ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、キリトとウォロが激突します。
そして、最後ら辺に、とある人物が現れます。


第17話 キリトVSウォロ

カルムside

 

 もうすぐ懲罰試合が行われようとする中、ウォロ主席が自身の剣の具合を確かめるように素振りしているのに対し、キリトは深呼吸をしながら意識を集中させていた。

 すると、リーナ先輩が声を掛けた。

 

リーナ「キリト。私はお前の強さを信じているが………だからこそウォロの剣には十分注意しろ。」

キリト「注意…………?」

タカトラ「ウォロの家系………リーバンテイン家には秘めたる家訓がある。『剣を強者の血に塗らせ。されば強さは我が物と為らん』と。」

カルム「物騒な言い伝えですね。それってまさか…………。」

リーナ「そうだ。カルム君の想像通り、ウォロは入学以前にも実剣による一本先取勝負を幾度もなく行っている筈だ。」

 

 本当に物騒だな。

 だが、それがあの先輩の強さに繋がっているんだろうな。

 

タカトラ「その経験が、奴の恐るべき剛剣を生み出しているのだ。」

カルム「なるほど…………。(つまり、強い相手を倒せば倒すほど、ウォロの強さはどんどん上がるという事か。)」

リーナ「ウォロはお前の剣力をも血に変えて吸い取り、糧とするつもりだ………。しかし。」

 

 そう言って、リーナ先輩は強い眼差しをキリトに向け、言葉を続けた。

 

リーナ「私はお前を信じている。あやつに容易く喰われてしまう剣士ではないとな。昨日、私と約束したことを忘れてはいないだろう?」

キリト「約束………ええ。俺の全てを先輩に見せると約束しました!」

リーナ「ならば………ここで見せてくれ、キリト!」

キリト「はい!約束………果たしてきます!」

ウォロ「そろそろいいかな、キリト錬士。」

 

 リーナ先輩の言葉にはっきりと答えたキリトに、タイミング良くウォロ主席が声を掛けた。

 どうやら待っていてくれたらしい。それに応えたキリトが立ち位置に向かう前に俺はキリトに声を掛けた。

 

カルム「何か策はあるのか?」

キリト「………単純な剣技じゃまず勝ち目はない。この剣なら4連撃まで繰り出せるから、それに賭ける。」

カルム「………分かった。無理するな。」

キリト「ああ。」

 

 確かに、アンダーワールドには、連撃技という概念が無い。

 そこをつければ、相手が主席でも、勝てる可能性はある。

 しかし、それがウォロ主席に通用するのかはまた別の話だが。

 

カルム(キリト、勝てよ。)

 

 間もなく試合が始まろとする中、俺はキリトの背中を見ながらそんな想いが胸をよぎっていた。

 俺、ユージオ、ケント、タカトラ先輩、ユア先輩は、すぐ近くで見ることに。

 すると、リーナ先輩が声を大きく張り上げる。

 

リーナ「これより、リーバンテイン上級修剣士とキリト初等錬士による一本先取の手合わせを始める!なお、双方の合意により両者ともに実剣を使用する。」

 

 その声に、周囲はどよめく。

 まあ、実剣による勝負が、アンダーワールド全体で珍しいからな。

 ただ、ライオス、ウンベール、ナツジ、ベルの4人はニヤニヤしていた。

 

カルム(あの笑みは、キリトが負傷するのを楽しみにしているんだな。)

 

 まあ、アイツらの様な貴族擬きに糾弾する気は起きない。

 座席には、ユージオの指導生のゴルゴロッソ先輩が居た。

 

リーナ「両者、構え!」

 

 リーナ先輩の号令にキリトとウォロ主席がそれぞれの剣を抜いた。

 ウォロ主席が抜刀すると、会場のどよめきが一段と大きくなった。

 見ただけでははっきりとは断定できないが、そこら辺の安物ではないことだけは確かで、かなりの業物のようだ。

 一方、キリトが抜刀した黒剣を見た会場の反応は………何とも言えないものだった。

 驚き半分、困惑半分といったところだろう。

 

カルム(まあ、サードレ師曰く、整合騎士が帯びる神器を超える代物らしいが。)

 

 この世界の武器は、キリトの黒い剣のように真っ黒というのはあまり無い。

 俺たちのように青薔薇の剣に雷鳴剣黄雷、刃王剣十聖刃の様な神器を見た事がある訳では無いのだから、無理はない。

 すると。

 

ウンベール「おやおや!辺境では墨を塗る風習でもあるんですかな、ライオス殿?ベル殿?」

ナツジ「あれは、実に滑稽ですねぇ!」

ライオス「そう言ってやるな、ウンベール、ナツジ。傍付き殿は忙しくて剣を磨く暇もないのだろうさ。」

ベル「フッ。これだから平民は。」

 

 ライオス一派を中心に、嘲笑の声が上がる。

 それは、他の貴族の生徒にまで伝わり、嘲笑の気配がする。

 まあ、無知を晒すのは構わないけど、怒りの視線を向けようとするユージオとケントを止める。

 

カルム「落ち着け。」

ケント「これが落ち着いていられるか!」

ユージオ「あんなにキリトの事を馬鹿にして!」

タカトラ「放っておけ。あんな奴ら、勝手に言わせれば良い。」

ユア「そうだな。結果を見ていないのにも関わらず、口だけ達者な奴を相手にするより、この試合の行く末を見届けた方が有意義だ。」

ケント「………分かりました。」

ユージオ「………はい。」

 

 タカトラ先輩とユア先輩、結構辛辣ですね。

 まあ、無理もない。

 2人は、刃王剣十聖刃と雷鳴剣黄雷を見ているのだ。

 キリトの剣も、同じ類の物と認識しているのだろう。

 嘲笑が起こる中、ゴルゴロッソ先輩は、ただ見守っていた。

 そんな嘲笑も、ウォロ主席が剣を大きく振り上げて、ハイ・ノルキア流秘奥義、《天山烈波》………両手剣突進ソードスキル、《アバランシュ》の体勢を取った時に、静かになった。

 

カルム(凄いな………!圧がここまで届いてくるぞ………!)

 

 剣を上段へと構えたウォロ主席の闘気に、会場が呑み込まれたのだ。

 こうして見学しているだけの俺までもその闘気に思わず汗が出てしまうほどの圧を感じているほどのレベルだ。

 恐らく、一撃で決めてくるのだろう。

 だとすると、キリトが取る手段は、クラディールの時と同じく、ソニック・リープでの武器破壊か?

 いや、アレでは、武器破壊は出来ないだろうな。

 つまり、キリトが取るべき戦法は、手数の多さ。

 キリトは、片手剣4連撃技、バーチカル・スクエアを使う様だ。

 

「「………………。」」

 

 キリトとウォロ主席は、お互いに睨み合ったまま、動かなかった。

 しばらくすると、遂に動き出す。

 

ウォロ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

キリト「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 秘奥義を放つウォロ主席の剣撃に、キリトの一撃目と二激目が当たるが、ウォロ主席の剣は止まらない。

 

キリト「うぉぉぉぉ!!」

 

 キリトの気合いと共に、三撃目を放ち、ウォロ主席の剣を受け止めた。

 

「「「止めた!?」」」

カルム「まだだ!」

タカトラ「ここからだ。」

ユア「ああ。」

 

 ユージオとケントとリーナ先輩の声が重なるが、俺は否定した。

 肝心の四連撃目が、ウォロ主席の剣を止めるのに精一杯で、放てずにいるのだ。

 なんとか四連撃目を繰り出そうと踏ん張るキリト。

 それに対し、剣ごとキリトを切ろうとするウォロ主席。

 秘奥義のぶつかり合いで大きな火花が散り合っていた。

 

ウォロ「…………ウォォォォォォォ!!」

カルム(ん!?何だアレは!?)

 

 ウォロ主席の気迫と共に、放たれる闘気が一段と増した。

 その時、俺にはウォロ主席の背後から何人もの剣士がキリトを倒そうとしているビジョンが見えたような気がした。

 同時にウォロ主席が剣圧が一段と強まる。

 

カルム(まさか、歴代のリーバンテイン家の当主の幻影なのか!?)

 

 それが、ウォロ主席に力を与えているのか。

 その剣圧に徐々に押されるキリト。

 このままでは、キリトのバーチカル・スクエアは強制終了し、斬られる。

 俺は思わず声を上げる。

 

カルム「キリト!!」

キリト「っ!?そうだ………俺にだって守りたいものが…………!ここで負ける訳にはいかないんだぁ!!!」

 

 その言葉と共に不思議なことが起こった。

 キリトの剣に光が集まったかと思うと、黒剣の刀身が伸びたのだ。

 キリトは、剣を両手持ちにする。

 本来なら、イレギュラーな装備状態になって、ソードスキルが強制終了するはずが、光が更に強まる。

 そして、俺はキリトの背後にそびえたつそれを見た。

 

カルム(アレって、ギガスシダーか!?)

 

 間違いない…………あれはギガスシダーそのものだ。

 まるでキリトに力を………いやギガスシダーがテラリアやソルスの恵みを独占して吸収するように、黒剣がそれを体現しているかのようだった。

 

ウォロ「………なぁ!?」

キリト「っ!?はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

 

 ウォロ主席がキリトの気迫に呑まれ、少し怯んだ隙に、キリトがウォロ主席の剣を弾き飛ばす。

 お互いに吹き飛び、ウォロ主席の剣から光が消えるが、キリトの剣の光は未だに消えていない。

 四連撃目を残していたキリトが最後の一撃を放つため、一気にウォロ主席の懐へと飛び込んだ。

 ソードスキルの突進力を活かした高速の一撃にウォロ主席は反応できずにいた。

 だが、距離があったせいで、キリトの最後の一撃はウォロ主席の服を掠っただけで、一本には届いていなかった。

 

キリト「おおおぉ!」

ウォロ「ちぃ………はぁぁぁ!」

 

 硬直が解け、反撃に出たウォロ主席が眼前のキリトへと剣を振り下ろす。

 負けじとキリトも水平切りを放つ。

 このままでは相打ちになる!

 焦った俺がリーナ先輩に試合の中止を求めようとした時だった。

 

アズリカ「そこまで!!」

「「「っ!?」」」

 

 声のした方を向くと、そこに居たのは、アズリカ先生だった。

 何でアズリカ先生の一声だけで、ウォロ主席は剣を止めたんだ?

 すると、タカトラ先輩が答えてくれた。

 

タカトラ「なるほどな。あの人の裁定なら、従わざるを得ないだろうな。」

カルム「何でですか?」

タカトラ「あの人は、7年前の四帝国統一大会におけるノーランガラス北帝国の第一代表剣士だからだ。」

カルム「えぇぇ………!?」

キリト「ええっ!?」

 

 キリトもウォロ主席から同様の事を聞いたのか、驚いた声を上げる。

 マジかよ………!?

 修剣学校で教師を務めている辺り、何かしらの実績を持っているかと思ってはいたが、俺の予想を超える凄い人だったらしい。

 

ウォロ「これにて、キリト錬士の懲罰は終了とする!今後は誰かに泥を跳ね飛ばさないように気を付けることだ。」

 

 ウォロ主席は剣を仕舞いながら、そう告げ、この場を去っていく。

 その瞬間、我に返った観客が一気に歓声を上げた。

 

「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

錬士「凄かったぞー!!」

錬士「リーバンテイン主席と引き分けるなんてな………。」

錬士「闘気だけで、鳥肌が立つくらいだったもんな………!」

錬士「カッコよかったぞ!キリト錬士!!」

 

 賞賛と拍手の嵐に驚きながらも手を振るキリト。

 黒剣は元の長さへと戻っていた。

 どうやらさっきの出来事は一時的なものだったらしい。

 そんな歓声を無視し、俺は速足でキリトへと近づいた。

 ちなみに、ライオスたちは呆然となっていた。

 どうやら、予想が外れた………というよりも、見ている光景が信じられないといった感じのようだな。

 まぁ、同情する余地は全くないが。

 キリトは剣を見ながら首を傾げていて、俺は文句の一つを言おうとしたが、リーナ先輩が速く着いていた。

 リーナ先輩の顔は、凄く歪んでいた。

 

リーナ「…………斬られた、と思ったぞ。」

キリト「ええ………俺もそう思いました。」

リーナ「……………なのに降参しないとは………この、大馬鹿者め!」

 

 キリトを責めている筈なのに、リーナ先輩の声は嬉しそうだった。

 リーナ先輩はキリトに微笑む。

 

リーナ「見事な………素晴らしい戦い振りだったぞ、キリト。礼を言わせて貰うよ。独り占め出来なかったのは残念だが………お前は、約束通り、私に全力の戦いを見せてくれた。………ありがとう。」

キリト「で、でも、引き分けですし………。」

リーナ「あのリーバンテイン相手に引き分けておいて不満か?」

キリト「い、いけ、そういうわけじゃ。」

 

 キリトはかぶりを振り、リーナ先輩は笑って、肩に手を置く。

 

リーナ「もはや勝ち負けは問題ではないよ。お前の戦い振りに、私は大切な……とても大切な物を学んだ。………カルム君、キリトに言いたい事があるんじゃないか?」

カルム「いえ、大丈夫です。」

 

 後で個人的にきっきりと言わせて貰いますから。

 俺は苦笑を浮かべながら答える。

 

リーナ「そうか。なら、今日は祝杯をあげようか。カルム君。ユージオ君とケント君、ゴルゴロッソ殿とタカトラ殿とユア殿も誘ってくれるかい?」

カルム「分かりました。」

 

 俺は、すぐにケント達に誘いをかけて、リーナ先輩の部屋に集まる事に。

 ただ、気になる事が二つある。

 一つは、アズリカ先生がキリトの事を見つめている事だ。

 もう一つは、あのライオス達の姿が見えない事だ。

 思い通りに行かなかったから、悔しがっているのか?

 そうして、宴が始まった。

 

???side

 

 まさか、キリトとカルムが伝えたであろうアインクラッド流には、四連撃技があるのか。

 俺はただ、驚いていた。

 ベルクーリ・シンセシス・ワンやリョウガ・シンセシス・スリーとは、何度も戦っているが、あの2人とは違う強さを、アイツらは持っている。

 

???「ますます興味深いな。」

 

 しかも、あのキリトとやらの剣は、あのギガスシダーと同じ記憶を感じる。

 もしかしたら、カルムも、刃王剣十聖刃の力を上手く使えるのではないかと思っている。

 すると、一体の蜘蛛がやってくる。

 

???「どうした、シャーロット。」

シャーロット「いえ、貴方があんなに目を輝かせるのは初めて見たと思いましてね、ユーリ。」

ユーリ「ああ。アイツらは最高だ!この人界を救える可能性を秘めているのだから。」

シャーロット「この事は、マスターに伝えていますので、大丈夫ですよ。」

ユーリ「そうだな。しかし、奴らがカセドラルに着いたとしても、こちら側に上手く引き込めれば良いのだがな。」

シャーロット「そうですね。」

 

 もう、何度も同じ過ちは繰り返すわけには行かない。

 俺たちはそう決意する。

 




今回はここまでです。
ユーリは、ベルクーリとも交戦した事があります。
リョウガ・シンセシス・スリーは、仮面ライダーセイバーで登場した神代凌牙をモチーフにしています。
つまり、使っている武器は…………。
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