ソードアート・オンライン 紫紺の剣士   作:仮面大佐

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今回は、ユージオとケント戦です。


第41話 青薔薇の騎士と雷鳴の騎士

カルムside

 

 俺とキリトは、整合騎士となってしまったケントとユージオと戦う。

 お互いにソニックリープを放ち、鍔迫り合いとなる。

 ケントとユージオの成長に驚きつつ、問いかける。

 

キリト「…………何でだ。何で、そんなお前らが、《シンセサイズの秘儀》何かに負けちまったんだよ。」

カルム「2人が剣の修行をしたのは………ルーリッド村を旅立って央都セントリアを目指したのは、大事な幼馴染を、イーディスとアリスを取り戻す為じゃなかったのか!?」

「「………………。」」

 

 一歩も引かずに俺たちの剣を受け止めるケントとユージオは、引き結んだ唇を動かそうとしない。

 その後、ソードスキルが終了し、俺たちは斬り結んでいく。

 ケントとユージオは、鎧を着ているのに、動きが遅くなっていない。

 これが、心意なのか…………!?

 だが、今の2人の心の中には、何が存在しているのか。

 2人が整合騎士を目指す原動力になっていたのは、イーディスとアリスの為だ。

 魂に無理矢理刻まれたであろう、公理教会と最高司祭への忠誠心、それが全てではないと信じたい。

 俺とキリトは、2人に呼びかける。

 

キリト「…………ユージオ、ケント。」

カルム「今の2人は、俺たちの事を覚えていないだろうけど、俺たちと2人は、これまで本気で戦った事は、一度もないよな。」

「「……………。」」

 

 かつては、明るい緑色と茶色に煌めいていた2人の瞳は、光を失って、濃紺と黒色に見える。

 その2人の瞳を懸命に見詰めつつ、言葉を紡いでいく。

 

キリト「ルーリッドからセントリアへの旅の間も、央都で修剣学院に入ってからも、俺たちは何度も考えたよ。本気で剣を交えたら、一体俺たちとお前達のどちらが勝つのか、ってな。……正直に言うと、いつかはお前達に追い抜かれるだろうって、そう思ってた。」

「「……………。」」

カルム「…………でも、今はまだ、その時じゃない。俺とキリト、イーディス、アリス、ティーゼ、ロニエ、ルナ、シオリ、カーディナル、ユーリの事を忘れてしまった2人じゃ、俺たちには勝てない。それを証明してやる!」

 

 そう言って、俺たちはわざと力を抜いて、後ろに倒れ込む。

 そう、この技は、2人には教えていない。

 体術スキル、《弦月》。

 だが、どういう訳か、躱されてしまった。

 まさか、この存在に感づいたのか!?

 俺たちはすぐに離れ、体勢を立て直す。

 そこから、再び剣をぶつけ合う。

 そこからの戦いは、苛烈という言葉が相応しい状態になっていた。

 斬り結んでいるのだが、ケントとユージオの2人は、俺たちの剣技に悉く対応していくのだ。

 もう、どれくらい戦ったのだろうか。

 かなりの時間が経ったのだが、少し疲れが入ってきた。

 一度、鍔迫り合いになったが、ユージオとケントの2人が蹴りを入れてきて、バク転で後ろに下がる。

 

キリト「ユージオ、ケント…………。やっぱりお前達は強いよ。」

カルム「やっぱり、いつか追い越されると思ったけどな。」

ユージオ「無駄口を叩いた所で、容赦はしない。」

ケント「終わりにするぞ。」

 

 そう言って、ユージオとケントは、それぞれの剣を両手持ちにして、こちらに向かって走ってくる。

 青薔薇の剣は冷気を、雷鳴剣黄雷は雷を纏っていた。

 言葉通り、終わりにするつもりなのだろう。

 俺たちは、迎撃しようと身構えるが、そこに、アリスとイーディスの2人が剣を抜刀して、2人を迎撃する。

 

キリト「アリス!?」

カルム「イーディス!?」

ユージオ「何故、邪魔をする!?」

ケント「そこをどけ!」

アリス「はあっ!」

イーディス「せいっ!」

 

 アリスとイーディスが、それぞれの剣を振るい、ユージオとケントは大きく下がる。

 俺とキリトは、大声で叫んでいた。

 

キリト「馬鹿野郎!手を出すな!」

カルム「君達とユージオとケントは、ルーリッド村で育った幼馴染だ!そんな4人を、戦わせるわけには…………!」

アリス「ユージオは《アリス》の、ケントは《イーディス》の記憶を奪われたと考えるべきでしょうか?」

キリト「ああ。そう思う。最高司祭は、シンセサイズの秘儀で、2人の最も大切にしている人の記憶を奪ったはずだ。」

イーディス「でも、2人は私たちを見ても、動揺していないわよ。」

カルム「でも、だとしたら、2人は一体、誰に関する記憶を奪われたんだ………?」

 

 そんな風に長考していると、アリスとイーディスの声が聞こえてくる。

 

アリス「それを、私たち4人で確かめましょう。」

イーディス「ただ目にするんじゃなくて、剣をぶつけ合えば、2人の奪われた記憶を、刺激できるかもしれないわ。」

キリト「…………ああ、分かった。」

カルム「俺たち4人で、2人の目を覚まさせるぞ!」

 

 そうだ、大事な事を思い出した。

 俺たちは、これまで色んな人達と剣を通して語り合った。

 ミト、アスナ、リーファ、ハヤト、シノン、チェイス、ユウキ、ユージーン、アラン、クレハ、神山飛羽真。

 この世界に来てからも、タカトラ先輩、ユア先輩、リーナ先輩、ゴルゴロッソ先輩、エルドリエ、デュソルバート、ファナティオ、レイカ、四旋剣を初めとする整合騎士達。

 そして、俺たちの隣に立つイーディスとアリス。

 仮想世界の剣は、ポリゴンで出来たオブジェクト以上の意味を持つ。

 己の命を預けるが故に、刃に込められた物は、相手の魂にまで届く。

 憎しみから解き放たれた剣は、時として、言葉を超える交感を生み出す。

 俺はそう信じる!

 

キリト「ユー…………ジオーーーーッ!!」

カルム「ケントーーーーッ!!」

 

 その叫びと共に、俺はケントに、キリトはユージオに向かっていき、イーディスは俺の、アリスはキリトの援護に回った。

 速く、もっと速く…………!

 俺とキリトが剣捌きを更に上げると、ケントとユージオは着いてきていた。

 だが、流石のケントとユージオも、一度に2人を相手にするのは、辛いらしく、若干反応速度が落ちてきていた。

 俺が刃王剣十聖刃でケントの雷鳴剣黄雷を跳ね上げて、そこにイーディスが闇斬剣を構えながら突っ込んでいく。

 ケントは、すぐに躱す。

 キリトとアリスの方も、ユージオを押し始めていた。

 すると、ケントとユージオを覆っていた不可視の殻が、ひび割れていくのを感じる。

 あと少しだ…………!

 流石のケントとユージオも、ふらついていた。

 それは、俺とキリトもだが。

 

ユージオ「僕は…………負ける訳には…………行かないんだ…………!」

ケント「あの人の為に…………!」

キリト「俺たちも、お前達に負ける訳にはいかないよ、ユージオ、ケント。」

カルム「約束しただろう?最後まで………2人と一緒に、この塔を登るって!」

 

 俺とキリトはそう叫び、ケントとユージオに向かっていく。

 2人も、俺たちを迎え撃つべく、駆け出していた。

 

キリト「セアアアッッ!!」

カルム「ハァァァァ!!」

ユージオ「ウォォォォ!!」

ケント「ハァァァァ!!」

 

 俺たちは駆け出して、それぞれの剣をぶつけ合う。

 すると、視界が白く染まり、とある風景が目に入る。

 それは、幼いユージオ、ケント、アリス、イーディス、キリトと共に駆けている俺だ。

 どうやら、キリトも同様のようだ。

 

キリト「今のは…………ルーリッド村で見た………!」

カルム「まさか…………!俺とキリト、ユージオ、ケント、アリス、イーディスは………!」

ユージオ「知らない………!知りたくない…………!」

ケント「もう、これ以上は………!」

 

 ユージオとケントも、少し様子が変だった。

 俺とキリトは叫ぶ。

 

キリト「ユージオッッ!!」

ケント「ケントッッ!!」

ユージオ「おおおおッ!!」

ケント「ハァァァァ!!」

 

 俺とキリトが叫ぶと、ユージオとケントも叫びながら駆け出してくる。

 再び剣を撃ち合うと、また、新たな光景が目に浮かんでくる。

 それは、ある日の春が近づいた頃の話だ。

 

アリス「ほら、手がお留守よ、キリト、カルム。」

イーディス「ほら、私たちの方はもうすぐ出来るわよ。そっちはどうなの?」

キリト「俺の方が速いさ。もうあとこんだけだ。」

カルム「俺も、あと少しだ。」

アリス「じゃあ、あと少し頑張って仕上げちゃいましょう。」

イーディス「そうね。」

カルム「ああ。」

キリト「うーん。」

 

 俺とキリトとアリスとイーディスは、ユージオとケントの2人に内緒でとある作業をしていた。

 

キリト「なぁ………そろそろ戻ろうぜ。バレちゃうよ。」

カルム「確かに。もう午後になるしな。」

アリス「まだ大丈夫よ。」

イーディス「もう少し………もうちょっとだけよ。」

キリト「しょうがないなあ。」

カルム「じゃあ、ほんとにあと少しだぞ。」

 

 俺たちは頷き合い、互いの作業に没頭する事数分くらい。

 

「「でーきた!」」

キリト「出来たぞ!」

カルム「こっちも出来たぞ!」

 

 俺たちが発した声に、背後でがさがさと草を踏み分ける音が重なった。

 慌てて手の中の物を背後に隠しながら振り向くと、ユージオとケントが居た。

 

ユージオ「なんだ、4人とも朝から見かけないと思ったら、こんなとこに居たのか。」

ケント「一体、何をしてたんだ?」

 

 俺たちは、首を縮めつつ、顔を見合わせる。

 

アリス「ばれちゃったわねぇ。」

イーディス「少し早いけど………ユージオ、ケント、誕生日、おめでとう!!」

 

 アリスとイーディスは、満面の笑みを浮かべて、白竜の刺繍入りの鞘に収められた白金樫製の小剣を2人に渡す。

 2人は、それを見て、とても驚いていた。

 

ユージオ「え…………これ、僕たちに………?」

ケント「こんな、凄い物を………!?」

キリト「ユージオ、ケント、前に、父ちゃんに買ってもらった木剣を折っちゃったって言ってたろ?」

カルム「そりゃ、2人のお兄さんが持ってるみたいな本物には負けるけど、でもこいつは、雑貨屋に売ってるどんな木剣よりも凄いんだ!」

 

 おずおずと伸ばした両手で小剣を受け取ったユージオとケントは、その重みに驚いたように体を反らせ、次いで、アリスとイーディスに負けないくらいに微笑んだ。

 

ユージオ「ほんとだ………これ、兄ちゃんの剣よりも重いよ!凄いや………僕…………僕、大事にするよ。」

ケント「俺も、大事にする。ありがとうな、4人とも。嬉しいな………。こんなにも嬉しい誕生日の贈り物、初めてだ………。」

 

 そう言って、2人は泣いてしまう。

 

キリト「お、おい!泣くなよ!」

カルム「喜んでもらって、良かった!」

 

 そこで、視界はセントラル・カセドラルへと戻っていた。

 そうだ、全部思い出した…………。

 

キリト「…………思い出したよ………ユージオ、ケント…………。俺たちが初めて会ったのは、2年前…………あのギガスシダーの前じゃない。」

カルム「…………もっと昔…………。幼い頃に、俺たちはルーリッド村で、大切な幼馴染と、同じ時を過ごした…………。ユージオ、ケント。そして、アリスとイーディスと。」

キリト「何故…………こんな大切な記憶を………俺たちは忘れていたんだ………。北の洞窟への冒険も………アリスとイーディスが禁忌を犯した瞬間も………。」

カルム「…………そしてあの時、2人が整合騎士デュソルバートに連れ去られたその場所に、俺たちは居たんだ…………。」

キリト「お前たちだけのせいじゃない。お前たちだけの責任じゃない。」

カルム「『イーディスとアリスを取り戻す。』それは、ユージオとキリト、そして、ケントと俺の目的だったんだ。…………やっぱり、俺たちは、2人と会う為にここへ来たんだ。ケント、ユージオ。」

ユージオ「キリ………ト…………?ア…………リス………?」

ケント「カルム…………?イーディス………?」

 

 2人はそう呟く。

 つまり…………!

 

キリト「ユージオ、ケント!」

カルム「2人とも!思い出したのか!?」

ユージオ「ああ。…………僕も……………思い出したよ。」

ケント「俺もだ。」

キリト「ユージオ!」

カルム「ケント!」

 

 2人は思い出したのだ!

 嬉しさのあまり、俺たちは2人に駆け出していく。

 すると、アリスとイーディスが、警告の声を上げる。

 

アリス「キリト!」

イーディス「カルム!」

「「リリース・リコレクション。」」

 

 その術式は、記憶解放術………!?

 そう思っている中、俺とイーディスは鎖に、キリトとアリスは氷に閉じ込められる。

 

キリト「ユージオ………なんで…………!?」

カルム「ケント…………!?」

ユージオ「ごめんよ、キリト………アリス………カルム…………イーディス。」

ケント「俺たちを、追わないでくれ。」

キリト「…………!ユージオ!!」

カルム「ケント!!」

 

 俺たちの悲痛な叫び声が響く中、ユージオとケントは、最上階へと向かっていく。




今回はここまでです。
戦闘の展開は、アリシゼーション・リコリスをベースにしています。
次回は、ケントの心情です。
少し、活動報告に、とある物を入れたので、ぜひ見てください。
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