ウマ娘ってどんな匂いすんだろうと思っただけ。
※誤字修正のついでにオマケで加筆しました。
スン…スンスンスン。
とあるトレーナー室にて鼻を鳴らす一人のトレーナー。
それはたった一瞬でなく、周期的に何度も。
一旦治まったかと思うと、またスンスンスンと。
「…トレーナーさん、風邪ですか?」
近くの対面ソファーを使って課題をするスペシャルウイークが自身のトレーナーに問う。
「ん?ああ、いや。そんなんじゃないよ。」
とトレーナーはニコっとスぺに笑って見せる。
スぺはまた課題に取り掛かろうとするが…また。
スンスンスンと彼が鼻を鳴らす音が。
そして仕切りに鼻の下に指を添えるしぐさをする。
時にはつまむような仕草まで。
「…。あ、トレーナーさん。ここ、教えてほしいんですけど。」
スぺはノートを持ってトレーナーのもとへ。
「ああ、いいよ。どれどれ…。」
そういって近寄ってきたスぺを迎え入れたとき、
「あ、ちょっと待って!」
とスぺのそっぽを向いて、深く口で深呼吸をした。
「…ごめんね。で、なんだっけ。」
わからない所を教わって、そうして再びソファへ戻った。
「ごめんねスぺちゃん。ちょっと電話かけてくるから外すね。」
「あ…はい!」
そういってトレーナーはトレーナー室を出る。
今日のトレーナーは仕切りに鼻を鳴らしている。それはまるで嫌な臭いから身を守ろうとするかのように。
…。スぺはペンを動かす手を止めて、自分の服を、脇を…クンクン。
確かに今日はトレーニング後にこうして課題をしている。
いつも成績でピンチなスぺはたまにこうしてトレーナーに頼らざるを得ない。
だが、だからと言って、今日の自分はそんなに臭うのだろうか。
「汗の臭い…そんなに残ってるのかなぁ。」
トレーナーは優しい。
面と向かってスぺが臭いだなんて絶対に言わないだろう。
「そうなのかなぁ…。」
――――――――――――――――
「おはようございます!トレーナーさん!」
ピンと耳と尻尾を立てたスぺはいつもの元気さで、トレーナーに朝の挨拶を。
「ああ、おはようスぺちゃん。今日も元気でなによりさ。」
そうトレーナーはニコっと返す。
(…よし!ちゃんとお風呂にも入ったし、洗濯もばっちり!ぬかりな…)
と思ったとき。
またあの音が…スンスンスンと。
トレーナーは少し苦い顔をして、スぺのそっぽを向く。
「あ…あの?トレーナーさん?」
「ん?ああ。ごめんね。どうしたんだい?」
「あ…いえ…あの!私今日の制服、ちゃんとお洗濯してるんですよ!」
「え?…ああ。そうなんだ。うん。汚れもなくて綺麗だね。」
その時、始業ベルの音がキンコンと。
(…。)
汚れもなくて綺麗だね。
確かに彼はそういった。
…でも、
臭いのことは一切言わなかった。
――――――――――――――――
「あの…スズカさん。私…臭いますか?」
「え?」
スぺは寮にて、同室のサイレンススズカに尋ねる。
「…急にどうしちゃったの?スぺちゃんは臭ったりしてないわ。ほら、今だってお風呂の石鹸の香りがするわ。」
と優しくスペに微笑む。
「そ…そうですよね!私、臭く…ないですよね?」
「一体どうしちゃったの?」
「い…いえなんでもありません!お休みなさい!」
そういって布団に隠れた。
―――――――――――――――
「へぇ…臭いねぇ。」
「う…うん!ねぇ皆はどう?私…臭い大丈夫?」
昼休みの食堂、スぺはいつもの同期たちに例の不安ごとを打ち明けた。
「ウーン。…お昼ご飯の匂いがしマス!」
とエルが指す。
「え!ええ!そ…そうだ。後で歯磨きもしとかないと…。」
「心配しすぎだよスぺちゃん。そりゃ皆同じだって。」
とテーブルに突っ伏すセイウンスカイがいう。
「スペちゃんは別に臭ってないからさ。気にしすぎなだけだと思うよ。」
にゃははと笑いながら続ける。
「う…うん。そうだよね。」
「…でも、私たちウマ娘にはわからない臭いってのはあるのかもね。…トレーナーだけが感じ取れる臭いとか。」
ボソっと最後に付ける。
「え…。」
それを聞いたスぺはガチっとフリーズする。
「にゃははは!ジョーダンジョーダン!」
「もう…スぺちゃんが不安になる冗談はよしてください。本人は本気で心配してるんですよ。」
とグラスワンダーがスカイに釘を打つ。
「…もう、私、トレーナーさんの前に行くのが怖くなっちゃった。」
「そんなに心配しないでください…あ、そうだ。もしよかったら私の香水、少しお分けしましょうか?」
「香水?」
「ケ!グラス香水なんてもってるんデスかー!?」
「おっとな~。」
「ふふ…あまり使う機会はないんですけどね。ここぞというときに使うお守りみたいなものですよ。」
「あ…ありがとうグラスちゃん!」
――――――――――――――――
(…これでばっちり!)
オードパルファン式の香水はつけすぎ禁物。スぺはグラスに習い、香水を手首、首筋など脈打つところへ薄くさっと塗る。そして香水の残った小瓶を大事にしまう。
そして、トレーナが来るまで彼のトレーナー室で待った。
「…お、スぺちゃん。どうしたの?」
がらがらっと彼が入ってくる。
「あ!トレーナーさん!」
スぺはすぅっと息を吸い込む。
自分でわかるくらいに華やかな香り。これで臭うなんて絶対言わせない。
「あの…トレーナーさん。今日の私、なんか違いません?」
「違い…?」
そういってスぺはトレーナーに近づいていく。
そして、彼の目の前に来た時だった。
「…っう!」
突如トレーナーは口元から鼻を押さえる。顔はまるで苦虫をかみつぶしたかのようなかなり渋い顔で。
「ちょ…ちょっとごめん!」
そういってバタバタトレーナー室を逃げるように去っていった。
「…。」
スぺはもう、何もできなかった。
――――――――――――――
「…ふぅ、まったく。鼻炎にも困ったもんだ。もうご飯の匂いすらもわからないんだ。参った参った。」
そういってトレーナーはちり紙をゴミ箱に捨てて、鼻炎止めの薬を服用する。
「いくらスぺちゃんとはいえ、年頃の女の子の前で鼻たらしなんてみっともないからねぇ。」
そういって、再びトレーナー室の戸を開ける。
「ごめんねスぺちゃん!それでなんだ…っけ。」
そこにスぺはいた。
頭と顔をずぶぬれにした状態で。
「ど…どうしたのスぺちゃん?」
先ほどとは打って変わり、ずぶ濡れになった真っ暗な顔をふらふらと揺らしながら、スぺはトレーナーに近づく。
「…!これ、香水かい!?…一体なんでこんなことを。」
「トレーナーさん…私…臭くないですよね?…臭くないって…言ってください。」
「スペちゃん!気を確かに!スぺちゃん!?」
「とれーなーさぁん…」
....
...
..
.
「…っは!…夢…か。…ちゃんと耳鼻科行こ。」
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テイオーの場合。
「…。ねぇ!トレーナー!!さっきから何!?そんなにボクのことが臭いって言いたいの!?」
「え?…あ、いや違うんだテイオー!スンスン」
「あ!またやった!!信じらんない!トレーナーだってタバコくさいじゃんか!」
「いや違うんだ、俺鼻炎でさ…。スンスン。」
「あぁ!!またやったぁ!!うぅ~!もういいもん!!カイチョーに言いつけてやる!!」
「いや、待ってくれテイオー!!誤解だって!テイオ~!!!」
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チケゾーの場合
「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛!゛!゛!゛わ゛た゛し゛く゛さ゛く゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」
「落ち着け!チケゾーは臭くないぞ!可愛い花見みたいな匂いだぞ!…その…ラフレシア…とか?」(花詳しくないトレーナー)
「そ゛れ゛は゛く゛さ゛い゛は゛な゛だ゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」
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ゴルシの場合
「なぁ、俺の部屋でくさや焼くのやめないか?」
「は?なんでだよ?」
続かん