ロックマンアイリス   作:kokutetsu185

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ロックマンアイリス3

ストライカー

 

 テロリストの一人はミンチになっていく。

 アイリスの手にするショットガンの威力は絶大だった。

 いや、それ以前に研究棟に脱出するまでの間、テロリスト二人、偵察用ドローン三機を撃ち落とす。

 これだけの反応、かつて兄の存在が、いや『赤いロックマン』の背中を見てきたからかもしれない。

 緊迫した状況とは不釣り合いな青い空、まぶしい太陽の光、久しぶりの外の風景、昔に見たシティ・アーベルとは違う近代的な研究施設群、きっと自分はこの施設で何かの研究対象になっていたのだろう。

 アイリスはとにかく逃げ道を探す。

 逃げ惑う研究者たちと警備レプリロイド、状況はかなり混乱しているためか、誰も彼女に声をかけようとしなかった。

 研究棟の一部は炎が燃え盛る。

 テロリストによって爆破されたのだろう。

 あらゆる交錯が脳裏を支配する中、アイリスの目の前に見覚えのある作業用の大型マシン『ライドマシン』が見える。

 土木建築用などに使われる大型の一人乗り人型マシンだ。

 稼働状態にあった一機が不遇にもテロリストに奪われてしまった。

 「ははは!研究所のレプリロイドも人間も粉々だぜ!」

 アイリスはショットガンで牽制を試みる。

 しかしあくまで対人用ショットガン、鉄の塊とも言うべきライドマシン相手には威力が不足すぎる。

 弾丸を全ては当然ながら弾かれてしまう。

 「当たれ!」

 アイリスはコックピットのテロリストに照準を合わせようとするが、頑丈な左腕に防がれてしまう。

 「どうすれば!」

 アイリスは頭を働かせる。

 そんな時、ソリを引く小さなマスコット的なマシンが、彼女の横を通過しようとする。

 「メットール?」

 アイリスはヘルメットをかぶったマスコットを知っていた。

 いや、レプリロイドなら誰もが知っているロングセラーマシンだからか、一瞬で認識できたというのが正しい。

 ソリの中には溶接用のビームトーチがあった。

 アイリスは手にしていたショットガンを捨てビームトーチの柄を手にする。

 元は溶接用のサーベルで、リーチの長さが任意に設定できるのが特徴で、緊急時には最高出力にすれば自衛用サーベルとして利用可能であった。

 彼女はそのサーベルの特性を見抜いていた。

 粒子の束が刃を形成していく。

 ピンク色のビーム、それは溶接用の工具から剣へと変わり、強力な武器へと変化を遂げる。

 「一か八か、兄さん私を守って!」

 もういないカーネル兄さんを思い出す。

 きっとあの『赤いロックマン』もいないだろう。

 そんな感情を押し殺し、彼女はサーベルを振るう。

 彼女はサーベルから平突きを繰り出し、『ライドマシン』の装甲を貫こうと試みる。

 その目論見は、テロリストが弾を射るよりも的確とも言える結果となった。

 ビームの最大出力に助けられたというのもあるが、刃を突き刺し、見事にテロリストの腹部に達している。

 致命傷だろう。

 『ライドマシン』はパイロットのテロリストを失ったことで動きを止め、鉄の塊となって動かなくなる。

 「やった・・・・・・やったの?」

 自分でも驚きを隠せない。

 溶接用とは言え高出力では『ライドマシン』の頑丈な装甲でも耐えられないレベルだ。

 アイリスはサーベルの電源を切り、刃を収束させた。

 銃声が止んだ。

 テロリストと警備兵の撃ち合いは熾烈であることは想像できたが、不気味なまでの静寂、アイリスは警戒した。

 「ほう、シグマの子にしてはやるな」

 後ろからの若い声、振り向くと少年の姿があった。

 シグマの子?

 シグマと言えば、イレギュラー戦争で悪名を轟かせ、誰もを恐怖に陥れた元イレギュラーハンター、その子というのはどういうことなのか?

 少年もテロリストの仲間であろうか。

 「ドミニク、ドミニク・モリアーティだ」

 「どうして私を?」

 異様だ。

 どうして自分を知っているのか、少年でありながら何人もの人間とレプリロイドを殺してきたような殺意と憎悪、まるで狼に遭遇したかのような凍てつく感じをアイリスは味わう。

 「ずっと君を追い求めてきた。君は『ロックマン』の意思を継ぐレプリロイド、エックスとゼロ、二人の英雄がこの世にいない今、君は特別な力を持って生まれ変わった」

 アイリスは精神的な衝撃を受ける。

 彼らはもういない。

 その真実だけでも残酷なものだった。

 「君には対イレギュラー検知用コンバットプログラム『ワイリーシステム』を内蔵している。知りたければ私を倒せ。いずれ迎えに行く」

 ドミニクを名乗る少年は丸い物体を落下させた。

 次の瞬間、煙幕がアイリスを包み込む。

 「待って!まだ聞きたいことが!」

 どうして自分を知っているのか?

 ゼロもエックスもいないとは?

 ワイリーシステムとは?

 そんな疑問をぶつけることなく、煙幕の開けた先には少年はいない。

 少年ドミニクの出現は答えより疑問を多く残すことになったが、彼女にとって『赤いロックマン』はもうこの世にいないという現実を受け入れるしかなかった。

 静寂だけが残る研究所、そして誰もいなくなった。

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