ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、現実世界での話です。
安田さんが動きます。


第24話 イチエモン

深澄side

 

2026年 7月6日 早朝

 

 私は、明日奈を起こさない様に外に出て、カルムとキリトの2人がいるSTLルームへと来ていた。

 無論、カルムを見る為だ。

 しばらくすると、明日奈もやって来た。

 

明日奈「深澄……。来てたんだね。」

深澄「うん。………来てもしょうがないとは思うんだけどね。」

明日奈「ううん………。私も同じ考えだから分かるよ、その気持ち。」

 

 そう言って、私の隣に立ち、キリトを見つめる。

 まったく、人を心配させて。

 

深澄「今、カルムとキリトはどうしてるんだろう………。」

明日奈「きっと大丈夫よ。キリト君は少し心配だけど、カルム君がしっかりしてるし。」

深澄「そうだね…………。」

 

 明日奈、無理してる。

 でも、私の目の前で弱気な姿は見せられないから、気丈に振る舞ってる。

 私も、あまり心配はかけない様にしないと。

 すると、明日奈が呟く。

 

明日奈「私もアンダーワールドにダイブして、キリト君を助けたいのに………。」

深澄「私も、カルムと会いたい。」

 

 この部屋には、STLが残り2基ある。

 それを使えば、私と明日奈もアンダーワールドにダイブして、2人の元に行ける。

 だけど、それは許可が降りないはず。

 そんな風に考えていると、私と明日奈から、ため息が出る。

 

明日奈「ちょっと、上行こうか。」

深澄「そうね。」

 

 私と明日奈は、コンソールがある上のエリアへと行こうとして、階段を登る。

 すると、誰かが降りてくる気配がする。

 

明日奈「あっ………。すいません。」

深澄「ごめんなさい。」

 

 私と明日奈はそう言って、道を譲り、上へと登るけど、とある事に気づいて人を見ると、人間じゃなかった。

 

明日奈「ねぇ、深澄。アレって………。」

深澄「うん。ロボットだよね………。」

 

 なんでこんな所にいるの?

 そんな風に呆気に取られていると、突然足を止めて、こちらに向かってくる。

 

明日奈「えっ!?深澄!どうにかして!!」

深澄「私に言われても!!」

 

 そのロボットは、搭載されたレンズで私と明日奈を見てくる。

 気味が悪くなり、壁に沿いながら移動するが、ロボットは追随してくる。

 本当になんなのよ!?

 そんな風に怯えていると。

 

安田「コラッ!」

比嘉「止めるッス、イチエモン!」

 

 声がして上を見ると、安田さんと比嘉さんが居た。

 その2人の声に反応して、イチエモンは動作を止める。

 その2人に、これが何なのかを聞く。

 

深澄「比嘉さん、安田さん。これ、何なんですか?」

比嘉「ええっと………。イチエモンッス。」

安田「正式名称は、エレクトロアクティブ・マッスルド・オペレーティブ・マシーン………。略すると、EMOM。」

比嘉「それに、1号機の1を合わせて、イチエモンッス!!」

明日奈「は、はぁ…………。」

 

 なんか、ダサいわね。

 それを自信満々に答える比嘉さんだから、命名者は比嘉さんという事になるわね。

 

安田「比嘉。流石にそのネーミングはどうかと思うんだがな。」

比嘉「だって、とても分かりやすいッスよね!?」

安田「分かりやすくても、ダサいぞ!」

比嘉「安田だって、そこまで良い名前が思いついていないじゃないッスか!」

 

 そんな風に言い争いをする安田さんと比嘉さんを止めるべく、明日奈が咳払いをしつつ質問をする。

 

明日奈「コホン………。それで、このイチエモンと何をしているんですか?」

比嘉「いや~………。」

安田「実は…………。」

凛子「比嘉君と安田君が私をプログラムのチューニングにつき合わせているのよ。もうゼミの先輩後輩でもないのに。」

「「凛子さん………!」」

凛子「おはよう、明日奈さん、深澄さん。昨夜はよく眠れたかしら?」

 

 比嘉と安田の言葉を遮り、下に降りてきた神代の姿にようやく安堵の声を上げる私と明日奈。

 そのまま話はイチエモンの話へと移ったのだけど…………。

 

凛子「やっぱりボトルネックはバランサーの処理速度ね………。予算はあるんでしょう?もっと早い処理チップは使えないの?」

比嘉「廃熱系とバッテリー消費を考えると、頭はここらが限界なんッスよ。」

安田「後はもうEAPアクチュエータのチューニングで追い込んでいくしか…………。」

凛子「大体、そのポリマー筋肉が前時代的なのよ!CNT使いなさいよ。そうすれば、もっと軽くなるでしょう?」

深澄「(明日奈……。今の話、分かった?)」

明日奈「(ううん………全然。キリト君かカルム君がいたら、説明できるかもしれないけど………。)」

 

 イチエモンに関する技術論争に熱くなる科学者3人の会話に置いてけぼりにされてしまう私と明日奈。

 かれこれもう10分程になる熱論はまだ終わりが見えず、降参とばかりに苦笑が漏れた。

 そんな私たちの様子に、神代も自分が熱くなりすぎていたことに気付き、振り返る。

 

凛子「………あっ。ゴメンなさいね、二人とも。聞いててつまらなかったでしょう?」

明日奈「いえ………。周りが賑やかな方が、キリト君とカルム君も嬉しいでしょうし。」

比嘉「これは、あのおっさんから作るよう言われたんッスよ。」

深澄「え?菊岡さんが?」

凛子「私にも、どこまでが本気なのか分からないんだけどね………。」

安田「あのおっさん曰く、アンダーワールド育ちのフラクトライトをこっちに招待するのなら、彼らにも動かせる体が必要だろう………。って事になってね。」

明日奈「じゃあ、このロボットは、AIを載せる為のものなんですか?」

 

 明日奈が比嘉さんと安田さんにそう聞くと、2人から否定の声が上がる。

 

比嘉「いえいえ、流石にこいつには載せないッスよ、明日奈さん。」

安田「コイツの他に、AI搭載用の2号機があってな。そいつはもっとスマートだ。」

深澄「2号機………?」

明日奈「ちなみに、その子のお名前は……?」

比嘉「ニエモンッス!」

深澄「…………そうですか。」

明日奈「そうですか。」

安田「ハァァァ…………。」

 

 まあ、確かに、イチエモンの外見を見ると、カナにパラド、ユイちゃんは、入る事を断固拒否しそうね。

 それを聞いた安田さんは、盛大なため息を吐く。

 

明日奈「さっき、AI搭載型はスマートになるって言ってましたけど、どうしてそっちの方がスマートになるんですか?」

 

 明日奈の質問に対して、神代博士は立ちながら説明をする。

 

凛子「ああ………。それは機械だけで人間の動きを再現しようとするとバランサー………沢山の機械やパーツが必要となってくるの。」

安田「人間の場合だったら、脳が勝手にバランスを取ってくれるけど、機械の場合はそれを代替して再現しようとした結果、必然的にボディが大型化してしまうんだ。」

深澄「………なるほど。つまり、頭が人工フラクトライトになれば、オートバランサーは人間と同じ性能があるから………。」

明日奈「その分の機械をつける必要がない……ってことですか?」

 

 私と明日奈の言葉に、開発者2人が答える。

 

比嘉「イエス!その通りッス!そうなれば、ほぼ完全な人型ボディを実現できる………といいなという妄想的な観測なんッスけどね……。」

安田「でも、開発部にある……ニエモンはシルエットだけで見れば、かなり人っぽいっぞ。」

凛子「そんなに自慢するのなら早く見せて……。ねぇ、比嘉君、安田君。そのニエモンは自立歩行はできないのよね?」

比嘉「へっ………?それはもちろんッス……。」

安田「一応CPUは載せてますけど、肝心の制御プログラムが空っぽですから。」

凛子「そう………そうよね………。」

 

 何か気になる事があったのか、神代博士の言葉が詰まる。

 けど、それも一瞬で、私と明日奈に声をかける。

 

凛子「明日奈さん、深澄さん。朝ご飯はもう食べたのかしら?」

明日奈「いえ、深澄を探しに真っ直ぐにここまで来ましたから。」

深澄「そういえば、朝ご飯まだだったわね。」

凛子「フフッ………。じゃ、一緒に食堂に行きましょうか?比嘉君と安田君はイチエモンとここで一緒に食べるらしいから。」

比嘉「エヘヘッ………!」

安田「では、ごゆっくり。」

 

 私と明日奈は、神代博士と一緒に、食堂へと向かう。

 その時に、2人の男性とすれ違ったけど、その際に明日奈が何かを考え込んでいた。

 

深澄「明日奈?どうしたの?」

明日奈「いや、さっきの人、どこかで会った事があるような気がして………。」

深澄「そうなの?」

明日奈「ううん。やっぱり気のせいだと思うから。」

 

 明日奈の反応が気になるけど、私たちは食堂へと向かっていく。

 

安田side

 

 俺は、比嘉と一緒にエナジーバーを食べていた。

 だが、俺には気になる事がある。

 

安田「比嘉。ちょっとトイレ行ってくる。」

比嘉「行ってらっしゃいッス。」

 

 そう言って、俺はメイン・コントロールルームから出て行き、とある人物の後を追う。

 その人物は、柳井という人物だ。

 俺は以前、暇潰しで、感情フィールドを見ていると、一つ気になる事があった。

 それは、右視覚領域に擬似痛覚を注入という外部命令があったのだ。

 これでは、せっかく人工フラクトライトが制限を突破しかけても、そのプロセスが痛みで消されてしまう。

 しかも、コードにクセがあった。

 それは、コード871。

 871とは何だろうと首を傾げたが、すぐに答えが導かれた。

 871………つまり、柳井。

 まさか、柳井が裏切り者なのか?

 そう思い、柳井の白衣を一度預かって、ネームタグを見ると、871と書いてあったのだ。

 これで確信を得た。

 そう思い、柳井のこれまでの履歴を確認してみると、何と、あの須郷伸之の部下なのだ。

 しかも、須郷は、あの忌まわしき研究を、アメリカに売ろうとした。

 つまり、アメリカとのコネを握っている可能性が高い。

 それを疑い、現在尾行中だ。

 すると、とある部屋に入る。

 一応仕掛けておいた盗聴器で内部の声を聞いてみると。

 

柳井「計画は順調です。あとは、オーシャン・タートルの近くを並走している護衛艦が離れるので、襲撃部隊は、オーシャン・タートルに襲撃して、私を拾って下さい。グロージェン・ディフェンス。」

 

 これで合点がいった。

 俺はすぐさま部屋から離れる。

 グロージェン・ディフェンスとは、アメリカの民間軍事企業だ。

 つまり、このプロジェクト・アリシゼーションのデータをアメリカに売るつもりだ。

 

安田「録音しておいて正解だったな。」

 

 これで、柳井を追放できる。

 だが、本当に来るのかも確認しておきたい。

 しばらく泳がせるか。




今回はここまでです。
柳井の裏切りに気づいた安田博士。
この行動が、今後どのような影響を与えるのか。
リバイスも、狩崎がデモンズに変身したり、遂にサンダーゲイルバイスタンプを使って、仮面ライダーリバイスになりますね。
次回は、公理教会に囚われたカルム達の話です。
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