"元"執行者が逝く人理修復の旅   作:アポロ231号

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ぐだぐた新イベントが始まりますねぇ!
今回はなんとなくシリアスっぽい感じのイベントになりそうと勝手に思ったり。
まぁ、結局ぐだぐだになると思うんだけどネ! 是非もないね!

という訳で6話です。


第6話 崩壊する特異点

貫いた腕を引き抜く。

胸には風穴が開き、向こう側にいるオフェリア達がセイバー越しに見える。

大量の血が噴き出しているにも関わらず、この偉大なる騎士王は倒れることも、膝を折ることもしなかった。

ロイドの胸の中には既に恐怖という感情はなく、次第に畏敬の念に変わっていった。

 

「セイバー……」

「狼狽えるな。貴様の今の一撃は確かに我が霊核を破壊した。この体ももって数十秒だ」

「……そうか」

 

これ以上、この人に掛ける言葉は不要だ。

セイバーの体から光の粒子が漏れ始める。

 

「ではな。強き魔術師よ。……結局、どう運命が変わろうと、私一人では同じ結末を迎えるという事か」

「…………なんだと?」

 

セイバーのその言葉に、激しい違和感を覚えた。

そも、セイバーがこの大聖杯を守っていた理由とはなんなのか?

この特異点を維持し続けた理由は?

一体なんの為に?

()()()()()()()()()()()()()()

 

「おい! それはどういう意味だ!? アンタはなにを……ぐっ──!?」

 

ロイドの体に激痛が走る。

流石に無茶し過ぎたのか、全身が悲鳴を上げている。

いや、激痛どころの話ではないだろう。

ロイド自身の強化魔術、玉藻の呪術、オルガマリーの魔術、それら全てが合わさり、人間では引き出せない力を無理矢理出した結果。

恐らく今の彼の全身の筋肉は至るところが断裂し、骨の損傷も酷いことになっているだろう。

 

「……いずれ分かる。グランドオーダー──聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだという事をな」

 

そう言い残してセイバーは完全に消滅し、聖杯が現れる。

入れ替わるようにクー・フーリンがアーチャーを倒して追いついてきたが、彼もまた消滅寸前だった。

 

「おっと。出遅れちまったみてえだな。セイバーの奴は……倒したのか。やるじゃねえかお前さんら!」

「クー・フーリン、無事だったのですね」

「キャスターになっても俺は強えからな。っと、そろそろだな。じゃあな。今度召喚する機会があるなら、ランサーとして召喚してくれや!」

 

最後までランサーで召喚されなかったことが不満だったのか、そんな事を言って消滅した。

ランサーの退去を確認したオフェリア達がロイドに近寄る。

 

「まったく、本当に無茶ばっかりするんだから」

「ロイドさん、大丈夫ですか? なんかすっごい顔してますけど……」

「付け加えると今にも泣き叫びそうな顔をされています。こんなロイドさんを見るのは初めてです!」

 

倒れたロイドに肩を貸すオフェリアと立香。

ロイドの損傷具合を診たロマニは「これで生きてるとかおかしいよ。君、もしかして人外の類かい?」とコメントし、それに対して悪態をつきながら平気である事を伝える。

一同がセイバーに勝利して盛り上がっている中、ただ一人だけ表情が曇っている者が。

 

「……『冠位指定(グランドオーダー)』……あのサーヴァントがどうしてその呼称を……?」

「所長? どうかしました?」

 

立香の言葉でオルガマリーはハッと我に返る。

 

「……なんでもないわ。それより、よくやったわ。不明な点は……まぁ、色々あるけれど。ここでミッションは終了とするわ」

「はい。それでは聖杯を回収しま──」

「いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。48番目のマスター適性者。まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃した私の失態だよ」

 

聖杯がひとりでに動き、突如現れた男の手元まで飛んでいく。

緑のタキシードとシルクハットを身に着け、赤みがかった長髪の男に一同は見覚えがあった。

その男は──。

 

「レフ教授!?」

 

カルデアの爆破事故で亡くなった筈のレフ・ライノールがそこに立っていた。

 

『レフ──? レフ教授だって!? 彼がそこにいるのか!?』

 

ロマニが声を荒げる。

声を荒げたくなったのは皆同じだ。

生きている筈のない人間を前にしているのだから。

 

「うん? その声はロマニ君かな? 君も生き残ってしまったよか。すぐに管制室に来てほしいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく──」

 

次の瞬間。

レフ教授の雰囲気がガラリと変わる。

 

「どいつとこいつも統率の取れないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

 

思わずマシュが臨戦態勢を取ってしまう。

最早、目の前にいるこの男は自分達が知る「レフ・ライノール」ではないことを気配で感じ取ったのだ。

それに気付かないオルガマリーがレフに向かって走り出す。

 

「所長! ダメだ、そいつは──ぐぁっ……!」

 

走るオルガマリーを止めようとするも、声を出すと体が軋む。

既に彼女はあの男の下まで行ってしまった。

 

「ああ、ああ! レフ、レフ、レフ! 生きてたのね! 良かった、貴方がいなくなったら私、どうやったらカルデアを守ればいいか分からなかった!」

「やあオルガ。元気そうでなによりだ。君も大変だったようだね」

「そう、そうなのよレフ! 管制室は爆発するし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし! 予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそうよ! でもいいの、貴方がいれば何とかなるわよね?」

 

そう言う彼女の表情は、先程まで曇っていたが徐々に明るくなっていく。

最早、依存というレベルで頼りにしているオルガマリーは何の疑いもなくレフに詰め寄る。

「困った時はいつもレフが助けてくれた」

そう思ったオルガマリーだったが──。

 

「もちろんだとも。本当に予想外のことばかりで頭にくる。その中でも最も予想外なのが二つある。まずは君だよ、オルガ。()()は君の足下に設置したのに、まさか生きているなんて」

 

────今、この男はなんて言った?

どういう意味か、なんでそんなことを? 戸惑いと疑問と絶望が混ざり合い、オルガマリーは混乱を極める。

 

「いや、生きているというのは語弊があるな。君はもう死んでいる。肉体はとっくにね。トリスメギストスはご丁寧にも、残留思念となった君をこの土地に転移させてしまった。ほら。君は生前、レイシフト適性はなかったろ? 肉体があったままでは転移できない」

 

オルガマリーは死んだことで肉体の束縛から離れ、不可能だった筈のレイシフトが可能になったのだと。

つまりそれは、カルデアには帰れないということだ。

なぜならば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

レフは冷酷に、冷淡に、残酷な事実を淡々と伝えた。

 

「ちょっと待ってよ……わたし、カルデアに……戻れない?」

「そうとも。だがそれではあまりにも哀れだ。生涯をカルデアに捧げた君の為に、せめて今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう」

 

輝く聖杯を掲げると時空が歪み、時空の先にはカルデアスがあ

管制室が見えた。

だが、そのカルデアスが血のように真っ赤に染まっていた。

 

「あれが……カルデアス、だと……?」

 

真紅に染まるカルデアスに驚きを隠せないロイド達。

当然、オルガマリーも何がどうなっているのか理解できなかった。

 

「あれが今回のミッションが引き起こした結果だ。あれがお前達アニムスフィアの愚行、人類が死に絶えた事を示す燃え盛る赤色だけ。それもこれも君の至らなさが招いた悲劇さ、マリー! ……では、その愚かさと共に消え去るといい」

 

オルガマリーの体が宙に浮く──否、カルデアスに引っ張られていく。

カルデアスはそれ自体がブラックホールや太陽のようなもの。

そんなものに人間が触れれば分子レベルで分解され、生きたまま無限の死を味わう事になる、文字通りの地獄だ。

 

「いや──いや、いや、助けて、誰が助けて!わた、わたし、こんなところで死にたくない!」

「所長……!」

 

吸い込まれる所長を助けようとするが体が動かない。

無理に動こうとすればする程痛みが激しくなるが、そんなもの知ったことではないとばかりの迫力を見せる。

血反吐を吐きながら、まともに立てない体に鞭打ち立ち上がる。

しかし、それをオフェリアが止める。

体を震わせながら、声が震えながら、必死に腕を引っ張って引き止める。

 

「お願い……!ロイドまで死んじゃうから……!」

「っ、所長ーーーーーー!!!」

 

鉄腕を伸ばすが、届く筈もなく。

叫んだところで、助けられる筈もなく。

ただ彼の叫びは虚しく木霊する。

 

「だってまだ褒められてない……!誰も、わたしを認めてくれてないじゃない……!」

 

そして彼女もまた、叫ぶ。

 

「どうして!? どうしてこんなコトばっかりなの!?

誰もわたしを評価してくれなかった! みんなわたしを嫌っていた!

やだ、やめて、いやいやいやいやいやいやいや……! だってまだ何もしていない! 生まれてからずっと、ただ一度も、誰にも認めてもらえなかったのに────!」

 

彼女は自らの心情を叫びながら、助けを求めながら、必死に手を伸ばす。

けれど、その叫びも虚しく響き、オルガマリーの体はカルデアスに触れ、溶けて、そして消えていく。

ロイド達はただそれを見ているだけしかできなかった。

 

空間が激しく揺れ動く。

特異点を維持していたセイバーは消え、特異点は崩壊を始めたのだ。

 

「改めて自己紹介をしようか。私の名はレフ・ライノール・()()()()()。貴様達人類を滅ぼす為に派遣された2015年担当だ」

 

崩壊していく世界の中、余裕綽々と真名を名乗るレフ。

一行を救出すべく強制レイシフトの準備を進めるロマニ。

目の前で近しい人間が殺されてショックを受けるオフェリア達。

だが──ロイドだけは冷静にレフに言葉を投げ掛けた。

 

「最後に答えろレフ。お前は予想外な事が二つあると言ったな? あとのもう一つ、それは一体なんのことだ。まさかとは思うが、俺のことじゃないだろうな?」

「当然だ。貴様がAチームの中で唯一の不確定要素だったからな。キリシュタリアでも、デイビッドでも、そこにいるオフェリアでもない。貴様だ、ロイド・レオンハート。故に確実に殺せるようにお前の足下にも爆弾は仕掛けていた筈だが……」

「さあね。なんで無事なのか実際俺にも分からん。その腐った頭で考えてみな。それと────お前は必ず俺がぶっ殺す。必ずだ」

 

その目には怒りと殺意が満ちていた。

「必ず殺す」。

そう予告し、ロイド達は強制レイシフトで崩壊する冬木から脱出した。

予告を受けたレフは低俗な下等生物に向けて凡ゆる罵詈雑言を吐きながら、歪んだ時空に消えていく──。




俺だって好きでオル虐してる訳じゃねえよ……!
エレちゃん召喚ルートで所長生存も考えてましたけど、7章の女神同盟どうすっぺ?ってことでやむなく断念した裏話があったりなかったり。

序章、もうちっとだけ続くんじゃ。

オフェリアのパートナー鯖、どうしよっか

  • シグルド(オルレアンは余裕だな!)
  • 別の鯖召喚しようぜ!(3騎士)
  • 4騎士からなんか召喚……?
  • エクストラ召喚しようぜ!
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