夢の中にあいつがついに出やがった。
くそっ、あいつを言い表すネタがもう尽きた。
「やあやあごめんね、しばらく顔を出さなくて」
何しにきやがった。
「これでもサウロスを助ける方法を頑張って見つけてあげてたんだよ」
ほんとかよ。
「でも、君しばらく姿が見えない時もあったし、教えてあげれないかな」
……頼む。
「いいよ。でもちゃんという事を聞いてね。ごほん、アスラ王宮に行ってアリエル王女に面会を申し入れなさい。さすればサウロスは救われ、シルフィエットとも再会できるでしょう、でしょう、でしょう……」
まじですか!?
ついに来た5回目だ。
だが、遠くの親戚より近くの他人だ。
まずはナナホシの知り合いの話を先に聞こう。
近頃ではエリスがにまにまとしながら、剣を研ぎまくっている。
いや、目だけは笑っていない。怖い。
「え、エリス?」
「何よ!」
「お、落ち、落ち……」
言う事聞いてくれそうにない。
サウロスが処刑と聞いたら、王宮に闇討ちを掛けそうな勢いだ。
駄目だエリス……早く何とかしないと……。
ナナホシの泊まる宿に向かった。
いけない不倫をしてる気がする。
ベットに腰掛けていると、俺もパウロっちゃうのかと思っちまう。
「いい子にしてないと、彼に殺されるかもよ」
やばい、緊張してきた。
そして、彼、オルステッドが入ってきた。
ぶわっ!!
比喩ではなく全身の毛穴から冷や汗が飛び出た。
こいつはやばい、関わるべきじゃないと
う、鳩尾の辺りが痛い。
「ふむ、何を怖がっている。……呪いのせいではないようだが」
顔が怖いのはルイジェルドさんで慣れている。
もっと別の何かだ。
てかオルステッドって龍神オルステッドじゃねえか。
金目当てだと思ってたせいでギースの説明をちゃんと聞いてなかった。
「お前、人神という言葉に聞き覚えはないか」
ある、今朝会ったばかりだ。
顔に出てしまったのか、オルステッドの殺気が膨れ上がる。
気づけば俺は床にジャンピング土下座をしていた。
ナナホシが惚れ惚れとするレベルだ。
今ならセットでチャ〇ラ宙返り土下座も見せよう。
「待ってオルステッド。彼は必要なの」
ナナホシに庇われた。
「……話せ。お前の人神との関わり全てを。嘘偽りだと感じたら殺す」
こうして俺は床に正座したまま、絶対に笑ってはいけない圧迫面接を開始したのだった。
俺は全てを赤裸々に語り、オルステッドはしばし考えている様だった。
「お前は、俺に何を望む」
「……サウロス様を助けて欲しいです。お願いします」
オルステッドの人神への怒りは凄まじい。
だから、今まで使徒となってしまっていた俺を助けてはくれるのだろうか。
オルステッドは黙ったままだ。
答えは沈黙では困るのだ。
「お願いしますッ!!」
俺はみっともなくオルステッドの足元にすがりついた。
恥も外聞もない。
元々、俺の能力じゃこの姿がお似合いだ。
今までがうまくいきすぎていたのだ。
まあ、これでもなろう系主人公を目指していたし。
読者を不快にさせちゃいけないからね。
フィリップとヒルダさんは手が届かないからこそ助けられなかった。
でもサウロスは違うのだ。
俺の肉親だけ助かって、エリスの肉親は一人も助けられなかったなんて会わせる顔がない。
「人神を裏切るというのならお前は何を捧げる」
そんなの決まってる。
命以外は全てを差し出そう。
「だ、そうだがお前はどうする」
オルステッドの声は部屋の外に掛けられた。
飛び込んできたのはエリスだ。
俺を庇う様に剣をオルステッドに向ける。
つけられてたのか。
「なんでこんな奴に頭を下げてるのよ!」
だめだエリス。
足が震えてるじゃないか。
「こんなのいつものルーデウスじゃないわ!」
これが本当の俺なんだってばよエリス。
今までは皮を被ってたんです。
もう剥けてるけどね。
「人神を裏切ってあなたにつきます。お願いします。エリスの、……俺の家族を助けて下さい」
こうして俺は龍神の配下となった。
エリスと俺は二人でとぼとぼと帰る。
「ルーデウス、もっと私を頼ってほしいわ」
エリスはそう切り出した。
「ルーデウスは何でも出来ると思ってたわ。でも違うのね」
「みっともなくてすみません」
ガイドラインがなきゃこんなもんだ。
「もっとルーデウスの事知りたいわ。だって、……その私達、夫婦なんだから!」
「僕、いえ……俺もそうしたいよエリス」
俺達は本当の意味で夫婦となった。
そして夫婦といえば夜の共同作業だ。
約束の年はまだだけど、サウロスから許しは貰ったよね。
暫くした後、オルステッド様に呼び出された。
「面構えが違うな」
さっそくセクハラを受けた。
まあ、確かに一皮むけましたよ。
オルステッド様の働きにより、サウロスは処刑を免れる運びとなった。
何でも貴族の権力争いに介入したらしい。
どんな恐ろしい事をしたのやら。
「そのオルステッド様。どうして俺を助けてくれる気になったのでしょうか」
「本当は様子見を続ける予定だった。だが、奴の思惑を潰すのも一興と考えたのだ」
何でも俺がのこのこと甘言に従って王宮に行っていれば俺は捕まっていたらしい。
アスラ王国までデッドエンドの悪評は広まり始めているからだ。全く誰のせいなんだか。
良くて永遠に投獄、もしくは処刑だ。
後はサウロスをアリエル王女派につければいいらしい。
エリスの伝家の宝刀を抜けば一発だな。
ギレーヌもようやく帰ってきたし、暗殺の心配もない。
あと、シルフィもアリエル王女の側にやっぱりいた。
「シルフィエットはアリエルに必要な人材だ」
それは手を出すなと言う事ですね。
まあ無事を確かめられたのならいいさ。
シルフィとは結婚の約束をした様な仲だったが、今はもう俺も妻帯者だ。
なんだかまた会えるような予感するしね。
「後はお前の母親の事だったな」
ゼニス救出大作戦の事をオルステッド様に伝えていた。
「お前のパーティー編成を教えろ」
ええと、全員で剣士3、泥坊1、魔術師1。
なんとも見事な脳筋パーティーだ。
「あそこなら問題ないだろう」
そう言うと王級魔術が込められたスクロールを何枚も渡された。転移の迷宮探索という本も。
いやはや、いたれりつくせりだ。
それから龍神印の腕輪を渡された。
そして最後にはミリス大陸やべガリット大陸に渡れる転移魔法陣の場所も。
オルエモンとか呼んだら殺されそうだ。
「お前が俺を裏切った場合、その腕輪がお前を殺す」
完全に信用された訳じゃなさそうだ。
あと、透明になれる迷彩機能とかついてないかな。
こうしてチート装備を身に着けた俺は旅立つのであった。
「ではサウロス様。エリスお嬢様を必ずお守りします」
ギレーヌは本当に忠犬っぽいね。
サウロスは幾らか領地を削られ、監視付きとなったがもう命の心配はない。
隠れデッドエンド達もホクホク顔で帰ってきてるし。
故郷の変わり果てた姿を見ても絶望していない。
魔大陸の地獄を見てきた者達だ、面構えが違う。
あの、なんだろう、目配せするの辞めてもらっていですか。
ルーデウス会長わかってますからみたいな視線は。
数年後、まじでデッドエンド領とかになってたりしてな、ガハハ。
「パウロを連れ帰ってこい。ピレモンと据え変えてやるわ」
パウロが真っ青になりそうなセリフを吐いたサウロスと俺達はお別れした。
次会う時は曾孫を見せられそうだよ。ひいおじいちゃん。
まずはアイシャ達をクレアん家に預ける事にした。
なんか神の意思を感じるね。
ミリシオンにつくと森の中だった。
途中、ゴブリンに襲われてるクリフ少年を助けた。
エリスに惚れているようだったが、夫の俺を見て呆然としていた。
なんとなくだ今後とも仲良くやっていけそうだ。
後、暗殺者に襲われている巫女も助けた。
エリスとギレーヌに敵う相手ではない。
でも、暗殺しなくてもその内肥満で死にそうな体型じゃね。
「早く、……あの……白い、粉を」
何らかの禁断症状が出ている。
こいつはもうダメだ、捨てていこう。
叔母のテレーズに睨まれた。
そうしてミリシオン辿り着いた俺達はロキシー達とばったり出会う事となる。
とんでもない奇跡だ。
久しぶりに会ったロキシーはやっぱりロキシーだった。
何故かクソデカ溜息つかれてしまったが。
「ギレーヌ久しぶりですの」
「ああ、お前たちも」
クリフがエリナリーゼと名乗ったエルフに視線を奪われている。忙しい奴だな。
でも清純そうなエリナリーゼさんと、聖職者であるクリフはお似合いっぽい予感がある。
あれなんかおかしいな。違和感仕事しろ。
何やらやる気を出したクリフと別れ、ミリシオンを歩いていると怪しげな男に呼び止められた。
「ルーデウス様とお見受けします。こちらへ」
そのまま怪しげな建物の隠された地下室に案内される。
「「「ルーデウス会長、お疲れさまです!!」」」
ずらっと壁際にむくつけき男達が後ろに手を組み頭を下げてきた。
嘘だろ、肩からトゲなんか生やしちゃってる。
まじでお目にかかれるとは思わなかったよ。
そして奥の祭壇には俺がノルンにあげたルイジェルド人形が奉られている。
クレアに見つかっちゃったのかな。
厄介事を丸投げした幹部がいたので話を聞く。
なんでも俺がいなくなった後、デッドエンドは幾つもの集団に分極化したらしく、こいつらはその一派らしい。
宗教は儲かるという事でデッドエンド教なるものを立ち上げたそうだ。
だが、ミリス教に異端扱いされ神殿騎士団達と血にまみれた闘争を繰り広げていたらしい。
抵抗虚しく破れ今では、デッドエンド糖を粉にし、小分けにした袋を売り捌く地道な抵抗活動を地下に隠れながらやっているらしい。
いや、やめてくれよ。
誰だよこんなの作った奴。
あ、俺でした。
レジスタンス活動でムキムキになった元転移被害者を見回す。いや、何やっちゃってくれてんのもうお前ら立派な転移加害者だよ。
「安心して下さい。教祖ルーデウス様の事は秘密にしてありますから」
いつから俺は教祖となったのだか。
そういう問題じゃない。
今日をもってデッドエンド教は解散だ。
その無駄に持て余した肉体は傭兵団でも結成した方が有効活用できるはずだ。
そうだな、ルード傭兵団とでも名付けよう。
「お兄ちゃん、私またここに来ていい?」
アイシャが目をキラキラさせている。
よろしく頼む。俺には管理など出来ない。怖いし。
どうやら会長の妹という事でこいつらも言う事を聞いてくれそうだ。
そしてクレアにアイシャ達を預けた。
ノルンと再会し、ルイジェルド人形を返してやった。
「ノルン、アイシャ。姉妹二人で仲良くな」
なんだか確執が生まれそうな予感があったので、クレア共々釘を刺しておく。
早く迎えに来よう。
そしてべガリット大陸に俺達は向かったのである。
べガリット大陸ではサキュバスの卑劣な罠に掛かり、エリスとロキシーに襲い掛かってしまうこともあったな。
エリスはともかく何故かロキシーも満更でもないご様子だった。
そしてエリナリーゼの本性を知ったり、サキュバスの呪いが効かないタルハンドを男の中の男だと尊敬したりした。
それにロキシー師匠に再び魔術を教えてもらう事となった。
最近、魔術ではなく話術ばかり使っていたせいで、俺の戦闘能力は大分落ちてしまっているのだ。
水王級魔術師となったロキシー師匠を再び尊敬し直す事となったのである。
「ああ、でも……私の理想では、そのもう少し大きければ……でも結婚していますし……」
何の話でしょうね。
そしてラバンに辿り着いた。
パウロがいる拠点に行くと、パウロはギースと酒に溺れていた。
「俺は駄目なやつだよルディ」
何でも父はまだ1回層しかクリアしていないらしい。
しょうがないだろう、剣士となんでも屋じゃ。
臨時で雇った戦力は当てにならないらしい。
「ハハッ、黒狼の牙の幻影が見えるぜ」
エリナリーゼが水をパウロに浴びせる。
「ゼニスの為ですの。いざこざは水に流しますわ」
「あたしもそのつもりだ」
「同じく儂もじゃ」
「へっ、パウロお前人望ねーな」
こうしてキ○キの世代は再結集した。
後は幻の6人目を見つけるだけだ。
妄想に時系列も設定も関係ありません。