赫々と煮え滾る溶岩の河。ゴジラはそれを一歩一歩、地響きを伴って踏みしめ、進み続ける。しかし人類側が現状を指をくわえて見ている筈もなく、予め備えていた戦略自衛隊及び、国連軍に出動。戦車2016両、VTOL1956機、戦闘機1216機。他にも15年以上出番がなく倉庫で埃をかぶっていた超兵器群を緊急メンテナンスの後、戦線に駆り出されることとなった。
そして、決戦の地を使徒迎撃要塞都市第三新東京市とし、作戦遂行の準備や市民の避難の時間稼ぎのために御殿場に3個戦車大隊と戦闘機を派遣した。
それが15分ほど前のこと。先遣隊が派遣された御殿場は今や地獄と化していた。
ついさっきまで御殿場の街を構成していたであろう家やビルは瓦礫に変えられ、炎に包まれている。
先遣隊の戦車はゴジラに掠り傷一つ負わせることもなく熱線によって溶かされ、または踏み潰されて鉄屑と化し、ゴジラにミサイル攻撃を図った航空機はミサイルによるダメージは見受けられず、これまた熱線によって撃墜され、その破片が至る所に転がっている。
しかし、その間に第三新東京市のミサイル発射装置にフルメタルミサイルを、1900両の戦車には対怪獣用特殊砲弾を、それぞれ換装した。因みに対怪獣特殊砲弾と言うのはゴジラを封印した後もちょくちょく現れていた怪獣に対し、戦車でも有効打を与えられるようにと、それまでの戦いで回収されたG細胞の研究結果と過去の交戦データを基に創り出した対怪獣用兵器の一つの貫通力特化の砲弾である。フルメタルミサイルも似たような原理で、唯一違うところと言えば貫通後に炸裂することのみである。
さて、通常兵器の方は少々心許ないがこれでいいとして、問題はエヴァだ。何せエヴァサイズのガトリング砲はあるものの、使用弾が劣化ウラン弾なのだ。通常なら一発の威力も高いしこれでいいだろうが相手はゴジラとなればそうもいかない。放射性物質の弾なんざダメージを与えるどころか撒き餌をしているようなものである。
よって、開発したはいいもののそのまま倉庫で埃を被っていた近接戦用の武器が使われることとなった。
シンジ「それで、これですか…」
リツコ「えぇ、見てくれは日本刀みたいなものだけど切れ味はプログレッシブナイフよりよっぽどあるわ」
アスカ「フーン……で、これでゴジラを倒すってわけ?」
ミサト「いえ、今作戦においてのエヴァの役割は陽動です」
レイ「本命は?」
リツコ「GフォースがG細胞の研究過程において偶然発見、培養に成功したG細胞を糧に増殖する細胞…D細胞とでもしておきましょう、それを奴の口の中に投与するわ」
シンジ「えっと、それってゴジラを倒せても今度はD細胞が新たなゴジラになるのでは?」
リツコ「そこに関しては問題ないらしいわ。D細胞は増えれば増えるほど生存に多大なエネルギーを消費する性質を持つ。つまりゴジラを食い尽くした暁には数分後には自壊すると推測されているわ」
アスカ「なるほどね…。随分都合のいい細胞があるってことはわかったわ。で、それをあいつに食わせるのは誰なの?」
ミサト「戦自のVTOL部隊よ。エヴァは強力、故にゴジラに脅威と認識されかねないから戦自の方に頼まれたっぽいわね」
アスカ「なーんだ。つまんないの」
彼女は数時間後にはこの発言を、後悔することになる。彼の破壊神によって、それまで彼女が培ってきた技術も、プライドも、全てが恐怖と絶望に塗りつぶされることを、彼女はまだ知らない。
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普段であれば、主婦が夕飯の買い物に出かけるであろう時間。しかし、第三新東京市には人っ子一人見当たらない。代わりに、指定位置に向かって戦車が走り回っている。住民の避難は、何度も使徒に侵攻されたことによって慣れていたのか思いの外時間をかけずに完了した。
そして、国連と戦略自衛隊、そしてネルフが、ここ第三新東京市を、最強の破壊神との決戦の地と定めた。事前にネルフの非戦闘員は松代に避難しても良いと言われていたが、誰もそうしなかった。何故なら、彼らは既に覚悟が出来ていた。使徒に敗北し、ネルフ本部と共に散る覚悟が。故に、負ける相手がゴジラになったところで、彼らはいつものように、エヴァをサポートする役に徹するのである。
そして、日が落ちかけ、夕闇が辺りを包み始めた頃―――
ドンッ…
ドンッ…!
ドンッ…!!
ドンッ…!!!
夕日を背に、赤い後光と共に黒い破壊神はついに第三新東京市に到達した。
そして、大きく息を吸うような動作をし―――
ガア"ア"ア"ア"ァァァァァァァォォオオオン!!!
咆哮の瞬間、大量の砲弾とミサイルがゴジラを目掛けて轟音と共に発射された。