映画でのセリフはうろ覚えなので、なんとなくこんな感じだったかな~、と妥協できる程度で書いています。
《第1層 はじまりの街 周辺》
茅場によって正式サービスのチュートリアルが開始され、キリトとウェルがはじまりの街を出た少し後。
鎌使いの少女――ミトは友人のアスナを連れてフィールドに飛び出していた。アスナは何も分からないまま、ミトに手を引かれて走っていた。
その時、二人の目の前に2匹の《ダイアウルフ》がポップした。二人を目掛けて走ってくる。
「アスナは下がってて!」
ミトが一人で前に出る。手にした鎌でウルフの片方は抑えたが、もう片方はアスナに向かって突撃していく。
そしてそのままアスナの首元に1匹のダイアウルフが噛み付いた。
「きゃあぁぁぁぁ!!!!!」
アスナのHPが減っていく。ウルフはしっかりと噛み付いていて、離れる様子はない。このままだとすぐにHPはゼロになり、アスナはこの世界と現実世界から永久退場してしまうだろう。
けれどもアスナはどうしたらいいのか分からず、ただ叫ぶことしか出来なかった。もうすぐ死ぬ恐怖心でアスナの心が満たされていく。
「アスナ!!」
その命が尽きる寸前、辛うじてミトがウルフを仕留めた。あと一歩で死んでいたという恐怖と死なずに済んだという安堵から、アスナはその場にへたり込む。
「……アスナ、大丈夫?」
ミトが手を伸ばす。けれど、アスナはその手を振り払う。
「ぜんぜんわからないよ……!このゲームから出られないってどういうこと……!?これから受験なのに……!」
「アスナ、今そんなこと言っている場合じゃ……。このゲームをクリアするために、強くならないと。だから早く次の村に」
再びミトは手を伸ばすが、アスナにパッと払われる。
「そんな風に言えるのは、ミトがゲーム上手いからでしょ……!?……私は違うの!もうほっといてよ!!」
アスナが知ってか知らずか放ったその言葉は、ミト――兎沢深澄の幼少期の思い出を蘇らせた。
――――公園の木の下で、友達にゲームをしようと誘う深澄。だが、友達は乗り気ではない。深澄がどうしたの?と聞くと、ミト1人だけが上手くて面白くない、と告げられる。もう私達のことは方っておいて、と言って離れていく友達。一人その場に残され、泣き始める深澄――――
思わず、ミトはアスナを抱きしめた。
「――――ぇ?」
「……お願いだから、そんなこと言わないで」
とても辛そうな声色でミトから言われたその言葉に、アスナは目を見開いた。
ミトは数少ない親友だと思っているアスナと、あの時のように疎遠になりたくはなかった。
「私がゲーム得意なの、知ってるでしょ?このゲームのことは、私が全部教える。アスナは、私が守るから。だから、二人でこのゲームをクリアして、一緒に帰ろ?」
加えて、アスナ――結城明日奈がSAOに参加するキッカケを作ってしまったのは自分だとミトは思っている。あの日、深澄が明日奈にSAOの話題を出さなければ、明日奈に一緒にやろうと言わなければ……アスナはこのデスゲームに巻き込まれずに済んだのかもしれない。
だから、絶対にアスナは死なせない。見捨てたりもしない。ベータテスターであり、幸いなことにこのゲームの知識が頭の中にあるミトは、そう心に決めていた。
「…………うん」
そんな思いが通じたのか、アスナは涙を流しながら頷く。
「よし、じゃあ行こうか。……っと、その前に」
ミトはメニュー画面を開き、アスナにパーティー申請を行う。
「これは?」
「……この世界での友達の証、みたいなものかな」
「ふふっ、そんなことしなくても友達なのに」
「まあ、こういうのもMMOの醍醐味一つ、だからね」
二人は笑う。アスナがパーティー申請を受理し、2人組のパーティーが結成された。
「それじゃ、改めてよろしく、アスナ」
「うん、よろしく」
二人は固く握手を交わす。その顔には、どちらも笑みが溢れていた。
その翌日、はじまりの街から少し離れたフィールドに2人はいた。
アスナは細剣を手にし、2匹の《イエローワスプ》をじっと見つめている。ミトは鎌を手にしてはいるものの、アスナの様子を見守るだけで戦いに混ざる様子はない。
「………えーい!」
アスナがソードスキルを放つ。初心者ゆえか放たれた《リニア―》には勢いがなく、あっさりとワスプに回避されてしまう。もう1匹のワスプが接近し、その尻についている毒針で攻撃しようとしてくる。
「えっ、ちょ、きゃっ!」
アスナは激しく動揺した。それ以上近づかせないように攻撃を仕掛けるが、ワスプの素早い動きに翻弄されてまともに当たらない。ワスプに接近を許してしまい、毒針攻撃を辛くも避ける。しかしながら飛び散った毒液によってわずかにHPを減らした。幸い毒状態にはなっていないが、アスナは尻餅をついてしまう。
そんな様子を見て、ミトが声をかける。
「うーん、まだまだ踏み込みが甘いなあ。システムアシストに頼りすぎてるでしょ」
「だってぇ」
アスナは尻餅をついたままぼやく。
「もっと自分で狙いを定めないと。んー……」
そう言って少し考えると、ミトはおもむろに店売りのクナイを手に持った。じっと《イエローワスプ》を見つめて狙いを定め、ソードスキルで投擲する。手を離れたクナイは勢いよくワスプへと飛んでいき、その腹を一直線に貫いた。
「おぉ~」
「こんな感じで、自分の運動神経を使ってソードスキルをブーストするの。アスナもやってみて」
アスナは再び立ち上がって、残ったもう1匹のワスプに狙いをつける。先ほどと同様ソードスキル発動の構えをとるが、今度は先ほどと違って自分から踏み込む。
「やぁぁぁぁぁ!」
先ほどとは比較にならないほど素早い《リニアー》が繰り出される。細剣の先端は吸い込まれるように《イエローワスプ》にクリーンヒットし、そのHPを全損させた。
「やったぁ!」
「《システム外スキル》って言うんだ。アスナも速くマスターした方がいい。アスナは運動神経がいいから、すぐものにできると思う」
ミトがアスナに言う。
「へぇ~」
アスナはここで、ふとした質問をミトに投げかけた。
「……ところで話は変わるけど、どうしてこんな遠いところまで来たの?街のそばの方がポーションの補充とかいろいろ便利なんじゃない?」
実際、二人は街から歩いて15分近くかかるような場所に来てわざわざソードスキルの練習をしているのだ。ここから街に戻るだけでもまあまあの時間を消費してしまう。
「MMORPGはリソースをいかに手に入れるかが大事なの。街のすぐそばだと大勢のプレイヤーがいるから、モンスターがポップしにくくなってるんだ。仮にポップしても他のプレイヤーとの奪い合いになっちゃって、レベル上げどころか戦う練習すらままならないと思う」
「ふーん……、MMOって色々大変なんだね」
ミトの答えにアスナは素直な感想をこぼす。その言葉にミトはニヤリと笑う。
「でも、これもMMORPGの「醍醐味の一つ、なんでしょ?」
もはや口癖と化していたミトのその発言に、アスナは言葉を被せる。そのアスナの反応が嬉しくて、ミトは
「――――うん!」
満面の笑みを浮かべた。
ちょうどその時、二人の周囲で数匹の《フレンジーボア》がポップしたようだった。深い草むらを掻き分けながら進んでいる。
「じゃあアスナ、続きやろっか!」
「うん!」
それぞれの得物を構え、二人はソードスキルの練習を再開する。
この数日後、ミトとアスナは次の村に向けて出発した。アスナの上達はとても早く、ミトの知識のおかげもあって二人はその後も順調に先に進むことができたのだった――――
ミトのキャラがまだ自分の中で定まりきっていないのでこの先口調などがブレることがあると思います、お許しください。