ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、エルドリエとの激突です。


第26話 霜鱗の整合騎士

カルムside

 

 俺たちは、エルドリエ・シンセシス・サーティワンと交戦する事に。

 だが、こっちは、武器が碌なのが無いのに対して、向こうは剣と鞭を持っていた。

 すると、キリトが声を出す。

 

キリト「ユージオ、ケント。俺たちが前に出るから、合図を待っていてくれ。カルム、フォローを頼む。」

カルム「了解。」

エルドリエ「………その鎖を武器に戦うつもりなのかな?ならば、私も剣ではなく………こちらで相手をしよう。」

 

 キリトが鎖を鞭の要領で伸ばし、俺は鎖を指に絡ませて、ナックルみたいにする。

 まあ、ナックルを使った事なんてないんだけどね。

 すると、エルドリエは懐から鞭を取り出す。

 だが、鞭のデザインが普通の物と違う。

 何か………蛇の鱗みたいな………。

 エルドリエは、式句を言う。

 

エルドリエ「システムコール………エンハンス・アーマメント!!」

「「「「っ!?」」」」

 

 エンハンスは強化で、アーマメントは武装を意味する英語だろう。

 つまり、何かしらの強化が入っている可能性が高い。

 

カルム「キリト、気をつけろ!」

キリト「大丈夫だ。鞭との戦いならリーナ先輩に鍛えられたからな………。間合いに入らなければ、何も……。」

エルドリエ「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

カルム「危ねぇ!」

 

 俺は咄嗟にキリトを突き飛ばし、自身の鎖で防御する。

 だが、かなり吹き飛ばされ、鎖を見てみると、一部がごっそり削れ、リングが一つ千切れそうになっていた。

 

エルドリエ「ほう………。我が神器、霜鱗鞭の一撃を凌ぐか。」

カルム「どうも。」

 

 不味い、かなり強い!

 しかも、鞭使いとはあまり戦った事がないんだよなぁ………。

 キリト達が俺の元に来る。

 

キリト「大丈夫か!?」

カルム「大丈夫だ。」

キリト「悪い、俺が油断したばかりに……。」

カルム「謝罪は後だ。」

ユージオ「クラス38の鎖が………!」

ケント「アレが、武装完全支配術か………!」

キリト「ユージオ、ケント。俺たちがどうにかしてあの鞭を止めるから、2人は一撃を叩き込んでくれ。」

カルム「頼む。」

ユージオ「ああ。」

ケント「分かった。」

エルドリエ「相談は終わったかな、囚人君達。さあ、少しは私を愉しませてくれよ。」

 

 くそ、余裕だな。

 だが、こんな所で諦める訳にはいかない。

 腹を括るか。

 ケントとユージオが下がったのを見て、俺たちはすぐさま神聖術を発動する。

 

「「システム・コール!ジェネレート・サーマル・エレメント!」」

エルドリエ「システム・コール。ジェネレート・クライオゼニック・エレメント。」

 

 俺とキリトは、合計六つの熱素を生成して、エルドリエは凍素を5個生成する。

 そのまま、術式を繋げていく。

 

「「フォーム・エレメント、アロー・シェイプ!」」

エルドリエ「フォーム・エレメント、バード・シェイプ。カウンター・サーマル・オブジェクト。」

「「「ディスチャージ!」」」

 

 俺とキリトの神聖術が、エルドリエに向かっていき、エルドリエの神聖術が迎撃する。

 派手な煙が上がり、俺とキリトはエルドリエに向かって駆け出していく。

 エルドリエは鞭を振るってきて、俺とキリトはそれを躱す。

 だが、驚く現象が起こった。

 それは、鞭が2本に分裂したのだ。

 

カルム「なっ!?」

 

 俺とキリトは、鞭で腹を思いっきり叩かれ、キリトはダメージで動けなくなり、俺はギリギリ受身をとる。

 あんなのアリかよ………!?

 

エルドリエ「ふむ。やはりこれは買いかぶりだったかな?」

カルム「あまり舐めてると、痛い目を見ますよ。整合騎士さん?」

エルドリエ「威勢が良いね。なら、せめてもの情けだ。意識を刈り取ってあげよう。」

 

 エルドリエは、俺とキリトに止めを刺そうとする。

 すると、背後からユージオとケントが奇襲を仕掛ける。

 

「「ハァァァァ!!」」

 

 だが、エルドリエはすぐさま対応して、鞭で2人を噴水に飛ばす。

 だが、エルドリエがユージオとケントに意識を持っていった隙を逃さず、俺とキリトは駆け出していく。

 俺は、エルドリエに向かって、鎖の一部を投げ飛ばす。

 そう、これは、鎖を切った時にできた鎖のかけらだ。

 この世界は、オブジェクトが破壊されたとしても、すぐに消える訳ではなく、破片としてしばらくは残る。

 これを利用して、エルドリエの目に向かって投げつける。

 流石に気付いたのか、左頬に傷をつけたが、目への直撃は免れた。

 その隙に、俺とキリトは接近して、鎖を振りかぶる。

 エルドリエは、左手で受け止めたが、手の部分には鎧がなく、布で覆われているだけなので、ダメージは与えられただろう。

 そして、2人がかりで霜鱗鞭を掴み、エルドリエの動きを止める。

 

エルドリエ「買いかぶりと言ったのは、撤回しよう。よもや私に、これほどまでの手傷を負わせるとは。」

カルム「言っただろ。舐めてると痛い目を見るってな。」

キリト「…………そりゃどうも。」

エルドリエ「それにしても、その技………その戦い方、不思議と見覚えがある気がするな。」

キリト「へぇ………。前に俺と同じセルルト流の剣士と戦った事があるんじゃないのか?」

エルドリエ「ふ、そんな事はあり得ないのだよ囚人君達。言っただろう、私は1ヶ月前に整合騎士として、人界に召喚されたばかりだと。」

カルム「…………その召喚っていうのは………。」

 

 すると、俺は噴水の音がくぐもって聞こえたのに気がついた。

 恐らく、2人のサインだろう。

 

カルム「………なんだか、誰かにこの人界に呼び出されたみたいに、聞こえるな!」

 

 俺とキリトは、同時に鎖を引っ張る。

 エルドリエも、咄嗟に反応して、鎖を引き戻そうとするが、鎖が千切れる。

 

エルドリエ「なっ………!?」

 

 流石のエルドリエも、対応しきれずに体勢を崩した。

 その隙に、ユージオとケントが、噴水から飛び出してくる。

 

「「ハァァァァ!!」」

 

 2人の気合いの入った声と共に、鎖がエルドリエの後頭部に向かって振り下ろされる。

 だが、エルドリエから、短い術式が発せられる。

 

エルドリエ「リリース・リコレクション。」

カルム「!?」

 

 リリース・リコレクション。

 つまり、記憶を解放するという意味になる。

 どういう事だと首を傾げたが、意味はすぐに分かった。

 なんと、エルドリエの鞭が、蛇に変化して、ユージオとケントの鎖を咥えて、2人を地面に叩きつける。

 

ユージオ「うわぁァァァ!!」

ケント「くっ!!」

 

 2人は叩きつけられても、すぐさま動こうとするが、2人の眼前に、剣が向けられる。

 蛇は、いつの間にか消えていた。

 

エルドリエ「………アリス様が警戒する訳だな。型も何もない攻めだが………それ故に私の予測を上回り、《記憶解放》の奥義を使う事になるとはね。」

カルム「なるほど………。その鞭、元々は蛇だったんだな。」

エルドリエ「そういう事だ。」

 

 だとすると、かなり厄介だな。

 アレがもう一度使われたら、勝ち目があまり見えない。

 現状、俺とキリトの2人がかりで鞭を抑え、エルドリエは鞭を動かせず、ケントとユージオは、剣を突きつけられ、動けない。

 膠着状態だな。

 どうしたものかと悩んでいると。

 

ユージオ「貴方こそ………やっぱり流石だ、整合騎士殿。」

キリト「おい!」

カルム「何、感心してんだ。」

ケント「俺は、最初からどこかで聞いた名前だと思っていたが、漸く思い出した。この人は、今年の、ノーランガルス北帝国第一代表剣士。そして、四帝国統一大会の優勝者、エルドリエ・ウールスブルーグだ!」

カルム「な………!?」

 

 まさか、四帝国統一大会の優勝者!?

 通りで強い訳だ。

 そういえば、四帝国統一大会の優勝者は、整合騎士になるって言ってたな。

 だが、それだと先ほどのエルドリエの言葉に齟齬が発生する。

 エルドリエは、『1ヶ月前、整合騎士として人界に召喚された。』と言っていた。

 任命された、ならまだ分かるが、その言い方では、まるで…………。

 

エルドリエ「………私が、北帝国代表剣士、エルドリエ・ウールスブルーグ………?」

 

 すると、エルドリエから掠れた声がする。

 当の本人も驚いてるな。

 

ケント「そうです。あなたは流麗極まる剣術で全ての試合を一本勝ちで勝利したって、新聞の記事に書いてありました。」

エルドリエ「な、何を……何を言っている!?私は、この地に召喚された整合騎士、エルドリエ・シンセシス・サーティワンだ!?ウールスブルーグなどという名など知らん!?」

ユージオ「でも………!」

エルドリエ「知らん!知らんと言っている!」

 

 エルドリエは、動揺しながら頭を振りつつ、下がっていく。

 その際に、鞭を落としていた。

 

エルドリエ「わ、私は…最高司祭アドミニストレータ様によって31番目に召喚された騎士!!天界よりこの地に使わされた………整合騎士……のはず………うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

「「「「っ!?」」」」

 

 すると、エルドリエは絶叫し、額の所に、紫色の逆三角形の模様が浮かんだ。

 そして、額から三角柱と思われる何かが出てきた。

 

ユージオ「何だ………あれ………?」

ケント「分からない………。」

エルドリエ「あああぁぁ…………ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

カルム「エルドリエ!?」

 

 エルドリエは再び絶叫し、謎の物体から光が消えたと思ったら、意識を失う。

 その物体は、エルドリエから半分くらい出た所で止まっている。

 

ユージオ「な、何が………!?」

ケント「起こっているんだ………!?」

カルム「キリト。もしかして、アリスとイーディスが別人格になったのは………!」

キリト「ああ。アレが原因だろうな。」

 

 なら、調べる必要がある。

 エルドリエに近づこうとするが、謎の物体がエルドリエの頭に戻ろうとする。

 不味い………!

 すると。

 

キリト「エルドリエ!エルドリエ・ウールスブルーグ!!」

エルドリエ「……!」

カルム「止まった……!」

 

 そうか、本来の記憶を刺激すれば、アレが取れる可能性があるな!

 

カルム「ユージオ、ケント!この人の知ってる事をもっと言ってくれ!」

ユージオ「うん!」

ケント「分かった!」

 

 俺の言葉に頷いたユージオとケントは、エルドリエの記憶を刺激するべく、次々と言葉を紡いでいく。

 

ユージオ「エルドリエ!貴方は帝国騎士団将軍エシュトル・ウールスブルーグの息子だ!母親の名前は……確か………アルメラ………そう!アルメラだ!」

エルドリエ「ア………ルメ………ラ?」

ケント「そうだ!貴方はお母さんのために整合騎士になろうと必死に努力してきたのだろう!帝国統一大会の優勝記事でもそう答えていた!そのことを思い出すんだ!!」

エルドリエ「……かあ、さん………!」

 

 よし、後少しだ………!

 俺はエルドリエに向かって、更に声をかけようとすると、上空から嫌な気配を察して、少し離れる。

 すると、俺がいた場所に、矢が突き刺さっていた。

 

カルム「あっぶね………!」

キリト「上だ!」

 

 キリトの声に上を向くと、飛竜がいて、赤い整合騎士が乗っていた。

 しかも、矢を2本つがえていた。

 

カルム「やっべ!」

キリト「離れろ!」

 

 俺たちは矢を避けるべく、後ろへと飛ぶ。

 どうやら、エルドリエから俺たちを引き剥がす為の射撃のようだ。

 

???「罪人共よ!騎士サーティワンから離れろ!」

カルム「しまった………!」

 

 離された事により、エルドリエに刺さっていた三角柱は、引っ込んでしまった。

 だが、それよりも、上空の整合騎士だ。

 着弾した石畳が、かなり傷ついているのを見て、優先度がかなり高いと容易に想像がつく。

 

???「光輝ある整合騎士に堕落の誘いを試みた罪、最早許せぬ!四肢を射抜いてから牢に叩き返してくれるわ!!」

キリト「不味い!」

カルム「走れ!!」

 

 俺たちは、全力でダッシュする。

 背後から次々と矢が放たれては床を砕いていく様は、まるで当たったら痛いでは済まないことを証明しているようだった。

 

ケント「アレに当たったら、ひとたまりもないぞ!!」

カルム「それは分かるから、今はとにかく走れ!!」

 

 だが、状況はよろしくない。

 何せ、相手は上空からこちらを見ていて、丸わかりなのだ。

 このままでは、いつ命中してもおかしくない。

 庭園を駆け抜けるが、T字路に差し掛かった。

 

カルム(どっちだよ………!?)

キリト「皆、右だ!」

ユージオ「う、うん!」

ケント「分かった!」

 

 キリトの指示の元、俺たちは右に曲がる。

 その間にも、後ろには矢が石畳に突き刺さっていく。

 

カルム「おい!アレで何本撃った!?」

ケント「30本は軽く超えてるな!」

カルム「くそったれ!!」

ユージオ「キリト!行き止まりだよ!」

キリト「不味い………!」

 

 俺がケントに撃った矢の数を聞いて毒づいていると、ユージオの言葉が響く。

 先を見ると、行き止まりなのだ。

 すると。

 

???「おい、こっちじゃ!」

「「「「!?」」」」

???「何をしている!早く来い!!」

 

 少女と男性の声がすると思ったら、ドアが現れて、誰かが手招きをしていた。

 更に、ローブ姿の男性が現れる。

 その手には、一本の剣が握られていた。

 

カルム「と、とにかく!飛び込めぇ!!」

 

 俺たちは、そのドアへと飛び込む。

 その間に、男性が光を出して、上空の整合騎士の目を眩ませ、ドアに飛び込む。




今回はここまでです。
遂に、カーディナルとユーリが、カルム達と接触します。
2話連続でアンダーワールドに関する話と、刃王剣十聖刃の生まれた経緯などについて話します。
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