第一特異点修復より3日後のある日。ロイドらは管制室に集まっていた。
次の特異点の特定ができたのかと気を引き締める立香だったが、そうではなかった。
「今回集まってもらったのは他でもない。第二の特異点に関することなんだけど……。時に立香ちゃん、今僕たちに足りないものって何だと思う?」
「えっと。人手が足りないこと、ですか?」
「そう。スタッフの数はもちろんだけれど、一番は戦力が足りないってところだ。
フランスでは現地で召喚されたサーヴァントたちに助けられたとはいえ、カルデアから同行できる数が多ければ多いほど戦いを有利に進められる。
まあ、諸事情で送り込めるサーヴァントの数には限りがあるんだけどね」
ははは、と乾いた笑いをするロマニの目の下には隈ができていた。
どうやらフランスから帰還してから、まともな休息を取っていない様子だ。
「ドクター、忙しいのは分かるけど、貴方も休んで……」
「オフェリアさんの言うとおりです。この会議が終わり次第、マイルームへ向かうことを推奨します。ベッドの上でゆっくり休んでください」
「いざとなったらそうさせてもらうよ。
さて、話を戻そう。 つまり、だ。今から戦力強化のためにサーヴァント召喚を行うよ! いゃっほーい!」
「お前今すぐ休め」
ロマニのテンションが明らかにおかしいのはさておき。
現在の戦力の確認をしていこう。
シールダー・マシュ。現状、一番防御力に優れており、強力な宝具ですら防ぎ切る藤丸立香の自慢のファーストサーヴァント。
セイバー・シグルド。オフェリアと契約した「剣士」のサーヴァント。北欧最強の英雄の名に恥じぬ、トップクラスの戦闘能力を誇る。
キャスター・玉藻の前。冬木にてロイドが契約したサーヴァント。数々の呪術を用いて
バーサーカー・清姫。オルレアンでの旅を経て仲間になった妄執の姫。攻撃性能は高く、宝具による殲滅能力はシグルドを上回る。が、玉藻同様に紙装甲。
これに更なる味方が加われば、戦略の幅も大きく広がる。
「じゃあサクッと召喚するか。で、誰からやるよ?」
「そうね……立香、やってみる? ほら、ロイドや私は既に一度経験済みだし、貴女はやったことないでしょう?
心配しなくとも、やり方や口上は教えてあげるから、ね?」
「いいんですか? じゃあ私、一回やってみたいです!」
────数十分後。
覚えた呪文を、小さな声でブツブツと繰り返しながら召喚サークルの前に立つ。
大丈夫なのだろうか。
「──素に銀と鉄。礎に石と契約の大公」
唱えると、召喚サークルが輝かしく光を放ち始めた。
その後も特に詰まることもなく、順当に呪文を唱える。
「──告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄る辺に従い、えっと何だっけ…この意、この理に従うなら応えよ……?」
覚えた言葉が抜けていっている。少し自信なさそうに詠唱を続ける立香を心配そうに見つめるマシュとオフェリア。
ちゃんと英霊を呼び出せるのかと不安になるが、召喚工程はなんとか最終局面に突入する。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」
夥しい光が部屋に満ち、収まるとそこにいたのは。
「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」
赤い外套を纏った、冬木で出会った弓兵だった。
「あっ、 冬木で出会ったアーチャーだ!」
「……ふむ、どうやら過去に私と因縁があるみたいだ。安心したまえ、これより私の力はキミのものだ。生かすも殺すもキミ次第だがね、マスター。ともあれ、よろしく頼むよ」
「はい! よろしくお願いします!」
無事、サーヴァントの召喚に成功した立香は喚び出したアーチャーと握手を交わす。
「それじゃ次は私がやるわ。戦力的にランサークラスが欲しいところだけど……。それともアーチャーをもう一騎も有りかしら……?」
「失礼。そのクラスのサーヴァントを呼ぶつもりなら、青いのと金色は呼ばないでもらえると助かる。私にとって相性が悪すぎるからね」
「えっ? は、はぁ……」
意味の分からない言葉を投げかけられたオフェリアは困惑しながら召喚サークルに立つ。
立香と違い、慣れた手つきで詠唱を進めていく。
彼女が呼び出したサーヴァントは────
「セイバー、ジークフリート。召喚に応じ参上した。これからよろしく頼む」
「なんで!!!???」
予想外の人物に思わずツッコんでしまうオフェリア。
同一起源の英雄。まさか2大竜殺しの二人と契約することになるとは誰が思ったか。
彼女の横に立つシグルドをチラッと見て、ジークフリートは察した。
「……すまない。空気の読めない男ですまない」
「い、いいえ! 違うの! 貴方が来てくれたことに対してツッコんだんじゃなくて……来てくれて嬉しいわジークフリート!
ええ、これで竜種には敵無し、無敵よ無敵。最強のタッグの完成よ!」
「すまない。気を遣わせてしまってすまない……」
「ジークフリート殿……」
これで残すはロイドのみとなった。
ここでロイドは考える。最前線で活躍するサーヴァントが増えたのなら、支援向きのサーヴァントを召喚すべきなのではないか、と。
キャスターを召喚するか、情報収集を得意とするアサシンを召喚するかと。
「そうと決まれば、さっさと召喚するか。──告げる」
淡々と召喚詠唱を進める。
強力なサーヴァントを呼べれば上々、呼べなくとも先に述べた2クラスを呼べれば良いだろうと。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」
──結果的に言うと、彼の願いは叶えられなかった。
「はじめまして。私は海神マナナン・マク・リールの依代として召喚されました、バゼット・フラガ・マクレミッツと申します。どうぞ遠慮なく、如何様なミッションでも果たしてみせま」
「チェンジ」
「しょ──は?」
「最悪だ……なんでよりにもよってお前が来るんだ……」
「まさか貴方……ロイド・レオンハート!? な、なぜ貴方がここに……!?」
それは此方の台詞だ、とロイドは声を荒げる。
「えっと、ちょっといいかな。 キミはさっきマナナンと名乗ったね。
「はい。とは言っても、私の彼の力を貸し与えられただけの擬似サーヴァントに過ぎません。クラスは──
アルターエゴ。
全く聞いたことのない未知のクラスに首を傾げる。
「むぅ……まさかルーラーやアヴェンジャー以外のエクストラクラスが存在したとは。いや、星の数ほど存在するサーヴァントだからこそ、こういった未知のクラスがあるってことかな?
それで、キミはなぜ──」
「貴女は、ロイドとはどういったご関係なんですか」
オフェリアがぶっ込んだ質問を投げかける。
「彼との関係、ですか。まあそうですね、一言で言うなら……」
「同業者。そいつ俺と同じ
プロボクサーの拳が時速40kmなのに対して、こいつが放つ拳は時速80km。こいつ人間じゃねえよ。ゴリラだよ、ゴリラ」
「ゴリ……!? 貴方、あの時のことまだ根に持ってるんですか!? 女々しい男ですね!」
「はぁーーー!? だーれが女々しいだぁ!? 模擬戦なのに腕の骨折った挙句、ボコボコにして暫く仕事できなくされたら誰だって恨むだろうが!」
「私の辞書に加減なんてありませんので」
「お前今からバーサーカーにクラスチェンジしてこい!」
ヒートアップする言い合いに、思っているような関係ではないとホッと心の何処かで安堵するオフェリア。
何はともあれ、強力な戦力を補給することができた一行は、迫る第二の特異点に向けて準備を進めるのであった──
というわけで仲間になったサーヴァントを紹介するぜ!
みんなのオカン! エミヤ!
竜特攻が被っちまった謙虚な剣士、ジークフリート!
同じ執行者で人間としてはダメの一点張り、バゼットさん!
不安だ……!
次回からセプテム編。
今後登場するサーヴァントについて
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原作通り(改変なし)
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改変していいのよ…?
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オリ鯖! そういうのもいいのか!(!?)