最近、環境が変わりに変わりまくって落ち着くまで時間が掛かってしまってしまいした。申し訳ありませんでした。
低頻度にはなると思いますが、これから執筆は再会させていただきますので宜しくお願いします。
そんなこんなで22話です。
ジャンヌの一撃に倒れるジャンヌ・オルタ。
サーヴァントとして不完全の身ながら放たれた強烈な攻撃は、相手の霊核を砕くには充分な
「対象の沈黙を確認。戦闘終了です。……終わった、のでしょうか?」
「えぇ、終わりました。竜の魔女はもう立ち上がることはないでしょう」
光の粒子が漏れ始めるオルタを見て呟くマシュにジャンヌはそう答える。
「そん、な。馬鹿な、有り得ない、嘘、だ……。
だって私、聖杯を所有、している筈──! 聖杯を持つ者に敗北はない。その筈、なのに……!」
聖杯を持ちながら敗れた事実に、オルタは認められず拳を握りしめる。
怒りに震えているのか、立ち上がる力すら残されていない故の震えなのかすら本人でも分からない。
最早、オルタの眼には何も映らない。
ただ消えゆくのを待つだけとなった。
そんな時、大柄の男を背負った小さな海魔が勢いよく扉を開ける。
「あれはジル・ド・レェ…とその従魔? ロイドさんは……!?」
ジルを運んでいた海魔は力を使い切ったのか、役目を果たした後に息絶えて消えていく。
その主人であるジルもまた光の粒子が漏れている。
「ようやく追い付いた……! あの蛸野郎、どんな速度してやがる……!」
「ロイド! 良かった、無事…ではないようね。 また無茶して」
「説教なら後で聞くよ。 それより、アイツは?」
オフェリアが指を指す。
胸に風穴を空けた男はズルズルと、倒れているオルタの元まで這いずり回る。
「ジル。あぁ、ジル。何処にいるの? 私の……私たちの戦いはまだ終わっていない。
なのに、私、力が入らなくて……それに酷く眠たいの。
早く立ち上がらなきゃ。 早く私たちの憎悪を、奴らに、フランスに……」
「────。
ご安心召されよ、ジャンヌ。あとの事は私をお任せあれ。
さあ、安心してお眠りなさい。
フランスを滅ぼすその大役、私が引き受けましょう。
瞼を閉じ、眠りなさい。大丈夫、目覚めた時には全て終わらせております故。だから──」
その言葉はとても優しいものだった。
親が子供をあやすように、聞く者を安心させるような、そんな心地よさをオルタは感じ取っていた。
「そう……なら、後は任せ……」
そう言って、ジャンヌ・オルタは消滅した。
彼女が居た場所には、彼女が持っていた聖杯が残された。
残された聖杯に手を伸ばす。だが、その手が聖杯に届かない。
ジルの意識は朦朧とし、視界も霞み始めている。それでも、祖国への恨みが彼を突き動かすのだろう。
「──ジル。彼女は……」
「ははは。やはり、気付かれておられてましたか。
そう、"竜の魔女"こそが、"
私は貴女を蘇らせようと願ったのです。心から、心底から願った。当然でしょう?
……しかし、聖杯はそれを拒絶した。万能の願望器でありながら、それだけは叶えられないと!
だが、私の願望など貴女以外には無い!ならば、新しく創造するまで……!
私が信じるジャンヌを! 私が焦がれた復讐の魔女を! そうして造り上げたのです! 聖杯そのもので、彼女を!」
男は血反吐を吐きながら怨嗟の声を紡ぐ。
怒りや憎しみは時間と共に風化する事もある。だが、この男にそれはない。
決して色褪せる事なく、邪悪なモノとして残り続け、増大していく。
「……そう。彼女は無論、最期までそのことを知らなかったのでしょう。
ジル。もし私を蘇らせることができたとしても、私は"竜の魔女”になど、決して成りませんでしたよ」
ジャンヌがジルの元まで歩み寄る。
怒りに燃える瞳を、その清らかな瞳で見合わせる。
「私は確かに裏切られた。翻弄もされたのでしょう。無念の最期──と言えるのかもしれません。
けれど、祖国を恨むはずがない。憎むはずがない。何故なら、この国には貴方たちがいたのですから。
例え私が許しても、貴方がそれを決して赦さない。だから願った、だから"
貴方が恨むのは道理で、聖杯を得た貴方が国を滅ぼそうとするのも、悲しいくらいに道理です」
「そうだ! だから、私はまだ……!」
「ジル。もう、いいんです。もう大丈夫です。貴方は十分すぎるほどやってくれた。
右も左も分からぬ小娘を信じて、この街の開放まで。
ありがとう。貴方がいてくれたから、私は最後まで駆け抜けることができた。
私の屍が、誰かの道へと繋がっている。ただ、それだけで良かったんです」
祈るように、安らかに告げたジャンヌの眼に嘘はない。
その言葉を聞いたジルは次第に涙が溢れていた。
「さあ、戻りましょう。在るべき
泣き崩れている怪物に、手を差し伸ばす聖女。
「……いいえ、ジャンヌ。地獄に堕ちるのは、私だけで──」
そう言い残し、聖なる怪物ジル・ド・レェは最期に救われたように笑みを浮かべながら消滅していった。
「聖杯、回収完了です。 これでこの特異点は修正されるのでしょうか?」
《ああ、直に時代の修正が始まる。レイシフトの準備は整っているから、すぐにでも帰還してくれ!》
この時代を狂わせていた元凶を斃したことで、今この時に起こっていた数々の惨劇がなかったことになる。
死んでいった人々、フランス中に蔓延っていた無数の竜種、その全てが。
「もう行かれるのですか?」
「ああ。やるべきことが山ほどあるからな」
「ふぅん、そうなの。ま、アタシはやるべきことはやったし良しとするわ。
じゃあね、子イヌ。悪くない旅だったわ。でももうあんな無茶はするんじゃないわよ!いいわね!?」
分かった分かったと返事をする。
プンプンと怒るエリザベートの言葉を聞いたカルデアメンバーは何か言いたげな目でロイドを睨む。
「これで離ればなれだなんて……。でも、ますたぁ。ご安心ください。
きっとまた直ぐにお会いできます。だってそれが「 愛 」 というもの……そうでしょう?」
「お、おう……」
清姫の言葉を最後に二人は消える。二人だけでなく、各々役目を果たしてくれた者たちも同様だろう。
力になってくれてありがとう、と藤丸は後ろで此処にはいない仲間に感謝を伝えた。
「皆さん、そろそろのようです」
時間が来たようだ。この時代ともお別れだ。
「皆さん、色々ありがとうございました。皆さんがいなければ、私はきっと此処まで来れなかった。
共に戦えたことに感謝を。でも、お別れは言いません。また何処かで出会えそうな予感がしますから。私の勘は結構当たるんですよ?」
「ジャンヌさん! またカルデアで会えたらよろしくね!」
「ええ。──さようなら。そしてありがとう。すべてが虚空に消えるとしても、残るものが、きっと──」
「おかえり、皆!お疲れ様! 初のグランドオーダーは君たちのおかげで無事遂行された。
まだ七つの内の一つだけだけど、この最悪の状況で君たちはこれ以上ない成果を出してくれた。カルデア代表として礼を言うよ!」
「はーい、ロマニからありがた〜い言葉を頂いたところで、だ。皆疲れてるだろう? 次の特異点の特定まで時間が必要だから、それまでは待機で──」
「……ん? ちょっと待って。召喚システムが勝手に起動してる!? なんで!? 僕なにも弄ってないよ!?」
「………………まさか」
眩い光が晴れると、そこには見知った少女が立っていた。
「ま す た ぁ ♡
サーヴァント、清姫。勝手ながら召喚に応じ、参上致しました。これからも末永く宜しくお願いしますね」
予想外の方法でカルデアに召喚されたのを見て、思わず。
「……なんでさ」
と、頭を抱えながら呟いた。
ともあれ、これにて。
怒りと祈りが向き合った救国の土地。一人の聖女の在り方を巡る、黒と白の物語は幕を閉じたのであった。
人理定礎値:C+
第一特異点:救国の聖処女 A.D.1431
邪竜百年戦争 オルレアン
定 礎 復 元
ようやっと第一特異点終わったってマジ?
これから第二特異点開始と考えたら最終特異点とか1.5部とかいつになるんですかね……?