ロックマンアイリス   作:kokutetsu185

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ロックマンアイリス5

出会い

 

 翌朝の研究所は混乱していた。

 血生臭い襲撃事件、爆破された研究棟の一部、警備兵と研究者たちが行き来する中、アイリスは当てもなく彷徨う。

 前夜は倉庫の中に身を潜めていた。

 残存するテロリストが頑強な抵抗を続けていたため、アイリスは十人ほどのテロリストと交戦、そのうち七人は彼女との戦闘で殉教を遂げ、残りの三人は逃走中のところを残存する警備兵の手によって始末されたが、アイリスは真相を知らない。

 「誰かメディパックを!ドクター・バウアスタインのバイタルが低下しているぞ!」

 「消防隊はどこだ!B棟の消火を急いでくれ!」

 「緊急マニュアルAでは役に立たない。誰か指示を求む!誰でもいい!指示をこっちによこしてくれ!」

 とてもアイリスに気にかけている余裕はない。

 研究所の襲撃は予想以上の爪痕を残し、研究者にも大きな影響を与えたことが、読み取れる。

 突然の奇襲、彼女が撃破した『ライドマシン』もそのままだ。

 心の闇の如く空いた腹部の穴、溶接用のビームトーチの威力だけではない、自分自身のこれまでの限界以上の能力に助けられたと実感している。

 一体どうしたものか・・・・・・。

 そうこう考えているうちに足元に何かがすり寄る。

 「メットール?さっきの?」

 通りすがりの命を助けてくれたメットールユニットで間違いない。

 馴れ馴れしいメットールにアイリスは気を許す。

 彼がもしもビームトーチを偶然、いや絶妙なタイミングで持ってこなければ危うい目にあっていただろう。

 「どこから来たの?あなたのこと教えてくれる?」

 メットールは喋れないことは知っていた。

 だがこのメットールは、他のメットールとは違う感情を持っているとアイリスは理解した。

 いずれ分かるかもしれない。

 今は味方につけるのが最適解だろう。

 「う・・・・・・」

 謎のうめき声が地面から聞こえた。

 アイリスは腰に装備しているビームトーチを構え、警戒する。

 すると地面には青白い顔をした青年が横たわっていた。

 見た感じはボディアーマーも警備兵よりも重装で、ナイフも本格的なダガーナイフとなっており、警備にしては過剰とも言える装備、間違いなくテロリストの一人であると判別できる。

 「誰だ!」

 アイリスは問うと、男はうめき声をひたすら上げる。

 「畜生・・・・・・。情けない、死んだ兄貴に変わって、いい暮らしができると思ったのに、ドジって・・・・・・」

 怪我でもしているのか。

 なにか精神的に傷は負っているようだが。

 「だ・・・・・・大丈夫なの?」

 青年は死んだ魚の目のような眼差しでアイリスを見つめる。

 「へへっ・・・・・・噂の『ストライカーレプリロイド』か。俺を殺そうと?」

 アイリスは問に一瞬、迷いが生じる。

 彼には敵意がない。

 「あなたのこと、色々聞きたいけど?」

 「俺は、ドライゼの命令でここに送られたんだ。雑用ばっかやっていた俺が・・・・・・」

 「ドライゼ?あなたのリーダーね。見捨てられたって感じね」

 「研究所のレプリロイドを盗めって言われて・・・・・・。何もできなくて・・・・・・」

 哀れみではないが気の毒にも思える。

 アイリスは地面に膝を付いて青年の両手を握る。

 「あなたはテロリストにいるべき存在じゃない。私が安全を保証する。だからついて来て」

 レオンはまるで希望の光が射したかのように穏やかな表情を浮かべる。

 恐らく自分を気遣われる存在がほしかったのだろう。

 孤独な自分を助けてくれた彼女に対し、恐らく心を許したことをアイリスは知っていた。

 「俺はレオンだ」

 「アイリスで構わないわ」

 アイリスはレオンと名乗る青年を信用することにした。

 テロリストの情報を聞き出せる、いやもし情報を知っているとしたらドミニクのことも聞き出せるかもしれない。

 参考人としては貴重な存在だ。

 しかしアイリスはそれよりも頼れる存在がいてほしいという願いだけが勝っており、ドミニクのことは二の次だった。

 ドミニクの件、テロリストの件は今は不問としよう。

 奇妙な関係ができてまもなく、またしても沈黙は破られる。

 ヘリの音が響き渡る。

 そのうちの一機は黒い色に骸骨のイラストが描かれている。

 「ドライゼが来たのか!骸骨のマークはドライゼだ!」

 レオンは立ち上がり、恐れるようにして、ヘリに指差す。

 恐らくテロリストの指導者、いやレオンの顔色と恐れ具合から察して、かなり影響力があるのではと推測する。

 「レオンはどこかに避難を!私はドライゼをやる!」

 アイリスはレオンを逃がすことにした。

 無用な被害は出さないに越したことはない。

 「俺も行く。ドライゼの元には帰れないしな」

 「味方なのよ?覚悟はいる」

 アイリスの厳しい眼差しに対し、レオンの表情はさっきの絶望的な表情から、覚悟を決めた厳格な表情に変わっていた。

 「どうせなら、君の元で戦いたい」

 レオンの覚悟は間違いない。

 今の彼なら裏切る心配はなさそうだし、頼れる存在も数限られていることを考えると、レオンと組んだほうが最適だろう。

 二人のやり取りを見かねたメットールはソリでクリスヴェクター・サブマシンガンとビームトーチ用ホルスター、ビームアックス、レミントンM31RSとトンプソン・サブマシンガン、コルトガバメントM1911A1を運ぶ。

 どこで入手したかは分からないものの、今は頼れる状況は頼るしかない。

 迫る敵、不吉な予感、緊迫する状況、そんな中で味方になったレオン、メットールのおかげかアイリスは安心感があった。

 今だけはドミニクのことやゼロの因縁のことさえ忘れている。

 この安心感に甘えることなく、アイリスたちは迎撃準備に取り掛かる。

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