「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。
四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は
循環せよ。
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば
応えよ。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝 三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
その詠唱と共にまた1人の英雄がその地に降り立った。輝く宝石の剣を携えて。
「サーヴァントセイバー。召喚に応じ参上した。君が私のマスターかね?」
「ああそうだ!私がお前のマスター、アトラム・ガリアスタだ!よし、私にも令呪が出現した!これで大帝ヴラドに力を見せつけられる!私の指示にしっかり従えよ?セイバー!」
「残念ながら君の運は最悪のようだ。この私を引き当ててしまったのだからね。すまないガリアスタ君。それはできない。」
「…は?」
彼は怒りを覚えた。自らが召喚したサーヴァントが自分の命令に逆らったから。そう宣言したから。許せなかった。苦労して召喚したというのに。だから見せつけてやろうと思った。令呪の力を。だが、そうして右手を見た時に彼は右腕が存在しないことに気づいた。
「いくら不死身の化け物だとしても腕を並行世界に飛ばしてしまえば再生はできまい?」
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
吸血鬼は発狂した。理解できないことが起きすぎて。だが、さすがは人外。すぐに正気を取り戻した。
「なめやがって!どいつもこいつも俺を弱者だと罵る!許さない!貴様らに見せてやるよ!俺の力を!!!」
「ほう。貴様のようなⅦ階梯でも空想具現化の一端を行使できるとは。つくづくこの世界は恐ろしいな。まぁ、こうなってしまった責任は私にあるのだが。」
「見たか!俺だって、俺だって!腕を再構築できた!もうお前を許さない!ぶっ殺してやる!!!」
「しかし、残念だな。君は空想具現化を使うのが初めてのようだ。空想具現化とは自らが想像したものを具現化することだ。不慣れな君では令呪までは再構築できなかったようだ。」
「ごちゃごちゃうるせぇ!所詮貴様は人間だ!俺様に勝てるわけがない!」
吸血鬼は光に包まれた。そしてその光に貫かれ続けた。
「どうかな。私の無限エーテル砲は。再生するのならば無限に攻撃し続けるだけさ。セイバーとして現界した私ではこれしか君を屠る手段がなくてね。すまない。」
光に貫かれながら、痛みに耐えながら吸血鬼は吼える。
「なぜだ!なぜ貴様は私を攻撃する!貴様の目的は聖杯だろう?ならば私と共に戦うのが一番良いはずだ!それに魔力供給がなければ現界できないだろう!?」
「確かに普通のサーヴァントならそうだろうな。だが、私は普通ではない。魔力など並行世界からいくらでも持って来れる。そして私の目的は確かに聖杯だが、私の願いは君、いいやこの世界に存在するもの達が許容できるような内容ではないのでね。邪魔なのさ。」
「なんでだ!なんで俺だったんだ!俺以外のマスターに召喚されていれば!どうしてだ!お前まで、世界まで俺を否定するのか!俺が弱者だと、矮小だと!」
「すまないがきみの問いには答えられないが。一つだけ教えておこう。私の真名はね。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーだ。」
「………え?」
「本当にすまないと思っているよ。だが私もなりふりかまう余裕はなくてね。」
「アハハハハハハハハハ!!!そうか!そういうことだったのか!なら確かに俺の運は最悪だ!いや、最高だったのかもしれない!貴様が召喚された時点でこの世界はおしまいだ!ならどちらにしろ俺は死んでいた!それどころか俺が召喚したお前が世界を壊すんだ!これは俺がこの世界を壊したと言っても過言ではない!!!つまり俺は!この世界に生きるどんなものよりも!傲岸不遜な27祖どもよりも!城でふんぞりかえってる真祖どもよりも!そして何よりあの大帝ヴラドよりも!」
その叫びとともに吸血鬼は世界から塵一つ残さず消えた。
「どうやら喜んでくれたようで私もよかったよ。まぁとはいえ、やらなくてはならないことは山積みだ。何から手をつけたものか。まずは一旦コーヒーでも飲みながら考えるとするかね………。」
セイバー陣営 マスター/アトラム・ガリアスタ(死亡)
サーヴァント・真名/ ???
「サーヴァントアーチャー、召喚に応じ参上した。我が真名はメフメト2世、よろしく頼むぞマスター。」
「私は偉大なる祖、ブラックモア様の忠実なる僕。ビル・ブラックモアだ。せいぜい役に立ってくれよ」
「あぁ、任せてくれ。俺の宝具『鉄壁要塞陥落〈ジュブナイル・ドリーム〉』ならどんな城だって落とせる。」
「そいつは頼もしい。大帝の城を落とすにはおあつらえ向きだな。いいサーヴァントと契約できたようだ。ところでアーチャーらしいが、弓は持っていないのか?」
「あぁ持ってない。どうやらこいつが遠距離武器だからアーチャーというクラスになったようだ。」
「なんだ?その筒は。」
「あんたは大砲を知らないのか?いやこの世界には大砲がそもそも存在していない…?どうやら凄い世界に召喚されちまったようだな。」
「失礼します!」
「おい、いま取り込み中だ。わからないのか?」
「も、申し訳ありません!緊急でお伝えしたい事が。」
「なんだ?大したことでなければ殺すぞ?」
「そ、それが27祖の一角、フランクリン・ノート様の屋敷が襲撃され討伐されたようです。」
「な、何を言ってるんだ!誰があいつを!?」
「『黒き閃光』の仕業だそうです。」
「あいつか!またあいつか!だがなぜフランクリンを襲った?やつの手口から考えればありえないことだが。」
「どうやら屋敷でサーヴァントが召喚されたようです。」
「そうか…。つまり奴も聖杯戦争に参加するという事だな。絶対に仇を取ってやるぞ、フランクリン。」
アーチャー陣営 マスター/ビル・ブラックモア
サーヴァント・真名/メフメト2世
「サーヴァントキャスター、天空の神ホルスの化身ニトクリス、召喚に応じ参上しました。」
「偉大なるファラオよ。お会いできて光栄です。私があなたを召喚させていただいた、ダーニック・ユグドミレニアと申します。どうか私に力をお貸し
頂きたい。」
「ファラオに対してしっかりと頭を垂れている点を評価して、私の同盟者となることを認めましょう。」
「ありがたき幸せ。偉大なる王よ…。」
キャスター陣営 マスター/ダーニック・ユグドミレニア
サーヴァント・真名/ニトクリス
「…サーヴァントアサシン、召喚に応じ参上しました。真名はハサン・サッバーハと言います…。」
「そう、よろしくね。まぁ別にあなたに興味はないけど。私の願いのために身を粉にして働いて死になさい。」
「…わかりました。マスター…。」
アサシン陣営 マスター/ ???
サーヴァント・真名/ハサン・サッバーハ
「サーヴァントバーサーカー、召喚に応じ参上した。」
「ったく、じじいに言われてきたはいいけどちゃんと働いてくれるんだろうな?しかもバーサーカーじゃねぇか。面倒だ。僕のためなら命だって投げ出せよ?バーサーカー。」
「了解した、主。姓は項、名を籍、あざなを羽。人にはそう名乗れと指示されていた。私の中身は人ではなく機械であるので血は流れていない。申し訳ない。」
「は?ふざけんなよ!とんだハズレをひいちゃったじゃねぇか。最悪だよ!血を飲めないんだからその分戦闘で役に立ってくれるんだろうな?バーサーカー!」
バーサーカー陣営 マスター/マキリ・シンジ
サーヴァント・真名/項羽
「おおう、よくぞ余を引き寄せた!サーヴァントライダー征服王イスカンダル、貴様の道を切り開こう!」
「実に不敬だな。まぁ矮小な人間であればそんなものか。私の聖杯戦争においてはサーヴァントとはマスターに血を吸われる存在であるということを認識し、自分の立場を理解したまえ。ライダー。」
「それは申し訳ない。どうやらマスターは余よりも強いようだ。」
「力の差を理解したか。それならばいいだろう。それにしても貴様は面白いな。暇つぶしに聖杯を探した甲斐もあったものだ。おい、他のサーヴァントの召喚状況は?」
「は、大帝ヴラド様。ライダーで最後だと思われます。」
「そうか、参加者は誰だ?」
「セイバーのマスターはアトラム・ガリアスタです。」
「誰だ?それは、聞いたこともない。」
「何年か前に大帝に謁見して力の差を見せつけられ萎縮して帰っていった者です。」
「記憶にないな。次。」
「アーチャーのマスターはビル・ブラックモアです。」
「あのブラックモアのとこのⅧ階梯の老人か。次。」
「ランサーのマスターはフランクリン・ノートがなろうとしていましたが、『黒き閃光』と思しき襲撃に遭い討伐されそこで召喚されたようなので『黒き閃光』がマスターかと。」
「まさか奴が参戦してくるとはな。面白いことになった。次。」
「キャスターのマスターはダーニック・ユグドミレニアです。」
「ユグドミレニア、祖を失った没落貴族か。次。」
「バーサーカーのマスターはマキリ・ゾォルケンの孫です。」
「日本の祖がまさか出張ってくるとは。次。」
「申し訳ありません。アサシンのマスターだけは情報が掴めず。」
「…まぁいい。これにて役者は揃った。さぁ始めようか!この聖杯に贄を捧げる儀式を。聖杯戦争の開幕だ!」
ライダー陣営 マスター/大帝ヴラド
サーヴァント・真名/イスカンダル