カルムside
最高司祭アドミニストレータは、チュデルキンの纏う炎に焼かれて、消えた。
キリト「アリス………イーディス………カーディナル………ユーリ…………。」
アリス「はい。」
イーディス「うん。」
カルム「俺たち、勝ったんだよな?最高司祭アドミニストレータに。」
カーディナル「うむ。」
ユーリ「ああ。」
そう言ったカーディナルは、術式を唱えていく。
すると、俺とキリトが持っていた雷鳴剣黄雷と青薔薇の剣が光りだし、ケントとユージオが分離する。
キリト「ユージオ、ケント!大丈夫なのか?」
ユージオ「キリト、カルム。僕は大丈夫だよ。」
ケント「ありがとうございます、カーディナルさん。」
カルム「ケント………!」
アリス「良かったわ………!」
イーディス「ええ………!」
ユージオ「アリス………!?」
ケント「イーディスも、口調が少し変わったか………!?」
アリスとイーディスの口調が少し変わった事に驚く、ユージオとケント。
俺は、2人に事情を説明する。
それは、ソードゴーレムへと変えられた人を救う際に、記憶の欠片の幼い2人が、整合騎士としての2人と融合する事を提案して、整合騎士の方のアリスとイーディスも了承して、融合した事を。
カルム「つまり、今の2人は、ルーリッド村での記憶が残りつつ、整合騎士としての記憶もある状態って事だ。」
ユージオ「そうなのか………!」
ケント「ありがとう、カルム………!」
アリス「8年ぶりね、ユージオ、ケント。」
イーディス「ただいま!」
そう言って、アリスはユージオに、イーディスはケントに抱きついて、ユージオとケントは泣いていた。
キリト「そうだ、カーディナル………!俺たちは、ここに来た理由が………!」
カーディナル「落ち着けい、キリト。ほら、見てみるのじゃ。」
ユーリ「お前達が守った世界だ。」
そう言って、窓のほうを指差す。
どうやら、アドミニストレータの術は解除された様で、外には、夜の人界が映っていた。
「「俺たちが………。」」
「「守った…………。」」
「「世界…………。」」
俺とキリト、アリスとイーディス、ユージオとケントの順番で言うと、俺とキリトの目からは、涙が溢れてくる。
ユージオ「キリト、カルム………?」
ケント「もしかして、泣いてるのか?」
キリト「泣いてなんかないよ!大体、誰のせいだと思ってるんだ………!」
カルム「もし、2人が死んだり、剣になったまま戻れなかったらって思うと………!」
キリト「だから、勝手に行こうとするなよ!」
ユージオ「大丈夫だよ、キリト、カルム。」
ケント「ああ。俺たちは、ここに居る。それに、2人が俺たちと一緒に戦ってくれた。だから、アドミニストレータを倒せたんだ。」
カルム「当たり前だろ。いつだって、俺とケント、キリトとユージオは一緒に冒険してたんだから………!」
俺は、そう言って泣いてしまう。
その後の言葉は、キリトが引き取ってくれた。
キリト「これまでも、これからも、変わらないんだ。」
ユージオ「そうだね。」
ケント「こうして見ると、毎晩見ていた夜空の星を思い出すな。ここから見る星空も、変わらないんだな。」
アリス「うん。」
イーディス「綺麗よね………。」
ケントの言葉に、アリスとイーディスが頷く。
ユージオ「世界は僕が思っている以上に小さくて………。例え離れていても、この夜空で繋がっているんだ。」
キリト「ああ…………。」
ケント「どんな時も、見上げれば夜空はそこにあって、俺たちを優しく見守って、包んでくれたんだ。」
ユージオ「何だか、キリトの剣の輝きにも似てるなぁ………。そうだ!キリトの黒い剣、《夜空の剣》って名前がいいな………。どうだい?」
ケント「確かに、キリトとその剣なら、出来るのかもしれないな。この小さな世界を、夜空の様に優しく包み込む事が。」
カルム「《夜空の剣》か………。良い名前だな。」
キリト「ああ………!ありがとう、ユージオ、ケント。」
アリス「どうやら、ユージオには命名の才能があるみたいね。」
イーディス「確かに、キリトと違って。」
キリト「おい。何で最初から俺に命名の才能が無いって、決めつけて掛かってくるんだよ。」
カルム「だって、キリトに命名の才能が無いのは、分かってる事だろ。当初は、黒いのとしか呼んでなかったんだから。」
キリト「解せぬ…………。」
俺の追い討ちに、キリトは少し拗ねてしまう。
それを見て、穏やかな雰囲気になる。
ユージオ「それにしても、君達はずっと、この夜空みたいに僕達のそばにいてくれたんだね。」
ケント「確かにな。俺たちの魂には、カルムとイーディス、キリト、アリスの思い出が刻まれていた。だから、俺たちは孤独じゃなかったんだな。」
キリト「…………ああ。思い出が消え去る事はないんだ。」
カルム「ああ。思い出は、ずっと魂の中にあるからな。」
アリス「そうね。私とイーディスも、ずっとあなた達を見守ってたんだから。」
イーディス「そうね。」
その後、俺たちは、一番光る星を探している中、俺はとある事を思っていた。
俺たちは、確かにアドミニストレータを倒した。
だからといって、最終負荷実験が止まる事は無い。
これから先に何が待ち受けているのかは分からない。
それでも、この世界は、確実に変わっていくのだろう。
人々の魂が悩み、迷いながらも、輝く事が出来る世界へと。
すると、カーディナルに声をかけられた。
カーディナル「キリト、カルム。いつまで呆けてるつもりじゃ。お主らにはまだ、やるべき事があるじゃろ?」
キリト「やるべき事………。」
カルム「そうだな…………。」
俺とキリトは、アドミニストレータが出したシステム・コンソールの前へと来る。
アリス「これは一体………?」
イーディス「なんなの…………?」
キリト「これは………外の世界と繋がる為の道具だ。」
ユージオ「外の世界…………。」
ケント「アドミニストレータは、お前達の事を、向こう側の人間と言っていた。教えてくれ。お前達は何者なんだ?」
ケントの質問に、俺とキリトは顔を見合わせて、俺が代表で答える。
カルム「俺たちは…………アドミニストレータの言う通り、この世界の人間じゃ無い。この世界の外側にある別の世界………リアルワールドという場所からやって来たんだ。」
ケント「つまり、記憶がないっていうのは………。」
カルム「ごめん、嘘だ。」
キリト「………でも、どうして俺たちがこの世界に連れて来られたのか、それについては、俺たちも分からないんだ。だから、リアルワールドと繋がるこの道具…………システム・コンソールを目指して、ここまでやって来た。」
カルム「ケント、ユージオ…………今まで黙ってきて、済まなかった!!」
俺とキリトは、2人に頭を下げる。
すると、ユージオの声が聞こえる。
ユージオ「…………いいよ、許す。」
キリト「ユージオ…………。」
ケント「2人がどこから来たかなんて、俺たちには関係ない。2人がいなかったら、俺たちはルーリッドの村を出ずに、イーディスとアリスを助けられなかった。ありがとうな、カルム、キリト。」
カルム「………こちらこそ、ありがとうな。2人が居なかったら、俺たちもここまで来られなかったよ。」
ユーリ「話は済んだのか?」
カーディナル「問題はまだまだあるぞ。」
そうだ、問題はまだある。
最終負荷実験の事に関してもだ。
俺とキリトは、システム・コンソールの前に立ち、キリトがコンソールを起動して、ラースのスタッフを呼び出す。
キリト「菊岡さん………!!」
カルム「早く出ろ!!」
だが、変な音が流れて来た。
それは、カタタタ、カタタタタ、という、歯切れの良い破裂音。
この音は、GGOで聞いた、サブマシンガンかアサルトライフルの音だ。
誰かが、戦争系の映画でも見ているのか?
そう思ったが、聞こえて来た声で、違うと思った。
???『…………ダメです、A6通路、侵入者に占領されました!後退します!!』
???『A7で何とか応戦しろ!システムをロックする時間を稼げ!!』
何が起こっている、ラースで?
俺が首を傾げる中、知らない声が、知っている名前を出す。
???『菊岡二佐、もう限界です!メインコンは破棄して、耐圧隔壁を閉鎖します!!』
菊岡『すまん、あと2分耐えてくれ!今、ここを奪われるわけにはいかん!!』
本当に、何が起こってるんだ?
俺とキリトが顔を見合わせて動揺する中、再び菊岡の声がする。
菊岡『比嘉くん、安田くん、ロックはまだ終わらないのか!?』
比嘉『あと八…………いや、七十秒ッス………。』
安田『これは………!菊岡さん!中から呼び出しだ!違う!アンダーワールドからだ!これは………!桐ヶ谷君と小野君だ!!』
菊岡『な………何ぃっ!?』
そう言って、菊岡がマイクを掴んで、叫ぶ。
菊岡『キリト君、カルム君、いるのか!?そこに居るのか!?』
キリト「そうだ!いいか菊岡………!あんたは………あんたのした事は………!!」
菊岡『謗りは後で幾らでも受ける!今は僕の言葉を聞いてくれ!!』
カルム「俺も、言いたい事は山ほどありますけど、ひとまず、そっちはどう言う状況なんですか!?」
俺がそう叫ぶ。
本当にどういう状況だ………!?
菊岡『済まないが、時間がない!キリト君にカルム君、アリスとイーディスという名の少女と、ユージオにケントという少年を探して保護してくれ!そして………!』
キリト「探すも何も、今ここに居る!」
カルム「ああ!俺たちと一緒に居る!」
菊岡『何だって………!?』
比嘉『奇跡ッス!!』
安田『嘘だろ………!?』
俺たちから、アリスにイーディス、ユージオ、ケントと一緒に居るという事を菊岡に伝えると、更なる指示が飛んでくる。
菊岡『よし………この通信が切れ次第、FLAを1000倍に戻すから、4人を連れてワールドエンドオールターを目指してくれ!』
キリト「目指してくれって………!」
カルム「いきなりそんなことを言われても…………!?」
菊岡『時間がないんだ!いいか!オールターは東の大門から出て、ずっと南へ………!』
???『不味い!!』
菊岡の指示を遮った男の人の声は、逼迫していた。
男の人『奴ら、電気室へ侵入しようとしています!?』
菊岡『何ィ!?』
比嘉『ヤバいッスよ、菊さん!?もし奴らが主電源ラインを切断したら、サージが起きる!ライトキューブクラスターは保護されてますが、サブコンの桐ヶ谷君と小野君のSTLに過電流が流れ込んで………このままじゃフラクトライトが焼かれちまいます!?』
カルム「おい、何か不穏な単語が聞こえたぞ!」
菊岡『っ………!ここのロック作業は僕がやる!2人は、神代博士と明日奈君、深澄君を連れて、アッパーシャフトに退避して、2人を保護してくれ!!』
キリト「アスナ………?」
カルム「ミト………!?」
まさか、ラースに来てたのか!?
どういう事かと首を傾げると。
男の人『ダメだ………電源、切れます!!スクリューが止まります!!』
すると、カセドラルの天蓋を突き抜けて、無数の光が落ちてくる。
何か嫌な予感がする。
それが当たると、何か、魂に攻撃をくらった様な感じがする。
すると、刃王剣十聖刃が光り、魂への攻撃が柔らぐ。
何が起こってんだ………!?
そういえば、さっき比嘉さんが、俺たちのフラクトライトが焼かれるとか言ってたな…………!
横を見ると、キリトが倒れていた。
だが、俺も意識を失って倒れる。
今回はここまでです。
キリトは、心身喪失状態に………。
カルムは、刃王剣十聖刃のおかげで助かりました。
何故、キリトが心身喪失状態になったのかは、今後明らかになっていきます。