"元"執行者が逝く人理修復の旅   作:アポロ231号

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ちょっと先のカルデアにて──

玉藻「ちょっとー? 私のバリエーション増えすぎではございません? キャットさんに水着の私、あとなんです?コヤンスカヤさん?この方に関しては身に覚えがないですが……とにかく!これにて打ち止めでお願いいたします!」



玉藻「みこーーーん!!??身に覚えのない私が増えたーーー!!?」



第12話 アイドル(?)登場

目を開くと、そこはどこまでも蒼く広がる空に生い茂る大地。

心地よい風が戦ぎ、羽織っているコートが翻る。

 

此処が1431年のフランス──。

比較的年代が近かった冬木と違い、1431年ともなれば過去へ遡ったという感覚が強い。

タイムスリップ、と言葉にすれば胸が小躍りしてしまう。

だが、浮かれている場合ではない。

 

「油断するなよ。いつ敵の襲撃があるか分からないからな、周囲を警戒するんだ。…………あれ?」

 

言葉を投げかけても返事がない。

もしや、と周囲を見渡すと契約している玉藻以外、そこにはいなかった。

 

「だーれもいませんね……。レイシフトに問題があったのか、(わたくし)たちだけ別の場所に放り出されたのかも……。もしかしなくても、この状況かなりヤバいのでは?」

「カルデアへの連絡は……と、とれねえ……。これじゃあ俺たちが今何処にいて、オフェリアたちも何処にいるか分からねえじゃねえか!」

「どうどうどう。心配なのは分かりますが、落ち着いてくださいまし。取り敢えず合流するためにも行動しましょう。それに案外、心配してないかもしれませんし。(まあオフェリアさんはその限りではありませんが)」

 

一呼吸置き、冷静を取り戻す。

玉藻の言う通り、向こうも情報を集めながら俺たちを見つけるべく、この特異点を探索するだろう。

なら此方も此方で動き、色々探ってみよう。

 

「それにしても、長閑な場所ですこと。新婚旅行として行くにはちょっと物足りませんが、こんな場所で過ごすのも中々乙なものですねぇ」

「お前は何を言っているんだ? 新婚旅行? 誰と?」

「それはも・ち・ろ・ん、貴方とです♡ キャッ、言っちゃった」

「さて、これからどう動こっかなー」

「まさかのスルー!? これにはタマモちゃんもかなりのショッキング!」

 

後ろでギャーギャーと騒ぐ玉藻を尻目に周囲を索敵していると、遠征中と思われる兵士たちが遠目に見えた。

彼らを暗示で此処まで誘き寄せて、何か情報を聞き出してみよう。

正直、暗示はあまり使いたくない魔術ではあるが、今は兎に角、何でもいいから情報が欲しい。

暗示の結果だが、ただの一般兵士が抗える筈もなく、容易に誘き寄せることができた。

 

「よし、じゃあ暗示が効いてる内に。まずは、そうだな……怪しい格好をした人間を見なかったか? 俺たちみたいな浮いた服装をした女性とか」

「アンタらみたいな格好した女? いや、知らないな」

「あらら、ハズレでございますね」

「でも、普通じゃなさそうなのいたな。実は俺たち、遠征中にワイバーンに襲われてたところをそいつに助けられたんだ」

「おお! それだよ、それ! それが欲しかったんだよ! ……ちょっと待て。ワイバーンってどういう事だ?」

 

兵士の話によると、処刑されたジャンヌ・ダルクが魔女として蘇り、シャルル七世を殺害した後、竜を引き連れて破壊の限りを尽くしているという。

……話を聞けば聞くほどおかしい。

ジャンヌ・ダルクが魔女として復活して復讐するのはまだ分かる。

彼女の最期を考えれば、憎悪を抱くのも不思議ではない。

だが、ジャンヌ・ダルクが竜を従えているというのは一体どういう事なのか。

 

「それで、貴方たちを助けた人というのは?」

「えっと確か……角と尻尾が生えてて、デカい槍を振り回してたな。あと歌が酷かった」

「ああ、ありゃ酷かったな。耳が腐り落ちるかと思った。あれならワイバーン共の歯軋りの方がよっぽどマシだよ」

「!!!???」

 

兵士たちの証言に、玉藻は驚きのあまり固まってしまう。

この様子からして、どうやら見知った顔なのだろう。

万が一、そのサーヴァントが竜の魔女側についたら不利になってしまうのは確実だ。

兵士から位置を聞き出し、その場所へ向かう。

 

「あのぅ〜、マスター? 彼らを助けたサーヴァントとお会いするの、やっぱり止めにしません? きっと今頃「竜の魔女」がトカゲ娘にプッツーンしてボコボコにされてる可能性も無きにしも非ず。 別の方を探しません?ね、ね?」

「どんだけ会いたくないんだよ……」

 

玉藻のセリフからして、まず間違いなく顔見知りだ。

彼女がここまでして会いたくない人物……一体どんな人物なのだろうか?

少し気になる気持ちが本音だし、先も言った通り「竜の魔女」の手下になるなり倒されたりでもしたら此方にとっても痛手だ。

ならば、「まだ無事である」という僅かな可能性を信じて、そのサーヴァントと接触して味方になってもらえるように交渉してみよう。

玉藻との関係性から察するに、協力を取り付けることは難しいかもしれないが。

 

歩き始めてから大体1時間ほどだろうか、魔術で視力を強化してサーヴァントを探していると遠くにそれらしい人影を見つけた。

少し見えづらいが、兵士に聞いた特徴と一致している。

見たところ周囲に敵らしい敵はいない、完全に一人だけのようだ。

では早速コンタクトを取ってみようと思う。

 

「あー、失礼。そこのサーヴァント」

「なによ。不躾に呼び掛けないでくれるかしら? アタシのようなスーパーアイドルに話し掛けるにしても礼儀がなってないわよ。まぁ、サインが欲しいんだったら、跪いて泣きながら頼めば書いてあげないこともないわよ」

「??????」

 

いきなりスーパーアイドルとか何言ってんだコイツ。

アイドル……確かロマニが熱心にアイドルについて熱く語っていたような気がする。

興味がなかったから適当に聞き流していたが。

という事はこのサーヴァントは現代の知識を有していて、そのアイドルなるものに感銘を受け、自分もそう在ろうとしているのか。

 

「ね? 心配したのが馬鹿らしいでしょう? (わたくし)ですか? いえ、心配など微塵も! 別に信頼とかそういうのではなく、どっちに転んでも「まあ、いっか…」の精神でしたので」

 

ニコッと微笑む玉藻の言葉に嘘はなかった。

そんな玉藻の言葉に反応した目の前のサーヴァントは、彼女を見るなり仰天した後に奇声を上げた。

その様子は、まるで目の前に天敵が現れたネズミのよう。

 

「な、ななな、なんでアンタがここにいんのよ!」

「それは此方の台詞です。はあ……何故(なにゆえ)このような場所で再会するのでしょうか。もしやこの先、あの赤い皇帝様にも出会(でくわ)すのでは?」

「アタシだって思わなかったわよ!うぅ、頭痛い……。……ところで。アンタの隣にいるの、アンタのマスター?」

 

赤い少女が此方を珍妙なものを見つけたかのように、ジロジロと見つめてくる。

 

「ちょっとエリザベートさん? (わたくし)のマスターをそんな穴が空くような感じで見るのやめていただけますぅ?

この方は (わたくし)のマスターでございますので、髪の毛一本たりとも、いえ、魂一片たりともお渡しするつもりはありません!」

「はっ、アンタにしてはナンセンスなマスターね。如何にも芸術センス0な子イヌじゃない! いい?アタシに相応しいマスターってのはね──」

「あ、これっぽっちも興味ないのでスルーしますね。というより貴女が芸術センスとか語るの、全世界の芸術家とか音楽家の方々が黙っちゃいませんよ」

 

エリザベートと呼ばれた少女と玉藻の口喧嘩は、益々(ますます)ヒートアップしていく。

これでは話が先に進まない。

仕方なく二人の間に入り仲裁しようとしたその時だった。

 

「っ、二人共、伏せろ!」

 

遥か遠くより飛来してくる「ソレ」はエリザベート目掛けて放たれた。

咄嗟に二人の頭を肩を掴み、勢いのままに倒れ込む。

「矢」だ。

飛来してきた矢は頭上を通り過ぎた後に地面に突き刺さる。

その矢の後を追うように射手らしき女性が目の前にやってきた。

 

「……殺す……殺してやる……! 誰も彼も、この矢の前で散るがいい!」

「サーヴァント……! いずれ来るとは思っていたが、この状況で来てほしくはなかったな。玉藻、エリザベート、やれるか?」

「ええ。では戦い方(やりかた)は前回のように。ではササッと、いえミコっと片付けてしまいましょう」

「いいわ。とにかく今は誰でもいいからぶっ飛ばしたい気分だったの。アタシの八つ当たり相手になりなさい! 子イヌ、指示任せるわ!」

 

エリザベートはやる気マンマンのようだ。

自身の体に強化の術を付与し、玉藻の呪術(バフ)も重ねて入れられる。

フランス特異点にやってきて初のサーヴァント戦。

不安しかないが、乗り越えるしかない──!

 




お ま た せ 。
みんなのアイドル、エリちゃんの登場回でした。JAPAN霊衣実装はよ。

皆さん福袋と闇コヤン引きましたか?
僕はオベロン狙って水着アビー出ました(宝具Lv2) オベロン…ゥゥ…
闇コヤンなんとか引けました。大丈夫、致命傷だ(石5個)

次回はVSアタランテ戦。早めに更新できるよう頑張ります……!
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