ケントside
俺が意識を手放してから、しばらくが経った。
目が覚めると、イーディスがいなかった。
俺は、ベッドに横たわっていて、少し寂しく感じてくる。
それにしても、イーディスが、整合騎士としての記憶を維持したまま、元に戻る事が出来るなんてな。
カルムのおかげだな。
だけど、当のカルムは、目を覚ましていない。
どうすれば良いんだ………。
すると。
カルム「うう………。イテテ………。」
そんな呻き声がして、後ろを振り向くと、カルムが起き上がっていた。
ケント「カルム!大丈夫か!?」
カルム「あ、ああ………。ケント、何で俺、ここにいるんだ?ていうか、アドミニストレータを撃破した直後の記憶が曖昧なんだけど。」
ケント「そ、そうなのか………。」
どうやら、記憶が一部消えてしまったのだろう。
だが、消えたのは、あくまでアドミニストレータを撃破した直後なのか。
ケント「無事でよかったよ。」
カルム「あ、ああ…………。そうだ、キリトはどうしたんだ!?」
ケント「………キリトは、お前と同じ時に気絶して、未だに目を覚まさない。」
カルム「何だって…………!?」
カルムは、驚愕の表情を浮かべて、キリトに近寄る。
すると、顔を悔しそうに歪める。
カルム「すまん………!」
ケント「お前の責任じゃない。」
カルム「ケント…………悪いな。」
ケント「気にするな。俺も、イーディスを救ってくれた恩があるからな。」
そんな風に話していると、ユーリ、アリス、イーディスがやって来た。
カルムが目を覚ました事に気がつくと、皆驚いていた。
アリス「カルム!目が覚めたのね!」
カルム「ああ。心配かけたな。」
イーディス「大丈夫よ。」
ユーリ「それより、カーディナルから、お前らの今後の扱いについて、知らせる事がある。」
ケント「今後の扱い?」
そう言って、ユーリは、椅子に座る。
その直後、ユージオも目が覚めたようで、ユージオも話を聞く体勢を取る。
ユーリが語ったのは、現状、俺たちは軟禁状態になるらしい。
カルム「軟禁か………。まあ、妥当だろうな。」
ケント「そうなのか………?」
アリス「とにかく、しばらくはここで大人しくしていてね?」
イーディス「そうそう、整合騎士の中でも、エルドリエとか、一部の整合騎士は、ケント達を処刑すべしとか言ってるから、あまり彷徨かない方がいいわよ。」
ユージオ「分かった。」
ユーリ「それと、カルム。お前に渡しておきたい物がある。」
カルム「俺に?」
ユーリは、そう言って、布包みを取り出す。
布を取ると、一本の剣が現れる。
それは、刀身自体は、俺の雷鳴剣黄雷とほぼ同じだが、俺の黄色い部分が、赤になっていて、柄の部分も、炎を思わせるような装飾がついていた。
カルム「これって………!」
ユーリ「ああ。火炎剣烈火だ。」
ケント「火炎剣烈火…………!」
ユージオ「でも、なんでカルムに火炎剣烈火を持たせるんですか?」
ユージオの、尤もな質問に対して、ユーリは答えた。
ユーリ「ああ。実は先ほど、大図書室に行って、聖剣を見ていたのだが、火炎剣烈火だけが光っていてな。まさかと思い、カルムに渡しに来たのだ。」
カルム「…………俺に?」
ユーリ「ああ。どうやら、長さが違う剣を2本持った時が、お前の本気だと分かったからな。これから先は、戦争が起きる。本気でかからないと、死ぬぞ。」
カルム「分かった。」
ユーリの言葉に、頷いたカルムは、火炎剣烈火を手にする。
しばらく振っていると。
カルム「うん。ものすごく手に馴染む。」
ユーリ「そうか。」
ケント「良かったな。」
アリス「じゃあ、私たちはちょっと出かけてくるわね。」
イーディス「整合騎士の間で、少し会議があるからさ。」
ユージオ「分かったよ。」
そう言って、アリス、イーディス、ユーリは立ち去っていった。
立ち去る前に、カルムを連れていった。
しばらくして、カルムが戻って来る。
すると、カルムが話しかける。
カルム「良いのか?」
ユージオ「え?」
ケント「何がだ?」
俺とユージオが首を傾げていると、カルムが少し呆れたように言ってくる。
カルム「ユージオはアリスと、ケントはイーディスと一緒に居たいんじゃないのか?」
ユージオ「………そりゃ、出来る事なら、一緒に居たいよ。」
ケント「だが、イーディスとアリスは、整合騎士としての仕事がある。あまり、負担は掛けたくないんだ。」
それを聞いたカルムは、呆れながらも、笑いながら言葉を放つ。
カルム「別に、良いんじゃないのか?」
ユージオ「え?」
ケント「どういう事だ?」
カルム「多分、イーディスとアリスも、ケントとユージオと一緒に居たいと思ってると、俺は思うよ。」
その言葉に、俺とユージオが首を傾げていると。
カルム「どうやら、お互いに思ってる事は同じってわけか。」
ケント「何か言ったか?」
カルム「いや、なんでもない。」
そんな風にはぐらかすので、止むなく追及を止める。
カルムside
はぁ、考えてる事は一緒か。
実は、イーディスとアリスが、会議場に向かう直前、俺を連れ出したのだ。
ユーリは、一足先に向かったが。
カルム「どうしたんだよ?」
アリス「実は、相談があるの。」
カルム「相談?」
イーディス「うん。………どうにかさ、私はケントと、アリスはユージオと一緒に居たいのよ。」
カルム「ふむふむ。」
アリス「どうにか出来ないかしら……?」
カルム「……………。」
そう言われたのだ。
どう答えたものかと悩んだ。
というか、どうしろと?
俺、軟禁されてる罪人だよ?
どうにも出来ないだろ。
アリス「………あ、別に、あなたにどうにかして欲しいって意味じゃないから。」
カルム「………なら、俺に聞く必要、なくない?」
イーディス「一応よ。」
カルム「さいですか。」
本当にどうしろと?
一応、案が無くは無いのだが、これは、あまりにも現実的ではない。
だが、一応、言ってみるか。
カルム「…………ならさ、いっその事、ユージオとケントの2人を、整合騎士にするのはどうだ?」
アリス「え?」
イーディス「………それ、本気?」
カルム「……………一応、思いついたから言ってみただけだ。」
ダメだよな。
いくらなんでも、罪人が整合騎士になるとか、絶対反発が凄い。
だが、アリスとイーディスは、俺を放って話していて、口を開く。
アリス「悪くない考えね。」
イーディス「そうね!ユージオとケントは、騎士長とリョウガを倒してるんだし!」
カルム「あれ…………?」
あれ?
何か、話が変な方向に行ってる気がするぞ。
俺、適当に言っただけだから!
すると、先に行った筈のユーリが戻って来ていた。
ユーリ「何の話をしている?」
アリス「あ、ユーリ殿。」
イーディス「実はね、カルムが、ケントとユージオを整合騎士にした方が良いんじゃないかって言ったのよ〜。」
カルム「やめて、適当に言っただけだから。」
ユーリ「最高だな!」
カルム「えっ。」
待って、ユーリまで賛同しないで!
これ、後で絶対怒られる奴だ。
やっちまった…………。
すると、ユーリが話しかけてくる。
ユーリ「カルム。暫くは、刃王剣十聖刃ではなく、火炎剣烈火を主体に戦え。」
カルム「それは良いけど、なんで?」
ユーリ「今回の記憶解放術で、刃王剣十聖刃の天命が大きく損耗した。暫く休ませろ。」
カルム「分かった。」
俺は、ユーリから忠告を受けた。
その後、アリスとイーディスがウキウキしながら、ユーリと共に、会議場へと向かう。
カルム「…………ユージオとケントには、決まったら言って、蹴られたら黙っておこう。」
俺はそう呟いて、部屋へと戻る。
そうして、今に至る。
イーディスside
私達は、カルムが提案した事を、騎士長、リョウガ、ファナティオ、レイカ、カーディナルに伝える。
すると、皆が驚くような表情を浮かべる。
ベルクーリ「なるほどな………。」
リョウガ「そう来るか…………。」
ファナティオ「しかし、良いのですか?」
レイカ「この様な事態は、初になるので、対応が難しいですね。」
カーディナル「じゃが、ベルクーリとリョウガを打ち破ったのは事実。実力は確かだ。」
そんな風に話し合っていた。
すると、1人の修道士が駆け込んできた。
修道士「せ、整合騎士様!」
ファナティオ「何事ですか?今は、騎士だけが参加を許される重要な会議の最中なのです。」
修道士「も、申し訳ありません!ですが、非常事態でして………!」
ベルクーリ「構わねぇよ。言ってみろ。」
その修道士が言った言葉に、私は首を傾げてしまう。
修道士「そ、それが………ええと………空から人が………!」
レイカ「空から人が?あまり我らを愚弄しない方が…………。」
修道士「ほ、本当なのです!上空から、セントラル・カセドラルの一階へ、突如、謎の2人の人物が舞い降りて来たのです!!」
リョウガ「その2人は、何と言っている?」
修道士「そ、それが、キリトとカルムという人物を、探しに来たと言っていまして…………!」
その言葉に、私とアリスは顔を見合わせる。
アリス「キリトとカルム………!」
イーディス「騎士長、リョウガ!」
ベルクーリ「ああ。」
リョウガ「何にせよ、油断するな。」
私とアリスは、その空から舞い降りた人物達の所に向かう。
今回はここまでです。
今回は、少し短めです。
次回、現実世界の話をやります。
間接的に、誰が降りてきたのかが、判明します。
そこで、安田博士が大活躍しますよ。
それにしても、ケントとユージオは、整合騎士にするべきか否かで悩んでいます。
カルムも、とんでもない事を言いましたね。