A. いずれ分かるさ、いずれな……
そんな訳で3話です。
『た、たたた、玉藻の前だってぇぇぇっ!?』
ノイズ混じりの声の主はその名を耳にして喫驚した。
男の名は「ロマニ・アーキマン」。カルデアの医療部門のトップを預かっている人物。通称“Dr.ロマン“。
アサシンの襲撃の後に通信を試み、ロマニと繋がったのだ。
ロマニに今までの経緯を報告し、その際に先程召喚したサーヴァント・玉藻の前を紹介した。 で、さっきの反応。 ロマニが驚くのも無理はない。
玉藻の前──またの名を『九尾の狐』。平安時代末期、鳥羽上皇に仕えた絶世の美女。その美貌と博識ぶりから寵愛を得るが、呪術を用いて上皇の命を蝕み国を乗っ取ろうとした悪しき妖狐。
結局、玉藻の前は安倍晴明に退治されたのだが、彼女の恐ろしさはそれだけに収まらない。
日本だけでなく古代中国の殷王朝、殷に続く周の時代、さらには天竺にも名を変えて悪事を働いたという伝説がある。
妲己。褒姒。花陽夫人。幾度となく姿と名を変え、悪逆の限りを尽くした傾国の美女、それが彼女だ。
『……それで玉藻の前。君は本当に僕たちに力を貸してくれるのかい?』
「はい。召喚されたのであればこの玉藻の前、全身全霊でマスターの力になりますとも。マスターのご命令とあらば火の中水の中あの子のスカートの中!大船に乗ったつもりで頼って下さいまし♡ でもガチの殴り合いはノーセンキューです!」
『それは有り難い。今はどんなサーヴァントの手も借りたい状況だからね。助力感謝します。 いやぁ触媒もなく彼女を召喚できるなんてロイドくんの運も馬鹿にはできないなぁ!』
うるせえなこの野郎。
さて、玉藻の協力を得られたところで改めて。ロマニに少し確認したいことがある。
「ロマニ。医療部門のトップのお前が司令官のように振る舞っているってことは
『……推測の通り、あの爆発でレフ教授を始めとした組織中枢のスタッフの殆どが死亡した。生き残りは僕含めて30……いや20人にも満たないだろう』
「そんな……! で、では他のマスター候補生やマシュはどうなったのですか!?」
ロマニの報告にオフェリアの顔色はみるみる内に青ざめていく。 特にマシュのことが気掛かりで仕方がないようだ。
マシュとは同じチームメンバーで茶会によく誘っていた程の仲だ。彼女の身が無事か気になるのは当然だ。
『そこは安心してくれ。Aチームを含めたマスター達はコールドスリープをかけて仮死状態に留めているから死んではいない。 それでその、マシュは……デミ・サーヴァントとして覚醒して48番目のマスター候補・藤丸立香と共にそちらにレイシフトしているよ。あと所長もそっちにいる』
「所長まで来てるのか。よし分かった。今からマシュ達と合流するから、場所だけ教えてくれ」
『君達の現在位置から少し離れたところにいるみたいだね。道中に敵性エネミーがいるかもしれないから十分気を付けてくれ』
ロマニの言う通り、行く先々には骸骨の兵士たちが跋扈していた。
数はそれなりに多いがサーヴァントと契約した今なら問題ない。 玉藻の呪術でちょちょいと蹴散らしていく。
しかし、またいつアサシンのようにサーヴァントが襲ってくるかは分からない。細心の注意を払いながら先に進んでいこう。
暫く歩くと三つの人影を見つける。
それと同時に大きな盾を持った少女も此方に気付く。
「ロイドさん! オフェリアさん! お二人もレイシフトされていたのですか?」
「ああ。マシュも無事で良かった」
片目が隠れた少女がオフェリアが心配していた『マシュ・キリエライト』。 こうして目にするまでは信じられなかったが報告通り本当にデミ・サーヴァントになっている。
……マシュの出自については把握している。 カルデアの前所長が計画した『デミ・サーヴァント実験』の為に生み出されたデザインベビーであること。その実験によりその身に英霊を宿したこと。
正直、前所長のやり方には心底怒りしか湧いてこなかった。怒りのあまり殴り殺してやろうかと思ったくらいだ。
……“前“と付いていることから分かるが既に亡くなっている。 無論俺ではない。 拳銃自殺、それが奴の最期だった。
では今は誰がカルデアの所長を務めているのかと言うと。
「それから……所長もご無事なようで」
「ええ、なんとかね」
オルガマリー・アニムスフィア。 名門アニムスフィア家の現当主にして前所長の娘。
元々は俺達と同じマスター候補の一人だったが、家督を継ぐという形でカルデアの所長の任に就任。以降は俺達を纏め上げる総司令官となった。
オルガマリー所長を一目見たあと、マシュの隣に立つ朱色の髪をした少女に声を掛ける。
「お前がマシュのマスターか。 確か……藤丸立香、だったか」
「あ、はい! 藤丸立香です! えっと、よろしくお願いします!」
彼女がオフェリアやロマニが言ってた48番目の候補生か。
……成程。気丈に振る舞ってはいるが少し震えている。だがその恐れを悟られないように隠している。
基本ヘタレの所長にデミ・サーヴァントとなったばかりで戸惑いを隠せないマシュ。その二人をこれ以上不安にさせないよう気遣ってわざと陽気を演じている。……強いな。この少女は。
「もう大丈夫だ」 そう一言だけ、彼女の肩に手を置く。
「……あのー、マスター? そろそろ私のことも紹介していただけると助かるのですが。 もしかして玉藻ちゃんの紹介シーンはカット!? そんなー!」
「はっ! い、いえ忘れていたとかではなく! すみません! えぇっと……ロイドさん、この女性は?」
そうだな。んじゃあこっちの事も話しておくか。
なにから話すべきか。まずは────
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「た、玉藻の前……! 九尾の狐、或いは白面金毛九尾の狐と呼ばれる大妖怪! す、凄い方を召喚されましたねロイドさん……」
「凄いなんてもんじゃないわよ! 伝承通りなら反英雄に属する英霊よ!? なんてもの呼び出してるのよ貴方!」
「むむむ。 確かに私は反英雄にカテゴライズされる英霊ですけども流石にその反応はどうかと思いますー! 反英雄差別はんたーい!」
マシュを盾にしながら隠れているオルガマリー。 玉藻の尻尾に興味深々の藤丸。こんな場所でなかったら和んだんだろうな。
さて、これからどうするべきか……。
カルデアに帰還するにはこの特異点をどうにかする必要がある。 原因である『歪み』を見つけて修正しなくてはならない。
……もし。この特異点がまだ詰んでいないのなら、
『っ、近辺にサーヴァント反応! そっちに近付いてくる!』
ロマニからの報告に臨戦態勢を取る。
遅れてマシュが藤丸達の前に立ち盾を構える。
「おっと待ちな。俺ァ敵じゃねえよ」
現れたのは如何にも魔術師だと言わんばかりのサーヴァント。
一目見ただけでかなり高位の英霊だと感じ取れる。 玉藻とマシュが真っ正面からやり合っても負けるだろう。
「あの、失礼ですが貴方は?」
オフェリアが男に問いかける。
男はニヤリと笑い、被っていたフードを取り隠れていた顔を露わにする。
「この聖杯戦争に召喚されたキャスターのサーヴァント……って、そっちにもキャスターはいんのか。そうさな、クー・フーリンといやぁ分かるかい?」
「クー・フーリン!? アイルランドの光の御子、「クランの猛犬」と謳われる大英雄!」
キャスターの真名を聞きマシュが声を荒げる。こんなにテンションの高いマシュを見るのは初めてだ。
クー・フーリンの名を聞いてざわつく中、藤丸が申し訳なさそうに少し手を上げる。
「あの、すみません。クー・フーリンって有名なんですか? 私歴史とかよく分かんなくて」
「クー・フーリンはケルト神話に登場する英雄です。太陽神ルーとアルスターの王コノールの妹デビテラとの間に生まれ、後に影の国の女王スカサハの下で魔術と体術を師事、そしてかの有名な魔槍ゲイ・ボルクを授かったと」
「おうおうえらい詳しいじゃねえか盾の嬢ちゃん! いいねぇ英霊冥利に尽きるってもんだ!」
意外にもクー・フーリンという英雄は日本人からしてみればピンとこないらしい。クー・フーリン、結構好きな英雄なんだがなぁ。
『「クランの猛犬」……いえ「森の賢人」の方がよろしいかな。見たところ貴方はまともなサーヴァントのようですが、助力を得られると判断してもいいですか?』
「ああ。お前さんらの目的は知らねえが、この街の異常をどうにかしてえんだろ? 俺はこの狂っちまった聖杯戦争を終わらせてえ。利害は一致してんだ、だったら手を組もうぜって話だ」
クー・フーリンの同盟の申し出はこちらにとっては非常にありがたい。
この絶望的とも言える状況で希望を見出せたのなら、それに縋る以外の選択肢などない。
「俺達の聖杯戦争は突如として全く別の「なにか」に変わっちまった。街は炎に飲まれて人間は一人残らず死んじまって、俺を除くサーヴァントは全員聖杯の泥に汚染された。
「本丸と仰いましたか。では貴方はラスボスの居場所が分かっていると。教えていただいても?」
玉藻の問いに、クー・フーリンは答える。
「この街の真下、地下大空洞に大聖杯があり、それを守る奴がいる。そいつがまた厄介でなぁ……」
「ケルトの大英雄が厄介と言わしめる敵……正直聞きたくねぇけど聞いてみてもいいか?」
「──
今のパーティ、火力不足が過ぎるな?????
助けてキャスニキ!!!
オフェリアのパートナー鯖、どうしよっか
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シグルド(オルレアンは余裕だな!)
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別の鯖召喚しようぜ!(3騎士)
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4騎士からなんか召喚……?
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エクストラ召喚しようぜ!