無職転生 ー妄想してみたー   作:ぺこぽん

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第8話

 学園編の始まりは、エリスの一言によって打ち切りとなった。

 

「今の私とルーデウスでは釣り合いがとれないわ!」

 

 何だか総毛立つセリフだ。

 

「という事だルーデウス。エリスお嬢様の事は任せろ」

 

 どうやら前々からエリスはギレーヌに剣の聖地に行きたいと相談していたそうなのだ。

 俺が魔法大学で魔術修行に励む様に、エリスも俺を守れるくらい剣で強くなりたいと願ったそうだ。

 

 キュンです。乙女デウスが発動しちゃいそうだよ。

 

 でも二人の夢のイチャイチャ同棲学園ライフは?

 制服デートをしたかった俺の夢はどうなるというんだい。

 あ、ラノア魔法大学に制服は無いんだった。

 

「寂しかったら……こ、これを使っても良いんだからね!」

 

 エリスは長かった髪をバッサリ男らしく切って渡してきた。

 エリスさんや、これをどう使えというのかね。

 せめて実演してから出発して欲しいね。

 

「……っ。じゃあね、ルーデウス!」

 

 俺は真っ赤な顔をしたエリスに殴り飛ばされた。

 そしてさっさと単身赴任へと行ってしまわれたのであった。

 全く、きっとエリナリーゼさんの入れ知恵だな。

 

 俺はとりあえずエリスの髪は神殿に奉納しておく事にした。

 

 寂しい。

 だがもう5年位会えなくなるのかなと思ったが、そんな事はなかったのだ。

 剣の聖地とシャリーアは近いしね。

 

 だからエリスは数ヶ月に一回は帰ってきた。

 充電、もとい修行の成果を見せる目的でだ。

 お陰で俺は昼も夜も足腰が立たなくなる日があったものだ。 

 え、何の修行してんだって?

 

 

 俺とエリナリーゼさんは一緒に入学した。

 ロキシーは師匠と仲直りしたらしく、先生として雇われた。

 

 そしてナナホシも諸国漫遊を終えたのか入学してきたのだ。

 オルステッドの便りとともに。

 ようやくオルステッドコーポレーションの入社式の運びとなった。

 

 それとかねてからの約束により、ナナホシの元の世界に戻る実験の手伝いをする事となった。

 なかなか進展はしなかったけれど。

 

 その代わり、似非日本的な数々の品を魔法大学に導入しお小遣い稼ぎにはなった。

 夢だった制服も導入し、満足は出来た。

 

 暫くするとクリフとザノバも入学して来た。

 ふっ、男の友情もいいものだ。

 

 そうだ、男といえばフィッツだ。

 俺は鈍感系主人公を目指してはいないのだ。

 フィッツがシルフィである事にはすぐに気が付いた。

 だが、顔合わせとなった日。

 

「ルーデウス君。始めまして、だね」

 

 ゼニスみたいに記憶失ったわけでもないだろうにそんな事を言われたのだ。

 ちょっと傷ついた。

 どうやらシルフィは自分の正体を隠したいらしい。

 どう見てもバレバレなのにだ。

 

「フィッツ、一緒に風呂はいろうや」

「え、ええっ……!」

 

 そんなシルフィの態度が悪いのだ。

 俺のいけない部分に火をつけてしまった。

 そりゃ、昔泣かしてしまった事もあるし、からかうのも程々にしようとも考えたさ。

 

 でもずっと一緒だったエリスがいない寂しさもあったに違いない。

 ちょっとやり過ぎてしまった。

 

「ルーデウス君。僕達、男の子同士なんだよ……!」

「男の娘だからいいんじゃないかっ!!」

 

 そんな風に戯れているとアリエル王女の卑劣な策略にはまってしまった。

 

 何故か鍵が掛かって出られない倉庫に二人っきり。

 親切にも喉が渇いた時用の飲み物。

 

 いや魔術で出せるんだけどね。

 でも一応ね、試しに飲んでみた。

 どうやら媚薬の様なものが混ぜられているみたいだ。

 でも、解毒魔法は修得済みさ。

 

「ルディ、ボクだよ。ずっと会いたかった」

 

 そしてついに涙ながらにシルフィは正体を明かしてきた。

 

「本当はすぐに打ち明けたかったんだよ。胸に飛び込みたかった。でもルディがもう結婚してるって聞いたから……」

 

 だからずっと隠そうとしてきたのか。

 シルフィはそれから俺と別れた後の事、転移に巻き込まれた後の事、全てを話してくれた。

 

「お願いがあるの、ルディ」

 

 そして最後に潤んだ瞳で上目がちに見てきたのだ。

 

「一度だけでいいから……そのお願い。ルディは媚薬を盛られたせいにしていいからっ」

 

 いや、とっくに解毒してるんだけどね。

 でもはだけた服から覗く起伏に乏しい胸、そっと赤く上気した頬。

 何よりシルフィが抱いていた想いに、俺はまひ状態となっていた。

 

 結果、俺は媚薬のせいにする事にした。

 

 ごめんエリス。

 長男だけど我慢できなかったよ。

 

 んで、そのネタをアリエルにゆすりに使われてしまった。

 うちの大事なシルフィを傷物にしたのだから責任を取ってもらうと。

 

 俺はアリエルを王座につける援助をする事になった。

 見返りはアスラ王国での指名手配の解除だ。

 いや、サウロスの事もあるし願ったり叶ったりなんだけどね。

 社長の意向とも一致するし。

 

 あと、エリスとの修行の成果をシルフィに優しく発揮したためか、何やらアリエルに舌なめずりされている気がする。

 なんか怖い。

 アリエルとはビジネスライクな関係で行こう。

 

 それから俺はシルフィと幾度も逢瀬を重ねてしまった。

 お互いに媚薬のせい、アリエル王女の命令と言い訳してしまっていたのかもしれない。

 こうしてついに俺はパウロっちまった。

 

 

 一方のロキシー。

 

 先生と生徒という関係は暫くは上手い事続いていた。

 だが、俺の魔術が腕が上がるにつれ、ロキシーは次第に本音を吐き出す様になってきたのだ。

 

「私が毎晩毎晩、隣であんな音を聞かされてどんな気持ちだったか……ルディには分からないんですよ!」

 

 酒の席ですっかり出来上がったロキシーに俺は絡み酒されている。

 

「すみません……」

 

 尊敬するロキシーにどうすればいいのか、俺は悩んでいた。

 

「ロキシーの気持ちを汲んであげなさいな」

 

 クリフにしなだれかかったエリナリーゼさんに言われた。

 最近、二人は上手く行っているのだろう。

 

 俺もロキシーもいい歳した大人だ。

 この時はお互いに鉄の自制心で抑え込んだのだ。

 

 だが、俺はオルステッド様の言いつけで授業に出られない事もあった。

 それもロキシーの授業でだ。

 

 優しいロキシーは落第ではなく補習授業をしてくれる事となった。

 

 そして誰もいない教室。

 想いを隠した男女二人。 

 何も起こらないはずはなく。

 

「ルディ、私はきっとルディに恋してます」

 

 いい歳して何言ってんだと思うかもしれませんが。

 などとロキシーは言うが、俺の方はきっとロキシーに恋してるってレベルじゃない。

 神っちゃってるぐらいですよ。

 

「エリスがいない間だけ。……この補習授業の間だけは私の恋人になってくれませんか」

 

 ロキシーの想いを俺は受け止めた。

 こうして俺達は本当に神っちゃいました。

 それから俺はロキシーと以下略。2パウロ。

 

 二人共、エリスに報告しようとすぐに言ってくれた。

 でも、それに俺は少し躊躇してしまったのだ。

 ミリス教ならすぐに離婚事案だし。

 だが、俺はエリスの事も二人の事も同じ位愛しているのだ。

 

 勿論、エリスが一番一緒にいた年月が長い。

 でも、人の想いは年月だけでは測れないはずだ。

 

 それで二人も妻として迎える為に、エリスを説得すると二人には伝えたのだった。

 でもなかなか丁度いい機会って奴は来なかった。

 帰ってくる度に剣速が鋭くなっていくエリスに腰が引けてたのは事実だが。

 

 最低だ、俺って。

 

 ま、まあ悪い事ばかりに目を向けるのはやめよう。

 

 そうそう。

 リニア、プルセナ辺りとよくバトっていた頃。

 パウロとゼニス、それにリーリャさんがノルンとアイシャを連れてミリシオンから逃げて来たのだ。

 後、アルマジロのジローも。いたなそんな畜生。

 

 なんでもゼニスには人の思考を読む神子としての能力が備わっていたらしく、それが教団にばれたのだそうだ。

 

 そこに至る経緯はパウロが熱く語ってくれた。

 その内容はかくも映画かの様な大スペクタクルだった。

 

 ミリシオンに戻ったパウロ達は、まずゼニスをラトレイア家の面々に再会させてあげたのだった。

 クレアも最初はまるで確執などなかったかの様に、昔の様に振る舞うゼニスに戸惑っていたそうな。

 

 だが、クレアはそれを好機と捉えたのかもしれない。

 いつの間にかパウロとリーリャ、アイシャはラトレイア家から追い出されていたのだ。

 まあ、リーリャさんの事は今の俺では何も言えない。

 

「最っ低!!」

 

 どっぷりミリス教に浸かっていた昔のゼニスではパウロの事を許せなかったらしい。

 パウロは絶交を言い渡された。

 だが、ゼニスは誰に言われても離婚だけはしなかったそうだ。

 それは確かに自分の面影を残すノルンの存在があったからだ。

 

 それにパウロも毎日足繁くルード傭兵団の拠点からラトレイア邸に通ったそうな。

 ノルンに父親を会わせない様に出来る訳なく。

 又、半ばその熱意にゼニスは折れたのだろう。

 

「リーリャさんの事は許せませんが……ノルンの為です。私達の事について教えて下さい」

 

 こうしてパウロはゼニスに失われた十数年の記憶を語ってあげる事になった。

 どうして一緒に冒険者をやる事になったか。

 自分達がどれだけ長い間一緒にいたか。

 転移事件の後、どれだけ必死になって探したか。

 

「ゼニス。俺は……」 

 

 あまり口上手ではない父様の事だ。

 何度も言葉に詰まったに違いない。

 でも母様が父様の想いを全て言葉にしてあげたそうだ。

 

 この頃からゼニスは自分に相手の思考を読む事が出来る能力が備わっている事に気が付いていたそうな。

 だから、目の前の粗暴でいい加減に見える男が自分の事をどれだけ愛しているか、すぐに分かったそうだ。

 

「私は……」

 

 まるで恋愛映画の様じゃないか。

 パウロはゼニスをもう一度惚れさせる事を決めたのだそうだ。

 まあ、長年一緒にいた間柄だ。

 パウロはゼニスの好きなものなど全て把握していた。

 

 ルード傭兵団に珍しい木や植物を用意させたり、高価な本を買ってあげたり。

 ゼニスはそれに段々満更じゃない顔を浮かべる様になったらしい。

 

 う、そろそろ俺は砂糖を吐きそうになってきた。

 この辺でよそう。これは俺じゃなくパウロの物語だ。

 その内、またいつの機会にか語ってくれるだろう。

 

 そうこうして、ゼニスはパウロを再び愛する事となり、ノルンを自分の娘として抱き上げる事を選んだのだった。

 

 ゼニスの失われた記憶については、記憶を見る事が出来る同じ神子に見てもらったそうだ。

 すると記憶は無くなってしまったわけではなく、心の奥底に眠ってしまい取り出せなくなっているだけだそうだ。

 

 え、俺が助けた彼女が神子だったの?

 なんか痩せれた事に感謝してるって。

 なんの事だろうね。

 

 とにかくゼニスは神子に手伝ってもらいながら、幾らかは自分の記憶を思い出す事が出来たらしい。

 まだ、完全ではないけれど。

 

 ところが、ゼニスが神子である事が何故かバレたのだ。

 お陰で神殿騎士団共に追いかけ回されることになったらしい。

 まあ、アイシャ率いるルード傭兵団の手引ですぐにミリシオンを脱出出来たそうだけど。

 

 その時はクレアも手助けをしてくれたそうだ。

 何だかんだ娘の事を愛しているのだろう。

 

 というわけで転移魔法陣を使い、シャリーアまで辿り着いたのだ。

 幸い、俺は大きな館を手に入れたばかりだ。

 住む所に不足はしない。

 ちょっと俺も寂しかった所だし、ここら辺で親孝行でもしておこう。

 

 

 そんな事を考えていたのはいつの頃だっけか。

 その後もノルンが入学し、アイシャがシャリーアにもルード傭兵団をぶち建て、オルステッド様の要望が過酷になったりと色々とあった。色々だ。

 

 本当はまだまだ語りたい事があるのだ。

 冒険者時代の事や、学園での生活の事。

 語り尽くせない事がたくさんある。

 

 でもそろそろ回想で間を持たせるのは限界の様だ。

 リアルワールドに帰らなくちゃいけない。

 え、何でかって?

 

 今、絶賛修羅場ってるからさ。

 




何だかんだパウロとゼニスを再会させたかった妄想をよくします。
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