第三回ウマ娘短編合作   作:通りすがる傭兵

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2 Chariot(戦車)

日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。

そこには十人十色なウマ娘達が通っている。

トレーニングに励む者、授業中にも関わらず教師にご飯を食べてこいと言われるもの、研究をする者、ウマ娘を見て尊死する者、本当に色々なウマ娘達が在席している。

そんな学園には、時偶不可解な現象が発生することがある。

この物語はそんな不可解な現象に巻き込まれた二人のウマ娘とその二人のウマ娘トレーナーの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝5時、トレセン学園栗東寮の一室で高らかに目覚まし時計が鳴り響いた。

 

 

アタシは目覚まし時計を止めて起き上がる。

 

 

「・・・・・・・・・?」

 

 

そこでアタシは違和感を感じた。

右側に壁があって窓がある。

確か昨日私は左に壁がある、つまり部屋の右側にあるベッドに寝たはずなのに。

それに壁に窓があるのもおかしい。

アタシの部屋は両隣に他の部屋があって窓は部屋の奥にあったはずだ。

そして一番気になるのは・・・・。

「もう食べられないよ〜・・・」

 

 

動室じゃあ無いウマ娘、スマートファルコンさんが寝ていた事だ。

アタシは気になって近くにあった鏡に向かって歩き出した。

 

 

「もしかして・・・・」

 

 

 

 

 

 

早朝5時、私は何時もどおりに起床して髪を整えようと起き上がります。

一時間後、朝練の為急ごうてして違和感に気付きました。

 

 

「・・・・・・・なぜクリーク先輩がここに?」

 

 

何故か私の部屋にファルコンさんではなくクリーク先輩が居たのです。

私は嫌な予感がして机にあった手鏡を手に取ります。

 

 

「私達・・・・」

 

 

 

 

 

 

「「入れ替わってる!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、これがナリタタイシンとエイシンフラッシュの不可解な現象の幕開けである!

 

 

 

 

「やっと目を〜♪」

「それなのに何故目を合わせやしないんだい〜♪」

 

 

ところ変わってトレセン学園の野外ステージの上でウマ娘一人とトレーナーである少年一人がセッションをしていた。

ウマ娘の名はゴールドシップ。

学園内で知らない者はいないほど悪い意味で有名なウマ娘である。

そして今回の物語の主役であるナリタタイシンとエイシンフラッシュのトレーナー。

彼は齢十六歳でありながらトレーナー試験に受かった天才で、最近の専らの噂はトレセン学園生徒会長で、皇帝と呼ばれる三冠バ、シンボリルドルフの幼なじみである、だ。

 

 

「・・・・・・よーし、今日のセッション終わり!」

 

 

ゴールドシップが叫び持っていたマイクを下ろす。

それを見たトレーナーもマイクを下ろした。

 

 

 

 

「うっしゃ!全身の穴という穴からアドレナリンが吹き渡るぜ!タイシンとフラッシュ呼びに行こっと!」

 

 

 

 

それだけ言うとトレーナーはゴールドシップをほっぽって駆け出した。

 

 

ゴールドシップも特に気にする事なく日課のマックイーン寝起きドッキリin髪切った?を仕掛けるために歩き出した。

 

 

 

 

「あ、今日のフクキタル占いまだだったな・・・」

 

 

 

 

しかしトレーナーはそのままさっきまでしようとした事を忘れてルンルン気分でマチカネフクキタルが居るであろう占い屋に向かってしまった。

 

 

 

 

 

 

アタシ、ナリタタイシンはとりあえず自分の身体の状況を見てトレーナーに電話をする為に自分の部屋に向かっていた。

この時間帯、おそらく寮長のフジキセキさんはまだ起きていないはず。

この時間帯に起きているとしたら・・・・・。

 

 

「ウオらぁ!ゴルシ様のお通りでい!」

 

 

そう、彼女。

 

 

ゴールドシップだ。

 

 

何時もトレーナーのセッションしてるらしい。

 

 

副会長のエアグルーヴの早朝からの悩みだと言う。

 

 

「お?フラッシュじゃねぇか。何してんだ?ゴルシ様はこれからマックイーンに寝起きドッキリをしにいくところだ」

また、面倒くさい奴に捕まった。

彼女もトレーナー程では無いにしろ絡んできたら結構鬱陶しい。

 

 

「・・・・・別に、ただ朝の走り込みに行こうとしただけ」

「・・・・・お前、誰だ?」

 

 

ゴールドシップのその言葉にアタシは目を丸くする。

 

 

「フラッシュはそんな喋り方しねぇ。それにフラッシュは朝の走り込みを午前6時丁度に始めるんだ。今はまだ午前5時十二分・・・」

 

 

そうだ。

忘れていたアタシは今フラッシュさんだった。

何時ものようにしているとバレてしまう・・・。

・・・て、今思ったけど別にバレても良いんじゃ・・・。

そう思いながらアタシは大きく深呼吸をしてゴールドシップを見る。

「アタシは・・・・・」

 

 

 

 

 

 

私、エイシンフラッシュはトレーナーさんが毎日訪れる校門前にあるフクキタルさんの占い屋さんの前に居ます。

トレーナーさんは基本時間にルーズで、私が指定した時間の5分は遅れてきます。

だから私は時間指定は何時も5分早く指定しています。

 

 

「おや?珍しいお客さんですね?この時間帯なら何時も貴女のトレーナーさんくらいしか来ないものなのですが・・・」

 

 

そんなことを考えているとフクキタルさんが現れます。

 

 

「おっす、フクキタル。今日も占い・・・って、タイシンじゃあねぇかどうした?お前も占いか?」

「トレーナーさん、私はタイシンさんですがタイシンさんではありません」

「何それ?ナゾナゾ?」

 

 

トレーナーさんは少し考えた素振りを見せてフクキタルさんに振り向きます。

 

 

「よし、フクキタル。占ってくれ」

「合点です!」

 

 

フクキタルさんが店の中に入って私達も後に続きます。

フクキタルさんが私達の前にタロットカードを置いてきました。

 

 

「今日はタロット占いで行きましょう」

 

 

フクキタルさんはトレーナーさんに分けたカードの束をを選ばせてそれを取り除いてまた分けて選ばせてをくる返して最終的に残ったカードを捲ります。

 

 

「・・・・・・・・戦車です」

「見りゃ分かるわ」

 

 

戦車の絵が載ったカードでした。

トレーナーさんはカードを持ち上げるとまた戻して私を見ます。

 

 

「なるほど、入れ替わりか」

「今ので何が分かったのかは分かりませんが時間がおしているので、三分でお願いします。5分で朝練の準備をしますから」

 

 

私がそう言うとトレーナーさんはため息をついて頭を撫でます。

 

 

「アホか。今のお前はタイシンの身体だろうが。今日は休み。代わりに別の休みに変えてやるから」

「・・・・・・・・・・・」

「あ?どうした?」

「初めて、撫でられました・・・」

 

 

トレーナーさんがハッとして直ぐに手を退けます。

少し・・・いえ、結構残念です。

 

 

「悪ィ。()()()()癖でついな」

「いつも?」

 

 

トレーナーさんの言葉に違和感を抱いて聞き返すとトレーナーさんから汗が流れます。

 

 

「タイシンさんをいつも撫でるんですか?私には一度もしてくれなかったのに?」

「ほ、ほら。俺チビだからよ、タイシン位がちょうど撫でやすいんだよ・・・」

「なら、言ってくれればしゃがみます」

「えぇ・・・」

「あの・・・・・」

 

 

トレーナーさんを問い詰めているとフクキタルさんが入ってしました。

私がフクキタルさんの方を見るとトレーナーさんは急いでフクキタルさんの後ろに隠れます。

 

 

「この異変を解決するには両者の魂の解放が必要だと、占いが・・・」

「何それ?エグゾディア?」

「いえ、そうでは無くて・・・」

 

 

トレーナーさんが腰に付けたカルピスを飲んで椅子に座ります。

フクキタルさんと私の顔を交互に見てトレーナーさんが頬杖を付きました。

 

 

「まぁ、先にタイシン呼ぶかぁ」

 

 

トレーナーさんはそう言うとスマホを取り出して画面を私達に見せてきます。

その画面には普段では想像できないユルイ顔をして猫を見るタイシンさんでした。

 

 

「何を晒してんだァァァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

するといきなりタイシンがトレーナーさんを蹴り飛ばします。

トレーナーさんはフラフラと立ち上がって笑っていました。

 

 

「タイシンおはよ!今日もいい蹴りだ!」

「うっさい!てか、早く写真を消して!」

「そうは行かないぜ。これの方がタイシンを探さなくて済むしな」

 

 

トレーナーさんは花から出てきた鼻血を拭って戦車のカードを見せてきます。

「The・Chariot。良い意味では勝利とか成功とか・・・、悪い意味だと暴走とか失敗とかそんな意味がある。でだ、俺が思うに重要なのは良い意味の自己暗示だ。・・・・・昨日、おそらく夜。いや、もっと言うなら夢な中。何か無かったか?」

 

 

さっきまでのおちゃらけた顔では無く、いったって真剣な顔で私達を見てきます。

 

 

「・・・・・・あ」

「・・・・・・やはり、アレでしょうか」

「アレ?何かあるんですか?」

 

 

フクキタルさんが散らかった部屋を片付けながら聞いてきます。

トレーナーさんは土を払いながら見てきます。

 

 

 

 

「あれは・・・・そう、夢の中だった。変な生き物が私の目の前に立ってた」

 

 

アタシ、ナリタタイシンは夢を思い出しながら口を開いた。

 

 

「変な生き物・・・・?」

「うん。四足歩行で大きくて黒毛のキレイな生き物」

「私は、四足歩行で私より大きくて鹿毛の生き物でした」

 

 

アタシとフラッシュさんがお互いを見る。

と言っても見た目は私だから何かむず痒い。

 

 

「ふむ、よく分かりませんね・・・・」

「・・・・・・・・」

 

 

トレーナーが目を閉じて何かを考えている。

正直アタシはトレーナーが分からない。

普段はふざけている癖にその真意は見せない。

何を聞いてもはぐらかされるから次第に聞くのは辞めたけどフラッシュさんにはよく話しているらしい。

らしい、と言うのは偶然チケットが話したのを見てアタシに話しかけてきたからアタシは本当か分からない。

けど、チケットが嘘を付けるとも思わないし事実だと思う。

「・・・・・・その生き物さ、言ったんだ。アタシに。トレーナーに自分の気持ちを正直に話せって」

「・・・・・・私もそう、言われました。そして、こうも言われたんです。貴女が羨ましいって」

 

 

トレーナーが一通り聞くと紙に何かを書き始めた。

だんだん何かわかってきて変な汗をかく。

それはフラッシュさんも同じみたいで驚いた顔をしている。

 

 

「アンタ・・・それ、どうして・・・」

「その反応、間違いねぇな。これは俺が昔ルドルフともしウマ娘が犬みたいな動物だったらと予想して書いた架空の動物だ。俺はウマ娘から取ってウマと呼んでいる。もし、コイツが実在していたとするならばそれはお前達の魂そのもの!言ってくれ!お前達の望みはなんだ!できる限りなら叶えてやる!」

 

 

トレーナーが絵の上に戦車のカードを置く。

アタシ達を射抜く目は将に、アタシが好きになった彼の目だった。

ほとんど見ることのできない彼の目。

 

 

「「・・・・じゃあ、アンタ(トレーナーさん)」」

「・・・・・・・・はい?」

 

 

 

 

翌日

 

 

「まさか本当に戻るなんて・・・・」

昨日はずっとフラッシュさんの身体で生活した。

アタシは一昨日ぶりの自分の体に感動を覚えながら部屋を出る。

しかしいきなり会いたくもない奴に会ってしまった。

 

 

「よぉ、フラッシュ。シルバーチャリオッツレクイエムはどうなった?」

 

 

ゴールドシップだ。

彼女にも一様事情を話したらいきなり「キング・クリムゾン発言させてくるから待ってな!」って言って何処かに行ってしまってそれっきりだった。

 

 

「もう解決した。」

「何でぇつまんねぇの。折角キング・クリムゾン発現させたのによぉ」

「・・・・・・・・・」

 

 

何を言ってるのか分からなかったけどとりあえずアタシはトレーナーが居る占い屋に向かった。

アタシ達の望み、それは『トレーナーにもっと近付きたい』それだけだった。

トレーナーはしばらくポケッとしてたけどしばらくしてフクキタルさんにカードを返して笑った。

「どんと来い!お前らのメンタルケアも仕事の内よ!」

 

 

結局仕事の内で片付けられたけど今は別にそれで良い。

でも最後に勝ってトレーナーの隣に立つのはアタシ。

フラッシュさんもそう思ってるはずだけどきっとアタシが勝って見せる。

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