日本の英霊って今よりハイテクなのでは?
作者は訝しんだ
「ジャンヌ。どうやら
玉座に座るジャンヌ・オルタにカルデアの連中がやってくる事を伝えるジル・ド・レェ。
その報告を聞いた黒の聖女はニタリと笑う。
「そう。向こうから死にに来てくれるなんて、一々探し回る必要もなくなって嬉しいじゃない。
狂化した英霊達と飛竜に召集を。人類に残された最後を希望とやらを殺し尽くしてやるわ」
「お任せあれジャンヌ! 彼の者らを殺せば我らが復讐を妨げるものは何もなく、最早神でさえ阻むことは敵わず!」
「
自分の想像する未来を思い描きながらニヤニヤ笑いながら出撃の準備を進めるジャンヌ・オルタ。
準備を進め、オルレアン周辺に100を超える飛竜の群れと邪竜ファヴニール、竜の頭上には主人たる黒の聖女、前方には狂化を施された英霊が3騎。
ジル・ド・レェは城で戦況を見渡せるように城で一人待機している。
暫くするとオルレアンへ向かって進軍してくる少数の軍……軍とも呼べない小さな群れを視認する。憎き敵であるカルデアの連中だ。
さあ、来い。竜の鉤爪で腑を撒き散らしながら殺してやる。我が炎と邪竜の息吹に身を焼かれて無様に殺してやる。
時は少し遡る。
満天の星々が未だ輝く時間帯、迫る決戦に備えて作戦を練っていた。
「──俺が奴なら竜の群れで敵を迎撃する。その際、
「速攻勝負、ですね。しかしロイドさん、飛竜が群れで待ち構えているのなら、どうやって仕掛けるつもりなのでしょうか?」
「あぁ。それはだな……」
チラリとエリザベートとアマデウスの方に視線をやる。
エリザベートの方はキョトンとした表情だが、もう一方の男は顔を顰めた。
「なあ、今すっごい悪寒がしたんだけど。というか現在進行形で寒気が止まらないんだけど。もしかして僕、殺される?」
全員に作戦を伝える。
それを聞いた(エリザベートを除く)全員がアマデウスのように顰めっ面を浮かべ、当のアマデウスは一人作戦に異を唱えた。
「待て待て待て! 誰がそんな惨たらしいこと出来るもんか! 僕に死ねと言っているようなもんだぞ、それ!
普通に竜殺し三人衆に任せて一掃するのが一番良い方法だろう!?」
「申し訳ありません。私は御二方ほど攻撃的な宝具は持っていないのです。
『
それに御二方にはファヴニールの元まで辿り着くまでに力を温存して頂かなくてはなりません。故に無駄な戦闘は避けるべきかと」
「ド正論をどうもありがとう! マリー、君からも何か言ってやってくれ!」
「ゴメンなさいアマデウス。私ではどうにもならないわ……どうか頑張って! 応援してるわ!」
「僕に味方してくれる奴はいないのかコンチクショウ!」
さて、無事納得してくれたようなので話を続けよう。
飛竜に対しては先程伝えた策でどうにかするとして、もう一つ問題がある。
ジャンヌ・オルタによって狂化を付与された英霊達だ。ゲオルギウスの言う通り、こちら側の最大戦力である竜殺しの二人は無駄な戦闘を避けるべきだ。
しかし、それを奴らが許す筈もなく。どうしたものかと頭を悩ませる。
「そちらの方はご心配なく。私達にお任せくださいな!」
そして時間を今に戻す。
前方には視界を埋め尽くす程の飛竜が跋扈している。このまま突っ込もうものなら即座に押し潰されて圧殺されてしまう。
ではここで昨夜皆に伝えた作戦を実行しよう。
「オーディエンスはまあまあね。全部翼の生えたトカゲ風情なのが気に入らないけれど贅沢は言わないわ!
たとえ観客が人でなくっても大成功させてやるのがトップアイドルってもんよ! そんな訳でBGM担当、ちゃんとアタシについてきなさいよね!」
「……すっっっっっっっっっごく不本意だけど仕方がない。
今日ばかりは天上の音楽ではなく、地の底をぶち抜く最低最悪、史上稀に見る悍ましい曲を奏でてやるとしよう。
あと
大きく息を吸い込む。
エリザベートが発する歌声はアマデウスの指揮と演奏により更に酷いものへとなっている。
聴く者を文字通り天にも昇るような……いや、地の底へ叩き落とされるような不快音。
無差別ライブを聴いた飛竜共は泡を吹きながら次々と墜落していく。哀れ……。
ちなみに俺達は事前に玉藻と協力して作成した防音礼装である程度軽減できている。が、それでもきついものはきつい。
「きゃあああああああああっ!!??!? またあの音!? あ、頭が割れる、気分が悪くなる!
だ、誰かあの不協和音の発生源サーヴァントを殺しなさい! このままじゃあファヴニールが動かなくて何もかも瓦解してしまうわ!」
「ぐわあああああああ!!! この礼装まったく意味ないじゃないか!
あ、違うなこれ。僕の耳が良すぎるから効果が薄いのか」
効果は絶大のようだ。このまま進もう。
オルタに命令され、辛うじて無事だった竜がエリザベートを狙って牙を剥く。
こんな音、早々に潰したいに決まってる。俺だってそうする。
猛烈に不本意だが
ああ……どうして声は綺麗なのに歌うとなるとこうなってしまうのか。
「エリザベートさんはどうしてこう、声は綺麗なのに歌うとこうなってしまうのか……」
「マシュ、それは言わないお約束だよ……」
代弁ありがとうな、マシュ。
地に墜ちた竜の山を突き進み、ファヴニールに近づくと突然エリザベートが歌うのを止める。
「っと、ライブはここまでのようね。来たわよ!」
指を差す方には、ジャンヌ・オルタに従う英霊三騎が。
敵の情報は事前にオフェリア達から聞かされているから把握している。
「串刺し公」という異名で恐れられた15世紀ルーマニアのワラキア公国の領主、ヴラド三世。
残忍に血を欲して追い求め、数多の女性を拷問し続けた血に狂いし悪女。完全なる怪物と成ったエリザベートの別なる側面、カーミラ。
フランス王家に忠誠を誓う白百合の騎士。ルイ15世が設立した情報機関に属していた伝説的人物、シュヴァリエ・デオン。
全員手強い相手だ。
「ここまではロイドの
「そりゃそうだ。あんな音聴いて不愉快にならない奴なんてこの世にいないだろ! いたとしたら同等のクソみたいなセンスを持った同類だ!」
「……さて。では手筈通りに。皆さんよろしいでしょうか」
ゲオルギウスの言葉にコクリと首を縦に振るマリー達。
障害として立ちはだかる三騎に、マリー達が正面からぶつかり合う。
「さあ、ここは私達に任せてお先へ!」
「僕らは残ってこいつらの遊び相手になっててやるさ。ま、危なくなったら即座にそっちに逃げるさ!」
「では
その場を彼女達に任せ、目標であるファヴニールの元まで一気に突っ走る。
「ロイドさん、問題発生です! 気絶していたワイバーン達が次々と復活してきています!」
「なにィーーー!? 復活すんの早すぎるだろ! もう少し寝てろよ!」
「言ってる場合じゃないですよ! どどどどうしましょう!?」
「落ち着きなさい立香!」
このままでは到達地点に辿り着く前に全員仲良くお陀仏だ。
危機が迫る中、遠くから大砲の音が響き渡り、飛竜の脳天に綺麗に着弾する。
「撃て! ここがフランスを守れるかどうかの瀬戸際だ! 全砲弾を撃ちまくれ! 我らが聖女の道を切り拓くのだ!」
「ジル…………!」
「恐れるな! 嘆くな! 退くな! 人間であるならば、ここで命を投げ捨てろ!
もう一度言う、恐れることは決してない! 何故ならば我らには──
男の喝に兵士達はそれ以上の声で応える。
フランス兵達の尽力のおかげで進むべき道が切り拓かれた。
「──よくここまで来ましたね。一応褒めてあげるわ。
でも、貴方達の快進撃もここまでよ。ファヴニール!目の前の聖女を、あの軍を、そしてこの
ファヴニールは雄叫びをあげる。
しかし、二人の男がファヴニールの前に立つと怯えるように立ちすくんだ。
「やはり俺とお前は避けられぬ宿命の鎖で繋がっているのかもしれないな。やれるか? シグルド殿」
「問題無し。貪欲なる
「!? ば、バカな……まさかお前は……! いいえ、有り得ない! 竜殺しはシグルドとあの聖人だけの筈!お前は、お前は──」
ジャンヌ・オルタの反応から察するに、ジークフリートの存在は予想外だったらしく、狼狽えている。
藤丸曰く、リヨンの街でジークフリートを助けたのはシグルドがファヴニールを退けさせた
なので、ジャンヌ・オルタはあの街にいたもう一人の竜殺しの存在を知らなかったのだ。
「絶技用意。太陽の魔剣よ、その身で破壊を巻き起こせ!」
「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る!撃ち落とす──!」
二人の魔力が大きく跳ね上がる。
シグルドのグラム、ジークフリートのバルムンクが青白く輝き、二人の意志に呼応するかのようにより強く輝く。
「ジークフリートォォォォーーーーーーー!!!!!」
「『
「『