14話です。
薄暗い雰囲気漂う砦の廊下を一人の男が歩いている。
眼を広く剥いた異相の男の
かつてジャンヌ・ダルクと共に戦い、元帥の称号を与えられ英雄と讃えられた騎士であり──そして後に、非道なる殺人鬼として処刑されることとなる怪物の名である。
ジル・ド・レェは幾重にも重ねたロープを引き摺りながら歩き、大きな扉の前で立ち止まり、その扉を開ける。
部屋には玉座に鎮座する一人の黒い少女と、何かが焼けたような
「ジャンヌ。バーサーク・アーチャーが消滅しました」
そう、この少女こそがカルデアの敵であり、このフランス特異点を蹂躙する竜の魔女。
もう一人のジャンヌ・ダルクであった。
「前日、ラ・シャリテにて我らが敵カルデアを追ったバーサーク・ライダーに続き消滅してしまいました。
アーチャーを討った者は恐らくカルデアに味方する
しかし現に屈強な英霊二騎は失い、彼女らは更なる戦力を得てしまった。如何されましょう、我が聖女」
ジル・ド・レェの淡々とした報告を黙々と聞いた
「如何されましょう、ですって? 手駒を一気に二人も失ったのは痛い、それは認めましょう。
で、それがどうだと言うの? 元々あの二人は私に対して反抗的でしたし、いずれこうなると思っていたわ。
でもね、ジル。私たちが負けることなんて有り得ないわ。あいつらがどれだけ戦力を補給しようが関係ない。圧倒的な力の差が私たちとあいつらにはあるのだもの」
「では新たなサーヴァントの召喚は」
「しないわ。する必要がないわ。……でも、そうね」
勝利を確信したジャンヌは旗を手に取り立ち上がる。
「少し
「おお!ジャンヌ自ら向かわれるのですね!では不肖ながらこのジル・ド・レェ、ジャンヌと共に出撃の許可をいただきたく……」
「ダメよ。ジルまで出たら面白くないでしょう?そうね……アサシン、処刑人の方とバーサーカーを連れて行きます。貴方はこの砦に残りなさい。留守は任せたわよ?」
「ははっ!」
ジャンヌは砦を後にし、先のサーヴァント2騎を引き連れてファブニールの背に乗り飛び立つ。
「さて、近くにサーヴァントがいる場所はっと……あっちね」
ルーラーの能力であるサーヴァント探知能力を使い、白い聖女がいるであろう方角へ向かうよう邪竜に命令する。
目指す場所は──モンリュソン。
「好き!!!!!!!!!!!!!!!!」
「落ち着け」
玉藻と似た服装、日本の「着物」…だったろうか?白を基調とした着物を着た少女に大胆にも告白されてしまった。
なぜこんなことになってしまったのかと言うと、それを語るには少しだけ時を遡る必要がある──
──────────────────────
昨夜アタランテを撃破した後、近くの森で野営をしていた時にエリザベートからはぐれサーヴァントの情報を聞いたのだ。
「アタシのことを竜の魔女の手先だー!とか怪しい奴だー!なんとか言って襲いかかってきた奴らから(ボコボコにした後に)聞いたんだけど、以前ワイバーンに襲われてたところを女の子に助けられたんですって。
助けてもらった礼をしようとしたんだけど「探し人がいるから〜」って言ってボルドーの方角に歩いていったって言ってたわ。
え?ボコボコにした奴ら?殺してないわよ!アタシのこと何だと思ってんのよ!」
「貴女ご自分の逸話ご存知で?」
エリザベートが兵士から聞いた話を信じ、夜が明けると同時にボルドーへ向かって歩き出し、つい先程到着した。
人々は家に立て篭っているのか、それとも別の場所に避難しているのか、町は閑散としていた。
おかげですぐに見つけることができた。
「いたわよ子イヌ!多分あいつじゃないかしら?」
「……んん?あの特徴的な角はもしや……清姫さん!? 清姫さんじゃないですか!?」
清姫と呼ばれた少女はその声に気付き振り向く。
幼い外見ながら緑髪の美しい髪を靡かせるその姿は、少女ながらにして艶やかであり、穏やかさと淑やかさを兼ね備えた人物であると感じさせる。
「おや、お久しぶりです玉藻さん。どうしてこんなところに?」
「それはこちらの台詞ですよ。まさかエリザベートさんが仰っていた方が貴女とは思いませんでした。ていうかこの特異点
あぁ、ご紹介しますマスター。彼女は清姫さん、
メル友ってなんだよ。
サーヴァント界でもそういうのはあるのか……。
「………………(ジーッ)」
そんな清姫はなぜがこちらを凝視している。
なぜこんなにも見られているのか、俺の顔に何かついているのだろうか?
凝視するだけでなくついには顔を近付けてきた。
近くで見ると本当に整った顔をしている。
「あぁ……ようやく、ようやくお会いできました……。
うん?
なんか悪寒がしてきたな……。
「貴方が
なんでさ。
──────────────────────
────という経緯である。
今振り返ってみてもまったく意味が分からない。
一体全体どういう事なのだろうか。
「玉藻、説明頼む」
「あー……その前にマスター。清姫さんについてご存知ですか?」
別に俺は日本の歴史について造詣が深いわけではなく、むしろ知らないことの方が圧倒的に多いだろう。
玉藻の反応からするととんでもない人物であるのは大体察した。
玉藻の話によると、彼女は参詣に来たある一人の僧に恋をしたそうだ。
その僧の名は安珍。
その僧は大変美形であり、宿を借りに来訪してきた彼を見た清姫は一目惚れし、その夜に夜這いをかけて迫った。
しかし彼は僧の身ゆえに当惑し、熊野詣の帰りにまた会おうと約束をした。
だが清姫を恐れた安珍はその約束を破り、彼女に会うことなく旅立ってしまう。
想いを馳せた男に裏切られたことに絶望し、悲嘆に暮れ、そして憤怒した彼女は安珍を追った。
追って、追って、追いかけて。
────
激情と憎悪、執念だけで蛇のように安珍を追い、そしてついには
以上が玉藻から聞いた清姫伝説の内容。
誰だ、穏やかさと淑やかさを兼ね備えた人物って言った奴。
俺だわ。
「
「「ね?」じゃないが?」
「英霊の座に刻まれ、見知らぬ異国の地に召喚され彷徨い幾星霜、ようやく私たちは邂逅を果たしました。さぁ
「待て待て待て!とりあえず落ち着け!
俺は安珍って奴の生まれ変わりじゃないし、好意を抱かれるような男でもない!
あと焼かれるのは流石に勘弁願うぞ俺は!」
「焼きませんよ。私は
「ねえ子イヌ。アタシこいつのクラス分かった気がするわ」
「奇遇だな、俺もだ」
そんなわけで清姫を仲間に加えたのだった。
大変お待たせしてしまい申し訳ありませんでした。
いやホント……申し訳ないです。
色々忙しすぎてFGOイベギリギリでコマンドカードとか礼装とか回収しました。
皆さんはバゼットさん引きましたか?僕は引けませんでした(涙)
ホワイトデーはオルジュナ引いてるから「別にいいや」の精神でスルーしますが後が怖いんよな…