです。

 案内はわたしがするので、スズリ様は検非違使の仕事の説明などをお願いするです」

 

「わかった……」

 

「では、出発するのです」

「まず、ここマシロ様のお宅兼使庁がある区画は大内裏の令外官府と言って、この國の憲法である律令に規定のなかった新設の官制が集まる場所なのです。

 位置は大内裏の左奥にあたるです。

 令外官府には他に、地方行政を監視する勘解由使庁や、帝都と各國を結ぶ街道を守護する惣追捕使庁などがあるのです」

 

「来る時にも思ったんだが、自分のところに比べて他のところはこじんまりとしているな」

 

「それは令外官の長官が他の役職と兼務していることが多いからです。

 そのため使庁はここにあるのですが、実際はここで仕事をしているわけではないのです。

 なので、別当宅を建てる際にこれらの屋敷の一部を取り壊して検非違使庁を大きく建てたのです」

 

「…拙が使督だった時は、使庁は衛門府の中にあった」

 

「規模が大きくなったからここに建てたってことか」

 

「そういうことです。

 ちなみに道向かいにある区画はミカヅチ様がいる左近衛府になるのです。

 現在、官職高官はマシロ様への接触を禁じられているので、マシロ様もご覧になるだけでお願いするです」

 

「まあ、挨拶回りがいらないってのは楽でいいんだけどな……」

 

「……大変そう」

 

「これが大内裏中央にある聖廟なのです。

 ここにはミカド様と東宮府ホノカ様、ウルゥル様サラァナ様がいらっしゃるです」

 

「この建物だけ他のと違うな。

 光沢はあるが金属じゃない……。

 白磁の建造物か?」

 

大いなる父(オンヴィタイカヤン)の御業なのです。

 詳しいことはよくわかってないのですが、同じような素材でできた白磁(イナヴァ)の大橋があるのです。

 帝都とナコクを繋ぐ大橋なのです」

 

「……先帝様の偉大さがよくわかる橋。

 とても綺麗で大きい」

 

「そんなにすごいのか。

 今度見てみたいな」

 

「機会があればご案内するです。

 では、聖廟裏から内裏内を回る形で説明をして行くのです」

「令外官府の隣、聖廟の裏には大蔵と呼ばれる諸國からの貢物を収めている倉庫屋敷があるです。

 その奥にこの大蔵を管理している大蔵府があるのです」

 

「当然っちゃ当然だが、警備の数もそこそこいるな。

 ここの警備も検非違使の仕事なのか?」

 

「うん。

 ……でも、内裏内の警備は近衛府がやってる」

 

「……それは検非違使の質が悪いから、ってことか?」

 

「……たぶん」

 

「そ、そんな事情があったのですか……」

 

「だったら近衛府は本来どんな仕事をしているんだ?」

 

「近衛府は貴族の護衛が仕事。

 ……右近衛府は帝都内の護衛で、左近衛府は帝都近郊の護衛になってる」

 

「まあ、内裏内の警備も貴族の護衛といえば護衛か……」

 

「大蔵府のさらに奥、内裏の右端にあるのは大内裏内大書庫なのです。

 ここにはたくさんの貴重な書物が保管されており、その一部は実際に借りることができるです。

 ここは自由に利用ができるので、もし訪れたい時には教えて欲しいです」

 

「まあ、利用するのはもう少し文字が読めるようになってからの話だな」

 

「……文字、読めないの?」

 

「言葉はほとんど一緒なんだが、文字の形が違うんだよ。

 読めるようになるにはもう少しだな」

 

「渡した本をもう1人で読めるようになっているのです。

 読み書きを習得するのはそれほど時間がかからないと思うです」

 

「無駄に画数が多いんだよ。

 数百年もあってどうして簡略化されなかったのかね……」

 

「……文字は先帝様から頂いたものだから」

 

「厳格にってことか……」

 

「文字は神聖なものなのです」

「そして、大書庫の前には図書寮があるのです。

 図書寮は書物の管理や写しを作製したりしているです」

 

「ここは府じゃなくて寮なんだな」

 

「この区画全てが図書寮の屋敷になっているからです。

 もともとは大蔵府の仕事だったのですが、扱う仕事が増えて大蔵府から独立して建てられたのです」

「次にあるのがゲンホウ様がいる右近衛府です。

 その隣には右兵馬寮があるのです」

 

「右兵馬寮?

 そういえば左近衛府の隣にもこれと似たような建物があったな」

 

「ここにはウマ(ウォプタル)の飼育や武器が管理されているのです。

 それと兵馬寮は縦に長くて、この近衛府とその奥にある兵衛府や衛門府まで接しているです」

 

「ということは次は兵衛府か」

 

「はいなのです」

「ここが兵衛府になるのです。

 反対側の左近衛府の前には衛門府があるのです」

 

「兵衛府と衛門府、それと近衛府はどう違うんだ?」

 

「兵衛府はその名の通りこの帝都の軍隊なのです。

 八柱将のブライ将軍が実質的に取り仕切っているのです」

 

「……衛門府は帝都の警備が仕事。

 検非違使ができてからは主に門衛と入國管理をしてる」

 

「ちなみに衛門府の長官は八柱将のムネチカ様なのです」

 

「八柱将も官制の長官をやるんだな」

 

「八柱将とは特別な武功を挙げた者に、ミカド様から直々に与えられる将のことなのです。

 そのため、官制長官が八柱将に選ばれることが多いのです」

 

「そういうことか」

 

「他にも武功を挙げた國の皇や世襲だけで選ばれた人もいるのです」

「そして兵衛府の前にあるのは、八柱将のライコウ様が長官をしている外務府なのです。

 通称外府と呼ばれているです。

 ここでは主に、ヤマトに属していない國との外交が仕事なのです」

 

「そういえばライコウはトゥスクルとの外交をやっていたな」

 

「はいなのです。

 トゥスクルはまだまだ発展途上の小國ですが、油断のできない國力を持っているです」

 

「ネコネの兄のオシュトルもここにいるのか?

 あいつも確か八柱将でウズールッシャとかいう國を担当していたよな」

 

「兄さまはもともと右近衛府の大将だったのです。

 そこに、ミカド様が先帝様より八柱将を降ろされていたゲンホウ様を取り立てて右近衛府に置き、兄さまはミカド様の側近である侍従庁の長官に栄転されたのです」

 

「……派閥作りの一貫か」

 

「そうとも言うのです」

「外務府の次にあるのは内務府、通称内府なのです。

 こっちはヤマトに属している國との外交が主な仕事です。

 ちなみにここの長官は大老のウォシス様なのです」

 

「ウォシス、か……。

 確か旧派の旗持ちだったか?」

 

「そうなのです。

 内府は官制の中でも特に強い影響力を持っている組織なので、ミカド様でさえ人事に強く口出しができないのです」

 

「……内府は魔境。

 拙も予算運営とかでよく怒られた……」

 

「……目をつけられたくはないな」

 

「主要な官制府はこんなところなのです。

 ちなみにここと聖廟を挟んで反対側には豊楽院という饗宴用の大きな屋敷があるです」

 

「自分が歓待を受けたところだな。

 そんな名前だったのか」

 

「はいです。

 さて、これで聖廟の横と裏をぐるりと回ってきたことになるです。

 最後は聖廟前の大内裏大路に向かうのです」

 

「……ようやく大内裏の案内が終わるのか」

 

「……おつかれ」

 

「到着です。

 ここが聖廟と大内裏門をつなぐ大内裏大路なのです。

 その左右にはヤマトに住まう貴族の屋敷があるのです」

 

「大きくて広いとしか感想は特にないな。

 聖廟はすごく立派だが。

 見てきた限りだと大内裏の中は今のところ警備の必要はなさそうだったな」

 

「……ここに入れる人は限られてるから」

 

「それもそうか。

 次は帝都市中の案内か?」

 

「そうですね。

 いい時間なので最初に御前繁華街を案内して、そこでご飯にするのです」

 

                     

   

      

         

      

      

      

      

            

        

           

        

           

       

       

       

         

 

                  

               

          

              

               

           

             

             

            

           

             

            

           

        

           

            

            

             

               

 

 

【挿絵表示】

 

 

「次は大内裏門を通って、帝都市中なのです。

 帝都は聖廟から見て右側を右都、左側を左都と呼ぶです。

 そして帝都には左都から右都にオムチャッコ川が流れており、オムチャッコ川よりこちら側を御前街、二つの川に挟まれている場所を中洲街、その奥を門前街と呼んでいるのです」

 

「都に川が流れてて邪魔じゃないのか?

 氾濫した時なんかは大変だろう」

 

「オムチャッコ川は水運物流の要なのです。

 先帝様が治められていたときは一度も川が氾濫したことがなかったため、川沿いに街が発展しているです」

 

「今のミカドさまになってからはあるのか」

 

「そうなのです……。

 帝位に就かれて少し経った時に大きな氾濫が起きて問題になったです」

 

「……確か中洲街がの多くが流された」

 

「結構な被害だな」

 

「中洲街は帝都一の繁華街があるのでかなりの被害だったと聞いているです。

 それでミカド様は直ちにウォシス様とライコウ様に指示を出して、上流に大きな堰を作ったり、堤防を築いて反乱の危険性を抑えたのです」

 

「検非違使は瓦礫の撤去を手伝ってた」

 

「総出で対処したのか」

 

「オムチャッコ川の治水は安全な帝都運営の死活問題になるので当然の対処なのです。

 それと最近では、今まで獲れなかった美味しい川魚であるアンユやナギゥが獲れるようになったです。

 アンユの塩焼きやナギゥの蒲焼きは帝都の新しい名物なのです」

 

「おっ、川魚か。

 宴会で出された魚料理は確かに美味かったな」

 

「それはよかったのです。

 こほん。

 それで話を戻すのですが、この御前街には大内裏内に入れない人たちが働く官制府があるです。

 検非違使の外官制府も左都の方にあり、そこで大体の雑務が行われて、その報告が別当宅の使庁に届くようになっているのです」

 

「雑務はそこでやっているのか」

 

「そう……。

 でも現場に出てる下部と文官の火長の仲が良くなくて報告が滞ってる」

 

「……問題だらけだな」

 

「火長は衛門府から優秀な人が派遣されてくるから……」

 

「まだまだ独立も遠そうなのか」

 

「思ってた以上に山積みなのです……」

「川の手前のあそこまでが御前繁華街になるです。

 客層が主に貴族なので、とても高級な料理屋なんかも並んでいるのです」

 

「さっき川魚の話が出たからな。

 魚の料理屋でいいところはないか?」

 

「ではあそこに向かって一旦休憩にするのです。

 スズリ様もいいですか?」

 

「拙は、どこでも……」

 

「スズリは好きな料理とかないのか?」

 

「……生は苦手」

 

「焼き魚も美味しいお店なので任せてほしいのです!」

 

「うん……楽しみ」

 

「このお店なのです。

 お邪魔するです」

「ご馳走さまなのです」

 

「ああ。美味かったな。

 これで酒も飲めたら最高なんだが」

 

「勤務中なのです」

 

「だから呑んでないだろう」

 

「……美味しかった。

 こんなお店もあるんだね」

 

「よくミカド様とお忍びで……んんっ。

 な、何でもないのです」

 

「上客が常連なら美味いわけだな。

 さて、そろそろ行くか。

 このまま中央の大路を歩いて行くのか?」

 

「今回はその予定なのです。

 道を外れると少し治安の悪いところもあるので、護衛がつくまではむやみに出歩くのは危険なのです」

「この一つ目の橋を越えたら中洲街なのです。

 この辺りは帝都上流層の商店街となっており、庶民からは高級街という扱いなのです。

 川の上流の方には質の高い旅籠街もあるです」

 

「御前街よりも人の数は多そうだな」

 

「あそこは一見さんお断りみたいなお店もあるので、客層を絞っているのです」

 

「貴族向けってわけか」

 

「今回は安全のため御前街で食事をしたのですが、ここら辺にも美味しいお店をたくさん知っているので、護衛の方が来てからこちらも案内するのです」

 

「それは楽しみだ」

 

「こほん。

 では説明に戻るのですが、先ほどの御前街は貴族や管制官向けのお店が多く、人通りも落ち着いているので治安は良いです。

 そして、ここ中洲街は庶民の高級街という扱いで、帝都市民が手の届く値段範囲で質の良い物が買える場所です。

 他にも大國の皇の護衛の方なども上の中洲旅籠街に泊まって、ここをよく利用しているのです」

 

「確かに人が多くて活気のある街だな。

 帝都の中心街ってことか」

 

「……検非違使の報告では、ここは川に挟まれてる場所だから犯罪が少ない。

 逃げ場がない」

 

「そういう利点もあるのか。

 確かにここから出るには橋を通るしかないな」

 

「……でもここから川の下流に向かうと少し治安が悪い。

 歓楽街になってて検非違使も入りにくい……」

 

「なんでも八柱将のデコポンポが下流付近の荷揚権を持っているため、怪しげな噂をよく聞くのです。

 違法賭博とか危ない蟲や薬が取引されてるとかを聞いているです」

 

「何とかしないとな。

 ただ八柱将が牛耳ってるとなると、投書箱を設置しても事件をもみ消されそうだな」

 

「デコポンポならありうるのです。

 ですが警備を増やすことも……」

 

「……難しい。

 検非違使も普段利用してるって聞くから……。

 警備にあまり参加しない」

 

「不潔なのです」

 

「不潔かどうかは置いておいて、治安悪化の温床ではあるな。

 そこは今後の課題として考えておくか」

 

「了解なのです。

 次は二つ目の橋を越えた門前街です」

「ここ門前街は帝都に観光に来る人たちが多く集まる場所です。

 そのため繁華街だけでなく旅籠街も多くあり、賑わいのある右都旅籠街と少し落ち着いた左都旅籠街に分かれているです」

 

「ここは1番の人通りだな。

 行き交う人の格好も様々だし、いろいろなところから来てるってのがわかる」

 

「はいなのです。

 旅商人なんかもここで出店をやっていたりするので、さまざまな國の料理や名産が売っているのです」

 

「やっぱりこういう賑やかなところで一杯やりたいもんだ」

 

「そういうのは、お立場を考えてほしいのです」

 

「好きでなったわけじゃないんだがなあ……」

 

「……お気持ちは察するのですが、ヤマトのためにもどうかお願いするのです」

 

「まあ、いつかだな……」

 

「…………」

 

「こほん。

 とりあえず今回安全に見て回れる範囲はこんなところなのです。

 参考になったですか?」

 

「ああ、改めて帝都の大きさと検非違使の現状がわかったよ。

 いろいろと解決しないとな」

 

「……うん」

 

「では、別当宅に戻るのです。

 それと、ルルティエ様の準備が整ったのでそろそろこちらに配属されるそうです」

 

「まだまだ人が足りないからな。

 早く楽をしたいもんだ」

 

「拙もがんばる……」

 




 
説明しながらの会話劇って難しい
特に今回はコロコロ場面が変わるし話が膨らまないしで大変
でもせっかく設定考えたから書き上げたかった

暇がある時にうたわれるものを読み返さないとキャラの口調がわからなくなってきた
書いててかなり違和感がある
 
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