ケントside
キリトとカルムが、そのシステム・コンソールに声をかけていると、緊迫した声が聞こえて来て、しばらくすると、カルムとキリトが、突然倒れる。
俺たちは呆気に取られていたが、すぐに2人の元に行く。
ユージオ「キリト!」
ケント「カルム!」
アリス「どうしたのよ………!?」
イーディス「分かんない………!」
ユーリ「カーディナル、分かるか?」
カーディナル「今調べてる最中じゃ!」
俺たちは、カルムとキリトに呼びかける。
だが、キリトは何も反応をしない。
カルムは、少し唸っていた事から、気絶しているだけらしい。
ユーリ「どうだ………!?」
カーディナル「分からん………!どうやら、何らかの神聖術が行使されたようじゃが……。まずは、2人を安全な所に運ぶぞ。」
ユージオ「分かりました。」
ケント「ただ、カルムの場合は、少し反応があるのに、キリトは何にも反応しないのは、どういう事だ?」
ユーリ「2人を安全な場所に運び次第、この公理教会を立て直すぞ。」
アリス「はい………。」
イーディス「ええ………!」
すると、誰かが這い上がるような気配を感じる。
???「おいおい………!」
???「これは、一体どういう事が起こったら、こうなるんだ?」
ユージオ「あなたは………。」
ケント「まさか…………。」
アリス「小父様………!」
イーディス「リョウガまで………!」
そこに居たのは、整合騎士長ベルクーリと、騎士長補佐のリョウガだった。
どうやら、2人はディープ・フリーズが解けた様だな。
2人は、どこか安堵するかの様な表情を浮かべる。
ベルクーリ「おう、アリスの嬢ちゃんにイーディス。無事で良かったぜ。」
リョウガ「お前達も、無事なようだな。」
ユージオ「………はい。」
ケント「………そうですね。」
ベルクーリ「おい、そう警戒するなよ。」
リョウガ「今は、お前達と剣を交える気はない。」
アリス「小父様とリョウガ殿は、体は大丈夫なのですか………!?」
イーディス「大丈夫?」
ベルクーリ「おう。嬢ちゃん達が立ち去ってから、しばらくすると術が解けてな。」
リョウガ「元老長を討ち取ったのではと思い、最上階まで来たのだが、入れなくて、しばらく立ち往生していたが、入れるようになり、入ってきたら、この有様という事か。」
どうやら、カルム達は、石にされたリョウガさんとベルクーリさんと会っていたみたいだな。
すると、ベルクーリさんとリョウガさんは、ユーリを見る。
ベルクーリ「お、ユーリじゃねぇか。」
リョウガ「やはり、貴様も協力していたのだな。」
ユーリ「ああ。俺は、この歪んでしまった世界を正すべく戦ったのだ。」
そういえば、この3人は、一体どういう関係なのだろうか?
そんな風に首を傾げていると、ベルクーリさんとリョウガさんが尋ねてくる。
リョウガ「………さて、それじゃ聞かせてもらおう。一体ここで何があった?最高司祭陛下とチュデルキンはどうなった?」
ベルクーリ「そして…………あの坊主たちの近くにいる者が何者なのか、な………?」
ユージオ「………分かりました。」
ケント「話します。」
俺とユージオ、アリス、イーディスは、何があったのかを2人に説明していく。
カルムとキリトの側にいる人はカーディナルといい、もう1人の最高司祭である事。
カーディナルが、アドミニストレータの独裁を憂い、俺たちに力を貸してくれた事。
アドミニストレータが、整合騎士から奪った記憶の欠片と人界に住む人を犠牲にして作り上げたソードゴーレムなる物の事。
追い詰められるが、カルムとキリトの尽力により、アドミニストレータを撃破したことを、2人に話す。
ベルクーリ「そうか………。」
リョウガ「なるほどな…………。」
2人は、死者を弔うかの様な表情を浮かべる。
不信感を抱いていたとはいえ、長くアドミニストレータに仕えて来たのだ。
何かしら、思う事があるのだろう。
アリス「小父様………?リョウガ殿………?」
イーディス「大丈夫?」
ベルクーリ「いや、気にするな。」
リョウガ「まさか、最高司祭陛下が討ち取られて、あの方が、もう1人の最高司祭とはな。」
そう言って、ベルクーリさんとリョウガさんはカーディナルさんを見つめる。
カーディナルさんは、視線を気にせず、俺たちに指示を送る。
カーディナル「兎に角、2人を休ませねばな。どこか、休めそうな場所はあるか?」
アリス「それなら、下の階に、休息室があります。」
イーディス「そこなら、2人を休ませるのには丁度いいでしょ?」
カーディナル「うむ。では、今からその部屋に繋ごう。」
カーディナルさんが、杖を床に叩くと、ドアが出現して、扉が開かれる。
中を見てみると、ベッドが並ぶ休息室らしき部屋へと繋がっていた。
カーディナル「ユージオ、ケント。2人をこの部屋に連れて行ってくれ。アリスとイーディスも、2人を手伝ってくれ。」
アリス「分かりました。」
イーディス「でも、騎士長とリョウガはどうするの?」
ベルクーリ「俺たちは心配すんな。」
リョウガ「それより、お前達も疲れただろう?俺たちは、もう1人の最高司祭とユーリから話を聞いておく。お前達は休んでおけ。」
アリス「分かりました。」
イーディス「………ケント、ユージオ、私たちを手伝って。」
ユージオ「う、うん………。」
ケント「分かった。」
俺とイーディスでカルムを、ユージオとアリスでキリトを肩で背負って、その扉の先へと進む。
俺たちが通ると、扉は消えてしまった。
それぞれで協力しながら、2人をベッドで休ませる。
全く、無茶しやがって。
イーディス「………ケント?」
ケント「……ん?どうした?」
イーディス「カルムとキリト、目を覚ますよね?」
ケント「分からない。でも、俺は2人が目を覚ますと信じる。」
イーディス「そうね………。」
そう言って、イーディスは俺の肩に頭を乗っける。
俺が首を傾げていると。
イーディス「ね、久しぶりに、こんな風にしてて良い?」
ケント「ああ、良いぞ。」
イーディス「ありがとう………。」
そう言った後、イーディスから寝息が聞こえてくる。
どうやら、先ほどまでの戦いの疲労がきたようだな。
ユージオとアリスの方を見ると、俺とイーディスと同じような状況になっていた。
すると、俺も眠たくなって、意識を手放す。
ユーリside
さて、どう話したものか。
ユージオ達が立ち去ってから、俺とカーディナル、ベルクーリ、リョウガの話が始まる。
ベルクーリ「さて、どういう事か、話してもらおうか?」
カーディナル「そうじゃのう……。それと、アドミニストレータとの戦いで、体力を消耗してしまったのでな。座りながらで構わんか?」
リョウガ「構わな………構わないですよ、もう1人の最高司祭様。」
カーディナル「敬語は使わなくてよい。」
そうして、俺たちは、座れそうな瓦礫を見つけて、そこで話を始める。
ユーリ「2人は、カーディナルの事を信じてくれたのだが、どうやら、お前達は半信半疑といった所だろうな。」
ベルクーリ「ああ。あの2人の坊主から話を聞いて、俺たちは戸惑ったさ。」
リョウガ「だが、イーディスはともかく、あの堅物のアリスが信じているのだ。それに、あの様な神聖術を目の当たりにすれば、納得せざるを得ないしな。」
ベルクーリ「それにしても、アリスの嬢ちゃんとイーディス、少し雰囲気が変わったか?」
ユーリ「そうだな。俺からも、整合騎士の秘密を語るとしよう。」
そうして、俺は整合騎士の秘密を語っていく。
だが、2人は余り驚いていなかった。
どうやら、ユージオとケントが話していたみたいだな。
ベルクーリ「まさか、あの2人の坊主………いや、ユージオとケントから聞いた事と全く同じとはな。」
リョウガ「つまり、真実という事か。」
カーディナル「うむ。わしに対抗するべく、駒として、整合騎士を生み出した。………じゃが、クィネラは、それだけで満足しなかった。」
ベルクーリ「ユージオとケント達が言ってた、剣の人形って奴か?」
リョウガ「確か、ソードゴーレムと言っていたな。」
ユーリ「ああ。クィネラは、ソードゴーレムがあれば、ダークテリトリーすらも蹂躙できると高を括っていた。その結果、整合騎士達の大切な人達三百人が、犠牲になった。」
ベルクーリ「………俄には信じられねぇ話だな………。」
リョウガ「そうだな………。」
それはそうだな。
長年仕えてきた人が、そんな事をしていると知ったら、信じられないよな。
だが、意識を変えたようだな。
ベルクーリ「つまり、最高司祭陛下は……。」
カーディナル「………カルムとキリトの連携で重傷を負い、逃げようとしたが、チュデルキンに止めを刺された。」
リョウガ「なるほどな………。さて、レイカ達にはどのように説明するかな………。」
ユーリ「だが、隠すことは不可能だ。アドミニストレータとチュデルキンが倒れたとは言え、ダークテリトリーの侵攻がなくなった訳じゃない。」
そう、究極の課題がまだ残っているのだ。
ダークテリトリーからの侵略。
ベルクーリ「それは、俺たちも懸念しているんだが………。闇の軍勢が攻めてくるのは、後、どれくらいなんだ?」
ユーリ「恐らく、半年後………または一年後に、闇の軍勢が攻めてくるだろうな。」
リョウガ「時間がないか………。」
カーディナル「ああ。」
そう、余りにも時間がないのだ。
すると、ベルクーリとリョウガは、決意が満ちた表情を浮かべる。
ベルクーリ「それで、俺たちはどうすれば良いんだ?」
ユーリ「どういう意味だ?」
リョウガ「最高司祭とチュデルキンが倒れ、元老院も機能を停止。セントラル・カセドラルは現在、風前の灯だ。だからこそ、あなたに判断を仰ぎたい。」
カーディナル「………よいのか?わしらは、お主達の主人を殺した一派なのだぞ?」
その言葉に、ベルクーリとリョウガは、それぞれの剣を握るが、決して抜刀はしなかった。
リョウガ「…………そんな事をしている暇があるのなら、闇の軍勢の侵攻に備えるべきだと、俺は思う。」
ベルクーリ「そうだな。それに、幾ら偽りの存在であっても、俺たちの使命は、何ら変わらねぇからな。」
ユーリ「そうか。」
カーディナル「なら、お主らの判断に委ねるとしよう。」
ベルクーリ「分かった。」
リョウガ「そうさせてもらう。」
ユーリ「それはそうと、ファナティオとレイカを大図書室から出さないとな。」
カーディナル「そうだな。」
ベルクーリ「何………?」
リョウガ「………?」
その後、ベルクーリとリョウガは、大図書室からファナティオとレイカを連れて、現在、カセドラルに残っている整合騎士達に説明をしていた。
俺たちは、元老院へと来ていた。
ユーリ「酷い事をするものだな。」
カーディナル「そうじゃのう………。一先ず、わしが彼らを解放しよう。」
ユーリ「良いのか?」
カーディナル「問題ない。」
そんな風に話している中、ベルクーリとリョウガが、エルドリエを連れてやって来た。
エルドリエは、元老院の実態と氷漬けにされた騎士達を見て、驚いていた。
エルドリエ「こ、これは………!?」
ユーリ「これが、真実だ。」
エルドリエ「何者だ?」
ユーリ「俺はユーリ。光の剣士だ。」
ベルクーリ「エルドリエ。これを見て、まだ納得しないのか?」
エルドリエ「…………納得せざるを得ませんね………。」
リョウガ「いつ見ても、酷い光景だ。」
その後、エルドリエは、無理矢理納得したような表情を浮かべ、ベルクーリとリョウガと共に立ち去って行った。
その際に、カーディナルの事を聞いたが、それも無理矢理納得していた。
カーディナルが元老院の人物を解き放つと、安らかな表情を浮かべながら消えていった。
俺は、一度大図書室に戻り、聖剣を確かめていると、火炎剣烈火が光っていたのだ。
ユーリ「まさかな………。」
俺は、火炎剣烈火を手に、ケント達の下へと向かっていく。
何故、火炎剣烈火が光っているのかを確かめる為に。
今回はここまでです。
何故、火炎剣烈火が光ったのか、それは、次回明らかになります。
そして、次の次の話で、一旦、現実世界の話に入ります。
原作とは違う展開になります。