カルムside
カルム「凄いな………。」
俺は、そう呟いていた。
何せ、10人1組で組んだ拳闘士団が、巨大な破城槌の如く、アメリカ人プレイヤーを薙ぎ払っていたのだ。
しかも、拳闘士団はローテーションを行なっており、SAO攻略組の《スイッチ》よりも洗練されている。
イスカーン「感心してるだけじゃ困るぜ。このまま南に抜けたとして、その後はどうするんだ?あんだけの数の敵、いくら俺たちでもこの場で殲滅するのはちと難しいぜ。」
確かに。
拳闘士団の勢いは、現実世界の工事用重機の如くだが、側面から攻撃されて、崩される集団も現れている。
それに、アメリカ人プレイヤーは、未だに2万は居るのだ。
アスナ「…………敵陣を破って南へ抜けたら、そのまま一気に前進して敵から距離を取ってください。私がもう一度、地割れを作って敵を隔離します。」
ミト「アスナ………無理しないで………。」
アスナ「分かってる。」
あの地形操作は、アスナのフラクトライトに多大な負荷をかける。
そんな事は出来る事ならさせたくない。
キリトに顔向け出来ないしな。
だが、そうするしかないのだろう。
そう考えていると、伝令兵がこちらにやって来る。
伝令兵「伝令!整合騎士レンリ様とユーリ様より伝令であります!整合騎士アリス様が、敵総大将の駆る飛竜に拉致されました!飛竜はそのまま南に飛び去った模様………!!」
ミト「え…………!?」
カルム「やられた!まさか、アリスが一人で突っ込んだ所を狙うとは………!それで、誰か追撃してるのか!?」
伝令兵「はい!ユージオ様、ケント様、イーディス様、ベルクーリ様、リョウガ様が追撃しています!」
イスカーン「皇帝………が、飛び去った、だと。」
イスカーンは、ひび割れた声で応じる。
拳闘士団の長は、左目に異様な光を浮かべて、口を開く。
イスカーン「それで、さっき飛竜に………。ただの見物じゃなかったのか………!おい、お前!」
カルム「ん?」
イスカーン「アリスってのは、《光の巫女》だよな!?皇帝は何でそいつをこうも欲しがるんだ!?光の巫女が皇帝の手に落ちたら、一体何が起きるってんだよ!?」
カルム「…………。」
俺は、ミトとアスナにアイコンタクトをして、イスカーンに真実を伝えるべきだと判断する。
二人も同意してくれた。
カルム「この世界が滅ぶ。」
イスカーン「なっ…………!?」
ミト「暗黒神ベクタが、光の巫女アリスを手に入れて、《果ての祭壇》に至った時………この世界のありとあらゆる物が無に還るわ。」
本当に、RPGのセリフ染みてるな。
だが、これは事実だ。
《A.L.I.C.E》へと覚醒したアリス、追撃してるユージオ、ケント、イーディスが襲撃者達の元に渡れば、ライトキューブ・クラスターを破壊するのは確かだ。
もう、用済みという事で。
すると、近くにいたシェータが口を開く。
シェータ「飛竜も、永遠には飛べない。連続飛行は、半日が限界。」
イスカーン「なら、アンタらが気合いで追っかけるっきゃねぇな!!」
アスナ「追っかける、って………。」
ミト「そもそも、あなたはダークテリトリー軍の人でしょ?何でそこまで………。」
アスナとミトが呆然としながら聞くと、イスカーンは吐き捨てる様に言った。
イスカーン「皇帝ベクタは、俺たち暗黒界十侯の前で、確かに言ったんだ。自分の望みは光の巫女だけだ、そいつさえ手に入れれば後はどうでも知ったこっちゃねぇ、ってな。巫女を掻っ攫った時点で、皇帝の目的は達せられた………つまり、俺らの任務も一切合切終わった訳だ。後は、俺らが何をどうしようと………例え、皇帝から巫女を奪還しようとする人界軍に協力しようがこっちの自由、そうだろうが!!」
カルム「凄いな………。」
牽強付会だな。
だが、イスカーンの顔は、悲壮な決意の色に染まっていた。
イスカーン「俺は………俺たちは、皇帝に直接逆らえねぇ。どんなにクソッたれな命令をされても、それに従うことしかできねぇ………。あんたらと再び闘えと言われたら、闘うしかなくなる………。だから、俺たち拳闘士部隊は、ここであの赤鎧どもの侵攻を防ぐ!あんたらと人界軍は皇帝を追っかけてくれ………!そんで、皇帝を………あのくそったれ野郎を…………野郎に教えてやってくれ!俺たちは………てめぇの人形じゃねぇってな!!」
カルム「イスカーン………。」
すると、タイミング良く、拳闘士部隊の先頭が、アメリカ人プレイヤーの囲みを破り、荒野へと出たのだ。
すると、イスカーンは大声を張り上げる。
イスカーン「よぉし………!テメェら!その突破口を保持しろ!!アンタ達は早く脱出しろ!!そう長くは持たねぇ!!」
カルム「分かった!!」
シェータ「私も、ここに残る。」
ミト「………殿をお願いします。」
俺とミトはそう言い残して、人界軍と共にアメリカ人プレイヤーの包囲網を脱出する。
補給隊と合流して、カーディナルと今後の動きを相談する事に。
カーディナル「まさか、ベクタがその様な手を使うとはな………。」
カルム「大丈夫かよ。」
カーディナル「暗黒神ベクタは、人の記憶を消したりする事が出来る。恐らく、アリスはベクタの能力で気絶しておるのじゃろう。」
カルム「なら、追いつけなくても、ベクタを追撃するべきだろう。」
カーディナル「そうじゃな。現状、わしが指揮官として機能しておる。わしが動かそう。」
カルム「頼みます。」
カーディナルの指揮のもと、人界軍が動き出す準備を始める。
その前に、俺、ミト、アスナは、キリトの馬車の元へ。
すると、キリトは転倒していた。
ロニエ「あ!カルム先輩、アスナ様、ミト様!」
カルム「キリトはどうしたんだ!?」
ティーゼ「わ、分かりません………!さっきから、外に出ようとして……!」
ミト「まさか、アリスを助けようと………?」
シオリ「えっ!?アリス様が!?」
ルナ「そういえば、ケント先輩達はどうしたんですか!?」
ユーリ「ケント達は、ベルクーリ達と共に、ベクタの追撃をしている。」
アスナ「とにかく、私たちは大丈夫だから、キリト君の事、お願いね。」
「「「「はい!!」」」」
そうして、馬車から出ると、タカトラ先輩とリーナ先輩が居た。
どちらも、重症ではない。
カルム「タカトラ先輩!リーナ先輩!」
タカトラ「無事な様だな。」
リーナ「小耳に挟んだが、アリス様がベクタに攫われたと。」
カルム「だから、俺たちはすぐに追う。」
タカトラ「ああ。」
俺たちは、部隊に合流して、出発する事に。
カーディナルが、出発の号令をかけるようだ。
カーディナル「アリスは、大門の戦いで、お主らを守った!今度は、お主らがアリスの為に戦う番じゃ!必ずアリスを取り戻し、人界へと戻るぞ!!」
その号令と共に、人界軍は動き出す。
追い付いたら、差し違えてでもベクタを倒してみせる。
現実世界である俺が。
そんな決意の元、数分経つと、巨大な窪地が現れる。
時間が無いので、窪地を突っ切る。
だが、虫の羽音の様な振動音が聞こえて来て、確かめると、赤いラインが伸びていた。
ミト「あれって………!?」
カルム「嘘だろ………!?」
アスナ「増援………!?」
そう、アメリカ人プレイヤーの増援が来てしまったのだ。
先ほどと比べると、少し人数が減ってはいるが、それでも多い。
カーディナル「全軍、止まるな!」
カーディナルの指示で、人界軍は移動速度を上げる。
だが、アメリカ人プレイヤーは、進行先に最も多く配置されていた。
刃王剣十聖刃と火炎剣烈火の武装完全支配術を使うべきか………!?
そう考えていると、飛竜の雄叫びが聞こえる。
すると、レンリが駆る風縫が、一気に突進していく。
リーナ「いけない………!」
タカトラ「レンリ様は、捨て身で突破口を開こうとしている………!」
カルム「レンリさん!戻って下さい!!」
すると、レンリは、『後は頼みます。』と言ったのだ。
だが、驚くべき現象が起こる。
それは、ダークテリトリーの紅い空が、蒼穹に包まれて、二つの星が降ってくる。
星が、人である事に気付いたのは、すぐだった。
片方は、濃紺の鎧と、雲の様に白いスカート、髪は水色で、もう片方は、同じ濃紺の鎧に雲の様に白いズボンを履いていた。
そして、両方とも、弓を握っていた。
すると、弓を引き絞り、光の矢が生成されていく。
そして、発射される。
その矢は、分裂して凡ゆる方向に広がり、アメリカ人プレイヤーを蹴散らしていく。
一体、誰だ………!?
そう思っていると、声が聞こえてくる。
???「連射出来ないのね。」
???「まあ、シノンからしたら、単発の方がしっくり来るだろ?」
シノン「そうね。」
それを聞いた途端、気付いた。
それは、俺が知る限り最強の弓使いコンビだった。
シノン「お待たせ、アスナ、ミト、カルム。」
チェイス「どうした?そんな顔をして?」
アスナ「シノのん………!チェイス君………!」
ミト「二人とも、来てくれたの………!?」
そう、シノンとチェイスだった。
俺の顔は、久しぶりの友との再会に、涙で濡れていた。
今回は、ここまでです。
シノンとチェイスが到着しました!
ハヤトとリーファは、少し離れた場所にログインしました。
ここ最近、他の小説もあって、これの更新頻度がかなり下がってしまいました。
何とか、投稿してみせます。
この小説は、アリシゼーションが終わった後は、まだ未定です。
どうするのかは考え中です。
ユナイタル・リングには、入らないと思いますが。