投擲手と鎌使い   作:自称暇人

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この辺よく覚えとらん……。
たぶんクラインのセリフとかめちゃくちゃ変わってます。


はじまりの街にて

――――《第1層 はじまりの街》――――

 

 

諸々の設定を終え、俺はベータテストぶりに《ウェル》としてアインクラッドに降り立った。

 

「さて、キリトの野郎はどこにいるかなー、と」

 

あたりを見回すが、人が多すぎてパッとは見つからない。ましてやここははじまりの街の最初の広場、のほぼ全員が初心者装備なのだ。近くにいるならともかく遠くにいたら一目でわかるはずがない。

 

そこで俺は広場の外に出ようと迷いなく動いている人間に絞って探すことにした。キリトは、というかベータテスターはじまりの街など当たり前のように何度も行き来しているので、この街については詳しいはずだ。しかもベータの時に言ったのは「この広場で会おう」という時間指定もない曖昧なもの。まず間違いなく会えないだろうと考え、先に買い物に行くなど自分の用事を済ませるはずだ(というか俺も少し探して見つからなければそうしたいところだ)。

 

幸いなことにそれらしい人物はすぐに見つかった。体格や髪型もベータの時のキリトと同じだ。急いでそいつのもとに向かう。ヤツが外に出る前に合流しないと絶対見失うからな。

 

「なあお前キリトで合ってるよな?」

 

「ああ、そうだけど…………って、なんだ、ウェルか。この人の多さの中よく見つけたな」

 

よかった、キリト本人だった。これで人違いだったらかなり恥ずかしい。

 

「お前の思考回路が俺そっくりだったおかげでな。ところで何しに行くつもりだったんだ?付き合うぞ」

 

「普通にフィールドに行こうと思ってたんだよ。まあお前がいいなら一緒に行くか」

 

二人で正式サービス最初の狩りをするべく広場を出た。出口に差し掛かったところで「本名を大声で言わないで~!」という叫び声が広場から聞こえてきたが、ネット初心者ではあるあるなので気にしないことにする。本名を言われた誰かさんはとりあえず、ドンマイ。

 

その後街の出口に向かっていたところで、赤いバンダナを頭に巻いた男に話しかけられた。

 

「なぁ、アンタたちベータテスターだろ?ちょいと俺にレクチャーしてくれないか。」

 

「ええっと、俺は別にいいけど。ウェルは?」

 

「俺も構わんよ、フィールド行くところだったしちょうどいい」

 

キリトの方は初対面の人に話しかけられて少しオドオドしている様子だったが了承し、俺は迷わず同意する。それにしてもキリト、お前人見知りなのが態度に出すぎだろ。

 

「サンキュー!俺はクライン、よろしくな!」

 

「俺はウェル。こっちの人見知りはキリトだ」

 

「勝手に俺の紹介までしなくていいよ。というか人見知りとか言わないでくれ、自覚はあるけどウェルに言われるとなんか腹立つ」

 

「事実ならいいだろ、さっきもその片鱗見せてたし。まあとりあえず移動するか、改めてよろしく、クライン」

 

「おう!」

 

ということで、クラインも加えた3人でフィールドに移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛ってぇぇぇ~!」

 

クラインが腹を抱えてうずくまっている。本日すでに3度目の光景だ。戦闘相手の《フレンジーボア》はクラインが起き上がるのを待っているかのように構えている。追撃をかけてこない分まだ親切な方のエネミーだな。

 

「おいおい、痛覚は制限されているから痛みはないはずだぞ?」

 

「そうは言ってもよぉ、無意識に言っちまわねぇか?」

 

キリトの言葉にクラインは答える。まあ気持ちはわかる。あの痺れる感じは言葉で表すのが難しく、俺もベータの最初のころはリアルと同様「痛い」と言っていた気がする。

 

「ほら、とりあえず次来るぞー、構えとけ」

 

「けどよぉ、こっちの攻撃が全然当たらねぇんだよ。あいつ動くし。それとあの、ソードスキル?だっけか。あれのやり方もわからないし」

 

実際ソードスキルは慣れるまで難しかったし、言葉で教えるのはなおさら難しい。俺がどう言おうか脳内であれこれ考えていると

 

「っしゃあ!」

 

「おめでとうさん」

 

「お、もうソードスキル使えるようになったか、早いな」

 

どうやらキリトが先にアドバイスを始めていたらしい。それでなんとなく理解したようで、クラインは見事ソードスキル《リーバー》を発動、ボアを撃破して喜んでいる。……思ったよりも早かったな、もう1時間くらいかかると思ってたけど。ちなみにその後クラインはキリトから雑魚敵だと教えられて落ち込んでいた。

 

「じゃあこの調子だな、どんどんいくぞ」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえずこんなもんかな」

 

結局あれから数時間フィールドに出続けて3人で狩りをしていた。俺はまだいいがキリトとクラインは時間大丈夫なのだろうか?

 

「俺はまだいけるけどお前らは時間平気か?」

 

「俺は大丈夫」

 

「俺も問題ないぜ!……と言いたいところだが、そろそろ頼んでたピザが届く時間なんでここまでだな」

 

クラインは晩飯の準備まで抜かりないようだった、さすが。そういや軽食の用意はしてあるけど晩飯のことまでは考えてなかった。今日は帰りが遅くなるって親が言ってたし、自分で何とかしなくては。

 

「しかし改めて思うけどスゲーよな、この世界。仮想世界とは思えないくらいリアルで」

 

クラインが言う。これに関しては完全に同意だ。

 

「ああ、それは同感。ベータの時もそうだったけど、マジで現実世界の再現は狂気じみたレベルなんだよな」

 

「まあベータの時はところどころ怪しい部分もあったけどな。正式サービスではどうなってることやら」

 

「アンタらは2人ともベータテスト経験者だもんな。ちなみに上の階層ってどうなってたんだ?つかそもそも、ベータの時はどこまで行けたんだ?」

 

「ああ、結局行けたのは10層だな。あと少しで11層にたどり着けたんだが……まあとりあえずそこまでだ。で、2層は―――」

 

クラインも話題に乗ってきて、自然とベータテストの思い出話に移っていく。あ、ベータテストのことで思い出した、危うく聞き忘れるところだった。まあ聞き忘れたからなんだって話ではあるが。

 

「そういやキリト」

 

「ん、どうした?」

 

「結局ベータの最後はどうだったんだ?ボスには会えたか?」

 

「ああ、それなんだけどな――――」

 

キリト曰く、ボス部屋手前の通路で何人かが戦っている最中だったらしい。敵のHPがほとんどゼロになっているところにキリトが乱入してトドメを刺し、そのままボス部屋に駆け足で向かったとのこと。あまり褒められた行いではないと思うが、終了直前だったためコイツもなりふり構っていられなかったのだろう。

 

「で、ギリギリボス部屋に足を踏み入れると同時にタイムアップになった、と。……ちなみに戦ってたのが誰かわかるか?」

 

「いや、わからない。リーダーっぽい人が鎌使いだったのはわかるけど……」

 

ベータの時点で鎌を使って最前線に来ていたプレイヤーというだけである程度は絞れそうだ。というか実際ボス攻略の時に見かけたことはある気がするが……ダメだ、名前は思い出せん。

 

「まあそのうち会えるか」

 

「だな。ところでクライン、話につき合わせちまったところ悪いがピザの時間大丈夫なのか?」

 

「……やっべぇ!すっかり話聞くのに夢中になっちまった!っとそうだ、ログアウトする前にフレンド登録だけいいか?また何かあったら聞かせてくれ」

 

「おう、了解」

 

ということでフレンド登録を済ませて、クラインはログアウトしてい……かない…………。

 

「どうしたんだよ、まさかログアウトのやり方忘れてないよな?」

 

「いや、ログアウトボタンが無ぇんだよ。どこにも」

 

「いやそんなわけないだろ……」

 

まさかと思って俺も探してみるが見つからない。キリトも同様のようだ。

 

「どういうことだ、さすがにまずいだろこれは。サービス継続か否かに直結するくらいのヤバい不具合だよな」

 

「ああ、一旦全員をログアウトさせてお知らせか何かに掲載するべきだと思うが……」

 

と話していると、鐘の音が聞こえてきて、俺達は揃ってどこかに強制転移させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこは最初の広場だった。

 

「……いきなり何かと思えば」

 

周囲を見渡す。一緒に行動していたキリトとクラインはすぐ隣にいた。見たところ、全プレイヤーがこの広場に集められているようだ。何人かはログアウトできない不具合に気づいているらしい。俺も含めた不具合に気づいているプレイヤーたちは、おそらくこの不具合に関する報告だろうとこの時は思っていた。

 

すると、突然空が真っ赤に染まった。目を凝らすと、一面にシステムメッセージらしきウィンドウが表示されているようだ。その隙間から血のような液体が染み出して赤いローブの巨大な人型を形成する。被っているフードは顔を隠すほどの大きさではないが、その内側は黒一色で顔を確認することはできない。

 

少々ホラー感の過ぎる演出に嫌な予感がしてきたところで、そのローブの人型は話し始めた。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』




ミトはまだちょろっと出てくる程度です。
ちゃんとした出番があるのはもう少し先になると思います。
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