立香「本当に突然だなぁ。んー食べたいものかぁ、うーん……あっ、あれ食べたいかも!」
エミヤ「(カレーライスか? それともオムライスか?)」
立香「塩辛。あ、でも鮭大根も食べたいかなぁ」
エミヤ「好みの癖が渋いっ!?」
レイシフトを終える。
心地よい風が吹き、土の匂いが鼻をくすぐる。
空を見上げると、どこまでも広がる青。そして────
第一特異点でも存在していたものと同一のものが、空にあった。
「あれは一体なんなのでしょうか? あんなにも大きな──」
《光の輪、か。相変わらず、こちらからは観測できないんだよね……。けど、確かに気になる現象だ。引き続き調査を進めてみるよ。
……あれ、そこは首都ローマ……じゃないのかな?》
「どっからどう見ても丘陵地ですよ?」
ロマニは転移先を首都ローマに設定したはず、と確認を取りながら周辺のチェックを行う。どうやら、転移した場所は首都ローマの郊外にあたる場所のようだ。
座標の調整ミスなのか。なら時代はどうだろうか。オフェリアはロマニに問う。
《時代は正しいよ。ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスが統治する時代。それは間違いない。
……しかし、なんでだろう? しっかり設定したはずなのに、どうしてズレたんだ?》
「まあ、考えても仕方ないわ。今は都に向けて足を動かすのが先決よ。ねえ、ロイ……ロイド?」
返事が、ない。
よく見ると、彼のサーヴァントの清姫とバゼットの姿もなかった。
これはもしや────
「ねえ、マシュ。オフェリア。これって、もしかして……」
「……はい。そのまさかです……」
「 またなの!? 」
ロイド、まさかの二度目のレイシフト失敗。
さすがのオフェリアも頭を抱える。
「どうやら、先のフランスにおいても同じことがあったみたいだな。とんだ不幸体質のようだな、彼は」
エミヤが呆れたように呟く。
返す言葉もなく、三人は黙り込んでしまう。
《ま、まあ。彼らなら大丈夫だ。三人一緒に行動してるだろうし、例えロイドくんが一人だとしても、いざとなれば令呪を使って呼び寄せられる。
こと生存能力において、彼の右に出る者はいない。きっと何気ない顔で合流できるさ》
「……それもそうね。こちらからも通信を試みながら、都へ向かうわよ」
首都にて合流できると信じ、進んでいると何やら声が聴こえる。
声だけではない。剣と剣がぶつかり合うような音も聴こえる。
「すぐ近くで戦闘が行われている? 首都ローマ付近で戦闘が行われたなんて話は聞いたことがないわ。つまりこれは──」
「異常事態、だね! 急ごう!」
音のする方角へ走る一行。
丘を登り、その先に広がる荒野では二つの軍が激闘を繰り広げていた。
どちらも『真紅と黄金』の意匠だが、僅かながら意匠が異なっている。
他に特徴を捉えようとしていると。
「……女性だ。数名の少部隊を率いている、あれは──」
エミヤの千里眼が捕捉したのは、ある女性だった。
その女性は真紅の衣に真紅の剣を携え、たった一人で大軍を蹴散らしていた。
「たった一人であの数を相手にしてるの? じゃあ、あの人ってサーヴァントなのかな?」
《いや、サーヴァント反応はないね。その女性はこの時代の人間だ》
見たところ、大部隊の兵たちが首都に攻め込もうとするのを防いでるように見える。
ならば、オフェリアたちが取る方針は決まった──
「あの
「はい! マシュ・キリエライト、
「了解だ、マスター」
マシュは大盾を構えて敵部隊で突撃し、エミヤがそれを遠距離から援護する。
「私たちも行くわよ! シグルド、ジークフリート!」
「承った。ジークフリート殿」
「ああ。すまないが少し痛い目に遭ってもらうぞ!」
二人の竜殺しも、マシュに続いて出撃した。
前回と違い、相手は竜ではなく、この時代を生きる生者。故に手加減しながら敵を退けてゆく。
「何者かは知らぬが、助力感謝する! 我が兵たちよ!我らが愛する
ロイド、おまいはいまどこへいるのだ……